前世の記憶を思い出したポンズは、生き残る為に尽力する 作:ちいさな魔女
200階に続くエレベーターに乗り込んだポンズ達。200階行きのエレベーターはこれまでのエレベーターと比べて豪華であり、エレベーターガールも可愛らしい。
ゴン「ポンズさんは200階に来たら何をするの?」
ポンズ「そうねぇ。取り敢えず、フロアマスターの一人を倒す事が目的ね。それが終わったら、天空闘技場を出て本格的にハンターとして活動するつもりよ」
キルア「フロアマスターねぇ。そんなに強いのか?」
ポンズ「幼い頃に行かなくて良かったわね。行ってたら多分、当時のキルアなら殺されてもおかしくなかったわよ。フロアマスターでなくても、新人潰しにすら負けてたわ」
キルア「はぁ?」
それは嫌と言う程思い知るだろう。念を身に着けてない今でも、尚更勝てないだろう。勿論銃火器に勝てるか否かは分かれるだろうが、今のゴンとキルアでは200階に行けても誰にも勝てない。
そして、200階に到着したポンズ達。200階は見るだけでもお金持ちが暮らす屋敷のような廊下をしており、一つ一つの個室の扉も豪華絢爛だ。
ゴン「わぁー!200階は豪華だね!」
キルア「受付は、あっちか」
看板に従い、受付に向かうポンズ達。ポンズは廊下を歩いていくが、二人の足音が止まった事に気が付く。
ポンズ「二人とも?どうしたのよ?」
その理由は知っているが、ポンズは敢えて二人に問い掛ける。
ゴン「か、感じないの?」
キルア「なんか……ヤベェ気配がする!ポンズさん、アンタは分かんねぇのか?」
ポンズ「感じないわよ?」
嘘である。殺気は感じており、それにはヒソカの放たれたオーラも込められていると。それで自分達を通さないようにしていると。
すると、ゴンとキルアが歩みを進めた途端、その殺気が強くなり始めた。
ゴン(駄目だ……これ以上は進めない!進みたくない!)
キルア「ポンズさん!アンタ、本当に分かんねぇのかよ!!」
ポンズ「いいえ。今分かったわ。禍々しくて嫌な気分よ」
纏で防いでいても、嫌な感じで冷や汗を流すポンズ。例えるなら、ゴンとキルアは激しい水流を無理して裸のまま歩いて渡ろうとしてる状態。一方でポンズは、揺れてもまだ安全な船に乗っている状態だろう。
ポンズ「ちょっとやり過ぎよ!ゴンとキルアの為だからって!」
ポンズはヒソカに向けて叫ぶ。すると、殺気が止まった後に1人の女性が突き当たりから姿を現した。200階のスタッフだ。
女性「ポンズ様にゴン様、そしてキルア様ですね。こちらに受付がありますので、午前0時までにご登録をお願いします。なお、200階からは原則としてファイトマネーは出なくなります。名誉のみで競われる場となりますので、ご理解の程をお願いします」
スタッフがそう説明するが、ゴンとキルアはこの女性が殺気の元ではないと疑い始めていた。
ポンズ「いや、早く出てきなさいよ。ヒソカ」
ゴン&キルア「「えっ!?」」
その時、女性の背後に1人の男が立っていたのを漸く視認出来た。女性もヒソカに気付き、横に退ける。
ヒソカ「やあポンズ♥200階にようこそ♠」
キルア「ヒソカ……?なんでここに?」
ヒソカ「別に不思議じゃないだろ?♣此処は闘いの場だから◆君達こそなんで此処に居るんだい?♥なんてね♣君達が此処に来る事は分かっていたよ♠ちょっとしたハンター専用サイトがあって、其処にハッキングして君達が此処に来ると分かったんだ♥」
ポンズはヒソカがこれからする事が分かっており、無言で歩き出す。
ヒソカ「君達はこの200階はまだ速い♥」
ヒソカが腕を振るう。突風が吹き荒れてゴンとキルアが両腕で顔を覆う。女性は何が起きたのか分かってない様子であったが、ポンズは風で片目を閉じる。
ヒソカ「ポンズは大丈夫♠彼女はここを通る資格があるよ♣」
ポンズ「それはどうも」
ヒソカ「君達はまだ早い♠出直し給え♥」
ヒソカは壁に座る。
キルア「ふざけんなよ!!せっかくここまで来てー」
その時、ヒソカが手を翳して念を飛ばす。殺気を込めた念を放たれた事により、ゴンとキルアが暴風に吹き飛ばされそうになる人のように身動きが取れなくなる。
ゴン「ぐぁ……」
それでも2人は歩き出そうとした為、見てられなくなったポンズが声を上げた、その時だった。
ポンズ&ビスケ&ウィング「「「無理は止めなさい!!」」」
ポンズの言葉と共に、ゴンとキルアの背後からウィングとビスケの声も響いた。
ゴンとキルアを追ってウィングが来たのだが、ビスケも合流していたようだ。
ウィング「彼の“念”に対して、君達はあまりにも無防備過ぎる!極寒の地を裸で歩き、凍え死にそうになりながら、何故寒いのか理解出来てないようなものです!」
キルア「これが念だと!?アイツが通さないって思うだけで、こうなるのかよ!?嘘言うなよ!」
ウィング「はい。嘘です。ですが、嘘も方便。其処に居るポンズさんは兎も角、君達はこのまま進めば彼の念に押し潰されるでしょう。ですから今は、ここから退散しましょう」
ビスケはポンズにアイコンタクトを送る。「アンタはどうするわさ?」と言いたげな目だ。ポンズはそれを理解し、考えた後に女性へ尋ねる。
ポンズ「ねえスタッフさん。私とこの2人、午前0時までに登録しなかったらどうなるの?」
女性「ゴン様とポンズ様はまた一階からやり直す形となります。しかしキルア様は、前回登録を断っていらっしゃいますので、また登録されなかった場合は登録の意思がないものと見なされ、登録自体が不可能となる可能性があります」
ポンズ「そう………なら、私は先に登録しに行くわ。ゴン、キルア、ウィングさんから本物の念を教わって来なさい。私、先に戦って力を付けてくるわ」
ゴン「……うん。分かった」
キルア「ああっ………」
2人はウィングの後について行き、ビスケが入れ替わる形でポンズの元に来た。
ビスケ「それにしても、ポンズもよく耐えられたもんだわさ。この男の放つ殺気、纏で防げるとしても嫌な感じだったでしょ?」
ポンズ「そりゃそうよ。でもまあ、ゴンとキルアが200階の洗礼を受けずに済んだのは、貴男のおかげよ」
ヒソカ「フフフッ♥君達ともぜひ戦ってみたいよ♠僕はいつでも相手になるからね♣」
ポンズはヒソカに手を振り、受付に向かって真っ直ぐ進んでいく。
ビスケ「……ポンズ、気付いてるわさ?」
ポンズ「円はまだ難しいけど、来てるわね」
ポンズ達の背後には、3人の男達が歩いてきていた。隻腕のサダソ、コマのような足を持つギド、機械仕掛けの車椅子に乗るリールベルトだ。
ポンズ(私が先に来たから、狙って来たわけね。まあ妥当だわ)
新人潰しで得点を稼ぎ、フロアマスターへ挑もうとしているのだろう。
ポンズは懐からチュッパチャップスにそっくりな飴玉を取り出し、口に咥えて舐め始める。
ポンズ「監視は必要ね。『
ポンズの帽子がまるで蜂の巣のような模様へ変化した後、帽子から複数の虫達が産まれてきた。蜂の群れに加えて、蛾の群れも羽ばたいている。
それを見ていたギド達は、ポンズがどんな能力持ちか予想し始めた。
ギド「アイツ、虫の群れを生み出しやがった………」
リールベルト「なあに、あんな虫けら共を生み出した所で俺達の敵じゃない」
サダソ「これは良いカモだ、ね」
ギド「フッフッフッ!俺達はまた勝ち上がれる訳だ」
彼等は全員、念を知らずに洗礼を受けた事により、それぞれ体に障害をかかえてしまった生き残りだ。200階は死亡=敗北でもある為、生き残れただけでも幸運なのだ。サダソは左腕、リールベルトは下半身不随、ギドに至っては1本のみの鉄柱義足という痛ましい姿だ。
そんな彼等が200階で戦う理由は単純だ。新人を狙って勝ち星を上げて、フロアマスターを目指す為だ。フロアマスターになると独自流派の看板を掲げる事が許され、それを貸すだけで一生遊んで暮らせるのだ。
ポンズは彼等がその為に自分を狙ってる事は知っており、しかし負けるつもりもなかった。
受付嬢「200階クラスへようこそ!こちらに登録をお願いします!」
ポンズは名前を書き、登録を済ませる。
ポンズ「どうしようかしら………一ヶ月後に試すのもありね」
ビスケ「それが良いわさ。彼奴等もやりたそうな顔をしてるし、アンタの実力を試すいい機会だわさ」
ポンズは戦闘の登録も同時に行おうとする。すると、リールベルト達が背後に来ていた。
ポンズ「……戦闘の登録?」
リールベルト「まあな」
ギド「フッフッフッ…」
サダソ「俺達の戦闘準備期間もあるから、ね?」
ビスケ「どうするわさ?」
ポンズ「……良いわよ。受けて立つわ。一ヶ月後で良い?」
ポンズがそう言うと、サダソが名乗りを上げた。
サダソ「ああっ、それで良いよ。俺も戦いたいからね」
ギド「ちっ、俺が戦いたかったのに……」
リールベルト「まあいいだろ。勝利数が稼げるからな」
ポンズは試合の受付も済ませ、個室の鍵を受け取って部屋に向かう。
部屋に到着した後、ポンズはベッドに座って今日の事を振り返った。
ポンズ「190階クリア………ゴンやキルアも元気そうだし、ヒソカとも再会………新人潰しに遭遇……今日は色々あり過ぎるわ………」
ビスケ「今日は休むわさ。ここまでかなり苦労してきたし、カロリーもそれなりに取らないと能力維持が大変でしょう」
ポンズ「そうね………もっと良い食堂とかあれば良いけど。何処かで大食いの店とか無いかしら?」
ビスケ「この辺りは格闘家も多いし、戦うという事はそれなりに腹も減るのよ。そうでなくてもそれなりに食べる客とか多いから、大食いはやらなくてもカロリー高めの食事が出来るわさ」
ポンズ「そうなの?それは良かったわ」
確かに天空闘技場は格闘家の聖地と呼ばれている。闘うという事は、それなりに体力も消費する。ならば必要なカロリーも多い。そしてその量を補える食事が出来てもおかしくなかった。
ならば、環境としてはこれ以上無い程の場所だ。
ポンズはビスケと別れた後、部屋で休息に入るのだった。
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翌朝。ポンズは髪の手入れを終えた後に薬の調合を行っていた。薬は麻酔やエタノール、回復薬品や増強剤、解毒剤や精神安定剤等を調合し、それらを懐に仕舞い込む。
ポックルが嘗て矢に仕込んだ毒も、ポンズが用意した物だ。最も、これはこのポンズ自身が取った行動ではあるが。
ポンズはテレビを付けると、どうやら今日の試合が行われるようだった。
ゴン対ギド。原作通りの展開だ。ギドの放った『闘いのワルツ』によって苦戦を強いられるゴン。
ポンズ「纏だけじゃあのコマは防げても攻撃によるダメージ全ては防げないわね」
格上の攻撃が効いてしまうのは、いつの世も同じだ。GATEという自衛隊が異世界に行く作品でも、異世界側の盾では自衛隊の弾を防げず貫通されたのだ。
ゴンは舞台で互いに弾かれ合うコマに吹き飛ばされ、ギドを狙っても『竜巻独楽』で弾かれてしまう。
ポンズ(ギドは強化系………操作系も必要と言ってたけど、『闘いのワルツ』は技としてはかなり完成してるわね。竜巻独楽も、私なら虫達でどう攻めるかしら?)
大型の虫によるゴリ押しか、蛾や蝶による鱗粉攻撃だろう。最も、竜巻独楽なら鱗粉を吹き飛ばせてもおかしくない。
ポンズ「ギドと戦うには………やっぱり力押しが妥当ね」
ゴンのような石板返しによる転倒は、今のポンズには出来そうにも無かった。それが出来る虫達を生み出せば話は別だろうが。
ポンズ「………あっ、居たじゃない」
ケラやセミの幼虫等が、かなり早く地面を掘れていた。それらを人間大の大きさで生み出せば良いだろう。
ポンズ「となると………かなり食べないと行けないわね。確かに面倒な制約だわ……」
カロリーが念獣を生み出すなんて、かなり管理の難しい制約だ。とはいえ、自分で考えて実行しながら文句を言うのでは本末転倒だ。
そして、ギドの無数のコマをゴンが絶の状態で避けていくのを見て、ポンズは安心したようにテレビを消した。
ポンズ「さて………食べに行きますか」
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コッコ『今日の試合!勝利したのはギド選手!ゴン選手、此処で無敗伝説は途絶えてしまいました!現在、病院に搬送されて――』
テレビの実況を見届けながら、ポンズは近くの食堂でラーメンを食べていた。塩ラーメン、味噌ラーメン、豚骨ラーメン等を食べていき、前世ではバランスの影響で出来なかったラーメンコンプリートを目指そうとしていた。
ポンズ「ズルズル……モグモグ………ゴン、負けたのね」
ポンズはスープも飲み終える。食べ終えた後に隣へ器を乗せる。
サイドメニューとして用意した唐揚げも難なく食べていくと、対戦予告で自分とサダソの試合が予告された。
ポンズ(確か彼の能力は見えない左手……なるべく見えないようにして戦ってるのね。凝を使えば見破りやすい能力だけど、油断はしない方がいいわね)
掴まれたら自分でもただでは済まない。しかし、やり方はいくらでもある。
ポンズ「ふぅ。お会計を」
店員「は、はいぃぃ………」
店員が驚く中で、ポンズは支払いを済ませて店を出る。
ポンズ「不思議ね……アレだけ食べたのにスタイルが変わらないなんて………制約と誓約の効果かしら?」
ポンズは知る由もないが、彼女が掛けた制約と誓約には、ちょっとしたボーナスが存在していた。カロリーを念獣を生む際に消費するという事は、全てのエネルギーが念能力に回されるのだ。故に、体型や健康状態の変化も無い。これはポンズ自身も意図しない形で発生したボーナスであり、ポンズの健康状態に何も異常が無い理由である。
ポンズ「さて……瞑想でもやろうかしら?」
天空闘技場に戻り、200階の自室に戻るポンズ。
ポンズは瞑想をして心を集中させていると、扉のノック音がした。
ポンズ「どうぞ」
扉が開き、ビスケが入って来た。
ビスケ「やっほーポンズ。さっきウィングに会ったわさ。ゴンって子に、2ヶ月間念の修業を禁じたみたいわさ。念の試合を見るのも、調べるのも許さない見たいね」
ポンズ「まあそうよね。それより、何か用?」
ビスケ「うん。念の修業、怠ってないみたいね」
ビスケが指を翳すが、その瞬間に凝を発動した私。数字を言い当てていく。
ビスケ「宜しい!前より凝が上手くなったわさ!」
ポンズ「サダソの能力について、大方分かったからよ。絶の応用である『隠』で隠してるのよね」
ビスケ「流石ね。でも油断は禁物だわさ。先ずは試合開始日までに、凝を極めること!良いわね?」
ポンズ「ええっ。分かったわ」
ビスケはポンズの成長性も中々のものだと分かり、鍛え甲斐があると感じていた。
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そして、ヒソカ対カストロの試合が行われた。ヒソカはカストロの能力『ダブル』により、不意打ちを食らってダウンしたり、両腕をもぎ取られた。しかし、ダブルを編み出した事で彼本来の強みを活かしきれず敗北した。
ヒソカとカストロの試合を見たポンズは、カストロの能力は別に弱いわけではないと見ており、それをもし防御や身代わりに使うように仕組んでいれば、より良い立ち回りが出来たかもしれないのに。
ポンズ「……明日はサダソとの対決ね」
ポンズは虫達に遠くの物を取りに行かせた。蜂達はポンズの望むコップを集団で掴み取り、そのまま羽ばたいてポンズの元まで運んだ。また、着替えの衣類も蟻達が力を合わせて運んでくる。
これはポンズなりの訓練なのだ。身の回りの事を虫達にやらせる事で、操作系の精度を向上させる。元々は操作系に適性のあるポンズは、複数の虫達への指示は難なく行える。しかもカロリーさえしっかり確保すれば、既存の虫を一々捕まえてこなくても念獣の確保は容易だ。
ポンズ「………それにしても、これはヤバいわね」
ポンズはゴミ箱に溜まったお菓子や飲食物のゴミを見た。その制約と誓約上、やはり食べた後のゴミは溜まっていく。ここならゴミ出しのスタッフが回収してくれるので、ゴミ出しにはあまり困らないが、私生活に戻るとなると話は別だ。
ポンズ「………何処かにドラえもんの『グルメテーブルかけ』みたいな能力者は居ないかしら?」
そんなパートナーが居れば、ポックルと再会した時には後方支援にもなれて便利だろう。外部から持ち込めない国への出入りも、かなり楽になる。資金面においても節約が可能になる。
ポンズ「まあ、そんな都合の良い能力者なんて居ないわよね。居たら嬉しいけど……そんなの居ないかしら?」
そんな思いを抱きながら、虫達が運んで来た寝間着に着替えて、明日の試合に備える為に就寝に入るのだった。そして、寝てる間も虫達によって部屋のわずかな隙間での掃除もやらせるのだった。
地道に虫達を動かしてるけど、寝てる間も命令すれば動かせますよ。