ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】 作:1パチより4パチ派
『時間です! 筆記用具を置いて下さい!』
互いに掛け合う言葉も無いまま、俺達の戦いは終わりを告げた。俺もあの2人も無事答案用紙を守り抜く事が出来たのだ。ざまぁみろクソカス共。お前らの思い通りにさせてたまるか。
「雑魚がぁ……! 舐めてんじゃねぇぞ……!」
周囲に煽りと怒りをぶち撒けながら退出する。悔しそうにしながらビビり散らしていたのは気分が良い。一先ずスッキリしたのであの連中はどうでもいい。それよりあの2人だ。
「……もう行っちまったか」
周囲を見渡しても見当たらない。どうやら既に退出していたみたいだ。礼の一言くらい言いたかったのだが……仕方ない。
「あ、加藤さん。終わりました?」
「はい、何とか。激しい戦いでしたよ……」
「そ、そんなに難しかったかなぁ……」
既に終わっていた加奈子さんが近寄ってきた。セラフィナ達はまだ来ていない。まぁ人が多いから移動も遅いんだろう。その内来るし良いか、どの道採点で待たないといけないし。
「よぉ、どうだったよ」
「高木、お前運営側で忙しいんじゃねぇのか」
「お前の事が気になって仕方ねぇよ。これ、俺の優しさな?」
「そうか。燃えるのか?」
「ゴミに出す気満々じゃねぇかふざけんな」
少し目の下に隈がある高木が現れた。俺の隣に勢いよく座って、自販機で買ったのであろうビールを開けて一気飲みする。
「プッハー! 生き返るぜぇ。飲む? まだあるぞ」
「こんな午前から飲む訳無いだろ。しかもお前仕事中だってのに……」
「別に俺は部下達が酒飲んでも怒らないぞ? 俺も飲んでるし、仕事するなら何も言わん言わん」
「飲んでも1ミリも酔わないのお前だけだからな。普通酔ったら仕事出来ないんだよ」
「酒飲みながら仕事出来ないとか軟弱だねぇ。加奈子さんはどうすか? 飲みます?」
「いや要らないです普通に……。この後実技の方もありますから……」
「真面目ー! たまには息抜きしないとぉ」
「人生そのものが巫山戯てるお前が言っても説得力がなぁ」
「言い過ぎだろ! こんなに働いてるのにぃ!」
「今の姿、ドラツさんに見せられます……?」
「話題changeで。まぁ流石に筆記は大丈夫だろ。あんなに教えてやったし」
「まぁ……な」
正直試験の問題より別の問題が発生していたから何とも言い難い。解答自体は自信があるので大丈夫だとは思うが……問題は実技だ。
「なぁ、実技の方ってどうなるんだ?」
「チーム毎にそこそこクラスのダンジョンを最下層まで潜ってって、それをドローンで確認して問題行動無ければOKって感じ」
「問題行動って言うと、どんなのがあるんです?」
「まぁ常識的な範疇ですよ。味方攻撃しないとかダンジョンを不必要に荒らしたりしないとかそんな感じです」
「……宝箱さえ見なければいけるか……?」
「先に言っておくが俺は居ないからな。他メンバーと上手くやってくれ。採点甘めにしてやっからよ。最悪暴走し始めても誤魔化してやる」
「おう……何とか頑張るわ……」
兎に角宝箱は見たらいけない。ドロップしない事を祈りつつ、さっさと最下層まで踏破してしまおう。なんなら最速で降りて行っても良いまである。
「……あの、チームって……私どこにも所属してないんですけど……」
「ああ、それなら大丈夫。加奈子さんは俺の方で
「なーんだ! そうだったんですね! 加藤さん達が一緒なら安心です!」
ゆっくりと立ち上がった加奈子さんはビールを飲む高木の前に立つ。そのまま口をつけてる最中の缶ビールを右手で握り潰した。中のビールが吹き出して高木がビチャビチャになる。加奈子さんは笑顔のままだ。
「今、なんて?」
「【自我中心】に加入させといたんで、加藤達と一緒にダンジョン潜って下さいねーって事です」
「何してくさりやがってんですかぁぁぁ!!!」
「ほべろんッッッ!!!」
口調がおかしくなる程の怒りと共に放たれた全力のチョップは高木の頭頂部に命中。そのままハゲは床に沈んだ。凄い威力だ、弱めのモンスターだったら一撃だろう。
「な、ちょ、へぇ!? ホントに何してるんですか!? 何勝手に新メンバー加入させちゃってるんですか!?」
「い、痛ぇ……嘘マジで痛ぇ。エグいんだけどこの痛み。頭凹んで無い?」
「凹んでるぞ。普通に」
「ああ良かった。凹んでなかったら人間辞めてるからな。人でありたいねんな」
「質問に答えて下さいよ!」
「いや箔がつくかなって……」
「汚名だろどう考えても」
このハゲは何を考えているのだろうか。【自我中心】の一員なんてこの世の中でもかなりの不名誉だってのに。それくらい分かりそうなものだが。
「いやいや、これは真面目に加奈子さんの事考えてやった事なんですわ」
「何処が!? 本人の許可無しにやると言う悪事を覆せる程の理由があると言うんですか!」
「ありますよ? ありますあります」
「……え? あるんですか?」
「単純な話っすよ。実技試験で加奈子さんの安全を考えた時、こうするしか無かったんです」
「どう言う事だ?」
「加奈子さんはどこのチームにも所属してないフリーの探索者な訳だが……実技試験は運営の関係で複数人同時にやる事になってる。チームに入ってるやつはチーム毎で問題無いんだが……フリーってなると話は別。他のフリーの探索者と組ませて行う事になる」
「ふーん。それで?」
「お前、フリーの探索者って探索者の中でも奇人変人言われてる連中なの忘れたのか?」
「……あ」
言われて漸く思い出した。ダンジョンに潜る際には複数人が基本。探索者になる際に運営から教えられる事の1つがこれだ。普通に考えて1人でダンジョン内のモンスターに対抗しようとするのはあり得ない。勿論俺だったら中堅クラスのダンジョン程度なら別に1人でも鼻歌混じりに踏破出来る。逆に言えばどれだけ強くなろうとも1人では絶対に限界が来る。それがダンジョンと言うものだ。
「ダンジョン探索する以上、タイマンでの強さだけでやってけるほど甘く無い。ダンジョン内のセーフティーゾーンなんて無いからな。常時どっからでもモンスターが襲ってきても別に変じゃ無い。常に1人で気を張りながら銭湯も回復も食事もトイレも……大した事ない奴じゃすぐに根を上げる訳だ。それでもやる。超非効率突っ走ってるアホ。それがフリー探索者だ。あ、加奈子さんは別っすよ。だって碌に潜ってないし」
「は、はぁ……そんなに変なんですか……?」
「変でしょ。だってどう考えても徒党を組んだ方が良いんですよ? なのにやらない。それはつまり仲間を作る事が出来ないって事です」
「……あぁ! そ、そう言う事!?」
「そ。マトモな連中はマトモ同士で、カス連中はカス同士で組んでるのが当たり前なんですよ。中には1人でどこまでやれるか試したいって言う奴も居るかもしれないが……どっちにしろ変人なのは確定かな?」
「要はフリー探索者は問題あって仲間も作れない奴らしか基本居ないって事だな?」
「正解! お前は東大に行け」
「行かねぇし行けねぇよ」
探索者の中でもはみ出し者連中。まぁまともな奴はほぼ居ないだろう。確かアナンタもチームに入っていないフリー探索者だが……アイツに関してはそもそも国の事情で潜ってただけだし、その事情も話せない関係で信頼が作れなかっただけだろう。なんならアイツは普通に強いから潜るダンジョンを見誤らないなら別に1人でも何とかなる。
「そんな誰とも肩組めないくらい変な奴らの中に、加奈子さんぶっ込んだらどうなると思うよ」
「他のフリー探索者と加奈子さんがチームを……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
『ちょっと!? 何奇行してるんですか!? 危ないですよ!?』
『きゃあ! わ、私諸共攻撃しないでください!』
『嫌ぁぁぁ! 囮にしないでぇぇぇ! 助けてぇぇぇ!』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「やばい。ツッコミで過労死するし何ならモンスターに殺される未来しか見えない」
「そしてこれはお前の為でもあるんだ加藤。もし加奈子さんが他の探索者に囮にされたら、お前はどうする?」
「そいつら絶対殺すけど……」
「だろ? これは親友を殺人犯にしない為の措置でもある訳だ。分かったな?」
「ああ、よく分かった。ありがとう」
「いや殺さないで!? 普段生き返るなら良いじゃんとか言ってる人どこ!?」
「加奈子さんは別枠だから……」
「別枠って何!?」
兎に角、高木のファインプレーだと言うのが分かった。よく分からない連中と組まされるよりは俺達と居た方が間違いなく安全だ。
「と言う事ですんで、よろしくお願いします。終わったらメンバーから脱退させとくんで、取り敢えず今回は我慢の方をば」
「……し、心配してくれたんですもんね! ありがとうございます! ちょっと不服ですけど……必要な事だったのは分かりましたので」
「そうそう! 俺だって何でもかんでもおふざけで行動してる訳じゃないんですよ〜アッハッハッハ!」
「それもそうか……いや、待て」
「何だどうした加藤くん」
「別にそれ、事前に言えば良くね? 電話でも何でも一言言えば良かっただろ」
「……」
高木は新しいビールを開けて飲み干す。やかましいくらい大袈裟な息継ぎをした後、舌を出してこう言った。
「お・茶・目・だ・にょ⭐️」
「チョップが来たにょォォォォォ!!!」
凹んでいた高木の頭蓋に追い打ちをかける。更に凹んで見た目が気持ち悪くなる。ただでさえ言動がキモいのに外見もキモくなるとか辞めてほしい。
「加奈子さん、好きなだけボコって良いですよコイツ」
「いえ……大丈夫です……これ以上は……」
「いやでもまだ殴れる所沢山ありますって! お勧めは顎、こめかみ、目、鼻、人中(鼻と口の間)です!」
「全部急所じゃないですか! もう十分ですから!」
「だとよ。良かったな高木、加奈子さんの慈悲に感謝しろ」
「マジかよ。かんしゃあ〜(スイーツ部部長)」
「もう治ってる……」
加奈子さん、それはいつものことなんです。
◇ ◇ ◇
筆記試験の採点が終わり、結果が発表される。自分のスマホに何点だったか届く仕様だ。
「加藤さん、どうでした?」
「90点です! 合格しました!」
「良かった! 私も大丈夫でしたよ」←100点
「お前らは? 落ちた奴居る?」
「僕達は良いとして問題は……」←こっちも100点
「フーッ! フーッ!」
「セ、セラフィナさん! 大丈夫ですわ! きっと合格間違い無しですわ! だから結果を見る前にスマホを握り潰すのはおよし下さい!」
「べ、別に緊張なんかしてねぇし? ビビってねぇし!?」
「どう見てもビビってますね。どうです? 最近日々が不安な方に向けての商品、【1/8スケール メアリスー様御神体】のご購入を検討しませんか? 1体100万円ですが、これに祈れば貴女の不安もメアリスー様が払ってくたら嬉しいと思いませんか?」←95点
「何で質問になっとるんじゃ?」←80点
「要は全く効果無しって事だろうが! 引っ込めクソ詐欺師! い、行くぞ、行くぞアナンタァァァ!!!」
「はいぃぃぃ! どんとこいですわぁぁぁ!!!」
「っしゃあぁぁぁ!!! 見ろアナンタ! アタシの勝ちだぁぁぁ!!!」←70点
「Congratulations! 流石セラフィナさん! お見事ですわー!」←90点
「ギリギリじゃないのよ。こんな喜ぶ事?」←82点
「黙れゲル風情が! 喜べる事が多い方が人生楽しいに決まってんだろボケェ!」←70点
「その通りですわ! 小さな幸せも感度3000倍ならウルトラハッピーになりますわ!」
「アナンタちゃん、さっきからセラちゃんを全肯定しかしてないけど子分なの?」
「友人だよ。多分」
「と言うか小さい幸せなのは認めるのね」
何とか全員合格したようだ。筆記は終わり。後は……。
「……」ジィー
「ダメですよ?」
「はい……」
そう。実技試験の俺の暴走対策だ。超特効薬の加奈子さんの矢はプレミアム殿堂入りしてしまった以上、他の手でどうにかするしか無い。そして未だ、その手は思いついていない。
「今すぐ提案加藤を助けて!」
「アンタワサビに負けるの?」
「このままだと負けるからなんか案出せ言ってんだよ! 良いのか! このままだと俺はなんか暗くて狭いとこ行きだぞ!」
「スプーンの差し入れなら任せて下さい。看守に信者を潜り込ませます」
「壁掘れってか!? ふざけんな! それやるくらいなら牢屋の壁蹴り壊すわ!」
「脱獄はするんだね」
「仮の話だ! リーダーのピンチなんだからもっと必死になれよ! やる気が見られん!」
「そんな頭悪い経営者みたいな事言われてもなぁ……あ、ドローンで中継されるんだよね? じゃあドローンの方を何とかすれば良いんじゃない? 偽の映像流すとか」
「偽の映像なんてどこにあるのよ。今から撮るの?」
「ここにおさわりマンの活躍映像ならありますがどうします?」
「それで良いんじゃない?」
「流しましょ流しましょ。加藤の痴態を」
「真の仲間が欲しいです」
なんて役に立たないんだ。いや、これはシンプル無理だから諦めムードに入っている。こんなんじゃ碌な案は出てこない。
「なら、わっちから1つ良いか?」
「良い良い! 全然良い! 篠目ちゃん! 早く俺を助ける案ちょうだい!」
「「「ちゃん付けきっしょ……」」」
「聞こえてんだよ殺すぞ」
小声で俺を貶してきた
「宝箱をドロップした時、加藤が暴走する前にわっちが切腹するんじゃ! 勿論いつものと同じでは無いぞ? 事前にわっちの腹の中に宝箱の演出みたいにピカピカ光る看板を入れておく! するとどうなる? そう! わっちが擬似宝箱として加藤の注意を引く事が出来るのじゃ! 気を引いてる間に皆が宝箱をさっさと処理! どうじゃ? 完璧な作戦じゃろ!」
「すまん。加藤が暴走〜の辺りで意識が闇に沈んでた。もう言わなくて良いぞ」
「さっきの欲しがりさんはどこ行った!?」
聞き逃しまくった事にする。篠目にマトモな案なんか出せる訳がなかった。俺の理解度が足りていなかったようだ。
「さっきから聞いてりゃ……結局異常行動なのは変わらねぇだろそれ。テメェの切腹でもアウト案件だろうがバカ篠目」
「何ぃ!? じゃあ対案はあるのか! お主らに良い作戦が思いつくと言うのか!? 言ってみよ!」
「普通に加藤がトドメ刺さなきゃ良いだろうが。倒しそうになったら後方に行って、鶴岡辺りが適当に加藤の視界塞いどけ。アタシが中身ごとぶっ壊しておく。演出は見せない」
「「「「その手があったか!」」」」
「えぇ!? こ、壊すの!? 嘘だろ!? 待て! 話せば分かる! 壊すのは勿体無いだろ!?」
「じゃあ作戦決定! 加藤くんはモンスター倒すの禁止! トドメは全部セラちゃん! んでドロップしたら開ける前にぶっ壊す! OK?」
「「「「OKー」」」」
「いやぁぁぁ! 加奈子さん! コイツら止めて下さい! ピカピカがぁ! キラキラがぁ!!!」
「はいはい。我慢しましょうねー」
「うおおおおおお! そんなぁぁぁ!!! 宝箱の神様ごめんなさぁぁぁい!」
「魔王に言った方がいいぞ、それ」
やかましいセラフィナ。俺は今心の底から悲しいんだ。我慢しないといけないのなんて分かってる。それでも、開けられる事なく消えていく事が決まった宝箱に、俺は心から謝罪した。守れなくって、ごめん。
『えー、探索者の皆様にご連絡です』
「あれ? 高木くんだ」
オピスの言う通り、この放送の声は高木の物だ。なんかやたらと怠そうな声色。何かあったのだろうか。
『えー探索者の皆様には大変ごめんなさいでしたなのですがぁ、今回実技試験の評価を行う政府関係者の方から【普段共にいる仲間同士だと不正の恐れがある】と言う有り難く有益で貴重な身に余るすんばらしいお考えを述べられやがりましたのでぇ、実技試験の共に潜るメンバーはこちらでランダムに抽選する事になりまみたー。少々お時間が必要になりますので今暫くお待ち下さいなさいませクソがふざけんな開始直前でちゃぶ台返しとかお前昭和のクソ親父でもやらな──プツンッ』
「……え? ラン……ダム……」
ゆっくり周りを見渡す。皆顔を抑えて俺と視線を合わせない。なぁセラフィナ、目を合わせてくれよ。鶴岡、たまにはお前の宗教勧誘聞きたいな。オピス、新しいクソアイテム作ったって言ってたよな。見せてくれないか? ゲルダリア、お前住むとこ無いとか言ってなかったか。探してやろうか? 篠目、切腹ってどうやるんだ? コツとかある? アナンタ、純愛っていいよな。加奈子さん、助けて下さい。
「私にだけシンプル救助求められても……」
「どうする。何処の国に逃げたら良いんだ? ウォルタリア辺りか。アナンタに頼んで」
「ダメだよセラちゃん。あそこ犯罪者に厳しいし……今復興中でしょ? 変な問題持ち込むのまずいって」
「じゃあ治安悪いとこ? 乾燥地帯は嫌よ私」
「鶴岡、お主の教団は他国にもあるのじゃろ? いい感じに匿えんか?」
「後でリストアップしておきます。ある程度自由が効く場所の方が良いですよね」
「既に国外逃亡の準備始めてるんですけど!? ま、まだ分からないじゃ無いですか! ランダムなら皆さんと加藤さんが組める可能性あるじゃないですか! と言うか試験に落ちても犯罪者になる訳じゃ無いんですよ!?」
「いやだからこそ猶予があるうちに逃げ道用意してんだよ。加奈子も早めに荷物纏めておけよ」
「何で私まで勘定に入ってるんですかぁ!!!」
先程まで冗談ぶっこいてたくせに急にマジになるコイツらは何なんだよ。しかも全員俺と逃げる気満々だし。どうしよう、取り敢えず帰ったら家引き払う準備しようかな。
「ダハハハハハ! 無様だな加藤ぉ!」
「ッ! お前は──カネゴン!」
頭を抱えているとゲス笑いするカネゴンが近付いてきた。
「年貢の納め時と言うやつだ! 貴様らのせいで発生した私に対しての損害! そのツケがなぁ!』
「でもリーダー、正直自分らの自業自得じゃないです? 欲出さないでさっさとアイテム売っとけば良かったっすよね?」
「貴様はどっちの味方なのだ! ……まぁいい、何にせよ今日貴様らの探索者人生は終わりを迎える! 宝箱を前にした貴様の醜態を曝け出す事でなぁ! 精々一般人になった後は発作が起きない事を祈るんだな!」
「何ぃ! お前、俺の情報を何処で……!」
「あ、自分が調べました! 目撃情報たくさんあったんで楽でした。ホントに。ググれば出てきますもん」
「あ、ホントだ! なんならニコニコ大百科に載ってる。ほんわかレス推奨されてるけど」
「掲示板絶対見るなよ! 絶対だぞ!」
「にしても貴様と組まされる探索者は可哀想だ! 不合格間違いないからな! 貴様のせいで無職になる哀れな探索者に涙がちょちょ切れる! ブハハ!」
「畜生……畜生ぉぉぉ!」
「機音! しっかり見とけよ、【自我中心】加藤の最後を! 神はやはり見ているものだ! 悪には鉄槌! 因果応報となぁ! ゲハ、ゲハ、ゲハハハハハ!」
〜1時間後〜
抽選が終わり、俺と組む探索者と集合する。人数は5人。たった一回ではあるが、共に戦う仲間達だ。
「いやー加奈子さんが一緒で良かったです。他の変な奴らと組まされなくて」
「え、ええ……そう、ですね」
「………………」
「それにお前らとも再開できるなんて思わなかった。さっきは手助け助かったよ。ありがとう」
「なんのなんの! それより感謝してるならどうやったら貴方みたいに狂えるのか教えてくれません?」
「困難に相対した時、己が力を信じ突き進む。間違いでは無い。しかし、歩む方向が同じ者が側に居るのなら手を取り合う……そのような選択が凶戦士にもあった。それは調べを奏でる私も同じ……ならば共に前に歩むのは必然さ……」(困った時はお互い様だよね!の意)
「ちょっと何言ってるか分からないが良い奴なのは分かったぞ。後狂いたくて狂ってる訳じゃ無いから教えられない。すまん」
「そんな! コツとか無いんですか!」
「あったら逆算してマトモになってるからな」
筆記試験の時に共に戦った吟遊詩人気取りと地味なめぐみんみたいな魔法使い。俺と加奈子さん。そして後1人。
「じゃあカネゴン……頑張ろうな?」
「ヤダーーーーーー!!!」
ちいかわみたいな泣き声をあげるカネゴンと肩を無理やり組んで友好を築く。どうやら神とやらは本当に見ているものらしい。