ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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役立たずにも『意地』がある

 

「ふぅ……あれ? 加藤さん、どうしたんですか? 神妙な顔をして……って何で血が床に付いてるんですか!?」

 

「あ、大丈夫です。大した事ないんで」

 

「いや大した事あったでしょ。僕の鼓膜を部位破壊したでしょ」

 

「回復したから許してくれよ。トリコクラッカーよりかはマシだろ?」

 

「あれより不意打ち度高かったよ!」

 

「私がトイレに行ってる間に何があったんですか!?」

 

「何も無いです」

 

 加奈子さんにバレたらまた怒られそうなので黙っておく。別に悪い事はしてない、ほんとほんと。

 

『よっしゃぁぁぁ! 勝ったぁぁぁ! これで俺が真のアリスだぁぁぁ!』

 

「あ、高木くんが勝ったみたいだよ」

 

「何でアイツがアリスゲームの勝者になってんだよ。ローザミスティカ剥ぎ取んなし」

 

 あんなドール、ローゼンもお断りだろ。仮に使ったとしたら頭頂部が手抜き過ぎる。にしても何の因果か、対戦相手がロールの前のマスターとは。

 

「次、加藤くんの試合だけど……さっきの彼が連れてたゴレ娘。呂布や赤兎馬と同レベルまではいかないけど、かなりの魔力量だった。多分【魔光石】入ってるよアレ」

 

「そこら辺のゴレ娘より出力お化けなんだろ? 分かってるって。【金工房】の差し金なら、どうせ運営に行ったところでグルだから意味無いしな」

 

「そ、そうなんですか!? ……ロールさん勝てるんですか? 無理してコア破壊されちゃったら……」

 

「マジでやばかったらルール違反だろうが何だろうが、俺が割り込んで守るんで大丈夫っす」

 

 ギアススクロールは確かに欲しいが、あんなカスにロールぶっ壊されるのと天秤かけたら流石にな。確率低いけど、ドロップする可能性だって無い訳じゃ無いし……。だが何よりも、俺が試合放棄しないのは理由がある。

 

「……ロール、お前もしかしてアイツに使われてた間、ずっとあんな感じだったのか?」

 

「……それは……」

 

 無表情のまま、言葉に詰まるロール。言わなくてもそれがそのまま答えだった。

 

「出れそうか? 別に俺はお前が苦痛なら辞めても良いぞ」

 

「い、いえ! やります、戦えます」

 

「でもなぁ……」

 

「お願い……します……出させてください……」

 

 オピスと顔を見合わせて少し思案する。

多分だがロールは前のマスターに対してトラウマを持っているのだろう。先程の反応からして、主人の役に立てない自分に価値が無いと思っている。今思えば、コイツが俺に生意気な態度をしてきたのは自暴自棄が入ってのかもしれない。

 

「(遠ざけるべきか、乗り越えさせるべきか……)」

 

 どちらにもメリットはあるし、デメリットもある。遠ざければ今は良くてもこれからもロールにこびり付けられた呪いは無くならない。乗り越えさせようとすれば、今がしんどい。

 

「加奈子さん、どうしたら良いと思います?」

 

「えぇ!? わ、私状況が何も分からないんですけど!?」

 

「嫌いなオカズって最初に食べます? 最後に食べます?」

 

「えー……さ、最初ですかね……?」

 

「よし! ロール、頑張るぞ! ピーマン嫌いでも最初に食い切れば後は楽だ! 鼻摘んで目瞑って食えば味なんかしねぇ! 憎しみというハンバーグに練り込んでやれば分からん分からん!」

 

「何の話をしているんですか!? そもそもゴレ娘は食事しないですよね!?」

 

「もしかして憎しみと肉かけてる? だいぶ点数低いよ。29点」

 

「肉だけに?」

 

「肉だけに」

 

「「アッハッハッハッハ!」」

 

「死ぬほどくだらないし、つまらないんですけど!? もう少し練ってからお出しして下さいよ!」

 

「ハンバーグだけに?」

 

「もう良いですって!!!」

 

 加奈子さんに怒られてると、試合が終わった高木達が戻ってきた。めっちゃウキウキヘラヘラしてる。ウゼェ。

 

「ウィウィウィーーー! 余裕だったわー、こちとら鉄拳どんだけやったと思ってんだよ。ゴーレム操作なんてお手のものだぜ!」

 

「いやゴレ娘の操作は格ゲーでは無いだろ。コントローラーなんて無いし」

 

「いやそれがあるんだな、この【ゴレ娘プロコン】がな! 連射機能も付いてるぞ」

 

「何を連射するんだよ! ってうわマジじゃん! おいオピス! 何でこんなんあるって教えてくれないんだよ!」

 

「いや加藤くん格ゲーの腕ゴミじゃん。前にみんなでスマブラした時ひたすらカービィの下Bか崖で上Bしかしてなかったし」

 

「何だかんだアレが1番強いんだよ! そうに決まってる!」

 

 これがあればロールを何度も地面に顔面ダイブさせなくても良かったのに。まぁダンジョンでこんな両手塞がるもん使ってたら舐めプも良いところだから、完全に競技用だけど。

 

「加藤さん、次の試合時間ですのでフィールドの方へ」

 

「おう、分かった。行くぞロール」

 

「は、はい」

 

 鶴岡に言われてフィールドに出ようと歩き出した辺りで、高木に軽く肩を叩かれた。

 

「さっさと終わらせろよ? 早く俺の手でお前の希望を打ち砕きたいからな!」

 

「勝つ事前提なのかよ」

 

「当たり前だろ。──今のツラしたお前が何かに負けるなんてあり得ないからな」

 

 足が止まる。隠してたつもりだったが、相変わらず目ざといハゲだ。ニヤケ面にうんざりしながらも、それを受け入れてる自分もいる。

 

「何あったのかは知らねぇけど、不快な事があったってのは分かるぜ? 隠すの下手すぎな? あーあ、お前のキレた所見たかったなぁ。カッケェから」

 

「……そうかよ」

 

「ヘッヘッヘ、まぁ行ってこいや。そんで決勝で俺に負けてくれ」

 

「ハッ、言ってろハゲ。その余裕が反転するのが楽しみだわ」

 

 その後後ろを振り向く事はせず、そのままロールを連れていく。さて──やるか。

 

 

◇ ◇ ◇

 

 殆どの観客(暴徒)が居なくなってしまったフィールドに、マスターと共に赴く。

後ろの方では、オピス様や他の方々がこちらを見ている。

 

「審判です、フィールドの中心にゴレ娘を移動させてもらえますか」

 

 審判の指示で、私はフィールドの中心近くまで近づく。広い四角いフィールド内から追い出されるか、倒れて10カウント取られれば負け。

 

「ふふふ……俺のゴレ娘はお前のとは違う! パワーで大幅に上回る俺のゴレ娘に勝てる訳ないだろ! すぐにぶっ潰してやる!」

 

 ──ッ。ダメだ、落ち着かなければ。マスターの操作に集中しないと。言われた通りの動きをしないと。私はそれすら出来てないのだから。

 

「時刻になりました。では開始!」

 

 審判からの合図と同時に、相手のゴレ娘が接近してくる。持っている武器は、私と同じ剣タイプ。髪も同じツインテール。同じ装備である以上……シンプルな性能が決め手になる。

 

「『攻めろ』! あのゴミを粉々してやれぇ!」

 

「──」

 

 返事も無く、剣を振り回してくる相手。マスターが私を操作して回避したが──。

 

ズドォォォン!

 

 フィールドに振り下ろされた剣が、床を破壊する。私が盾役をやっていた時ですら、受けた事が無い威力。あんな物を受けたら──。

 

「ロールなんて名前付けられてたが、そんな名前を付けて可愛がってるなんて爆笑物だ! 所詮タダの土人形! 命令通り動く俺のゴーレムが正しい姿だ! それに比べて……俺のお古使ってるようなお前のゴーレムじゃ、俺のゴーレムには勝てない!!! 見ろよ! お前の操作がどんだけか知らねぇが、回避する事しか出来ねぇだろうが!」

 

 その言葉の言う通り、次々と放たれる攻撃を避けるので精一杯……いや、違う。マスターはちゃんとカウンター気味に攻撃の操作を、私に送っている。──私が、その操作を受け入れ出来て無いだけだ。

 

「(攻撃、しないと。マスターが操作してるのに、なのに、なのに)」

 

 前マスターの顔を見るだけで、動きが鈍る。冷静に操作を反映出来ない。剣を──振れない。

 

「(ああ──私はやっぱり……)」

 

 前マスターの言う通り、ただの役立たず……。

 

「そんな役立た「ロォォォォォォォォォォォル!!!」

 

 前マスターの声を掻き消す大声が、私を呼ぶ。

 

「お前は! 前マスターに散々役立たずなんて言われたかもしれないがな、それで構わねぇ! お前を責めたり詰ってくるような奴の役になんざ立つ必要は無ぇ! お前が気に病む必要も無ぇ! お前が役に立つべき主人は……俺だァァァ!

 

「いや言い方ぁぁぁ! もっと良いオブラートあったでしょぉぉぉ!」

 

 加奈子様のツッコミにも聞く耳持たず、私を回避させながらも言葉を続けるマスター。

 

「今まで散々言われて傷付いただろ! 腹が立っただろ! それで良い! お前が長年受けて積もりに積もったクソみたいな扱いを、今日ここで全部熨斗付けて返してやれや! しょうもねぇ求愛行動にお前を使いまくったアホなおっさんなんて、お前の1ミリ分の価値も無い! 怯える必要なんて全く無い!」

 

 乱暴な言葉遣い、でも何故か聞いてるだけで安心する。こんな私の為に、本気で怒ってくれている。その怒りに。

 

「良いか! 今から死ぬ程乱暴にお前を操作する! お前にめちゃくちゃ負担を掛けるだろう! だが耐えろ! 俺の操作にしがみ付いてでも従え!」

 

 なんてめちゃくちゃな命令なんだろうか。でも──私を信じてくれている。私を必要としてくれている。

 

「俺とお前の『意地』で勝つ! 行くぞロール! あのカスの顔歪ませまくって月面クレーターにしてやんぞぉ!!!」

 

「──Yes、My master」

 

 今度こそ、主人の、この人の役に立って見せる。

 

◇ ◇ ◇

 

「ギャハハ! 良い啖呵だねぇ! やれやれ! 2度と歯向かえないようにしてやれや!」

 

 高木くんが爆笑しながらヤジを飛ばす。相変わらずだなぁ、見てて面白いけどね。

 

「で、でもあっちの方が強いんですよね? パワーも凄まじいし、ロールさんじゃ……」

 

「加奈子さん。戦いという物はカタログ片手にやっている訳では無いのですよ」

 

「どういう……事ですか?」

 

「どれだけ純粋な力やスピードが高かろうと、実戦となれば話は変わります。その時の体調、環境、精神面。他にも様々な要素が絡み合って、番狂わせなんてものはいくらでも起きるのです。……ほら、見てご覧なさい。先程から攻撃を命中させているのは加藤さん達だけです」

 

 鶴岡くんが言う通り、一撃自体は軽いもののロールは攻撃を当てている。相手側の攻撃は一撃も喰らっていないのにだ。見た目の派手さで押されているように見えるが、戦いの流れは完全に加藤くん達側。剣や髪だけで無く、蹴りや床の壊れた一部を拾って投げるなんて動きもやっている。側から見たら曲芸の域だ。

 

「動きが急に良くなったな、つーか加藤の動きまんまじゃん。相変わらずめちゃくちゃな剣術と体術だよな」

 

「彼の戦い方は完全に我流ですからねぇ。戦いの中で自然と身についた物ですから、実戦向きと言われればそうなのかもしれません」

 

「ほ、本当だ。さっきより動きのキレが良くなってるような……で、でも性能とかは変わって無いですよね? 加藤さんの操作が上手くなったんですか? この短時間で」

 

 加奈子さんが僕に尋ねてきた。だが別にそんな事はない。僕がなにかした訳でも、加藤くんの操作が抜群に上手くなった訳じゃない。どちかと言ったら、あれは操作じゃなくて自分ならこう動くと言うイメージそのもの。それをロールに押し付けている形だろう。そしてそれにロールが応えているからあんな動きが出来るわけで。

 

「いや、別に主人公みたいに急に覚醒した訳じゃないと思うよ」

 

「じゃあどうして……?」

 

「うーん、強いて言うなら──負けたくないって言う『意地』じゃない? 加藤くんとロールのね」

 

 加奈子さんはポカンとした顔をして、高木くんと鶴岡くんは軽く笑う。

 

「ありそー。てか絶対そうだわ。意地でもボコるって顔に書いてるし」

 

「しかしそうなると加藤さんのゴレ娘、ロールさんも同じくらいの意固地と言うことになりますが」

 

「マジかよ。アイツ並みの意固地が増えるなんて想定してないわ。まぁペットって主人に似るしな」

 

「美少女ゴーレムをペット扱いするのは流石に不味いのでは? 風評的な意味で」

 

「セラフィナを家に置いてる時点で風評に関しては今更だろ」

 

「それもそうですね」

 

 2人が好き放題言っている間にも、ロールは相手のゴレ娘を着実に追い詰めていく。相手の剣を避けて返しで斬る。ツインテールが槍のように突き出さられたのをすり抜けて、これまた返しで逆に突き刺す。予測不能な動きに圧倒されていく相手のゴレ娘。マトモに本来の力を発揮出来ていない。

 

『な、何やってるんだ! 攻めろよ! 早く倒せぇぇぇ!』

 

「普通の探索者ぐらいなら、あれでも充分倒せるんでしょうけどね」

 

「そんなんで倒せると思われてんなら、最早舐められてるだろそれ。アイツ何だかんだ総合力だとチーム1だぞ。リーダーだから当たり前だけど」

 

「ゴレ娘の操作も出来る辺り、適応力高いですよねぇ」

 

 最早勝敗は決まっている様な物だった。【魔光石】で文字通り格が違うボディも、何度も何度も一方的に攻撃を受け続けて疲弊していく。

 

『隙だらけだよバァァァカ!』

 

『やぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 相手の雑な指示で大振りになったのを見逃す程、加藤くんは優しくない。隙をついて脆くなっていた右足に剣を突き刺す。そのままロールは剣を勢いよく薙ぎ払う。

 

バギャギャギャ!

 

 右足は限界を迎えて斬り飛ばされる。バランスを崩したところを飛び蹴りをして、後方にぶっ飛ばす。片足が無い以上、ロクな受け身も取れずに横転するのは自明の理だ。

 

『立て! 立てよ! 何してんだよ!』

 

『片足無くてどうやって立つんだよ。ちっとはその足りねぇ頭使って考えろや!』

 

『ふ、ふざけんなよ! あんな、あんなゴミに。俺の時は、なんの役にも立たなかったのにぃぃぃ!』

 

『知るかァァァ! お前なんぞの役に立たせるなんざ勿体無いわ! これから俺の為に死ぬ程役に立たせる予定なんでな! ザマァみろバーカバーカ! 分かったら帰ってプライズ品のフィギュアにでも腰振ってろやボケェェェ!』

 

 ロールは倒れた相手の胴体を地面ごと剣で貫く。倒れたまま地面に磔にされた。深く突き刺さった剣は、片足をもがれたゴーレムでは抜くのに時間がかかる。

 

『カウント取れよ! 倒れてんだぞ! はよ! はよ!』

 

『え! え、えーっとそ、それは……』

 

『早くしろぉぉぉ! ブチ殺すぞテメェェェ!』

 

『ひぃぃぃぃ! 109876543210! 終わり終わりぃぃぃ!』

 

 【金工房】から金を貰っていたからか、息がかかった男のカウントを渋っていた審判が、加藤くんの剣幕にビビって爆速でカウントを終わらせた。4人乗ってるヤグラかな?

 

『そ、そんな……おかしい! おかしいだろ! おい! 俺のゴーレムコア返せよ! そんなに強いんなら、返せよぉぉぉ!』

 

 逆上して加藤くんに縋りついて来た男に向き直った加藤くんは──。

 

 

ゴシャア!!!

 

『カッ────』

 

『何回言えば分かるんだよ。ロールは俺のモンだ。返すも何も無いんだよ。──俺のモノに近づくな

 

 男の股間を蹴り上げた。思いっきり。ヘラヘラ笑ってた高木くんが目を逸らして、鶴岡くんが笑うのをやめた。うん、間違いなく──。

 

「「「あれは痛い」」」

 

 砕けたんじゃ無い?あれ。痛みって回復魔法でどうにもならないからねぇ。あ、やばい。前にモグラのモンスターにシバかれたの思い出してヒュンってなった。

 

『いや負けるんかい! 結局ダメなんかい! 正直途中で分かってたけど!』

 

『うーんやっぱいくら簡単な命令で動くって言っても、状況読めない人が指示出してたらダメかぁ。どうしますリーダー?』

 

『くそっ! 帰るぞ! あの連中と関わるのが間違いなんだ! 出来る限り離れて関わらないようにするのが1番賢い! ゴレ娘事業からは手を引いて、他で稼ぐぞ!』

 

 【金工房】はそんな会話をしながら去ろうとしていたが、彼らの頭上に影がかかる。加藤くんが蹴り飛ばした、ロールの前マスターだ。

 

『え? ウボァ!?』

 

『リーダー! 空からしょうもないおっさんが!』

 

『おい、どうせお前らが雇ってた奴なんだろ? だったらポイ捨てしてんじゃねぇよ。持って帰れや、その粗大ゴミ』

 

『リーダー! 不法投棄は5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金ですよ!』

 

『お前はどの立場なんだよアホ! 【自我中心】! 覚えてなくて良いからな! 私らの事なんざ忘れろ! 忘れてくれ! お願いだから! もう関わりたく無いから!!!』

 

『安心しろ。ちゃんと覚えとく為にデスノートに書いとくから』

 

『やめてくれぇ! せめて死因は老衰にしてぇ!』

 

『わー逃げろぉ! あ、ゴレ娘のメンテナンス用品色々置いてるんで、必要でしたらウチまでどうぞー』

 

 そう言って【金工房】の2人は前マスターを担いで去って行った。あの技術者かなり良い空気吸ってそう、仲良くなれるかもしれない。

 

「少しインターバル置いたら、加藤さんと高木さんの試合ですね」

 

「よし、今のうちにコンボ表見直しておくか」

 

「何でコンボがあるんですか!? マジモンの格ゲーじゃないですか!」

 

 加藤くんの方を見ると、ロールに近づいて顔に付いた汚れを取っていた。ロールの表情は変わらない。無表情のまま。でも、心なしか嬉しそうに見えた。

 

「やっぱり、道具は大事にしないとね」

 

 人だって魔族だって、大事にされれば嬉しいものだ。道具に心があるのならば──きっと同じだよね。




UA10万、お気に入り2000件超えました。いつも読んでくださりありがとうございます。これからもどうぞ宜しくお願いします。
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