もうお前の作品なんて読みたくもねえよ、なんて仰る方もいらっしゃるかと思いますが、それでも、出来るだけ投稿していこうと思います。
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SIDEまどか
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…目が覚めたら、ぬいぐるみが一個増えてました。
何でだろう、私、今日誕生日だっけ…?
そんなことを寝ぼけ頭で考えていると、
「おはよう、まどか」
そのぬいぐるみがいきなり話しかけてきた。
「ぬいぐるみが喋った!?」
「ひどいね、君は。 昨日起きたことをもう忘れたのかい?」
そう言われて思い出す。この子は、えっと、確か…、
「キュゥべえ…?」
「そのとうり。思い出して貰えてなによりだ」
そうだ、この子、確か先生が、『魔法少女に張り付くストーカー』って呼んでたっけ。
「そんなことまで思い出さなくてもいいよ」
「あはは…、ごめんね?」
そんな風に会話をしていると、パパの呼ぶ声が聞こえた。
「あっ、そうだった、そろそろパパのところにいかなくちゃ」
「付いていっても言いかい? まどか」
「えっ? いや、それは…、えっと…」
いくら何でもこんな生き物が家の中を堂々と歩いたら…。
「大丈夫。僕の姿はほとんどの人には見えないよ」
「…本当?」
「本当さ」
…それなら、まあ、いっか。
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「…それで、こうして学校まで連れてきた訳?」
「…う、うん」
杏子ちゃんとさやかちゃんと一緒に登校していたら、かばんからキュゥべえが出て来て、今、教室でそのことについて問い詰められてます…。
「いや、まあ、他の人に見えないっていうんなら別にいいんだけれどさ…」
「まあまあ、さやか。そんぐらいにしとけよ。…そういやキュゥべえ、コイツ等にテレパシーのことはもう教えたのか?」
「えっ、なにそれ杏子。あたしそれ初耳なんだけど」
(なんだ、聞いてなかったのか? ほら、こうやるんだよ)
(うわっ、すごっ! なにこれ、そんなマジカルな力が私たちに…?)
(いやこれ、僕の力だからね?)
(それでも、声に出さないで会話が出来るって、凄い事だよね)
「皆さん…無言で向き合ってどうしたんですの?」
「あ…、ひ、仁美ちゃん…」
いきなり話しかけられて少々驚いてしまう。
しかし、向こうはそんなことにお構いなく話を進めていく。
「まさか…! 言葉を交わさずとも目と目で語り合える仲なのですか…? ああ…これが禁断の愛!!?」
「「いやいやいやねーよ!!」」
さやかちゃんと杏子ちゃんがハモる。やっぱり、二人ってとっても息が合ってるよね。
「そういえば、マミさんもこの学校の生徒なんだよね」
ふと、昨日聞いたことを思い出したので言ってみる。
「誰ですの? その、マミさん、と言う方は」
「えっと、昨日知り合った先輩なんだけれど…。」
これ以上は魔法少女関連のことなので言うことができない。話題を変えないと。
「ところで、さ、ほむらちゃんはどうしてるのかな」
「ああ、あの転校生?」
「そういえばアタシ、アイツに初日、凄い睨まれたんだよな。アレ、一体何だったんだ?」
「まさか、杏子さんに一目惚れとか!?」
「「いやいやいやいやいやいやいや」」
少々強引な話題逸らしだったけれど、意外とみんな食い付いてくれたみたい。
そうしていると、ほむらちゃんが教室に入ってきた。
「おお、噂をすればなんとやらってヤツだね!」
少し大きめの声でさやかちゃんがそう言うと、ほむらちゃんがこっちに近づいて来た。
「…なにかしら、美樹さやか。私について何か話していたのかしら?」
その質問に対して杏子ちゃんが口を開いた。
「ああ、アンタがアタシに一目惚れしたって話だよ」
「え…? えっ…! えっ…!?」
「…なんか、すげー動揺してるな」
「そういう話、今までしたことなかったんじゃない?」
いままで、ずっとどこか怖いイメージがあったけれども、からかわれてひどく動揺しているほむらちゃんに凄く親近感が湧いた。このまま仲良く出来ればいいな。
「か…かか、勘違いしないでちょうだい佐倉杏子。わ、私はあなたをそういう目で見ていないし、え、えっと、あの、その」
「…いや、大丈夫だ。ちゃんと分かってるから。からかって悪かったよ、だから、な?」
「え、ええ。分かればいいのよ。分かれば」
そう言ってほむらちゃんが席に座るのとほぼ同時に早乙女先生が教室に入ってきた。
「皆さん、おはようございます。それでは、朝のHRを初めますね」
…どうやら、今日は誰それに振られた、とかそういう話はないみたい。
(いや-、それにしても、確かにマミには昨日会ったが、まさか同じ学校だったなんてな)
「わっ!」
いきなり頭の中に声が響いたので、少しびっくりしてしまった。周りの注目の目線が痛い…。
「どうかしました? 鹿目さん」
「いっいえ、早乙女先生、何でも、何でもないです…」
(悪い。今のはいきなり話しかけたアタシが悪かった)
(ううん、大丈夫。それで、マミさんの事、だっけ?)
(ああ。マミとは昔一緒に魔女を狩ってた仲なんだよ)
(て、いうか、マミさん私たちと同じ制服着てたんだから、そこで気付こうよ…)
(あれ? そうだったっけ?)
(そうだよ…、気付いてなかったなんて驚きだね…)
(うわっ、会話にいきなり割り込んでくるなよ、さやか)
(HR中に喋くるのはあまり感心しないな。それが喩え周りに聞こえてなくてもな)
(わっ! 高祖先生!?)
(そうね。先生の話はちゃんと聞いたほうがいいわよ?)
(げっ! マミ!?)
(そういうあなた達はどうなの? 高祖真司、巴マミ)
(て、転校生!?)
HR中に魔法少女に関わる皆での会話が始まっちゃった…。
(と、いうか、先生もテレパシーが使えるなんて聞いてませんよ…)
(君のことだから造作もないことだろうとは思っていたけれどね)
(黙れ偽白ウサギ)
(た、高祖先生…、いくらなんでもそれはキュゥべえがかわいそうだと…)
(マミ、確かに言いたいことは分かる。だけど察してくれ。俺はコイツのことが宇宙で一番嫌いなんだ)
(あら、奇遇ね、高祖真司。私も同意見よ)
(…こんなに可愛いのに?)
(まどか、騙されてはだめよ。そいつが可愛いのは見かけだけ。他は可愛さの欠片もありはしないわ)
(あなたとは気が合いそうにないわね…、明美さん?)
(なら、せいぜい今のうちに幸せな気分に浸っているといいわ。そのうち痛い目を見るのはあなたの方よ、巴マミ)
あわわ、何だか険悪なムードになってきちゃった…。なんとかして止めないと…。
(け、喧嘩は駄目だよ!)
(ごめんなさい。巴マミ。つい、頭に血が上ってしまって…。許して頂けるかしら?)
((変わり身早っ!!))
口を突いて出て来たのは、ありきたりの一言に尽きる言葉だったけれど、それでも二人の喧嘩を止められたからまあ、いっか。あと、さやかちゃんと杏子ちゃんは良くハモるなあ。
「きりーつ」
わわ、もうHR終わり!?
そう思ったのはこの教室にいる三人も同じみたいで、慌てて立ち上がるのが見えた。
(なんだ、もうHR終わったのか。じゃあ、六時間目、待ってろよ)
高祖先生にそう言われて、時間割を思い出してみると、確かに今日の最後には、数学の授業があった。
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「あー、疲れた。毎回毎回真司の授業は疲れるな」
「まーね。かといって寝たりなんてすると宿題増やされるからね。たまったもんじゃないよ」
「あはは、でも高祖先生の授業、分かりやすいよね」
「「駄目、集中力が持たない」」
「あ、あはは…」
学校が終わって、下校途中。さやかちゃん、杏子ちゃんと一緒に帰ってます。
坂を登り切れば、交差点がある。いつもなら、ここで杏子ちゃんとは別れるんだけれど…。
「ねえ、杏子ちゃん、今日、そっちに行っていいかな?」
「え? いや、別に構わないけど…、アンタの家、反対側だろ?」
「うん、そうなんだけど…、今日は、たっくんを迎えにいかないといけないから…」
「たっくん?」
「まどかの弟だよ、杏子」
「ふ~ん、さやかは付いてこないのか?」
「あたしは、恭介のお見舞いがあるから」
「ああ、そういやそうだったな。じゃあな、さやか」
「じゃあね、杏子、まどか」
「うん、またね。さやかちゃん」
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しばらく歩くと、幼稚園に着いた。ここにたっくんは通っている。
「なあ、おい、まどか、アンタの弟が通っているのってひょっとして、ここか?」
「え…? うん、そうだけど…、何かあるの?」
「いや、何でもない」
…なんだろう。少し気になりはしたけれども、だからといってずっと立ち止まっている訳にもいかない。敷地に足を踏み入れて先生を呼ぶ。
すると、一人の男の人が出て来た。歳は四十歳ぐらいだろうか。
「ああ、たつやくんのお迎えだね? 今呼んでくるから少し待っててくれるかな?」
そう言って男の人は教室へと向かっていった。
…しばらくすると男の人がたっくんを連れて帰って来た。
「ほら、たつや君、お姉ちゃんがお迎えにきたよ?」
「ありがとうございます。ほら、たっくん、帰ろ?」
「おねーちゃ、パパどこ?」
「パパはおうちに帰ったらいるよ」
「んー、じゃあおうちかえる!」
そうしてもう一回お礼を言おうと思って振り返ると、杏子ちゃんとさっきの男の人が向かい合っていた。
「どうしたの? 杏子ちゃん」
「いや、なんでもないよ。じゃあな、親父」
「えっ? 親父って…?」
「そ、アタシの親父はここで働いてるんだよ」
ちょっとだけおどろいた。世界って意外と狭いんだなあ。
「鹿目さん、どうか、ウチの娘と仲良くやってくださいね」
「いっいえ、その、こちらこそ、よろしくお願いします…」
「おねーちゃ、はあくかえろ?」
「あ、うん、そうだね。じゃあ、佐倉さん、さようなら。」
「ええ、さようなら」
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「杏子ちゃんのお父さんが、高祖先生の紹介で、幼稚園の先生をやってたのは知ってたけれど、まさかたっくんがかよってるところだったなんて…ちょっとびっくりしたな」
「ああ、アタシもだよ」
「世界って意外と狭いんだね」
「ああ、本当にな」
「うん、じゃあね、杏子ちゃん」
「ああ、じゃあな、まどか」
──この後私は、家に帰って、晩ご飯を食べて、お風呂に入って、宿題をやって、いつものように寝ました。でも、この“いつものように”は“いつまでも”では、ありませんでした。──
テストが近いので、次回は来月あたりになりそうです。