キラー   作:佐藤特佐

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記録文書:黒鴉会構成員変死事件(2066年2月22日深夜発生)

 

文書種別:日本国警察東京管区 捜査一課 記録文書

状態:3種機密(簡閲には捜査課長の承認が必要)

文書番号:■■■■■■

作成日:2066年2月23日

担当者:神崎誠二(記録責任者 警部補)

件名:黒鴉会構成員変死事件(暫定名称)

 

 

〈事件の概要〉

 事件現場は東京都港区芝浦港の敷地内、船舶整備用倉庫(住所:■■■■■)。検死により事件は2月22日の23時30分から翌23日0時30分頃に発生したものと推定される。被害者5名はいずれもヤクザ集団『黒鴉会』のメンバーであり、後述する通り変死体として発見された。第一発見者は23日5時ごろに倉庫近辺を通りかかった漁師の男性(63)。倉庫の入口に血痕があることに気が付き警察に通報したと供述している。

 

 

〈検死〉

 以下は被害者5名の検死結果である。遺体の損傷が激しく2名以外身元が不明であること、鑑識による調査は進行中であり暫定的な情報であることに留意されたし。

 

鷹山剛史(31) 男性。黒鴉会幹部とされる。

遺体状態:胸部から腹部に20以上の創傷、頭蓋骨左側の陥没骨折、右腕欠損。

推定死因:鋭利な凶器で複数回刺突されたことによる出血性ショック。

推定死亡時刻:23日0時ごろ

 

三宅龍一(24) 男性。国鴉会構成員。

遺体状態:倉庫内壁にもたれかかる状態で発見。打撲以外目立った外傷無し。

推定死因:高速で壁に激突したことによる内臓破裂及びそれに伴う衰弱。

推定死亡時刻:23日0時30分ごろ

 

被害者A 20~30代男性。黒鴉会構成員と推定される。

遺体状態:右手首切断、胸の創傷(心臓まで到達)。

推定死因:鋭利な凶器で刺突されたことによる心臓破裂。即死と推定される。

推定死亡時刻:23日0時ごろ

 

被害者B 20~40代男性。黒鴉会構成員と推定される。

遺体状態:眉間に石(直径約3㎝)が食い込み頭蓋骨損壊。

推定死因:頭部への岩石投擲による頭蓋骨損壊及び脳への損傷。

推定死亡時刻:23日0時ごろ

 

被害者C 年齢不詳・男性。黒鴉会構成員と推定される。

遺体状態:頭部欠損。

推定死因:頭部喪失による急性ショック。即死。

推定死亡時刻:23日0時ごろ

 

 

〈遺留品等〉

 関係者が所持していたとみられる遺留品について記述する。

 

カトレフTT-33自動拳銃

5丁発見された。いずれも被害者が所持していたものとみられる。なお、内3丁は発砲の痕跡があり、24発分の銃弾と薬莢が発見されている。

 

FN P90サブマシンガン

鷹山剛史の遺体の下で発見。弾倉が2つ(一方は空になり50発全て射撃したものと思われる。もう一方は44発の残弾があり、使用者は射撃中に致命傷を負ったものと推定できる)確認されている。指紋照合の結果使用者は鷹山である可能性が高い。

 

サバイバルナイフ(刃渡り16㎝)

被害者Aのものとみられる、切断された右手が握っている状態で発見された。Aの所有物であった可能性が高い。

 

金属バット

市販のスポーツ用具。複数人分の指紋と血痕が付着していた。詳細を調査中ではあるが、被害者5名とは一致しない血液が付着しており、関係者が他に存在する可能性がある(詳しくは後述)。

 

各種弾丸・薬莢

現場から大量に発見されており、詳細は現在調査中である。

 

 

〈証言・周辺状況〉

 生存者や直接の目撃者は確認できていないが、第一発見者や近隣住民への聞き込み等を実施した。その記録について記す。

 

第一発見者 漁師の男性(63)

23日午前5時ごろ、漁に使う漁船に向かい港を歩いていたところ、中途半端に開かれた倉庫の扉を確認。不審に思い近づくと、倉庫内から赤黒い液体が流出しているうえ悪臭がしたため、警察に通報した。男性は倉庫内への立ち入りや遺体への接触はしておらず、「最初は魚の血かと思ったが、臭いが違うので通報した」などと供述している。

 

近隣住民への聞き取り(総評)

事件発覚後すぐに聞き取りを実施した。「日付が変わる頃大きな物音があった」「銃声がした」などの情報は得られたものの、現場がヤクザの溜まり場として地元住民が寄り付かない場所であったため、それ以上の証言は得られなかった。

 

近隣家屋に設置された防犯カメラ映像の調査

現場近傍にカメラは設置されていなかった。現場に向かう沿道のカメラは17基存在した。所有者に提供頂いた15基を確認したが、推定犯行時刻前後に不審な人物や車両は発見できなかった。

 

 

〈その他〉

 本事件の状況は科学的に不可解な点が多い。特に激しく損傷した遺体については、常人の力によるものとは考えにくい。何らかの兵器や装置の使用、複数人による犯行などが疑われるが、詳細は不明。なおこの状況は、2066年1月末より連続している反社会勢力を標的とした殺人事件(いわゆる「キラー事件」)の犯行との共通点が見られる。連続殺人の一環である可能性を視野に入れた捜査が必要である。

 現場で発見された金属バットには身元不明の血痕が付着していた。事件の関係者である可能性があり、身元特定が急務である。

 

 

〈注意〉

 本事件は異常性が極めて高く、また捜査の都合を鑑み、一般に詳細を公表すべきではないと判断する。よってこれを第三級警察指定事案(3種機密)に分類すること、対外へは情報部の校閲を経た文書で公表・会見を行うことを強く推奨するものである。

 

以上

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