これは、支配でも服従でもない   作:榊 時雨

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2人とも高専1年生、交流会時に再会する話
初対面からこの時まで、2人は1回も会ってません


東京へ

「───い、おい…おい!! おい起きろ、禪院」

「ん…」

 

隣に座っている担任の声で目を覚まして、寝ていたのかと寝惚けた頭で考えた

 

「そろそろ東京着くぞ、起きとけ」

「東、京…?」

 

新幹線のアナウンスは、確かに次が東京だと知らせている

 

「禪院が寝惚けるなんて珍しいな、今日は交流会だぞ。忘れたのか?」

「ああ……交流会…せやったな」

 

呪術高専東京・京都姉妹校交流会…年に一度の交流会、本来は2〜3年主体の行事だが、人数合わせで1年の俺も参加することになった。

去年の先輩方が悟くんたちに敗けてるせいで、今年は東京校でやることになった

 

「どうしたんだ禪院、憑きモノが落ちたみたいな声して。なんか夢でも見たのか」

「べつに…」

 

少し言葉を選んでから、俺は口を開いた

 

「…ガキん頃に会った無愛想な女のこと、思い出しとっただけです」

 

五条んとこの生意気なあの女は、今頃どこで何しとるんやろうなとぼんやり思った

 


 

呪術高専東京校──

夏に本格的に入る前の湿気を含んだ暑さのせいで、汗が制服の下のシャツに張りついて気持ち悪い

 

はぁ……あっついなー

 

この暑さの中で交流会、と考えると少し憂鬱だ

 

「おーい、美夜ぁ」

「…悟さん」

 

声のした方を見れば、そこには五条家最強の術師がいた…というか、わたしの親戚兼先輩がいた

 

「何してんだ、こんなとこで? 京都校のお出迎えしねぇの?」

「もうそんな時間か」

「今年は1年に厄介なのがいるからな、気張れよ」

「厄介?」

「御三家のヤツが居るんだよ。禪院直哉、知ってんだろ?」

「ああ、直哉くんか」

 

わたしと同い年なんだから、そりゃ京都校にいるか。わたしと悟さんが京都じゃなくて東京校に進学した方が特殊なんだし。

とは言え、べつに彼の術式は禪院家の相伝じゃない──

 

「…わたし直哉くんの術式、知らないや」

「はぁ? 会ったことあるよな?」

「あるけど…いきなり初対面で術式のこと聞いたりしないし」

「マジかお前……」

「そんなに引かなくても」

「いいか? 直哉(あいつ)の術式は───」

 


 

「よーこそ〜みなさーん、東京校へ〜!!!」

 

京都校一行が東京校に着くと、悟くんは見下すような目で、笑いながら俺らを歓迎した。

悟くんは完全にこっちを下に見ている、当然だ。去年、こっちの2〜3年に勝ってるんだから。

 

東京校のメンバーを一瞥すると、予想外の人間がその輪の中にいた

 

美夜、ちゃん……

 

まさに先ほど夢で見た少女の面影が、彼女にあった。

だが、なぜ東京にいるかが分からない。彼女も御三家、京都出身…高専に進学するのなら京都校に行けばいい。

何か事情があったらしい悟くんは家から許可が出たようだが、どうして彼女まで

 

「──以上、開始時刻の正午まで解散!!」

 

ごちゃごちゃと考えていたら、いつの間にか解散の合図が掛かっていた。もちろん、東京校のメンバーは京都校と反対方向に歩き出した。

『呼び止めたって何を話すんだ』とか考える前に、俺は気付けば彼女に手を伸ばしていた

 

「なぁ、美夜ちゃん…!」

 

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