ヒカマーズバトルロワイヤル続編   作:開發 雅人

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第42章: カタナ・オン・ネオミド

ジャングルの中を進むカタナキン。彼の心の中には、不安が巣食い始めていた。

 

「さっきの放送はなんだったんだ? 殺人ドローンがどうのこうのって……この島では一体何が行われてるんだ?」

 

刀を握りしめて臆病そうに木々の間を見回す。彼は、ヘリで島に着陸し、降機した直後、空から降った謎の光でヘリを爆破されるという経験をしている。なので、帰る手段を無くしているのだ。

 

「とりあえず、これを頼りに進むしかない。俺は必ずあいつを見つけ出して帰るんだ……!」

 

片手に持った生体シーカーだけが彼の心の綱だった。画面に映る情報を元にしばらく彷徨っていると、彼は何かを発見する。

 

「なんだあれは?」

 

走って近寄り、彼は目を見開いた。それは、胴体から首が切り離され、半分腐敗しかけている無惨な亡骸。彼が探し求めていた人物、ネオミドの死体であった。

 

「なんで……なんでこんな……」

 

カタナキンは手を震わせながら地面に膝をつく。心臓が早鐘のように鳴り、視界が暗転していくような感覚に襲われる。

オフ会に行ったっきり行方不明となった親友が、誰も居ないはずの無人島で惨殺死体となって発見される。それは、一般人であるカタナキンにとっては過酷すぎる運命だった。

夢や幻覚だと信じてしまいたくなるが、体をつねっても目を擦っても目の前の惨状は消えない。

 

「一体誰がやったんだよ……なんでこいつがこんな所で……死ななきゃならなかったんだよ!!」

 

怒りの矛先を探すように、カタナキンは生体シーカーに冷たい一瞥を向ける。その機器は遺伝子情報を元に人を探すことはできても、相手の生死まで教えてくれる訳ではないのだ。

 

「復讐してやる……!」

 

煮えたぎる怒りを胸の中に抱えながら、彼は立ち上がる。

 

「はやおを殺した奴に……復讐してやる!!!」

 

そして、生体シーカーを地面に叩きつける。液晶の破片が散った地面に、雨粒がぽつりと落ちた。

 

 

「ハハハハ!お前ら、もうすぐエリア移動だ!ちゃんと殺し合わないとドローンに撃たれるからな!」

 

スピーカーからの嘲笑。それを聞き、廃墟に向かって歩くねずまには歯を食いしばる。

 

「クソッ……なんで私たちがこんなふざけたゲームなんかに」

 

失った片腕の痛みに耐えつつ、安全な場所と食糧を探すために歩みを進める。傷口は炭化しており出血は少ないが、荷電粒子砲で直接焼き切られたのだから痛いに決まっている。

 

ジャングルを出て、地面が土からアスファルトに切り替わる境界線を通り過ぎ、近くの雑居ビルへと入る。そして床にへたり込み、壁にもたれかかった。

 

「ハァ、喉が渇いた……」

 

雨が降り始めている外を見て、雨水を集めて飲もうと思ったが、今は殺人ドローンの恐怖によって殺し合いを更に加速させられる状況。迂闊に建物から出られない。

持っていた救急キットに手を伸ばしたその時、物音。ねずまには慌てて立ち上がり、ベアトラップを握る。気丈なねずまにも、周囲に誰かが潜んで近づいた者を殺そうと待ち構えている可能性を頭から排除できない。

 

「そこに……誰かいるの?」

 

上の階から聞こえてきたのは、自身と同じ女性の声。ねずまには姿の見えない相手に問う。

 

「貴方は誰?」

 

「私はるぽめだ。何もしないから安心して」

 

そう言って階段を降りてきたのは、ロープを持った女性。ねずまにと同年代の女ヒカマーだ。

 

「俺らも出てきて良いよな?」

 

その声と共に、二人の男も降りてきた。Cenaキンとあおまにだ。

 

「貴方達は……?」

 

「俺はあおまに。こいつがCenaキン。俺達は無害だから安心してくれ。もしできるなら、協力してほしい」

 

Cenaキンが頷き、続きを言う。

 

「一緒にこのクソったれた戦いを生き残って、この島から抜け出そう。集団で居れば、それだけで心強い」

 

彼らの言動に、裏があるようには思えない。ねずまには、一先ずこの3人を信用することにした。

 

「わかった。私はねずまに。貴方達に協力するから、よろしく」

 

3人の顔に安堵が浮かぶと同時に、Cenaキンの顔から血の気が引く。

 

「ちょ、その腕……大丈夫!?」

 

3人は失われたねずまにの左腕に今更気づいたのだ。

 

「大丈夫……かなり痛むけど、救急キットがあるから……」

 

「これ、使うか?」

 

あおまにが持っていたバタフライナイフの柄を弄ると、中から短い注射針が飛び出した。柄の表面には鎮痛剤、デルモルフィンの組成式。

 

「それは……?」

 

「痛みを和らげる薬だ。別に麻薬とかじゃないから安心してくれ」

 

ねずまには一瞬警戒したが、救急キットの中には強力な鎮痛剤は入っていなかったため、この薬を使うのが合理的だと判断。

 

「ありがとう」

 

礼を言いつつ、針を腕の断面近くに注射。途端に痛みが引いてゆく。

 

「そのバタフライナイフは、元々せくきんって人が持ってたものなんだ。彼は既に死んでたから、私達がそれを引き継いだ。もし私達が生き残って、日本本土に帰ることができたら、せくきんの墓を作ってみんなで感謝しよう」

 

るぽめだが提案する。実際、せくきんの残したバタフライナイフは、以前彼女らの命を救っていた。

 

「さて、問題はドローンだね。アレのせいで僕たちは、味方同士の戦いを半ば強制される形となってしまってる」

 

Cenaキンの一言で、四人の顔に陰が差す。ねずまには窓の外を見る。少し離れた空に、殺人ドローンが数機飛んでいるのが見えた。

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