Pokemon Legends Z-A -少女ミーの物語-   作:朔朔朔

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初投稿です。
あえて多くは語らず早速本編へ行きましょう───


懐かしのミアレ、見知らぬ風景。

 

 

 

 

 

 

───当列車はまもなくミアレ駅に到着します───

 

 

車内アナウンスが報せる、目的地が近い事を。

 

「ん〜......!はぁ.....とうとう到着かぁ、ミアレシティ....いやはや、思えばここまであっという間─────って事は無いな。」

 

伸びをしつつも呟かれる少女の独り言、思い返してもあっという間とは言えぬ長旅だった様だ。

 

「飛行機のチケット紛失.......いや、見つかって時間ギリギリ搭乗したけど。その後に「さぁ列車」と思ったら今度は財布を落とすし.......帰省するだけで災難続き過ぎるだろ───あ。そろそろ降りる準備しとかないとな.......あれ?バッグ、開けてたっけ.........ま、いっか。ちゃんと閉めて、と....」

 

そして、列車が駅に着いたのか停車したと共にアナウンスが聞こえてくる。

 

ミー「よしっ、それじゃあ行きますか!」

 

少女の名はミー、かつてミアレシティに住んでいた。遠い地方へと移っていたのだが、それからまた色々とあって漸く帰省を果たす事が出来た。

 

しかしミーは知る由も無かった。自身のバッグに、身に覚えの無い何かが入り込んでいた事を───。

 

 

 


故郷

 

 

 

 

ミー「う〜〜ん......!超久々のミアレの空気!全然変わってないなぁ........当時どんな感じかもう覚えてないけど」

 

改札を潜り抜け、久方ぶりに見たミアレの景色。当時がどんな様子だったか思い出す事よりも、今はまたこの地に立てた事を喜ぶので精一杯だった。

 

ミー「あっ。そうだ.......」

 

思い出したかの様にバッグの中を漁るミー、それから取り出したのは......

 

ミー「うん!やっぱり、コレが無いとね.....!」

 

結んだりもせず伸ばされている緑色の長髪、その頭に少し年季の入った黒のキャップを被っては改めて意気込んだような様子になった。

 

こうして、ミーのミアレシティ巡りが始ま───

 

少年「撮影準備OK!あとはミアレに来る観光客だ。オマエ達、今回も撮影に協力してもらうぜ!」

 

「チコ!」「かぶ〜」「ワニッ」

 

少年「ミアレを守るにはメンバーが必要!だからまたホテルZを宣伝する!でホテルに来た客からよさそうなヤツをスカウトする作戦開始だ!」

 

少年「いかにも観光客ってヤツいねえかな.....あ、そこの人!」

 

ミー「えっ?」

 

少年「ミアレ駅に着いたばかりだろ?」

 

ミー「えぇ、まぁ......」

 

ミー『早々に声掛けられたんだけど.......』

 

ミー「あの、撮影とかならご遠慮を───」

 

少年「しかもそのでっかい旅行カバン───」

 

「「え?」」

 

少年「な、何で撮影に協力してほしいって分かったんだ!?」

 

ミー「......は?いや、知らない....私もう行くから───」

 

少年「頼む!ちょっとで良いから協力してくれ!」

 

ミー「はぁ!?ちょ、押し強いなアンタ.....!いい加減に───あ。」

 

ふと、ミーの視界に映る映像。

 

少年「ん?あっ。」

 

その建物の液晶には、有名ブランドの服を着こなす1人の女性の姿が映っていた。

 

少年「って、あのCM何回目だよ....流石、『世界の推し』だな。」

 

ミー「世界の推し、ねぇ......何とも胡散臭い響き....」

 

少年「そうか?めちゃくちゃすげぇだろ、活動期間わずか1年だってのに伝説級の知名度だからな.....何で引退しちまったのか今でも不思議に思うぜ。んで!話は戻すけど、本当にちょっと協力してくれるだけで良いんだ!オレのカメラに向かって「ミアレに来たらホテルZ!」って言ってくれよ!」

 

ミー「通りすがりとっ捕まえて宣伝に使うって随分と勝手だな!?」

 

少年「大丈夫だって!宣伝してくれたらどこのホテルに泊まってもいいから!」

 

ミー「いや、爽やかな笑顔と共に結構適当な事言ってるけどそれで良いワケ!?というかそもそも、私は観光客じゃ───」

 

少年「OKという事で撮影するぜ!」

 

少年はこちらの答えを待たずにスマホロトムのカメラモードを起動していた。

 

ミー「ちょ、おい!?まだ承諾してねぇだろこっちは....!!」

 

ミー『まずい、まずいまずいまずい!ミアレに来て早々怪しいヤツに遭遇してしまった.....!どうする、どうする!?───こうなったら───』

 

その時、先程の建物の液晶に何か別のCMが流れ始めた。

 

少年「ってまたCMかよ!音が入るから撮影出来ねぇな....」

 

ミー『あっっっっっぶねぇ......ナイスCM!今の内に逃げ─────うん?』

 

 

『ポケットモンスターと共に暮らす街、ミアレシティにようこそ!クエーサー社 社長のジェットです。』

 

ジェットと名乗る女性はモンスターボールをおもむろに取り出すと、落とす様に優しくポケモンを繰り出す。

 

メェークル『メェー!』

 

ミー「あ、メェークルだ.......ジェットさんって人の周りをくるくる回ったりぴょこぴょこ跳ねたりしてる、可愛い.....」

 

ジェット『ポケットモンスター!縮めてポケモンと呼ばれる不思議な生き物は、私達の周りにも沢山暮らしています。ただ近頃では街中でも多く姿を見せるようになったため....』

 

ミー『ん、街中でも?』

 

ジェット『ワイルドゾーンという区画を設けて共存しています。』

 

ミー「ワイルドゾーン.......?」

 

ジェット『多種多様なポケモン達はそれぞれ凄い力を持っています。私達はそんなポケモン達と力を合わせ暮らしています。ポケモンと人のキズナをより深めるため、クエーサー社は都市開発計画を進めてまいります。』

 

ミー『なんか、知らない間に凄い事になってるな.....』

 

ジェット『クエーサー社が開発し街の各地に置かれた特別なホロによって、街に関する様々な情報を視覚的に得られる様になりました。そう、ミアレシティは更に美しい街に変わっていくのです。皆様のご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。』

 

 

そして、液晶にはクエーサー社のロゴが一面に映る。

 

 

ジェット『───クエーサー社はミアレシティを『メガシンカ』させます。』

 

その言葉を最後にCMは終了する.....

 

少年「撮影の邪魔されたけど、あの社長いい事言ってるよな。」

 

ミー「えっ?あぁ、うんそうだね.....」

 

ミー『しまった、CM最後まで見ちゃったしこっそり逃げるの忘れてた.....』

 

ミー「あっ。」

 

少年「ミアレに来たヤツはこの街とポケモンが好きになるぜ!」

 

ミー「─────」

 

少年「ん?おい、どうしたんだよ?って、あれ....旅行カバンは?あれが無いと観光客に見えないだろ?」

 

ミー「いや、そもそも観光客じゃないし......というかアレ、何?」

 

ヤンチャム「ヤンチャ!」

 

ミーの視線の先には、旅行カバンを持ったヤンチャムがそのまま持って向こうへと走って行ってしまった。

 

少年「あー、なるほど.....ポケモンの運び屋を頼んでいたのか?」

 

ミー「そう見える?」

 

少年「もしかして......カバンを取られたのか!?」

 

ミー「それ以外無いでしょ!」

 

「ぅ、オレが撮影を頼んだせいだな....悪い!謝るから一緒に追いかけ───」

 

 

ミー「まぁぁぁてぇぇぇ〜〜〜っ!!」

 

 

 

「速!?!?本当にただの観光客か?って、こうしちゃいられねぇ!オレ達も行くぞ!」

 

「チコ!」「かぶぶ〜!」「ワニワッ!」

 

 

 

 

ミー「だぁもう──────

 

 

 

何でこうも幸先悪いんだよぉ〜〜っ!!!」

 

 

こうしてミアレシティに着いて早々、カバンを取ったポケモンとの追いかけっこが始まってしまったのだった。

 

 

 


成り行きで

 

 

 

 

ミー『やばい.....!あの子は分かってないだろうけど、マジでやばい.....!!あんなに揺らしたら、起こしちゃうって....!!』

 

ミーは旅行カバンを持っていったヤンチャムを追いかけつつも、頭の中はカバンの中身の『あるもの』についてでいっぱいだった。

 

そして、すぐさまヤンチャムの元へと追いつく.....そこには。

 

ミー「......ん?アレは....」

 

女「ちょっとヤンチャム!バックパッカーのあたしでもそんなダサいカバンはいらないよ」

 

男「ゴミ拾いのつもりだろ、警察に届けて褒めてもらおうぜ」

 

ミー「─────」

 

少年「あ、いたいた.....足速いな、アンタ....ポケモン達でも追いつけないなんて中々───」

 

ミー「ちょっと後にして、宣伝なら後で喜んで協力してあげるから....」

 

少年「え?あ、おい....!?」

 

少年の制止も虚しく、ミーは鋭い目つきのままバックパッカー2人の方へと近づいて行った。

 

男「ん?何だあんた」

 

ミー「どうも。そのダッッッサイカバンの持ち主ですが、何か?」

 

女「って、持ち主いるんじゃないの!」

 

と、その時。カバンがもぞもぞとうごめきだした。

 

ミー「ちょ、声でか───あ。」

 

カバンが開いたかと思えば中から1匹のポケモンが飛び出し、バックパッカー2人を睨んでいた。

 

女「って、ヨーギラス.....?あなた、ポケモントレーナーじゃないの!それなら丁度良いわ、ポケモン勝負よ!」

 

ミー「は?いやいや、何で....」

 

女「昨夜のZAロワイヤルでガイに負けたリベンジもどきを晴らすわよ、ヤンチャム!」

 

ヤンチャム「ヤンチャ!!」

 

ヤンチャムはたいあたりを繰り出そうとヨーギラスの方へと突っ込んで行く。その瞬間───

 

ヨーギラス「───ギラッ!!」

 

ヤンチャム「チャ〜!?!?」

 

女「───えっ?」

 

バックパッカーの女が思わず後ろを振り返ると、既に吹き飛ばされて戦闘不能となったヤンチャムの姿があった。

 

ミー「ギラちゃんのアイアンヘッド......相変わらず強烈だねぇ....」

 

ヨーギラスことギラちゃんはその次と言わんばかりにバックパッカー達の方を睨みつけている。

 

バックパッカーズ「「ちょちょ、待っ!?」」

 

ミー「はいはーいギラちゃん、そこまでだよー。」

 

ギラちゃん「ギ?」

 

ミーはギラちゃんを優しく抱き抱えて攻撃を止めさせた。

 

ミー「自分が気に入ってるカバンをダサいって言われて怒ったんだよね?」

 

ギラちゃん「ギラ.....!」

 

ミー「うんうん......私もちょっとは気に入ってたから怒ってくれて嬉しかったよ、ありがとギラちゃん」

 

ミーは優しく微笑んでギラちゃんの頭を撫でている。

 

ギラちゃん「ギィ......」

 

ミー「それじゃあ......ギラちゃん、ボールに戻ってくれるかな?」

 

ギラちゃん「ラッ」

 

そしてモンスターボールを近づけると、ギラちゃんは自らボールに触れて起動して中へと戻って行った。

 

ミー「───あなた達、名前は?」

 

アンリ「あ、アンリ........です」

 

アンドレ「アンドレ.......だ、いや違....です、ハイ」

 

ミー「うん。ありがと.......あなた達の名前───」

 

アンリ&アンドレ「!?」

 

 

 

 

ミー「しっかり覚えたからな?」

 

 

 

 

瞬間、2人はカバンを置いて走り去って行った。

 

 

 

 

ミー「ったく、勝手に持ってっといてケチつけるなんざ礼儀がなってないんだから......」

 

少年「すげぇな、アンタ」

 

ミー「ん?あぁ、見てたんだ。何なら仲介してくれればよかったのに....」

 

少年「いや、多分今のはオレ要らなかったと思うけど?それよりもさっきの、昨日オレが勝ったアンリとアンドレってヤツだな.....名前聞いて思い出したぜ」

 

ミー「ふーん?ところで少年、君の名前は?」

 

ガイ「ガイ、そういうアンタは?」

 

ミー「なるほど、君がガイか......私はミー。今日久々にミアレに帰ってきたばっかりなの」

 

ガイ「帰っ.....あれ、もしかして.....観光客じゃないのか!?」

 

ミー「うん、さっき言ったんだけどね」

 

ガイ「全然聞いてなかったわ、悪い......ってそうだ、ミーもポケモントレーナーだったんだな?」

 

ミー「まぁ、そんなに積極的に勝負を挑んだりはした事ないけどね.......」

 

ガイ「なぁ....もし良かったら見せてくれないか?ミーと一緒に行動してるポケモン達!」

 

ミー「別に良いけど......あっでもギラちゃんは普段自分からしか出てこないから、この子達だけね─────おいでっ!」

 

そしてミーは2つのモンスターボールを同時に投げた。するとその中からそれぞれ───

 

フカマル「フカ!」

 

ニンフィア「フィア!」

 

ガイ「おぉ!フカマルにニンフィア!しかも、青いニンフィアか....!」

 

ミー「フカマルのガブちゃんに、ニンフィアのアイリス!この子はイーブイの頃から一緒なの、ねっ?」

 

アイリス「フィ〜ア♪」

 

ガブちゃん「フカ、フカ......」

 

ガイ「お?こっちに来た.......オレはガイ、よろしくなガブちゃん」

 

ミー「あっ、ガブちゃんに不用意に手を差し出すと───」

 

ガブちゃん「ガブッ」

 

ガイ「いってぇぇぇっ!?!?」

 

ミー「えと、これは何を意味するかというと.....よろしく、って事だよ....うん。」

 

ガイ「へ、へへっ.....そっかそっか、握手のつもりだったのか、ありがとうな!」

 

ガブちゃん「フガ」

 

ミー「ガブちゃ〜ん、返事するのは良いけどもう離してあげて〜.....」

 

ミーの指示で漸く、ガブちゃんはガイの手から離れた。

 

ガイ「ってて、流石はフカマル......」

 

ミー「大丈夫?ごめんね、ガブちゃんがいきなり....」

 

ガイ「挨拶してくれてたんだろ?気にしなくて良いって、それよりも.....ほらっ」

 

するとガイは、ミーの方に目掛けて自身の拳を突き出した。

 

ミー「えっと......?」

 

ガイ「オレ達も挨拶!つまりグータッチだ、ほらっ!」

 

ミー「あぁ、そういう.......じゃあ、その───よろしく、ガイくん。」

 

少し躊躇いながらも、ミーは自身とガイの拳を突き合わせた。

 

ガイ「あぁ!よろしくな、ミー!」

 

 

 


穏やかじゃない夜

 

 

 

 

ガイ「やべえ、夜になっちまった......しかも最悪な事にこの辺りがバトルゾーンだぜ....」

 

ミー「バトルゾーン?何だそりゃ.....」

 

ガイ「急ぐからざっと説明すると......

 

 

 

 

バトルゾーンはやばい!」

 

 

 

ミー「うん.....本当にざっくりだな」

 

ガイ「じゃあもう少し説明するか.....ゾーンの中にいる連中からポケモン勝負を挑まれまくる!」

 

ミー「へぇ、そんなのあるんだ.....」

 

ガイ「でも安心しろ!近くに安全な場所があるからそこに向かうぞ!」

 

ミー「おぉ、まぁ積極的に戦いたい訳じゃないからそれが良いか.......」

 

ガイ「旅行カバンは......」

 

アイリス「フィーア!」

 

ミー「ん?アイリスが運んでくれんの?」

 

アイリス「フィフィ.....」

 

ミー「そうだよね......ギラちゃん寝たばっかりだからな......じゃあ、お願いしても───」

 

ガイ「あ、その事なんだけどオレの方に任せてくれないか?荷物を運び入れるのは向こうが見知ったポケモンの方が、わざわざ説明も要らずに済むからな.....」

 

ミー「それもそっか......分かった、それならガイくんに任せるよ。」

 

そしてミーの旅行カバンは、チコリータ・ポカブ・ワニノコの3匹によって運ばれて行った。

 

ミー「ごめんねアイリス、やる気満々だったのに。でも大丈夫、あの子達ならちゃんとやってくれるから....」

 

ガイ「あぁ!アイツらなら塀の上とか人のいない場所を通るし他のポケモンに取られたりもしねぇよ、だから慣れたもんさ」

 

アイリス「───フィア、フィーフィア」

 

ミー「あはは......ギラちゃんに何も無ければそれで良い

....だってさ。」

 

ガイ「ははっ、認めてもらえて良かったよ......さぁバトルゾーンを抜けるぜ、ついてこい!」

 

こうして2人は、その安全な場所へと向かおうとする。しかしその道中───。

 

ガイ「そういえば、ギラちゃんってカバンの中に入れてて大丈夫なのか?手持ちなんだろ?」

 

ミー「え?あぁうん、そうなんだけどギラちゃん本人があそこ気に入っちゃってて.....たまに直接入ってる時もあるけどそれがまた可愛───」

 

ウエートレス「バトルゾーンをうろつくのはポケモン勝負をしたい人達ですね。」

 

ミー「げ、絡まれた.....」

 

ウエートレス「面倒と思われているところ悪いですが、あなた....相手をしてもらいます!」

 

ガイ「待てよ!ソイツは参加者じゃな───」

 

ウエートレス「他人は口出し無用!」

 

ガイ「ミー!戦って勝つしかねぇぞ!」

 

ミー「分かってる、気性が荒いのはどこも一緒だね。それに丁度良かったよ.....そろそろガブちゃんが運動したがってたから」

 

ウエートレス「私のランキングを上げる為、勝利してポイントをゲットします!」

 

ミー「その前に名前。私はミー、あなたは?」

 

ブリジット「ブリジットです。それでは早速───ゆけっ!ピィ!」

 

ピィ「ピィ!」

 

ミー「うん。じゃあ遊ぼっか───おいでガブちゃん」

 

ガブちゃん「フーカッ.....!」

 

ガイ「頑張れーガブちゃん!お前なら大丈夫だ!」

 

ミー「ふふっ。なんか応援されてるね、ガブちゃん?」

 

ガブちゃん「ガフッ!!」

 

ガブちゃんはやる気満々といった様子、両足で交互に地面をトントンと叩いている。

 

ブリジット「ピィ、たいあたり───!」

 

ミー「好きにやって良いよ───

 

 

楽しんで」

 

ガブちゃん「ガォウ!」

 

次の瞬間、通過して行くと同時にガブちゃんの繰り出したほのおのキバがピィを一撃で沈めてしまう。

 

ブリジット「なっ!?何の.....!ホルビー!」

 

ホルビー「ホル!」

 

ガブちゃん「───!」

 

ホルビー「ビッ.....!?」

 

ブリジット「ぁ......え!?」

 

続け様に再び繰り出されたほのおのキバにより、ホルビーもそのまま戦闘不能となってしまう───

 

ガイ「勝負アリ、だな.....いや、というか....経験の差が明白か.....」

 

ミー「お疲れ、ガブちゃん♪」

 

ガブちゃん「フガッ」

 

ミー「っつ.....今甘噛みされるとちょいと手が熱いんだけど.....ま、いっか。よしよし、頑張ったねぇ....」

 

ブリジット「あなた......ら、ランクは?」

 

ミー「え?ランク?だから言ってるじゃん、参加者じゃないってさ。承知の上で挑んできたんじゃないの?」

 

ブリジット「は!?と、とんだ無駄骨だったわ.....!」

 

ウエートレスのブリジットはポケモン達をボールに戻すとそのまま走り去って行った。

 

ミー「無駄骨、って.......いや。自分から挑んできといてそりゃないでしょ」

 

ガイ「それがバトルゾーン、ZAロワイヤルなんだ。それよりもミー.....本当に強いんだな!」

 

ミー「強いのはこの子達、だって私.....今回、なーんの指示も出してないよ?」

 

ガイ「えっ?あ、そう言われてみりゃ確かに.....オマエがどの様に指示を出すか分かってる、とか?」

 

ミー「いやいや、だから本当に遊ばせてただけだって」

 

ガイ「マジかよ.......って、今はそれよりも!人助けが趣味のオレから一言!また勝負を挑まれる前にさっさと安全な場所に向かうぞ!」

 

ミー「あ、うん。とりあえず一旦羽は伸ばしたいかな....確かに。」

 

こうして、2人はどうにかバトルゾーンから脱出─────という目前の出来事。

 

ガイ「はぁ......」

 

ミー「綺麗なまでの待ち伏せだね、それも3人」

 

ガイ「だな────なぁ、通してくれよ?見ての通りお客さんを案内中なんだ」

 

「お客さんだろうが何だろうが、バトルゾーンにいれば勝負の相手だよ!」

 

1人の言葉を合図代わりに、3人はポケモン共々構えを取っている。

 

ガイ「しょうがねぇ、オレが戦うか....」

 

ミー「いや、別に私も一緒にやるよ?人に任せっきりにするの、なんか嫌だし─────」

 

フラエッテ「キュルル!」

 

ミー『何だ?何かふわふわと落ちてくる.....?』

 

ガイ「あ......!」

 

変わった形状の黒い花を持った1匹のポケモン、フラエッテが突然こちらへと舞い降りてきた。

 

ミー「あ、可愛い........でも知らない種類....?」

 

「黒い花のフラエッテ?珍しいポケモンが相手をしてくれるんだね」

 

フラエッテ「───」

 

それを見てか3人のトレーナーはポケモン共々より一層やる気を見せた。それを振り返り呆れた様な睨む様な視線を向けたかと思えば.....黒い花を構えて力を貯め始めた。

 

ミー「......!ちょ、何撃つ気か知らないけど.....!」

 

ガイ「当てるなよ!」

 

ミー「あんたらもぼーっとしてないでさっさと伏せ───!?」

 

瞬間、黒い花から放たれた極大の威力を誇る光線は上空へと向かってミアレの象徴であるプリズムタワーすら凌ぐ高度まで伸びて、じきに収束する───

 

それを見た3人のトレーナーは一瞬何が起きたか分からないという顔だった。しかしポケモンと、お互いのトレーナーと見合って状況を漸く把握......そのまま腰を抜かして逃げ出してしまったのだった。

 

ミー「わぉ......すっっっご。」

 

フラエッテ「キュルル!」

 

ガイ「流石はフラエッテ!でも『はめつのひかり』はやめとこうぜ?オマエにとってスペシャルな技だろ?」

 

ミー「このフラエッテ.......普通の子達とは違うよね、一体どんな子なの?」

 

ガイ「あぁ、まぁ簡単に説明すると......3000年も生きてるっていう特別なポケモンなんだ!」

 

ミー「へー、3000年かぁ....うんうん────

 

ん?ごめん、今なんて?」

 

ガイ「さ!フラエッテのおかげで面倒な連中はいなくなった!今のうち安全な場所......ホテルZに向かうぜ!」

 

ミー「ねぇ、話聞いてる?」

 

ガイ「さ......ほら、行くぜ!」

 

ミー「ちょ─────とりあえず、分かった。それじゃあ案内よろしくね、ガイくん」

 

こうして一同は今度こそバトルゾーンを抜け出し、ホテルZへと向かう事になった。

 

 


ホテルZ

 

 

 

 

ガイ「お客さま。こちらがホテルZでこざいます。静かで落ち着けるのがお薦めポイントです」

 

ミー「へぇ、これは確かに......何か色々と生い茂ってるけど.....まぁ寧ろ落ち着くか、うん....」

 

ガイ「って静かなのは、お客さんが1人もいないからな」

 

ミー「帰る」

 

ガイ「おー、ちょちょちょ!?何でだよ!?」

 

ミー「1人も居ないって確実に評判悪いか怪しい仕事してる系のどっちかでしょ!?あ、待って中にカバンあるでしょ......ギラちゃん避難させてた、だから取ってから帰る!!」

 

ガイ「お、落ち着けって!?静かで落ち着けるってのは、単に雰囲気あって居心地が良いってのもあるからさ!だから.....なっ?」

 

ミー「......本当に信用しても良いの?」

 

ガイ「あぁ、自信を持って言える!ほら.....入れよ」

 

そう言ってガイは先に入って行く。ミーが後から一緒に入ってくるのを信じた上での行動なのだろう。

 

ミー「あー、もう.......信用出来ないって判断したらすぐに帰るからね....!」

 

結果としてガイの思惑通り、ミーもホテルZの室内へと足を踏み入れるのだった。

 

ガイ「AZさん、ただいま!」

 

ミー「AZさん?それが此処のオーナーさ.......は?」

 

ミー『え、何?何あのおじいさん.....でかい、それはもう説明不要で。3メートルくらいあるぞ.....』

 

ガイ「ほら、お客さんを連れてきたぜ!」

 

ミー「えと、どうも.....こんばんは?」

 

AZ「───その旅行カバンの持ち主か?」

 

ミー「え?えっと、まぁ.....そうですね。」

 

AZ「......!」

 

ミー「ん?あ、あの.....どうかしましたか?」

 

ミー『もしかして、変に思われたかな.....ボールに入った上で、カバンの中に入ってるギラちゃん......って、流石に見られてはないよね....でも確かにカバンの方を見て───』

 

ガイ「AZさん、コイツはミー!何でも、ミアレには昔住んでて今日帰ってきたばかりなんだってさ!いきなりバトルゾーンに巻き込まれたりもしたけど、めちゃくちゃ強かったんだぜ!」

 

AZ「そうか.....帰って早々、災難だったな」

 

ミー「えっ?あ、いや、別に災難ってほどでは....割りかし慣れてますから、そういうトラブルとか....」

 

AZ「カバンだけが届いたのが気になり、フラエッテを向かわせたが......そうか、杞憂であったか。」

 

ガイ「そんな事ないぜ。流石自称3000歳、AZさんの判断も最高.....フラエッテの技はめつのひかりも最高、おかげで助かったよ」

 

ミー『あのフラエッテ、AZさんのポケモンなのね』

 

AZ「───ミーよ」

 

ミー「は、はい?」

 

AZ「君は何か大きなものに導かれ、このホテルZに来るべくして来たようだ。改めて───私はAZ。当ホテルのオーナーとして君を歓迎する。......少し話をしよう。」

 

ミー「話、ですか?」

 

AZ「オーナーである私の思いとして聞いてくれれば良い。君はポケモン達の親.....すなわちポケモントレーナー、そうだな?」

 

ミー「あっ.....はい。この子達は私にとっての大切な存在です。

 

AZ「うむ......良いかな、ミー。ポケモンはとても不思議な生き物だ。どのポケモンも強い力を持ちながら信じるポケモントレーナーのために力を発揮してくれる素晴らしい存在だ。だからこそ───」

 

ミー「えぇ、分かっていますよ。私がこの子達を、ううん.......

 

 

 

大切な家族を裏切るなんて有り得ない。」

 

 

 

AZ「───強く、優しい目だ.....」

 

ミー「えっ?」

 

AZ「私からの話は以上だよ、部屋は202号室を使うと良い。」

 

AZはそう言って優しく微笑むとミーに202号室の鍵を手渡した。

 

ガイ「2階にあがるならエレベーターを使ってな、今日はもう休んで....明日起きたらロビーに集合してくれよ」

 

ミー「分かった。それじゃあ......改めましてAZさん、歓迎してくれてありがとうございます。」

 

ミーは深々と頭を下げると旅行カバンを手に取り、そのまま2階へと上がって行った。

 

 

 

ミー「おぉ......エレベーターも中々趣あったけど、部屋も凄い綺麗....これは確かに落ち着いて過ごせそう。ガイくんの言葉、本当だったね....さてと───寝ますか。」

 

 

 

 

……………………………

 

 

 

 

───やった、また勝った!

 

 

ちょっと強すぎない!?うぅ.....リベンジだ、もっかい!!

 

 

良いよ?何度でも遊んであげる───!

 

 

 

 

 

───ねぇ、明日も来てくれる?

 

 

勿論!だから明日も遊ぼ!───

 

 

 

 

 

 

 

…………………………

 

 

ミー「!!」

 

アイリス「フィ.....?」

 

ミー「アイリス......どうしたの?」

 

アイリス「フィア〜......」

 

ミー「もしかして私、魘されてた?それで心配かけちゃったのか、ごめんね.....でも、大丈夫だよ。」

 

アイリス「フィフィ....?」

 

ミー「うん。でも、顔や名前も思い出せないし、そんな事があったのかどうかも......多分、ちっちゃい頃ミアレに住んでた記憶......なんだろうけど....うーーん、やっぱりそういう記憶って曖昧になりがちだよねぇ....」

 

 

 

 

すると、部屋の扉をノックする音が聞こえる。

 

ミー「ん?はーい、もしかしなくてもガイくん?」

 

ガイ「あぁ、休めと言ったばかりで悪いがちょっと良いか?」

 

ミー「はいはい、今行きますよっと───ん?」

 

ガイ「───お客さま。」

 

ミー「え、何?」

 

ガイ「当ホテル自慢のビュースポットをご案内します。───というわけで、屋上に行こうぜ。」

 

ミー「お、おう.......様になってたかと思えば急に素出してきたな....」

 

 

ガイに言われるままついていき、屋上へと向かうと───

 

ミー「わぁ.....」

 

ミーの視界にはミアレの景色が、そして象徴であるプリズムタワーも立派にそびえていた。

 

ガイ「ようこそ、じゃなくて.......おかえりなさい、ミアレシティへ」

 

ミー「うん。君に言われるのは何だか変な感じだけどね?」

 

ガイ「はは、それもそっか......ほぼ初対面だからな。───色々あるけどよ、ミアレっていい街だから好きなんだ。」

 

ミー「........うん。確かに、いい街だよね。」

 

ガイ「....あのさ、唐突なんだけど。」

 

ミー「うん?」

 

ガイ「オレ、AZさんに恩があるんだよ。だからAZさんに恩返ししたいんだ、オマエも......ミーも力を貸してくれないか?」

 

ミー「え、別に良いけど。」

 

ガイ「即答!?」

 

ミー「ガイくんがどんな恩をAZさんから受けたか知らないけど、私にもあるから。泊めてもらったっていう恩が。やっぱ......恩は返しておきたいよね。」

 

そう言ってミーは自身の拳をガイの方へと向ける。

 

ガイ「ミー.......おう、サンキューな!」

 

ガイも同じ様にして、2人はグータッチを交わすのだった。

 

そして、それを見ている者が1匹居るとも知らずに───。

 

 

 


 

AZ「.......ジガルデ・セルを連れてきた少女.....彼女もまた、ミアレに導かれたか。.......それにしても彼女の瞳には、何か強い意志を感じられた......何者にも負けぬ強い力、というべきなのか。目を合わせた時、少しばかりではあるが──────

 

 

 

思わず身が竦んでしまいそうな程だった.....」

 

 

 

 

 

 

こうして物語は、1人の少女の帰還をきっかけに......一歩、また一歩と、少しずつ........大きな何かへと向かうかの様に、足を進め始めた───。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




あとがき


この作品を遊んでいて、どうしても好きなキャラと一緒に居る姿を想像してしまい勢いで書き始めてしまいました。これから好き勝手書き進めていきますが.......もし好きと言ってくださる読者の方がいましたら、その方々に一言─────
ありがとうございます。
願わくば次の話も楽しみにして下さると嬉しいです。




早速次のお話に取り掛かろうと思います。それでは───
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