ただの思いつきです。呪術廻戦は最近全巻買ったばっかりでにわかです!よろしくお願いします!
あの日、高専にもう1人術師がやってきた。
教室に夜蛾せんせーの低く通る声が響く。
「今日から転校生が来ている」
俺は椅子の背もたれにだらりと寄りかかりながら、眉を上げた。
「どうせ雑魚だろ!」
傑が横から軽く息を吐く。
「悟、事実でもそれは言っちゃだめだよ」
こういうこと言っちゃいけないのはわかってる。けど、口が勝手に動くんだ。でもどういうやつでも俺と傑と比べちゃうんだよな…この口だけは昔から制御不能、俺の悪癖だ。
夜蛾せんせーは腕を組んだまま、無言で教室のドアを指す。
「入ってきなさい」
静寂を切り裂くように、ドアがゆっくり開いた。
現れたのは、背筋を真っすぐに伸ばした黒髪の青年。
制服の着こなしは地味だが、無駄な動きが一切ない。
「相澤消太です。相澤でも消太でも、自由に呼んでください。よろしく」
……空気が、変わった。
目に見えない圧。
教室の中に“静かな緊張”が一瞬で走る。
俺の視線が自然とその青年に吸い寄せられた。
「お前…強いな」
夜蛾せんせーがわずかに口角を上げる。
「ちなみにこいつはある意味、お前らには強いぞ。悟、傑」
俺は眉をひくつかせた。
「あ?」
傑もきょとんとする。
「どういうことですか?」
夜蛾せんせーは淡々とした声で言った。
「消太、術式を言ってくれ」
相澤は落ち着き払った声で答える。
「術式は“抹消”。見たものの術式と呪力を止める。瞬きしたら戻る」
……教室が凍りついた。
俺の脳みそが一瞬、真っ白になる。
「…なに!?」
抹消って言ったかコイツ…?無下限も止められたりするのか…?
硝子が小さく吹き出し、俺の肩を軽く叩いた。
「五条、お前の無下限、消されるらしいぞ?」
いや…笑い事じゃないんだけど…
「……は?ふざけんな。本当に使えるのか?」
声がつい荒くなる。無下限を止められる…?そんなことあり得るのか…?
相澤は微動だにせず、淡々と返す。
「見ればわかる。無効化するだけだ。使えないようにするつもりはない」
傑が肩をすくめ、笑った。
「なるほど、こりゃ手強そうだね」
硝子はペンを回しながら静かに言う。
「初日から刺激的だね」
緊張と好奇心が入り混じった空気が教室を包み込む。
……ああ、こいつはただ者じゃない。
冷静、そして理屈の塊みたいな男。
だが目の奥には、戦い慣れた奴特有の“光”があった。
おもしれぇ。
俺は心の中でそう呟いた。
授業が始まる。
「今日は自習。術式操作の基礎演習をペアを組んでやっとけ」
夜蛾せんせーの号令で、教室が一斉にざわめく。
傑は手際よく呪霊の準備を整え、相澤の前に立つ。…呪霊操術。一度祓った呪霊を取り込み、それを自在に操る…。傑は俺に並ぶ最強だ
「じゃあ消太、まずは手本を見せてくれる?」
「わかった」
相澤は抹消を準備する…でもなく、髪がなぜか浮き始め、目を赤く光らせ始める
俺は興味半分で無下限を張ったまま相澤の視界に入る。
その瞬間、空気が変わる。
相澤の視線が一瞬、俺を捉えた。
「…抹消」
張っていた無限が、何もなかったかのように消える。
俺の“無下限”が止まった。
「……はぁ!?」
思わず声が漏れる。
確かに一瞬だけ、俺の術式は無効化された。
無下限が…消える感覚。
「見たものを無効化する。それだけだ」
相澤は淡々と告げる。
その声には、誇りも慢心もない。
ただ“事実”として語っているだけの冷静さがあった。
傑が感心したように笑う。
「君、相当頭いいね。呪力量の配分が無駄ない」
硝子は反転術式の使い所がないから暇そうに観察していた。
「術式の構造解析も早い。天才型というより、職人タイプか」
……なるほど。
こいつ、頭の中で全てを計算して動いてる。
反射的じゃない。理詰めだ。合理的…ってやつ?
俺とは真逆のタイプ。だからこそ、ぶつけたくなる。
「なぁ、消太」
俺は軽く笑って声をかけた。
「お前の“抹消”、戦いでも使えるのか?」
「理論上はな。ただ、無闇には使わない。目を使う術式だから」
「瞬きで戻る、だったな。便利すぎて反則だろ」
俺はニヤリと笑い、少し挑発的に言った。
「今度、手合わせしようぜ。全力で」
相澤…いや消太は微かに眉を動かし、静かに答える。
「構わない。ただし、無茶はしないようにしよう。お互いに」
……冷静だな。
本気で戦っても、絶対に感情に飲まれなさそうなタイプ。
傑が笑いを堪えきれずに言った。
「悟、珍しいね。気になる相手ができた?」
「うるせぇ、ただ面白そうなだけだ」
授業が終わり、昼休み。
俺たちは屋上に集まった。
空は少し霞んでいて、風が気持ちよく吹いている。
傑が呪霊を小さく形作りながら言う。
「今日の授業、緊張感あったよね。悟が焦るなんて珍しい」
「焦ってねぇよ」
俺は空を見上げながら答えた。
「ちょっと予想外だっただけだ」
硝子が微笑む。
「相澤…静かな人だけど、芯がある。ああいうタイプ、嫌いじゃない」
傑が笑って頷く。
「消太、教師とか向いてそうじゃない? 冷静だし」
「教師?」
俺は笑いながら手を振った。
「まさか、あの無愛想が?」
「案外、子どもには優しいかもよ?」
その会話の最中、相澤が屋上の端に立ち、風に髪を揺らしていた。
彼は誰かに聞かせるでもなく、ぽつりと呟いた。
「“守る”ために術式を使いたい。それだけだ」
俺は一瞬、言葉を失った。
戦いよりも“守り”を口にする術師。
…変わってる。けど、嫌いじゃない。
「お前、いい目してるな」
俺は笑いながら言った。
「その目、そう簡単に濁らせんなよ」
相澤は一瞬だけ俺の方を見て、小さく頷いた。
その日の夕焼けは、やけに鮮やかだった。
屋上から見下ろす高専の庭に、長い影が落ちている。
…この日、高専にもう1人、俺たちの世界を変える術師が加わった。
俺は確かに、その瞬間を見たのだ
どうだったでしょう?要望があればよろしくお願いします!