ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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妄想癖だよ! アナンタちゃん!

 

「ポップコーンってデカいサイズ買うと絶対余るよな」

 

「長い映画だったら食い切れるんじゃねぇの?」

 

「シンプル味飽きるんだよな、Mでいいか……」

 

「てかこの後飯なら食わなくても良いだろ」

 

「他人が食ってるの見るとそっちに意識行くから、映画に集中する為に必要なアイテムなんだよ」

 

「(まるで熟年夫婦みたいなノリ……どれだけの期間洗脳したと言うのですの!?)」

 

 やり取りだけならば、ただの仲睦まじいカップルなのにビジュがもうダメだ。

いや顔がダメとかそう言う話ではなく、倫理的な話である。

小学生の方に関しては目付きは悪いが凄まじい顔整いだ。羨ましい。

 

「(耳も普通……どう見ても人間! そんな子供を恋人の様に連れ回している! 警察は何してるんですの!? 仕事しろ税金泥棒!)」

 

「お母さーん、この銀髪ドリルお姉さんは何してるのー?」

 

「ダメよ僕、今時サングラスマスクのコンボで不審者レベル爆上げしてるような人に近づいたら。隠せば逆に怪しまれると言うことにすら気付かないレベルなら、離れて写真撮った後SNSに『クッソ不審者居て草』って投稿するのが正しい対応よ」

 

「分かったー、写真撮るー。バズるかなー?」

 

「『盗撮は犯罪です』ってリプが大量に届いてインプレッションが爆伸びするわ。目に見える形で悪があれば、ちっぽけな正義棒で叩きたくなるのが人族なのよ僕」

 

 あの2人はどの映画を見るのだろうか、スクリーンの方ですんごい事し出す可能性もある。

そこを抑えれば──。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

※以下妄想

 

『ごきげんよう【自我中心】の加藤様? こちらなのですが、何故小学生の彼女をお連れなのですか? 成人の貴方が』

 

『なっ!? ま、待ってくれ! 違うんだ、あの子の顔と体に興味があっただけで!』

 

『最低ですわね……これを公表されると貴方も困るでしょう。ですが私も鬼ではありません。私に協力してくださるのなら、この件は目を瞑りましょう……』

 

『分かりました……アナンタ様に従います……』

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「こう言う感じに出来る筈!」

 

 彼の様な実力者さえ居れば目的のアイテムだって手に入る!

やり口はかなり問題がありますが……四の五の言ってられませんわ!

 

「よし、じゃあこれでも見るか」

 

「アタシこれの原作見てねぇぞ」

 

「大丈夫、見てなくても楽しめるって公式が言ってた」

 

「ホントかよ、客入れたいから適当言ってるだけじゃねぇの?」

 

「モノは試しだ。ダメだったら公式垢にクソリプ飛ばして溜飲を下げる事にするわ」

 

「そのクソリプに更にクソリプが来てウロボロスにならないと良いな」

 

 アニメ映画ですか……デートとしてのチョイスはまぁ普通……?

恋人なんて居た事無いですが、こう言う時って恋愛映画とかが定番なのでは?

いやでもかなり仲が良さそうに見えますし、歴が長いのかもしれません。だとすれば定石から外れたモノでもアリなのか。

……歴が長い!? 小学生より前から!?

どんだけですの!? 筋金入りではありませんか!

 

「まさに光源氏物語ではありませんか……! あの子にそこまでの魅力が……!?」

 

 離れたまま赤い髪の少女をまじまじと見る。

びっくりするくらいの美形に、あの睨んでいる様な吊り目。薄い体に口調が荒々しい……でも、ふと見せる微笑みのギャップ……。

 

「やべぇですわ。あの娘、完全に属性盛り過ぎ謙信、性癖のトルコライス! 私には分かります、あれはハマる人はどこまでもハマり続ける!!!」

 

 私の愛読書には無いタイプですが……あの破壊力は凄い。

きっと彼はあの沼に喜んでルパンダイブしたのでしょう。

 

「……あ、まずい! 早く私も入場しなければ!」

 

 あれだけのマブさがブレイブチェインしている彼女を暗がりに連れ込む以上、何かするに違いない! 必ずそこの写真を押さえる!

それこそが私の使命! 券売機で買って、いざ入場ですわ!

 

「あ、お客様。カメラなどのお持ち込みはおやめ下さい。お預かり致します」

 

「…………はい」

 

 映画泥棒対策で私のカメラが没収されてしまった。スマホも当然上映中はNG。

仕方ないので近くに陣取って見張る事にする。

 

「(確かに使命も大事ですが、何よりあの娘がもし無理やりされたら大変ですわ!)」

 

 流石にあの信頼度からして、一線を越える様な事は彼もしていないだろう。

だがあれだけの魅力の少女を前にして、あのロリコンがどれだけ耐えられるか……。

間違いなく、その内キャストオフからのダイレクトアタックをするに違いない!

 

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※以下(ry

 

『そんな……何でだよ、信じてたのに……!』

 

『うるせぇ! お前がいけないんだぞ! 何だよあのツンツンしてるとこに特大の笑顔のデレは! このロリコン加藤がそんなの耐えられる訳無いだろ! ちぃと早いが構うもんか! うぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

『嫌だ! やめ……あぁ!』

 

 その日、小さな花が一輪、散る事となった……。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! クソ地雷ですわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 こちとら純愛過激派ですのよ!? なんつー地雷ぶちかましていますの!?

こんなふざけた展開投稿しようもんなら、タグ詐欺からの即通報でこんな場末の小説はさらし首(違反者一覧)になりますわ!

流石にヤバ過ぎますわね……これはあの娘をドスケベ鬼畜壁サー展開から守るべきでは……?

しかし、それでは私の使命が……!

使命か、毒牙にかかりそうな少女か。

私はどちらを取れば──!

 

「お客様」

 

「あら?」

 

「館内での大声は周りのお客様へのご迷惑になります。誠に申し訳ございませんが、退出願います」

 

「え!? ま、待ってくださる!? このままだと、あの子がロリロリエロエロヌルヌルぬちょぬちょぐちょぐちょにされてしまいますのよ!?」

 

「いや意味が分からないのですが……とにかく退出して下さい!」

 

「お、お待ちになって! あぁ! ちょ、こんなの許される訳ありません! せめて! せめて純愛に! 甘々らぶらぶ以外許しませんわ! 無理矢理もNTRもBSSもゴミクソですわぁぁぁ!」

 

「ちょ! 力強!? すいません応援お願いします! 警察にも連絡を!」

 

「うおおおおおお! その鬱展開をブチ殺す!」

 

「殺すべきなのはアンタの脳細胞だぁぁぁ!」

 

「何だあれ……」

 

「うるせぇな、春だからって変なの沸いてやがる」

 

「もうそろそろ5月なんだがなぁ……」

 

◇ ◇ ◇

 

 映画を見終わった後、時間は19時を回っていた。

やたらとうるさい女が居たが……マジで何だったんだあれは。

 

「まぁそこそこ面白かったな」

 

「アニメなんざ久しぶりに見たぞアタシ」

 

「お前マジで見ないもんなぁ……普段何してる訳?」

 

「普段? ……掃除と料理と筋トレとお前のベッドで昼寝」

 

「道理で寝る時やたら良い匂いすると思ったわ! 勝手に潜り込むんじゃねぇ!」

 

「臭くねぇなら良いだろ」

 

「俺は家だけでなく自室のベッドまで権利侵害されなきゃならんのか!」

 

「今更だろ。お前の洗濯物だってアタシが洗濯してるんだし」

 

「別に洗う事を許可した覚えは一切無いがな!」

 

 加藤と話している内にいつもの感覚が戻ってきた。

デートなんざした事無かったけど、慣れれば楽だな。

 

「それで次はどうすんだ?」

 

「飯に行こうかと思ってたけど……お前腹減ってる? 昼何時に食べた?」

 

「……食ってねぇわ。服選ぶので忙しくて」

 

「ホント少食だな……何も食ってないならこの時間でも良いか。着いてこい、良いとこ知ってるから」

 

 そう言って前を歩く加藤について行く。

加藤の足は駅から離れていき、飲屋街からも離れて行く。

どこまで行くんだと思っていると、ふと横にあった路地裏に入って行く。

 

「こっちだ。狭いから気を付けろよ」

 

 路地裏に入って行くと1つだけ煌々と灯りを灯している照明があった。

 

「女将さーん、お久でーす」

 

「あらぁ加藤ちゃん。いらっしゃーい」

 

「ほら、セラフィナ。入れって」

 

「お、おう」

 

 入り口から中に入ると、ボロい外壁とは裏腹にキチンと清掃が行き届いた店内が視界に広がる。

客はアタシ達以外居ない。

 

「あら? その子は……」

 

「あー、アタシ普通に……」

 

「セラフィナちゃんかしら? 加藤ちゃんより歳上の」

 

「……加藤、アタシの事教えてたのか?」

 

「お前以外の仲間も知ってるよ」

 

「全部教えてくれたものね〜。取り敢えず座って座って。あ、お通しいるぅ?」

 

「お願いします」

 

「は〜い。カウンターでもお座敷でも好きなとこ座ってねぇ」

 

 そう言うと狐獣人の女将は裏に引っ込んでいった。

加藤は慣れた様子でカウンターにどかりと座る。

 

「あ、座敷の方良かったか?」

 

「いや、別に構わねぇよ。っと」

 

 ちと高いが問題ない。椅子に座って荷物を空いてるところに置く。

座った途端、女将が戻って来てお通しを置いて行く。

 

「はぁい。今日は牛肉のしぐれ煮よ。上手くできたと思うから、どうぞぉ」

 

「どうもっす。料理の方は適当にお願いします」

 

「お酒の方はどうする? 加藤ちゃんは飲まないの知ってるけど……セラフィナちゃんは飲むの?」

 

「セラフィナ、飲んで良いぞ。嫌いじゃないだろ? 酒」

 

「そうだが……まぁ、今日くらい良いか。ハイボールで」

 

「はいはーい」

 

 加藤が酒を断っているので、変に匂いをさせたら不味いと思い飲んで無かった。

加藤本人が飲んで良いって言うなら、飲むか……。

 

「にしても久しぶりねぇ加藤ちゃん。最近来てくれなかったからぁ」

 

「ちょっとゴタついてて……いやホントに。激動の日々だった……」

 

「お前が高木とダンジョン潜ってまだ1ヶ月経ってねぇもんな」

 

「え? ダンジョン潜ったのぉ? 探索者辞めたって言ってたけど……」

 

「クソハゲに嵌められて復帰させられました」

 

「あらぁ〜、確か高木くんって人よねぇ? 大変ねぇ……ダンジョン中毒は良くなった?」

 

「良く……なってないかなぁ……。ホントいつ治るんだか……」

 

「ふふふ……でも前来た時よりイキイキしてるわよ?」

 

「……そうですか? 医者にも言われたな」

 

「アル中の人がお酒飲んだら回復するのと同じかしらぁ?」

 

「それ1番ダメじゃないすか」

 

 仲良さそうに会話する女将と加藤。

数回通った程度の仲では無いだろうな……。

 

「いつからここに通ってたんだ? アタシ達と居た時はこんな所来なかっただろ」

 

「探索者辞めてから通い始めた。中毒症状に耐えながらウロウロしてたら偶然見つけてな」

 

「見つけ方が全然嬉しく無いのよねぇ。蝉の抜け殻探しで辿り着く子供のが嬉しいわぁ」

 

「おかしいな。しぐれ煮食べても冷たいな。腹は温まるのに心が冷えていく」

 

「大変! セラフィナちゃん、早く暖めてあげて? 加藤ちゃん最初の頃はお酒飲んでたんだけど、酔っ払うとずっと貴方やお仲間さんの事ウダウダ言ってたのよぉ〜」

 

「すいません、客の個人情報ばら撒くのはライン越えでは? いくらなんでも怒りますよ? 俺怒ると気が付いたら周りに人が血だらけで倒れてますよ?」

 

「本当に倒れてるから始末が悪りぃな」

 

「お前の方が酷かったけどな! 俺と高木がどんだけ証拠隠滅と言う名の回復魔法と記憶操作したと思ってる!」

 

「アタシから喧嘩売った事は無かったろ」

 

「お前の喧嘩売られた判定がデカすぎんだよね、格ゲーだったらぶっ壊れキャラレベルでデカいから。スト2ダルシムのしゃがみ大Pくらいデカいから」

 

「その例え全然分からねぇよ」

 

「加藤ちゃんってたまに良く分からない例えするわよねぇ」

 

「癖なんだ……一部の相手にしか伝わらない例えするの」

 

「ダンジョン中毒と一緒に治した方良いわよぉ?」

 

 話しながらも料理をしていた女将が、アタシ達の前にどんどん料理を置いていく。

所謂小鉢料理が多くて、アタシでも色々食べれそうだ。

 

「料理もボチボチ来たし食べるかー、俺ウーロン茶だけど乾杯しようぜ」

 

「今日くらい飲んでもいいんじゃねぇか? アタシだけかよ」

 

「酔っ払ったらお前の尻触り始めるから絶対飲まん」

 

「前も聞いたけど普通に最低よねぇ」

 

「触りたきゃ触れば良いだろ」

 

「うるせぇうるせぇうるせぇ! おら! 早くグラス出せやボケ!」

 

「わーったよ、乾杯」

 

 軽くグラスを合わせてハイボールを流し込む。

この前は高木のバカみたいな酒飲んだせいで酔っ払ったが、普通の酒なら大した事はない。

 

「ん、料理うめぇ……」

 

「ほんとぉ? 良かったぁお口に合って。加藤ちゃんもウチの料理気に入って通ってくれてたのよぉ。まぁ本当はお酒も頼んで貰いたいんだけどねぇ」

 

「最近は居酒屋で料理だけ食べる人も多いから……」

 

「冗談よ冗談。どんどん作るから、沢山食べてちょうだいな」

 

「セラフィナ、お前もっと食えよ。流石に食細すぎるわ」

 

「お前体薄い方が好きだろ」

 

「限度があるわ! そのうちお前骨と皮だけになるだろ!」

 

「プロテイン飲んでるから大丈夫だろ」

 

「飲んでてその体はマジどうなってんだよ」

 

 くだらない話をしながら過ぎる時間。

加藤の方を見ると、渋い顔をしたりキレたり笑ったり。

アタシの好きなあの狂った目では無い。

でも……。

 

『……ありがとう、ございます』

 

 あの時、加奈子に向けた笑顔。

あれがアタシに向けられなかったのが、何故か心に来る。

アタシが惚れた姿では無かったのに、あの穏やかな加藤が頭から離れない。

 

「ッ!」

 

「あら……良い飲みっぷりねぇ」

 

「え、もうグラス空けたのか? ペース早くね?」

 

「飲んで良いんだろ? だから飲んでるだけだ。替わり頼む」

 

「はぁ〜い、今出しますねぇ〜」

 

「大丈夫だよな? ちゃんとセーブするよな?」

 

「ああ、多分な」

 

「やばい全然信用ならん。行けたら行くわくらい信じれん」

 

 ブツブツ言ってる加藤をほっといて酒を流し込む。

何故だか……早く酔いたい気分だ……。

 

◇ ◇ ◇

 

「はぁ……はぁ……ひ、酷い目に遭いましたわ……」

 

 何とか追跡を振り切ってここまで逃げて来れた。

探知の結果では、確かこの辺だと思うのだけれど……。

 

「そこの……路地裏……! まさか路地裏に連れ込んでさわさわしてますの!? は、早くシャッターチャンスを!」

 

 這々の体で路地裏に入ると、1つだけ明るく辺りを照らす照明がある。

ここは……居酒屋? とても良い匂いがする。

 

「この中……? ちょっと窓から様子を……!」

 

 小さな窓を頑張って覗く。そこにはひたすら酒を飲む少女が居た。

…………………………。

 

 

 

 

「酔わせてホテルにHere we goooooo!?」

 

「何だ!? 今外で何かがぶっ倒れた音したぞ!?」

 

「あらぁ酔っ払いかしら?」

 

「もうちょいで酔えんのに……邪魔すんなよな」

 

「一旦飲むの辞めてね、お願いだから。面倒見るの俺なんだから」




アナンタ 21歳 竜人族
良く使うサイト…メロブ
好きなジャンル…純愛モノ
過去に表紙詐欺でNTR掴まされて作者に凸した経験有り
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