「応接_maniaくん……だったかな?」ニコチンTVはタバコを咥えたまま、目の前の挑戦者を見据える。応接_maniaは震えながら頷く。彼の心は多大な衝撃で揺れ動いていた。目の前にはニコチンTV。そして今は、どちらかが死亡するまで開放されることのない部屋の中にいるという状況。それは、他ならぬ応接_mania自身の手で、ニコチンTVを殺さなければならないということを意味している。現代ヒカマーの偉人であるニコチンTVを、応接_mania自身も強く尊敬しているニコチンTVを、彼自身の手で!!「この島に連れてこられた時点で決まっていたことだが、私達は戦わなければならない運命だ。手加減はせんよ?」そう言ってニコチンTVは背負っていた金属塊を両手で構える。長さ約1.5メートルもあるそれは電動採掘用ドリル!エリアC-3で死亡したつきのけものの死体から回収したのだ!応接_maniaは慌てて騎兵刀を構える。「行くぞ」ニコチンTVがトリガーを引くと、円錐形のドリルは勢いよく回転を始める。ドリルを上段に構えたまま突進!振り下ろされるドリルを応接_maniaは側転回避!床が砕け散り、破片が飛び散る!流れるような動作で横薙ぎに振られたドリルをダッキング回避し、応接_maniaは相手と距離を取った。「どうした……?仕掛けてこないのか?」ニコチンTVは片手でドリルを持ちながら手招きする。「イ、イヤーッ!」応接_maniaは相手の目を狙ってフォークを投擲!しかし、ニコチンTVのサングラスを突き破る寸前で受け止められる。「ぬるい……不意打ちにもなっておらん」ニコチンTVはフォークを投げ捨て、ドリルで霞の構えを取る。大きく重い採掘用ドリルによる、乱れも歪みもない剣道の構え。それがニコチンTVの凄まじい腕力を証明していた。相手の顔面を狙った攻撃!応接_maniaは咄嗟に騎兵刀で防御!凄まじい火花と共に応接_maniaは吹き飛ばされる。踏み込んで追撃するニコチンTV。その突きを紙一重で躱し、脇腹に騎兵刀の刺突!しかし刺さらない!ニコチンTVはスーツの下に防刃ベストを着ているのだ。横薙ぎのドリルを後ろに跳んで回避しようとするも、先端が肩に命中!「グワーッ!」血が飛び散る!連続後転で距離を取り、騎兵刀を持ち直す。自身の血が滴る音を聞きながら、応接_maniaはある種の自責の念に苛まれた。相手が自身と関わりの薄いヒカマーであれば、躊躇無く戦えたはずである。しかし、相手は敬意を抱いているニコチンTV。応接_maniaの脳内に、彼との思い出がちらつく。音楽イベント『マニアスプレッダーのサンサンサンデー』で盛り上がった記憶。ニコチン含む多数のヒカマーと共にヒカキンの別荘に侵入して遊んだこと。ヒカマニ外伝を作るため、ニコチンが主催する動画編集勉強会に参加した日々。かつてお笑い芸人であった彼の漫才の映像記録。一騎打ちの相手が別人だったとしても、最後の一人になるまで戦いは終わらないという性質上、遅かれ早かれ彼との衝突は避けられなかったはずである。だが尊敬する相手をなんの躊躇いもなく殺せるような精神性を応接_maniaは持ち合わせていない!「迷いがあるようだな」ニコチンTVは新しいタバコを取り出し、咥える。「私は戦い、他の誰を踏みにじってでも生き延びて勝者となり、このクソッタレの島から出る。そして自分の人生の目的を果たすつもりだ。お前にその覚悟はあるか……?」その言葉を聞き、応接_maniaは再び力強く騎兵刀を構える。「イヤーッ!」突撃すると見せかけ、相手の顔面に向かってポケットに入っていた大納言小豆の缶詰を投擲!フェイントだ!だがニコチンTVは驚きもせずタオルを振る!タオルに包まれていた石が飛び出し、缶詰に命中、撃墜!「甘い!」ニコチンTVの突進!応接_maniaは体勢を低くしてドリルを躱し、足払いのような斬撃を繰り出す!だがニコチンTVは跳んで回避すると共に強烈な蹴り!「グワーッ!」ガラス壁に衝突する応接_mania!ニコチンTVはドリルを地面と水平に構え、トドメの一撃を当てるべく疾走!死を目前にした応接_maniaの脳内でアドレナリンが噴出、迷いや恐れを一瞬で消し去る!「イヤーッ!」跳躍!ニコチンTVは空中の相手に攻撃を当てるため、ドリルを下から上に振るう。その刹那!空中の応接_maniaは一瞬でトンファーの片方を自分の足裏に移動!トンファーが下からドリルの打撃を受けた瞬間、トンファーを踏みつけて跳躍!足裏をドリルの切削から守るためにトンファーを一瞬の盾として利用し、ドリルごと足場として跳んだのだ!騎兵刀の切っ先を下に向けて構え、ニコチンTVの真上へ迫る応接_mania!アドレナリンの大量分泌の影響で、彼の体感時間が泥めいて鈍化!脳内で走馬灯めいて記憶が……この島に拉致される前のヒカマーズオフ会の情景が浮かび上がる!
____渋谷のLoftの広大なレンタルスペース。壇上に上がったニコチンTVがマイクを握り、話す。「過去と未来の狭間の日より、私ニコチンTVは、失踪した相方『有り金先輩』を探し出す活動を本格的に活発化させます!そしていつか、お笑いコンビ『ホモランチ』を完全復活させてみせます!」鳴り響くヒカマー達の歓声!「参加者は随時募集しております!現にこの捜索活動には5,696,600円もの金額を投じています!ほぼ私の年収と同じ額です!彼はドン底であった私の人生に光放ち、道を照らしてくれた存在、果てしなく続く空その先にあるものを思い出させてくれた大切な相方です!有り金先輩を見つけ出すこと。それが私の今の人生の目的であると言っても過言ではナイ! 絶対に彼と生きて再開してみせる!絶対に______
鮮血!!応接_maniaが見たのは、ニコチンTVの首の付け根、防刃ベストに覆われていない部分に突き刺さった騎兵刀。ドリルが床に落ち、蜘蛛の巣めいたヒビが入る。ニコチンTVは力無く仰向けに倒れた。「勝った……勝っちゃった……」血を流して横たわるニコチンTVを見下ろす応接_mania。不意に、彼の唇が言葉を紡いだ。「有り金……」そして呼吸が止まった。応接_maniaはそれを聞いて衝撃を受けた。自分は尊敬するニコチンTVを殺した。そのせいで、彼の『有り金先輩と再開する』という夢は永遠に叶わなくなった。その事実が、応接_maniaの心に重くのしかかる。殺し合いの運命に巻き込まれのだから仕方がない。そう自身に言い聞かせようとしても、罪悪感は胸の中を蝕むように増大し続ける。「残り35人!どんどん潰しあえ!」遠くから聞こえてくるスピーカーからの音声と、忙しなく物資を運ぶヘリのローター音が、夜のヒカ島に冷たく響き渡った。