いけ好かない
1番最初に感じた印象は、「いけ好かんガキ」やった。
御三家の集まりの日に「
そこで出会ったのは、同い年の、愛想のない女。五条家の分家筋の1人娘だと事前に聞いていたが、彼女は隅に1人で座って菓子を食べていた
「なぁ、なにしてん」
そう聞くと、彼女は菓子を食べる手を止め、鋭い目つきで俺を見上げた
「もらった芋羊かんを食べていただけだけど」
「んなこと見りゃ分かるわ」
なんやねんこいつ、と思ったが口には出さなかった
「今日は
「あくまで主賓は悟さんだからね。ところで、あんたも1人のように見えるけど?」
「バカ言え、女中と親父が挨拶中やねん。すぐに戻ってくるわ、お前みたいな雑魚と
「へぇ…それは羨ましい」
大して羨ましいとも思っていなさそうな声色で言い、彼女は食べかけの菓子を持って立ち上がった
「──さすが、禪院家の跡取りくん」
「ッ…!!」
俺の横をすり抜けて通ろうとしたそいつを、慌てて呼び止めた
「おい、お前…名前は」
「……五条
なんで名前聞いたんやろう、そう思ったときには、既に美夜と名乗った少女は移動していて見えなくなっていた。
悟くんと同じ遺伝子を引いてるだけあって顔はなかなか、それなりに肝も据わってる……
「ま、愛人としてなら、声掛かってきても娶ってやってもえぇかなぁ」
早く帰って、布団の中で小説でも読みたいなぁ…
まだまだ終わりそうにない御三家の会合に溜息が出る。
そもそも今日は悟さんさえ居ればよかったのに、「美夜も来なさい」と言われ逆らえずついて来てしまった。
周りの大人たちは、みんな悟さんの話ばかりしていて肝心の悟さん本人を誰も見ちゃいない。
たまに、思い出したかのように追加の食事を配膳するだけだ
「大変だよなぁ、"最強"ってのも」
「美夜さま、いかがいたしましたか」
「いぃや、何でもないよ」
危うく独り言を女中さんに拾われるところだった
「あっ、そうだ」
「はい?」
「禪院家に1人、わたしと同年代の男の子が来てるよね? 名前知ってる?」
「直哉さまのことでしょうか…」
「黒髪で、つり目で、跡取りって言われてる」
「ええ、そうです。直哉さまのことですね」
「ふーん……そっか」
「いえいえ、また何かございましたらお呼びください」
「はぁい、ありがとう」
直哉──禪院直哉、ね…これからも付き合いあるかもしれないし、覚えておこう
「直哉くん、かぁ…」
あんまり気が合う感じはしなかったけど……まぁ、上手くやるか