抹消術師   作:がす

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悲報、夏油くん。クズになる。ちなみに見ればわかるけど正直しょうがない。ただしそれを先に言ってればの話。


vs虹龍

 

任務地は山奥だった。

朝の空気は冷たいのに、山全体が妙にざわついている。呪いの気配が濃い。三日寝て治りかけた俺の体に、これは絶対負担がデカい。

 

「……で、傑」

振り返ると、傑はなんというかめんどくさそうな顔。…嫌な予感しかしない…帰りたい…。

 

「……眠いね。昨日悟から“寝れてない”って愚痴のメール来てさ、共感してたら寝不足だよ」

「知らねーよ…」

 

こいつ、本当に任務前か?眠いのはよくわかるけど。…寝袋常備しようかな?俺がツッコむ間にも、森の奥から地響きが聞こえてくる。

 

 

ドォォン……ッ!!

 

地鳴りと共に、木々が倒れていく音。

まるで戦車が森を突っ切っているような破壊力。

 

「……来たな」

「うん、来たね。消太、がんばってね」

「いやなんで他人事?」

 

傑は隣でのんびり立っていた。

嫌な予感しかしない。俺1人で来た方が良かった…なんてことないよな?

 

森を割って現れたのは——

全身が虹色の鋼鉄の鱗で覆われた巨大な“龍”みたいな呪霊。

牙は墓標みたいに長く、空飛んでるのに地面が揺れるように感じる。

 

一級呪霊、虹龍。

 

突撃、体当たり。咆哮による衝撃波もあるのだろうか?いや、ないと信じたいな…

攻撃は単純だが、硬さが異常。

俺は肩を回して言った。

 

「傑、俺が前衛になるから後方支援頼めるか?」

「……わかった。私はサポートに回るね」

「なんだその間は……サポートの気配すらないんだが…?」

 

言い合っているうちに虹龍がこちらへ突進してきた。

 

ドガァァァァァン!!!

 

地面が爆ぜる。

俺はとっさに“抹消”を構え、捕縛布を何重にも体の前で重ねて広げて衝撃を削る。

 

「クッ……!!」

 

衝撃で腕が痺れる。

捕縛布で守ったというのにちょっとでも力抜けば吹っ飛ぶレベル。…こりゃサポートないと結構きついな…

 

一方、その後ろで傑は

「頑張ってくれ消太〜」

……応援してるだけで戦ってない。

…いやなんでだよ。今からでも帰れないだろうか?めんどくさいことこの上ないんだが…

 

「傑!お前も戦えよ…」

「いやぁ……でもさ、こういうの、消太が得意でしょ?」

「得意じゃねぇよ…!」

 

俺は捕縛布を広げ、虹龍の口へ巻きつけようと狙う。

「…捕縛!」

 

しかし。

 

ギギギ……ッ!!

 

鱗が鋼より硬く、布が弾かれる。こりゃ…悟の破壊力がなきゃきついな…

 

「硬すぎだろ……!!」

「あ、そこ無理そうだよ?そこだけ特に硬いようだね」

「知ってんなら言え…!」

「いや消太ならわかってるかなって思って」

 

硝子がこいつクズって言った理由わかったわ…こいつ後でしばく…!

「……とにかくサボってんじゃねぇよ…!」

 

虹龍はまたも体当たりしてくる。

俺は地面を滑りながら後退し、屠坐魔を構える。

「…なら…斬る!!」

 

ガギィィィィッ!!

 

刃が弾かれ、火花だけが散った。

ほんの数ミリしか傷がつかない。

 

「硬度どうなってんだよコイツ…?」

「うん、どうやらそこも無理そうだね」

「お前マジで黙ってろ……!」

 

俺が息を切らし、汗を流し、傷だらけになりながら戦ってるのに、

傑は近くの倒木に座ってお茶を飲んでいた。いや、は?お前なんなんだよ…

 

「今日はいい天気だね…こんな日に任務とか参るよねほんと」

 

…は?

「お前なんもやってないだろ」

「だって消太、ほら……意外と戦えるし?」

「“意外と”で任せんな」

 

虹龍の尾が襲いかかる。

 

ドゴォォォン!!!

 

弾き飛ばされる。

肺が焼けるように痛い。

それでも立ち上がる。

 

「クソ……!!」

「消太、少しは休んだら?」

「お前のせいで休めねぇんだよ…」

 

俺が時間稼ぎしながら虹龍を削り、やっと体力が半分を切りかけたころ。

傑がゆっくり立ち上がった。

 

「よし。頃合いかな」

「……傑?」

「ありがとう、消太。ここまで削ってくれて」

「お、やっと手伝う気に…」

 

傑は手を前に出し、呪霊操術を発動した。

 

虹龍がみるみる小さく縮んでいき、

球となって傑の掌へ吸い込まれていく。

 

「おい、まさか……」

 

そして傑は、

それを…

 

ぱくっ。

 

と、口へ運んだ。

 

「ん、これは……悪くないね」

「………………」

「虹龍…これはなかなか強いね」

「こいつ…!」

 

俺が死にそうな思いで削った虹龍を、

こいつは丸ごと“食った”。

美味しいところ全部持っていきやがった。呪霊玉って美味いのか?

 

「なぁ傑……お前……」

「ん?」

「……今までの応援、全部嘘だったな?」

「応援は本物だよ?

消太が一人で削ってくれて助かったし」

「…はぁ…」

 

ため息ついた瞬間、肺が痛み悶絶する。

傑はそんな俺の肩を軽く叩いた。

 

「怪我してるでしょ。ほら帰ろう。硝子怒るよ?」

「怒るのはお前だ馬鹿」

「え、なんで?」

 

…は?…白々しいな…

「大体全部お前のせいだろ…!」

 

大声で怒鳴った途端、胸の痛みが強くなりまた倒れ込む。

 

「ほら、無理したらダメだって。

 ほら背負うから、ほら」

「人を削るだけ削って、最後は背負ってカッコつけるんじゃねぇよ…」

「消太、怒る体力あるんだ。よかった」

「この野郎…」

 

……背中で笑ってんじゃねぇよこのクズ。初めて硝子の気持ちがわかったわ。

 

 

結局、俺は傑に背負われて戻る羽目になった。

揺れる背中の上で、腹の底から言う。

「……傑」

「ん?」

「やっぱお前、硝子の言う通りクズだわ」

「えぇ……そんなに?」

 

「あぁ。間違いなくクズだ」

「ちょっとショックだなぁ……」

「ショック受ける資格ねぇよ…!」

 

山に俺の…怒号が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今傑は手持ちの呪霊が二級以下しかなかったのと…飲料用ゼリー15個奢ってくれたから許した。確かに一級に二級当てても瞬殺だろうしな。相性が悪かったことにしとこう。

 

傑に小声で「…え?…チョロすぎでしょ」と言われた瞬間抹消かけて殴ってしまった俺は悪いのだろうか?

 

…まあ虹龍いるから次は真面目にやるって言ってたからゼリーで手打ちにしてあげとこう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




リクエストもらいました!赤血操術使いをさしす組にぶっ込んでほしいってのとメカ丸救済してほしいのと、ブルアカあるいは東方のキャラでもぶち込むような新作を希望してる方みたいで…ということでもしやるなら赤血操術とさしすはこの小説完結してからで、赤血操術とブルアカは(赤血操術とブルアカの小説自体はすでに何個かあるため内容は被らないようにします)その赤血操術とさしす組のと同じオリキャラで先にぶっ込んどこうかな…。もちろんこの小説メインですけど。メカ丸は…これが完結できたら書きます…。リクエストありがとうあぱぱさん!
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