「まず前提から。L社がどんな会社かは知っとるか?」
「確か、『環境に優しい』が謳い文句のエネルギー会社。」
「正解。煙出しまくってた旧L社と比べりゃ一目瞭然、オマケにエンケファリン燃料もかなり良心的な値段だった。おかげで他の翼ともいい関係を保ってたらしいで。」
「...それが突然折れたのか?」
聞いてる限り経営不振や信用の低下なんてこととは無縁に思うが...
まだ前提だ、本題をしっかり聞こう
「...で、こっからがお前さんが買った情報。L社の供給エネルギー、エンケファリンの生産方法について。」
っ...翼のエネルギー抽出方法なんて、特異点そのものじゃないのか!?
「タブーには?」
「安心せい。触れへんと保証しちゃる。」
それなら良かった
知りすぎるってのは危険だからな
「エンケファリン燃料は『幻想体』っつーバケモンから抽出、精製してるって話だった。」
「化物からエネルギーを...。」
「支部が崩壊する時、一部機器がぶっ壊れたりしたらしくてな。ワンチャン幻想体が都市に出てくる可能性もあるらしいで。」
羽がわざわざ化物っていうぐらいだ
生半可な強さじゃないだろう
そんな奴らが都市に出てくるかもだと?
いや、でも待て
「幻想体は、禁忌には抵触しないのか?」
この都市において、人間以外は存在できない
「うーん...俺も気になったんやけどな。流石に知らんらしかった。ただまあ、この10年近く都市にL社が存在し続けた事実から、多分禁忌に触れてないんやないかと思っとる。」
それが何を表すか、少し察してしまう
「...元、人間?」
「ありえへん話では...無いなぁ。」
「ま、これで俺が言えることの全部や。」
「そうか...感謝する。」
25万眼なら安い買い物だったな
「あ?足りへんで。」
...え?
「25
は?
「はぁ?」
「ハッハッハ!流石に冗談やで。きっちり25万眼や、毎度あり。」
「あと少しでその首狙うところだった。」
「怖いなぁ!?あ、でも25万はお前さんが常連になってきたことのオマケ、これからも『どうぞご贔屓に』っつー訳や。」
冗談が出てくるほどの関係は築けたってことで納得しておこう
「わかった。そのこれからがあったら良いな。」
「痛いとこ突くなぁ...。」
そういえば、こんなに話したのは久しぶりだな...
こうやって話すのも、案外悪くないもんだな
そんなことを考えていると店の扉が開く
「おお、いらっしゃい。」
「どうもマスター〜、いつものをくださいな。」
「足四本にモツ一セットな。ちょいと待っとれー。」
白い髪に白い服の女性
どこか白衣のように見えるその服には取れなさそうな血痕が大量に付いている
手には刃渡り20cmほどに見える片刃のナイフ...いや包丁か
その包丁にももれなく血が付いている
さっきの注文的に、おそらく料理人だろう
「ん?...ほほーん...」
ものすごくジロジロ見られている...
もし仮に料理人ならば品定めされてるかもしれない
警戒は怠らずに
「ねぇ君...料理に興味ある?」
「...は?」
なんだ?もしかして勧誘されてるのか?
「はーいおまた...ああ、そういえばお前さんたちが対面するのは始めてか?」
「この人はピエール、うちの常連の一人や。」
「ご紹介されましたーピエールと申しまーす!私はここの近くで『ピエールのミートパイ』って店をやっててね、もしよければ来てね!」
ピエール
やっぱ料理人だったか
「おいおい、ここは俺の店や。宣伝はほどほどにせいよ?...で、こっちが...最近常連になった人や。」
「んー?名前言わない人ね。わかったわ。」
名前...名前か
...
正直、明かしてもほぼ問題は...無いよな
「...フォルケ。」
「やっとこさ名前聞けたな。フォルケか、覚えたで。」
「これから仲良くねーフォルケ君!」
...人との関係は深くしすぎてはいけない
いつ消えるのか、わからないから
それだけは心に刻め、距離感を間違えるな
「あ、そういやフォルケ。」
「なんだ。」
「お前さん多分都市怪談認定されてるで?」
...え?
こういう関西弁風キャラ好きだから店主さん書くの楽しい