ようこそ格闘女王のいる教室へ   作:デュラ様

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 感想・評価・誤字報告いつもありがとうございます。

 今回の話から新たな章に突入するんですが、1年の3学期に大幅な原作改変が入る箇所があります。

 ネタバレになるので詳しくは語れませんが、その点に留意しながら引き続きお楽しみください。


混合合宿~選抜種目試験
第33話


 

 

 

 

 

 新年明けましておめでとうございます。

 

 今年もよろしくお願いします。

 

 

 

 

 楽しかった冬休みも終えて、オレ達は新たな年を迎えていた。

 

 世の中には新年の挨拶なんてものがあるんだな。

 

 初めて知った。

 

 これが常識らしいのでやってみたがどうだろうか?

 

 様になってれば問題ない。

 

 これでまた1つ常識を学ぶことが出来た。

 

 この学校に来てから学ぶことが多くて大変だが、それが新鮮で楽しくもある。

 

 それもこれも春麗を中心としたみんなのおかげだ。

 

 オレがどれだけ見当違いな言動をしても、アイツらが正してくれるからな。

 

 自分の非常識さも知ることが出来て、外に出てきて正解だったなとも思う。

 

 とはいえここもホワイトルームよりマシという程度なんだが。

 

 ここは全寮制で外部との接触は禁止なので、もちろん正月もみんなで過ごした。

 

 大みそかのカウントダウンに始まり、初日の出を拝んだり、ケヤキモールで福袋を買ったり、袴や振袖をレンタルして着こなしてみたり。

 

 軽井沢は赤い振袖がよく似合っていたし、春麗は青い袴で凛とした佇まいを見せていた。

 

 初詣こそ出来なかったが、それなりに充実した正月だったと思う。

 

 そしていつも通り楽しい時間は一瞬で過ぎ去っていき、早くも新学期を迎えてしまった。

 

 とうとう3学期目だな。

 

 この期が終われば1年が終了すると思うと、本当に時間が過ぎるのはあっという間だ。

 

 そんなオレ達は今、バスに揺られながら山奥を目指している。

 

 窓の外には雪をかぶった木々が延々と続いている。

 

 それも全校生徒揃ってな。

 

 こんな大所帯でどこに向かっているのかはもちろん知らされていない。

 

 新たな特別試験であろうことは想像に難くないが、今回は上級生すらもどこに向かってるのか分かってないんだと。

 

 だがそんな行先も、バスではしゃぎ散らかしているオレ達にすぐ知らされることになったわけだが。

 

 

 

「これからどこに向かっていて、これから何をするのかをそろそろ知りたい頃だと思ってな」

 

 

 

 見ての通り。いつもの勿体ぶりだ。

 

 茶柱がいつも通りニヤニヤしてるが流石に見飽きた。

 

 学校が試験内容を明かさないのは恒例行事だから、もう茶柱の妖艶な笑みにもなにも感じなくなってきたな。

 

 

 

「これからお前たちを林間学校へと案内する」

 

 

 

 そしてだいたい内容も察せられるから何も感じない。

 

 山奥を目指していて林間学校じゃなかったら逆に予想を裏切られたのに、本当に何なんだろうな。

 

 もしかしてツッコミ待ちなんだろうか?

 

 誰かからツッコまれたいがためのボケなのか?

 

 どういうお笑いなのかオレにはさっぱりだ。

 

 お笑いとしては全く理解できないが、試験としては林間学校で7泊8日の混合合宿を行うという事は理解できた。

 

 

 

 「今回の特別試験では学年を超えての集団行動となる。普段上級生と触れ合う事のない生徒にとっていい機会になるだろう」

 

 

 

 とも伝えられ、いつも通りに資料も与えられて細かなルール説明が行われていく。

 

 配られた資料には細かい文字がびっしりと並んでいる。

 

 まず学年別、男女別に6つの小グループを形成する。1つの小グループは8〜15人で形成され、グループ内には最低2クラス以上の生徒が必要となる。小グループにはグループの責任者を1人選出する必要がある。

 

 次に各学年の小グループが結合した男女別6つの大グループを形成して、この大グループで試験の評価を争う。評価は合宿中の行動や最終日に行われる試験結果が反映され、大グループ全員の平均点により決定される。最終日の試験では筆記試験、スピーチ、駅伝などの総合力が試される。

 

 評価が1位から3位の大グループはPPとCPが増え、4位から6位は減らされる。1位は10000PPと3CP、2位は5000PPと2CP、3位は3000PPをグループの生徒1人1人に配布。4位は5000PP、5位は10000PPと3CP、6位は20000PPと5CPを生徒1人1人が失う。

 

 上記の得点は小グループ内のクラス数に応じて報酬に倍率がかかる。3クラス構成なら2倍、4クラスだと3倍。小グループを構成する総人数によっては更に倍率は増加。総人数10人が1倍、11人が1.1倍。最大で15人の1.5倍。責任者と同じクラスの生徒は報酬が2倍。4位以下のペナルティに倍率は適用されない。

 

 最下位になった大グループにおける各学年の小グループ責任者には、学校側の用意したボーダーラインを小グループの平均点が下回った場合のみ退学のペナルティが与えられる。責任者が退学になる際はグループ内の1人を道連れにする事が可能。これは原因の一因と認められた生徒のみを対象。責任者は小グループで話し合い、明日の朝までに決定。決定しなかった場合はグループ全員が退学。本試験で退学者を出したクラスは一律CPマイナス100、救済には更に2000万PPと300CPが必要。

 

 本試験で求められるのは道徳、精神鍛錬、規律、主体性。

 

 

 

 だそうだ。

 

 いつにも増してややこしいルールだが、とりあえずこれだけは言わせてほしい。

 

 道徳と規律を求めるなら退学者が出るルールを設けるなと。

 

 どうでもいいか。

 

 この学校はツッコミどころが多すぎて、いちいち反応してたらキリがないしな。

 

 とりあえずルールは理解した。

 

 

 

「責任者が退学者を指名して道連れにできるとか馬鹿なの? このくだらないルールを設定した理由をちゃんと説明しなさい」

 

「またお前か。そのルールに関しては生徒会が勝手に追加したものだ。私の預かり知るところではない」

 

「ほんと無責任な教師ね。そんなんで恥ずかしくないの?」

 

「貴様っ!」

 

 

 

 あ〜あ、また始まっちゃったよ。

 

 クラス茶柱名物、佐枝ちゃん虐め。

 

 試験のルール説明はこのためにあるといってもいい。

 

 もちろん佐枝ちゃんは顔真っ赤。

 

 クラスメイトの目は真っ白。

 

 ついでに顔も真っ青。

 

 今更だが教師に喧嘩売るなんて春麗にしかできないからな。

 

 アイツの度胸が異次元過ぎて、三馬鹿すら引いてる。

 

 だからもうやめてやってくれ。

 

 流石に可哀そうだし時間がもったいない。

 

 そんなオレの願いは春麗に届いたらしい。

 

 

 

「この馬鹿みたいなルールは一旦無視するとして、とりあえず退学者を出さないように小グループを作った方が良さそうね」

 

「そうだな。あと出来るだけ報酬の倍率も上げたい」

 

 

 

 学校の理不尽は日常茶飯事だから、春麗もこの学校に慣れてしまったようだ。

 

 それがいい事なのかどうか分からないが、とりあえず茶柱で遊んでから作戦会議に移る。

 

 上級生がどんなプランで挑むのかは知らないが、1年生がやるべきことは至ってシンプルだな。

 

 まず退学者が出ないように各小グループの総合力を平均化させる。どの小グループが上位になってもいいように、報酬ボーナスを最大化できる小グループ編成を行う。

 

 この2点だけをとりあえず守ればいい。

 

 オレ達にとってこの試験の最優先事項はとにかく退学者を出さないようにすること。

 

 だから退学するリスクを少しでも避けるために総合力の平均化は必須。

 

 大グループが最下位になったとしても、小グループの成績が平均評価以上であれば退学は免れることが出来るからだ。

 

 同時に報酬ボーナスの最大化も盛り込んだ小グループを形成する。

 

 報酬ボーナスの最大化は『クラス混合数』×『グループ人数』×『責任者と同じクラスの人数』で達成できる。

 

 つまり全ての小グループを4クラス混合で13人以上にして、尚且つ1クラスだけ人数が突出するようにすればいい。

 

 A7人、B2人、C2人、D2人みたいな編成例が理想だ。

 

 それさえ守れば学年全体で見たときにCPもPPもプラスにしかならないので案外悪くはない。

 

 ただ退学者を確実に防ぐ方法がないのが痛いな。

 

 合宿中の行動がどの程度評価されるのか不透明だし、最終日の試験で予期せぬトラブルに見舞われる可能性もある。

 

 万が一にも退学者が出れば、助けるために深刻なペナルティを負わなきゃいけないからだいぶキツイ。

 

 まあ、そんなこと今考えてもしょうがないからとにかく行動だな。

 

 まだ到着してもないけどやれることはたくさんある。

 

 むしろこの後スマホは回収されちゃうから、早め早めに動かなければならない。

 

 

 

「平田、櫛田と協力して試験に対応するみんなの能力をまとめておいて欲しい」

 

「うん。分かったよ」

 

 

 

 とりあえずクラス内の事はリーダー2人に任せてしまおう。

 

 言わなくても分かると思うが、もちろん櫛田は平田に頼られて絶頂中だ。

 

 じゃあ平田が困惑してる間にオレ達は他のクラスに連絡だな。

 

 

 

「龍園君には私から連絡するわね」

 

「清隆、一之瀬さんは私がやる」

 

「ああ、頼んだ」

 

 

 

 龍園には春麗、一之瀬には軽井沢、じゃあオレは坂柳に連絡しよう。

 

 これで事前準備は問題ない。

 

 さあ、この試験は1年生が1つになって挑むことが出来るのか。

 

 かなり特殊な試験だからペーパーシャッフルのように簡単にはいかないかもな。

 

 不安でもあるが、楽しみでもある。

 

 だがそんな事よりもっと重要なことがあった。

 

 この試験は男子と女子が別行動になるから、合同の食事となる夕食時の1時間しか接触できないんだと。

 

 建物も別々に分かれるから、その1時間しか顔を合わせることもないんだと。

 

 多感な高校生には厳しすぎるな。

 

 

 

 

 

 ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 ほどなくして目的地の林間学校に到着した。

 

 古びた木造の建物が、雪景色の中にひっそりと佇んでいる。

 

 スマホもすでに没収済みのため、ここから先は脚を使って連携しながら試験を進めなければならない。

 

 だがこれはオレ達、主に春麗の得意分野だ。

 

 オレ達は入学当初からこの学校の情報を集め続けていたわけだが、そのほとんどは春麗による聞き込み捜査だった。

 

 アイツの行動力は本当にすごい。

 

 到底オレには真似のできない能力だが、おかげで女子のグループは春麗に任せてしまえば何の問題もいらない。

 

 リーダーになれるようなやつも春麗以外に櫛田、軽井沢、一之瀬と豊富だし女子は安泰だ。

 

 問題はオレ達男子。

 

 オレや龍園はリーダーに向かない。

 

 オレは説明するまでもないが、龍園も暴力でまとめられるのは自分より弱い人間だけだからな。

 

 男子だけの社会で通用するほど甘くはない。

 

 となると平田と葛城くらいしかリーダータイプがいないのはちょっと不安要素かもしれない。

 

 試験の結果だけを考慮してプランを立てるのは簡単だが、普段交わらない集団をまとめるのは骨が折れそうだな。

 

 

 

「クク、金魚の糞と同じグループとはな。まあ楽しくやろうぜ」

 

「別に構わないが、揉め事はごめんだぞ」

 

「それは約束できねえなぁ。ムカつくやつがいたら上級生だろうと潰してやる」

 

「そうか」

 

 

 

 そして運の悪いことに龍園と同じ小グループになってしまった。

 

 ちなみにオレ達の小グループメンバーはこれだ。

 

 

 

 葛城クラス――戸塚弥彦、橋本正義

 

 クラス茶柱――綾小路清隆、須藤健、池寛治、山内春樹、外村秀雄、幸村輝彦、高円寺六助

 

一之瀬クラス――墨田誠、森山進

 

 龍園クラス――龍園翔、石崎大地

 

 

 

 なんとなく察せられると思うがチーム粗大ゴミだ。

 

 もちろん総合力は他のグループと差が出ないように選出されてるけどな。

 

 それと同時に学年の問題児を1か所にまとめて監視できるようにした結果、こんな癖強なメンバーになってしまった。

 

 さすがにやりすぎたかもしれない。

 

 まあいいか。

 

 ひとまず我らがチーム粗大ゴミのメンバーを紹介しよう。

 

 戸塚は葛城のイエスマン。

 

 橋本は裏切りダニ野郎。

 

 オレは学校を潰す恐れのある大問題児。

 

 須藤はいい奴だが馬鹿。

 

 池もいい奴だが馬鹿。

 

 山内は馬鹿な上にいい奴ですらない。

 

 外村はキャラ付けが大変。

 

 幸村(啓誠)はまともに見えるが意外と暴走しやすい。

 

 高円寺は春麗がいないと手に負えない筋肉ダルマ。

 

 龍園はただのチンピラ。

 

 石崎はそのチンピラの舎弟。

 

 一之瀬クラスの2人はよく分かりません。

 

 そんな豪華メンバーで行く特別試験。

 

 スマホは取り上げられて、女子との触れ合いも禁止。

 

 真冬の山奥に放り込まれて、癖強な男たちだけで過ごす7泊8日の合宿……

 

 新年早々、とんでもない試験が始まったようだ。

 

 

 

 

 




???「女子とイチャイチャ出来なくて残念だったな綾小路」 

【挿絵表示】
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