ヒカマーズバトルロワイヤル続編   作:開發 雅人

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第43章: 鋼の暗雲

原子力発電所内部の事務本館。応接_mania、ヒロヒト_mania、ナムジュンツーボイ、ナミアリの4人は身を潜めて周囲の様子を伺っていた。建物の外には、原発管理用のドローンに紛れて、殺人ドローンが空を彷徨っているのが見える。

 

「あれ、今撃ち落としたらどうなるんだろう?」

 

応接_maniaが疑問を零す。

 

「やめといたほうがいいと思う。反撃してくるかもしれない」

 

ナミアリは鋭い視線で小雨の降る空を見張っている。

 

「みんな、いいニュースだ!次のエリア移動が終わった後も、この原発は安全地帯の中らしい。ここを先端とした細長い安全地帯になるみたいだ」

 

情報を得たナムジュンツーボイが戻ってきた。彼は下の階にあるモニターの地図を見てエリア移動の情報を掴んだのだ。

 

「良かった。僕たちはここから移動する必要は無いってことだ」

 

「でも、油断はできん。ここに誰かが攻めてくる可能性も高い。あんなことがあったなら尚更な……」

 

そう言ってヒロヒト_maniaは忌まわしそうに遠くを飛ぶ殺人ドローンを睨む。

 

「どうしよう。誰でも良いから殺さなきゃドローンに殺されるって状況になったから、普段は温厚な人も本気で殺しにかかってくるかもしれない……」

 

応接_maniaは狙撃銃を握りしめる。

ヒロヒト_maniaは深刻な顔で、手元の軍刀に目を落とす。

 

「やはりこちらから動くしか無いのか……? 私としても、同じヒカマーを自発的に殺したくはないのだが……」

 

全員の顔に影が差す。苦悩の中、なぜこのような事態になってしまったのか考える。頭に浮かぶのは、自分達を拉致し、この島で殺し合いをさせている者たちがいるという事実。考えただけでも怒りが沸き立つが、4人は理性でそれを抑え、目の前の問題に対処するための思考を紡ぐ。

 

しかし、4人は気づかなかった。何者かが車に乗ったまま、原発の敷地内に入ったことを。

 

 

一方その頃、吉田キン、死蚊マニ、←たこ_maniaの3人は、ジャングルの中を全速力で走っていた。

 

「逃げろ!」

 

木々の間を縫うように逃げるヒカマー達の背後からは羽音。

厳密には、二重反転プロペラの音だった。

 

機銃掃射の音が森に響き渡る。障害物の多い地形のため命中はしなかったが、銃の付いた殺人ドローンに追われているという事実は3人の心に極大の恐怖を刻む。

 

「くそっ!僕が弓矢で撃墜しようとしたからこんな事に……!」

 

疾走する吉田キンの顔には後悔の念。

 

「懺悔なら後ですればいい!今は生存が最優先だ!」

 

←たこ_maniaの声で、3人は更に加速。

ドローンも追いかけるが、木々の葉や蔦、幹にプロペラが当たりそうになるジャングルの中という環境では、本来のスピードが出せない。

 

緑に覆われた地で、死の逃走劇が開始されていた。

 

「こうなったら、自分が止めるしかない!」

 

死蚊マニは急激に方向転換、他の二人とは違う方向に走り始め、それに←たこ_maniaが気づく。

 

「ちょ、お前どこへ」

「止めるな!きっと策があるんだろう!僕達が死んだら死蚊マニの意思が無駄になるぞ!」

 

吉田キンは←たこ_maniaの腕を引き、二人は再び走り出す。

ドローンの人工知能は、二手に分かれた三人のうち、人数が多い方を優先すべきだと判断。吉田キン達を追う。

それを確認した死蚊マニは、助走をつけ後ろからダガーナイフをドローンに向かって投擲!

刃は機関銃の引き金を引く細い機械腕に命中、金属の表面に突き刺さる。

ドローンは素早く旋回、死蚊マニに狙いを定める。必死に走る死蚊マニの足を銃弾が掠めた。機械腕が損傷したため射撃精度は鈍っているが、それでも軍用ライフル弾の連射は脅威だ。

 

「死蚊マニが狙われてるぞ!」

 

仲間の悲鳴を聞き、←たこ_maniaは振り返る。

 

「これはチャンスだ!狙いが逸れてる間にぶち壊す!」

 

吉田キンは足を止め、弓に矢を番える。狙いすました鋼の矢がドローンのカメラアイに突き刺さり、紫電が散る。

センサーを損傷したドローンの射撃が一時的に停止。

 

「食らえ!」

 

←たこ_maniaのショットガンの一撃が二重反転プロペラの上部分を直撃。トルクが釣り合わなくなり、ドローンは高度を下げ、激しく垂直軸回転を始めた。

 

「よし、やったかうわぁああ!」

 

勝利を確信し喜びの声を上げかけた死蚊マニは慌てて木の陰に隠れる。

ドローンはその場で回転しながら機関銃を乱射し始めたのだ!

 

「どうすりゃいいんだよ!」

 

石の陰に隠れた←たこ_maniaは銃声を聞きながら頭を抱える。隣の吉田キンは恐怖に抗おうと深呼吸し、言葉を紡ぐ。

 

「こういう時こそ冷静になるべきだ……アレは回転しながら撃ってきてる。つまり、僕らの方を撃ってる時と別の方向を撃ってる時を周期的に繰り返してる」

 

「何が言いたいんだ……?」

 

「つまり、銃口がこっちを向いてない瞬間を見計らって一撃を入れればいい」

 

「あんなに早く回転してるのに可能なのか?」

 

「可能か不可能かじゃない。やるかやらないかだ。早くしないと負傷したであろう死蚊マニの命も危ない」

 

二人は継続的に鳴り響く銃声を聞き、銃口が別の方向を向く瞬間を見計らう。

 

「僕が合図を出すから、その時に撃ってくれ」

 

「わかったよ」

 

一瞬が永遠にも感じられる緊張の中、二人は矢を弓に番え、ショットガンの薬室に次弾を装填する。

 

「今だ!」

 

岩の陰から身を乗り出した二人の同時射撃! 矢より速い←たこ_maniaの散弾はドローンの機械腕を根本から破壊。時間差で飛来した矢はカメラアイの付け根、回路基板を貫通!

完全に制御を失ったドローンは近くの木の幹に激突、爆発炎上!

 

「いやったあああああ! 倒した!」

 

←たこ_maniaは勝利の雄叫びを上げる。

 

「やった……僕達……やったんだ……」

 

吉田キンは泥濘んだ地面に落ちたドローンの残骸を見ながら、疲労と安堵でへたり込んだ。

 

「ありがとう二人とも! 君達のおかげだよ!」

 

死蚊マニは木の陰から出てきて、二人の元へ歩み寄る。

 

「いや、君のおかげでもあるよ。死蚊マニがチャンスを作ってくれたから、俺達はこいつを破壊できたんだ」

 

←たこ_maniaはショットガンの手入れをしつつ、地面に転がったダガーナイフを死蚊マニに渡す。

 

「これで一件落着ってことなんだろうけど、まだまだ問題は山積みだ」

 

吉田キンは雨雲に覆われた空を見上げる。

この三人の目的は、拉致されたヒカマー達を救うこと。敵が操る機械の尖兵を一体倒した程度では何も変わらないのだ。

 

ドローンの亡骸が吹き上げる炎は、湿った地面と静かに降り注ぐ雨によって、ゆっくりと草の間で立ち消えていった。

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