安全地帯へ移動しつつ、110弱を探す応接_maniaたち。ここから少し時間は遡る。夜のジャングルの中を、園芸鋏と対戦車ミサイルを背負ったロウリーが歩いていた。「最後の一人になって、なんとか生き残ってやるぜ」独り言を零すと、ヒカ島に拉致された時から持っていたペットボトルの中に入った水を飲む。この水は植物の葉の上に溜まった水や雨水、竹を割って得た水などを集めたものだ。彼はサバイバル能力が高かった。「それにしても政府はなんで俺達を集めてこんな……むっ!?」急に喉に痛みを感じたロウリーは咳き込み始めた。苦しさと共に呼吸困難が彼を襲い、視界がぼやけ、意識が朦朧となる。血を吐いて地面に倒れる。起き上がろうと何度か藻掻いた後、彼は動かなくなった。直後、近くの茂みから、サイバーガスマスクと防護服を身につけた男が姿を現す。彼の背中には細菌培養装置。手には噴霧器。そう、マニアスプレッダーである。彼は、数時間前から密かにロウリーを尾行し、炭疽菌を彼に噴霧していたのだ。「これで一人排除……」彼は木々の間から覗く夜空を見上げた。雨が降り始めている。マニスプはAIpro達と同様、この戦いを運営する政府の思惑を突き止めたいという目的で行動している。その為に、他の全てを鏖殺して自身が勝者となることも厭わないつもりだ。だが、彼の胸の中には疑念も残る。自分が生き残った所で、本当にこの島から出られるのだろうか?ヒカキンと交戦した際に空から光線が降ってきたこともあり、運営側とグルになっている者がいる可能性も彼は視野に入れている。「お前らは国にとって不要な存在だ。だから、最後の一人になるまで殺し合わせると政府が決めた」最初にスピーカーから流れた言葉を思い出す。最後の一人になるまで戦えとは言われたが、その最後の一人になれば殺されないとは言われていないのだ。
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そして現在。「なるほど……つまり、110弱って奴が僕達をこの島に連れてきた奴らと繋がってて、この戦いは最初から誰が生き残るのか決まってる出来レースってこと?」「そう」車内にて、応接_maniaはナムジュンツーボイに説明をしていた。「でも気になるよね。110弱は『生き残るのは二人で、それはもう決まってる』って言ってたらしいけど、それが本当だとしたら110弱を除いたあと一人は誰なんだろう?」キューポラから顔を出しているナミアリは疑問を零す。「心当たりのある者はいる」ヒロヒト_maniaが運転しながら話す。「政府曰く、この島に集められた者達は『社会に不要な存在』だ。私達ヒカマーが『社会に不要』扱いされるのは100歩譲って分からなくもない。サブカルチャー好きの集まりだからな。だが『社会に不要』のカテゴリに入れるには場違いな者が居ただろう?」「ヒカキン?」応接_maniaはヒロヒトの方を見る。「確かにヒカキンなら、社会に不要だなんて言われるはずがナイ!日本でもトップクラスの大金持ちだし、政界とコネクションがあるって噂もあるし……」ナミアリも同意する。「生き残るのが決まってる二人は、110弱とヒカキンってことか……」ナムジュンツーボイ(以下、ナム)は最初に集められた廃校の大型教室を思い出す。そこでのヒカキンは、いつの間にか拉致されて無人島に連れて来られたことに対する戸惑いを最初は見せていたが、それはどこか演技臭かった。その演技臭さも、最初から運営とグルだったのだとすれば納得がいく。ヒロヒトは操縦席のモニターに表示された地図を見た「よし、今安全地帯に突入した。雨も降っているし、飲み水の確保もしないとな。そして110弱を……」その瞬間、雷鳴!稲妻に照らされて夜闇に浮かび上がったものを見て4人は驚愕。天を衝く煙突、圧倒的存在感を放つ原子炉、海原を背景に聳える送電鉄塔。そう、原子力発電所である。「あれ、まだ稼働してるの!?」ナミアリは発電所の上空を光りながら飛び交うドローンを視認する。そう、ヒカ島が無人島となった後も、原子力発電所は自律型ロボットの手によって管理、維持され、島のあちこちに電力を送り続けているのだ。「誰も住んでないはずのヒカ島の廃墟に電気が通ってる理由って……これだったのか……!」ナムは目を丸くした。
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一方その頃、安全地帯の海沿いを歩く者あり。「全く厄介な雨だぜ。おい、任意爆破システムの復旧はまだなのか?」その男が首輪のボタンを押して話すと、すぐさま返答が返ってくる。「はっ、申し訳ザザッ……りませんが、まだ終わってザザザザおらず……」「……まぁいい。相手の首輪がいきなり爆発なんてつまらんしな。俺には派手な衛星砲の方がよく似合う」「その衛星砲なのですが、現在ヒカ島上空ザザを移動中のSAENS-YELLOW……つまり3号機はザザザ……ネルギー不足でして、狙撃ができない状態となっており……」「チッ、使えねぇな。ま、俺の実力と消防斧があれば……」言いかけて、その男、ヒカキンは目の前に聳える建造物を見る。「ゲッ、原発かよ……!」