ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】 作:1パチより4パチ派
京楽「僕でした!」
作者「うん……」
うん……。
ダンジョンにも様々の種類がある。ゲームなどによく出てくるレンガで出来た物……だけでは無い。洞窟みたいな物や森の迷路。はたまた水中や神殿。死ぬほど寒い氷のダンジョンなんてのもあったりする。何でこんなに種類があるんだと前に魔王に聞いたら──。
『台の種類は沢山あった方良いだろ? ジャグラーは楽しいがそればっかじゃ飽きる。それと同じだ』
と言うパチカスの鏡みたいな答えが返ってきたのは記憶に新しい。と言うかそんな理由でダンジョンの中身を弄り回せる辺り、やはり超越者だなと感じる。パチカスだけど。元ネグレクト毒親だけど。
「わぁ……! こ、こんな綺麗なダンジョンがあったんですか!? 知りませんでした!」
「あー、もしかして加奈子さんって俺と会った時が初ダンジョンでした?」
「そうですね、あの時が初めてです。だから潜ったのって最初とルロ様と初めて会った日だけで……」
「後はいつも清掃してる所って訳ですか。どれもシンプルなタイプですし、驚くのも当たり前か……俺も最初はすげー思ったし」
今回実技試験で潜る事になったダンジョンは、神秘的なクリスタルが至る所に生えている大空洞みたいなタイプだ。クリスタルが発光しているお陰で、松明やライトが無くても全く問題ない明るさをしている。
「あぁ〜ここですかぁ。嫌だなぁ、ここ爆破魔法使うとクリスタル飛び散って散弾銃みたいになるんですよね……あまり使えないなぁ」
「輝かしい水晶達に、私の音色は吸い込まれる。世界に届けたいこの思いも、水晶と共に透明になる……まさにここはクリアな世界……」
「おい、メンバーのうち2人が相性悪いぞ。貴様の宝箱どうこう言ってられるのかこれ」
「言ってられないとダメなんだよ。全てが終わるんだよ!」
「だ、大丈夫ですよ! モンスターと出会わないように進めば良いんですから、戦う必要は……」
「さっきもそう言っていたが、本気で言っているのか?」
「……どう言う事ですか?」
「ここのダンジョンの難易度の話だ」
カネゴンが辺りを見渡しながら歩く。成金みたいな杖を持っているからか、やたらと威厳があるような気がする。
「実技試験はどうも組まされた奴らの実力を平均して、それに適したダンジョンに割り振られているらしい。分かるか、平均だぞ。加藤、貴様のツレは実力はどの程度だ?」
「……ほぼ一般人、かな」
「だろうな。そこの2人、貴様らはどうだ」
「ちゅ、中堅行けてたら良いなぁくらい……ですね。自分フリーの探索者ですし……」
「自由な人生、しかしそれには責任が伴う。自由な強さを手に入れたのなら、全てを跳ね返す強靭さは責任として諦める必要があるのさ」
「同上と言うだけでやたらと文字数使うんじゃない! ……まぁ中堅に毛が生えたような物だろう。一芸はあるようだがな。そして私達は探索者としては上から数える方が早いチームに所属している。しかもその代表だ。ここまで言えば分かるな?」
「俺らが平均引き上げてるせいで、他の3人が不適正な筈のダンジョンに来る羽目になった……か?」
「そうだ。ダンジョン探索に置いて自分の身の丈に合わないダンジョンに潜ると言うのは愚かさの極みだ。何せ駆け出しに絡むような品の無い連中ですら、勝ち目の無いダンジョンには潜らんからな。アレらより馬鹿とか救いようが無い。そんな行為を私達は強制的とは言えやる事になっている」
口は悪いけど、言っている事は正論だし、分かりやすい。俺は自分の実力は探索者の中でも上位と言う自覚は持っている。世間的な番付なら品行方正込みでリファルさん達が上だろうけど、純粋な戦闘力だけだったら正直引けを取らない。と言うか多分普通に勝てる。人数こっちのが多いし。だからこそ、自分のせいで他3人に負担を強いている。
「こんな状況で、貴様の訳分からん中毒症状の為にコソコソ隠れ進むなんて真似が上手くいくと思っているのか? 私や貴様は兎も角、他の連中がここのモンスター相手にマトモな隠密が出来ると思っているのか? もし思っているのなら貴様の知能はミジンコ以下だから今すぐに転生する事をお勧めするが?」
「……」
「ま、待って下さい! 言い過ぎですし、このメンバーになったのは加藤さんのせいじゃ無いです! それに加藤さんが暴走したら、カネゴンさんだって試験落ちちゃうんですよ!?」
「だから隠れ進むなんて真似は無理だと言っとるんだ! やるなら他の方向性で行くべきだ!」
「他? なんかあるのか」
「決まっている! それは!」
「「「「それは?」」」」
カネゴンはそのまま俺達を撮影しているドローンに向かって──札束を差し出した。
「すいません。これで私だけ合格にしてください。他落としていいんで。お願いします」
「右フック!!!」
「ぼむっ!?」
1人だけ抜け駆けしようとしたバーコードの顔面に拳をぶち込む。ローリンガールくらい転がるカネゴンは側から見たら大玉転がしだった。
「ぐぉぉ……何をする!?」
「お前散々人の事ディスりまくっといてやる事買収ってショボ過ぎんだよ! 一理あるなーって黙って聞いてた俺の理性を返せ!」
「元から有りもしない物をどう返せと言うのだ! 無か? 無を返せと言うのか! 良いぞほれ返したー! 無利子で返したー! これで満足か気狂い中毒者め!」
「ガキみたいな言い訳してんじゃねぇよ! 汚いトルネコの分際で人の事気狂い扱いすんな!」
「トルネコなんて元から汚いわ! だってアイツ、店から泥棒するだろ! アイツの武器屋クッソぼったくり店だろ! 他所の店の武器転売して儲けてんだぞ! 転売ヤーだぞアイツ! 可愛い嫁も居るし!」
「最後ただの嫉妬じゃねぇか! プレイヤーの選択次第で悪にも善にもなるのがゲームのキャラなんだよ! と言うか何もう諦めてんだお前は! 正義のそろばんで馬車送りにするぞ!」
「無理に決まってるだろう!? このチームで合格なんざ無理に決まってるだろう!? 貴様は論外! 連れの女は弱すぎ! 吟遊詩人はウザいし、モブみんに至っては以前ダンジョン運営のスタッフ達を爆破魔法で吹っ飛ばしたんだぞ!」
「って言ってますけど……本当ですか?」
「ち、違います! 事故! あれは事故なんです! 謎の偽物探索者が大量発生した時、どうにかしないとって爆破魔法を使ったんですけどその時くしゃみしちゃって! 狙いと全然関係ないスタッフの人達に発動しちゃったんです! 連鎖爆破にしたからアレよアレよと騒動を止めようとしたスタッフが巻き込まれてしまって! でも事故なんです!!!」
「ヒヤリハット1万個みたいなポカじゃないですかそれ! 何で誤射するような位置でそんな魔法使うんです!?」
「派手にぶっ飛ばしたくて! 人型の偽物達を爆破したら『コイツやばい奴じゃね!?』って思われると思って! やりたくて!」
「十分やばい奴だから安心しろ! そして自首しろ馬鹿野郎!」
「もうしてます! 慰謝料と弁償で借金地獄なんですよ! 今探索者失格になったらもう選択肢が内蔵売るか国外逃亡か魚の餌しか無いんです! だから貴方に全力で協力しますから! 責めないで! もう責められすぎていっぱい泣いたからぁ!」
「ほら見ろ! こんなメンツでマトモに探索なんぞ出来るかぁ! どうせどっかで監視のアウトラインに引っかかって失格に決まっている! だったら私だけでも金で許してもらった方が良いだろう!?」
「金で解決出来るんだったら最初からやってんだよ! 主食が金銭だからって他人にまで金食わせようとすんな!」
「そもそも国から来てる人がお金で動くとは思えませんけど……」
「分かんないだろ! 300万くらいで動くかもしれないだろ! 何やる前から諦めとるんだ! 諦めるな!!!」
「先に諦めてんのはお前なんだよぉぉぉ!!!」
「ぐぇぇぇぇ! 脳味噌ふるふるシェイカァァァ!!!」
ダメだ、カネゴンは完全に冷静さを失っている。使い物にならん。チラッと監視ドローンの方を伺うが、特に変わりは無い。一応失格になった場合、赤いランプが点滅するらしいのだがそれが無い。このやり取りはセーフらしい。
「ちょっと良いかな同じ風達」
「あん? どうした響木」
「怪物の近づく音色が聴こえる。今は影を潜める時」
「!」
「きゃあ!」
「びょえ!?」
「ぐべぇっ!」
響木の報告を聞いてすぐに動く。加奈子さんもモブみんを脇に抱え、カネゴンの首を左足で掴み取る。そのままある程度離れた大きな水晶の影まで右足で跳躍する。
「加奈子さん、大丈夫ですか? すいません急に」
「い、いえ。ありがとうございます」
「離すぞモブみん」
「イタッ! あ、扱い違い過ぎません!?」
「カネゴンよりはマシだろ」
「まぁ確かに。仕方ないですね」
「か、完全に首しまってたぞ……死んで入り口に飛ばされるところだった……」
「上位の探索者がこの程度で死ぬかよ」
「だから最近潜ってないからブランクがなぁ!」
「協奏曲を奏でたくとも、今は沈黙が金。ジョン・ケージの4分33秒のようにね」
「すいません。もしかして日常生活全部そんな感じなんですか?」
毎日がポエムだった筈の男を放置し、近づいて来ていたモンスターの様子を伺う。ダンジョンは当たり前だが場所によって発生するモンスターが変わる。ここはクリスタル大空洞型だから、体に結晶が生えているモンスターがメインだ。
『ボォォォォォォォォ……』
「……クリスタライザーか」
全身水晶塗れの浮遊する大きなクラゲ。全ての触手の先端に鋭利なクリスタルが付いている。動きが遅く見えるが、探索者を認識した瞬間に一瞬で肉薄して来て襲い掛かり、クリスタル付きの触手でミンチにしてくる脳筋系のモンスターだ。電気とか毒などの弱者の武器は持って無い。そんなクラゲはゆっくりとこちらの方向に動いてくる。
「も、もしかして話し声でバレちゃいました……?」
「いや、アイツは確か音じゃなくて視覚でしか辺りを把握出来ないんで姿さえ見えなければ大丈夫の筈です」
「視覚……目はどこ?」
「……どっかにあるんじゃないですかね」
正直よく分かってない。と言うのもモンスター自体大して研究されていない。分かっているのは弱点とか習性とか見た目とかだけだ。それも研究者が調べたとかではなく、探索者達が実体験を元にそう断じてるだけなので違う可能性は高い。でもモンスターの研究なんて全く金にならないので誰もやらないのだ。まぁダンジョン内でしか生存出来ないし、探索者以外潜らないので需要が無いのはそりゃそうだろって感じだが。
「こっちに来てると言うより、適当にフラフラしてるだけなんで取り敢えずは大丈夫です」
「そうなんですね。良かった……一応聞きますけど、加藤さんってあれに勝てたり……」
「いやそりゃ勝てますよ。倒すだけだったら3秒要らないです。近づいてぶった斬れば終わるんで」
でも今は倒したく無い。倒す訳にはいかない。だって倒したら宝箱ドロップするかもしれない。ドロップしたら全てが終わる。本当に国外逃亡しか選択肢が無いかもしれない。どうにかあのクラゲをすり抜けて先に進まなければ。
「と言ってもどうするんですか? 私の爆破魔法でちょっかいかけて、その間に走ります?」
「うーん……ビミョいな。周りに障害物が無さすぎる。いやクリスタルは沢山あるんだが、あのクラゲを通り抜けるルートにだけ丁度無い。それにアイツ魔法耐性高めだから爆破魔法でちょっかい掛けても気にもしない可能性があるな」
「むぅ……ならどうするんですか?」
「おいカネゴン。何かいい手は無いのか? 無いなら考えろ」
「あったら最初からやっとるだろ……いや待てよ? 確か
「ああ、あの封筒か。中身見てないのか?」
「見とらん。だって怖いし。困った時に開けろと言ってたが今開けるか。困ってるし」
カネゴンが封筒を開いて中身を出す。内容は手紙と小さな人形みたいな物が複数。人形の方は形代みたいな見た目だ。
「えーっと……『どうせダンジョン潜ってすぐに困って開封してそうなリーダーへ。同封してるのは囮人形っす。魔力を込めれば人サイズになってモンスターの気を引いてくれますよ! 見た目も魔力で変えれるので君だけの囮を作りましょう!』……か」
完全に見透かされている。あのメカニック、本当に良い空気を吸っている。そして本当に役に立つ物を入れている辺り、優秀さが隠しきれていない。
「囮……じゃあこれを使えばここを切り抜けられますね!」
「そうですね。カネゴン、早く使ってくれよ」
「命令するな! 全く……だが使う事には賛成だ。どれ、魔力を……」
「シンプルだからこその魅力がある。でも装飾された煌びやかな魅力もある。シンプルの奥深さに気付くには、時の流れが必要さ……」
「……ああ、見た目変えた方いいんじゃね? って事ね。はいはい」
「怠いなコイツとの意思疎通」
カネゴンの愚痴は聞き流すとして、確かに視覚に頼っている相手に見た目を派手な囮を使うのは効果的だろう。囮には限りがある。変にそのまま使って効果が無かったら勿体無い。
「……つってもどうするか。派手な方が良いなら……光らせるか?」
「でも周りのクリスタルが光ってるから相当光らせないとダメなんじゃ……」
「光る云々じゃなくてまずは見た目じゃないです? 監視ドローンで見られてる訳ですし、囮にした時に問題ない見た目にしないと。最近コンプラ厳しいし」
モブみんの言う通りだ。囮と言う役割を果たすと言う事は、モンスターにタコ殴りにされると言う事。これが子供の見た目なんかにしたら大炎上だ。と言うか普通に俺が嫌だ。ならどうするか。
「じゃあコレにしてくれ」
「……成程、ナイスデザインだ。ふん!」
カネゴンにスマホで写真を見せた。納得したカネゴンが囮人形に魔力を込め始める。囮人形はみるみる大きくなり、人間サイズまでになっていく──!
「─────」←高木クリソツ人形
「……あの、高木さんにしか見えないんですけど、これは?」
「殴られてても罪悪感無いですよね」
「そんな事だろうと思いましたよ!!!」
出来上がった囮の高木は何故か人を死ぬほど馬鹿にしたニヤケ面で固定されている。今にも人を煽り散らかしそうだ。なんか見てたら腹立ってきた。1発殴ろうかな。
「ふむ。これなら殴られてもコンプラ的にセーフだろ」
「暴力自体がアウトだと思いますけど!?」
「凄い! 今すぐにも爆破魔法で粉微塵にしたい! このニヤケ面の火力凄まじいですよ!」
「怒りは人格を歪める。荒れ狂う暴風雨のように駆け回るこの感情。灼熱の思いは今、ここに居なくて、ここに居る彼に届けたい……」ポロロン
「なんで囮にこっち側が引っかかってるんですか! 高木さん煽り力高過ぎ!」
「だがこれだけだと足りないだろ。モンスターからしたら唯の人間だからな。一捻り欲しいところだ」
「じゃあやっぱ光らせるか! 音も鳴らそう! ピカピカキュインキュインって感じでさぁ!」
「音で反応しないとか言ってましたよねぇ!?」
「ピカピカキュインキュイン……こうか!」
カネゴンが魔力を弄ると高木人形は激しく点滅し始める。金色メインのせいか、めちゃくちゃ既視感がある。と言うかミリオンゴッドだこれ。
「……ダメだ! 音は出せん! 点滅が限界だ!」
「嘘だろ!? ここまで来て終わるのかお前! 後ちょっとじゃん! 気合い入れろ!」
「気合いの前に自制心入れて!?」
「私とてこの結果は不甲斐ない……! クソ! こんな事なら機音に音楽付きのやつ作ってもらうんだったぁ!」
「どう考えても囮にBGMは不要ですよね!?」
ここまでか。甲子園で負けた野球部の気持ちってこんな感じなのかな。記念に土持って帰ろうかな。そう思っていると──。
ポロロン
「……響木」
「奏でようか。黄金の旅路、その序章を!」
「……ああ! 頼む! 黄金高木を……完成させる為に!」
響木がインビジブルハープを弾き始める。音の刃を出さないよう加減しながら、しっかりとした指運びで音が紡がれていく。その音色はまさに。
キュインキュインキュインキュイン!!!
「「BIGボーナスだァァァ!!!」」
「もう滅茶苦茶ァァァ!!!」
人の欲を加速させる音をバックに黄金高木は走り出した。当然、その姿をクリスタライザーが捕捉する。
『ボォォォォォォ……?』
「(光り輝く心底人を馬鹿にした笑顔の高木人形)」
『ボォォォォォォ!!!』
ドガッ! グシャッ! ベキャッ! ドスンッ!
クリスタライザーは黄金高木に激怒したような素振りを見せ、そのままめった打ちし始めた。だが囮人形としての役割の為に高い耐久性を備えている黄金高木の笑顔を崩せない。何なら表情はワンパターンしか無いのでずっと煽り顔だ。殴っても殴っても変わらない笑顔に、クリスタライザーは夢中だ。モンスターにも感情ってあるんだな。分かるよ、ウザいよなそれ。
「よし! 今のうちに走るぞ!」
「ま、待ってください! あのモンスター以外もモンスター居ますよね!? それはどうするん「そこは私に任せて下さい!」モ、モブみんさん!?」
「モブみん辞めて!? 要は他のモンスター達にも、あの囮の存在を気付かせれば良い訳です! その為には音を吸収しているクリスタルが邪魔! なのでぇ……【
モブみんが【
「いだだだだだっ!」
「お前自分で散弾銃みたいに散らばる言ってただろ!」
「忘れてた! 忘れてた! 自分の発言忘れてたぁ!」
飛んでくるクリスタルの欠片を払いながら爆破が収まるのを待つ。クリスタルの多くが粉微塵になると、響木の鳴らすボーナス確定BGMがこの階層に鳴り響く。
『ギャァァ?』
『ゴガァァァ!!!』
『キュルルルルル!』
複数のモンスターの鳴き声が聞こえ、程なくして俺たちの視界の範囲まで出てきた。それはつまり黄金高木を目にする訳で。
『『『グギャバルアァァァァァ!!!』』』
全てのモンスターが黄金高木をぶち壊さんと突撃していく。それでも壊れない黄金高木。鳴り止まないBGM。駆け抜けるなら今しか無い!
「ナイスだモブみん! 全員、次の階層まで走れぇぇぇぇぇ!!!」
「もう全員不合格ですよこんなのぉぉぉ!!!」
走ってる最中に監視ドローンに目をやる。失格の赤いランプは付いていない。運営的はセーフらしい。俺は心置きなくダンジョンを駆け抜ける。背後で親友の人形がボコられているのを見捨てて走る俺を誰が責められるだろうか。きっと、誰も居ない。
「いやここに居ますけど!?」