ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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はいバリア〜(親友)

 フルメンバーでは無いとは言え、たかが迷宮のヌシ1体なら問題は無かった。……1体ずつ、ならの話だったが。

 

『ギョギョギョギョギョォォォ!』

 

『キュイキュイキュイ!』

 

『ガァァォァァァ!!!』

 

「多過ぎるわぁぁぁぁぁ!!!」

 

 現在15階層、どんどん広がっていく大部屋に所狭しとヌシ級モンスターが襲いかかってくる。その数15体、階層と同じ。

 

「まさか1階層毎に1体ずつ増えていくとは思いませんでしたね。ハッハッハ!」

 

「ちょ! コイツら石化に耐性ある! と言うか魔力に耐性あるから魔法も魔眼も効きづらいよ!」

 

「やばい俺メタられてる!」

 

 基本的に俺は魔法一筋。多少の耐性程度であれば、量でゴリ押せば良いのだがダンジョン内で流星なんぞ撃つ訳にはいかない。そんなん撃ったら狭過ぎて俺らが死ぬ。

 

「ウォォォォォォォォ!!!」

 

「オラァァァァァァァ!!!」

 

 前衛2人が片っ端からぶった斬ってたり殴り潰したりしているが、明らかに手が足りて無い。数で押し潰されればタダでは済まないだろう。てか普通に死ぬ。

 

「仕方ありませんね、何体か停めます! オピスさん、ヘッショ狙えますか?」

 

「構える隙さえ貰えれば!」

 

「隙とは言うけどよぉ……危ね! こんな次から次へと攻撃飛んできて、どうやって隙作るよ! コイツら連携取ってくるのも腹立つしよぉ! 加藤何とかしろぉ!」

 

「今やっとるわぁ!」

 

 モンスターが連携を取ってくるのは珍しいことじゃ無い。だがこの室内でデカい連中が息を合わせて暴れてくると、シンプルに狭すぎてこちらの動きが制限される。幸い充分躱せる範囲だが……。

 

『ゴボボボボボ……ボボッ!?!?』

 

「セラフィナ! じゃんじゃん突っ込めぇ!」

 

「応!!!」

 

 加藤が体がマグマで出来ている粘体のモンスターのコアを叩き切った後、その死体に周りのモンスターを押し込むセラフィナ。マグマに身を焦がされていくモンスター達は、その熱さから逃げようとするが──。

 

「【影杭】!!!」

 

「【停止】」

 

 逃げようとするモンスターを俺が影の杭で地面に固定し、その他のモンスターは鶴岡が動きを止める。……耐性抜く為に通常より魔力込めたから、ちとしんどいな。

 

「オピス! 止まってる奴ら撃ち抜け!!!」

 

「OK、リーダー。シュート」

 

 目隠しを外したままのオピスは自身の得物、クソデケェスナイパーライフルを構える。オピスの奴が唯一高レア素材をクソにしないで作ったそれは、引き金を引いた途端銃口から弾丸が複数放たれる。それらは全て、動きを止めているモンスターの頭部に風穴を開ける。力無く倒れていくモンスター達の死体をどかしながら、セラフィナが戻ってくる。

 

「おい、これまさか最終的に30体になるんじゃねぇだろうな」

 

「まぁ……なると思うよ」

 

「ミッチミチですね。これはモンスターの強さ云々より、戦うための位置どりの方が難敵になりそうです」

 

「デカくて早くて火力あるドカ盛り連中しか居ないから、マトモに攻撃当たったら即死にそうだよね〜」

 

「やっぱ前が足りねぇよ。高木、お前障壁魔法ガン貼りして前でて壁やれよ」

 

「やだぷー。あの馬鹿モンスターに集団暴行されたら回復追いつかずにカラスの餌になるわ。お前と加藤の2人で頑張れ」

 

『あびゃびゃびゃびゃびゃ!』

 

「あ、ドロップした。回収すんぞ」

 

「話してる間にもすぐ気付けて便利ですね」

 

「鉱山のカナリアみたいだね」

 

「まぁある意味危機だな、人生を崩しかねないタイプの」

 

 まぁ加藤に関してはとっくに将棋崩し並みに崩しまくってるけど。ガッタガタだろアイツの地盤。このまま行けばギアススクロールの契約相殺されても何とかなりそうだな。

 

「ハァ……ハァ……俺は……ゴミだ……」

 

「ねぇ、さっきから加藤くんのテンションが富士急ハイランドなんだけど。テンション爆上げした後に賢者タイム入って自分を卑下のループに入ってるじゃん」

 

「既に15回見せられてるのでエンドレスエイトより多いですね」

 

「おい加藤、大丈夫か?」

 

「うぅ……セラフィナァ……」

 

「よしよし、大丈夫だからな」

 

「セラフィナはセラフィナで味占めて加藤慰めてるしな。見ろよあの絵面、外でやったら即通報だぜ? 取り調べにカツ丼じゃ無くてコミックLO出てくるだろ」

 

「自分の半分も無い背丈のセラちゃんに縋り付く成人男性は見るに耐えないね。見るけど」

 

「面白いですからね。セラフィナさんも今日やけに機嫌が悪めだったのに、あっという間に上機嫌です。良かった良かった」

 

 進めば進むほど敵が増えて宝箱も増える。加藤のテンションがイカれる。一旦開け終わると自己嫌悪。宝箱の量に比例して、テンションの上げ下げも激しくなっている。30階層終わったら死んだりして。

 

「…………よし次だぁぁぁ!!!」

 

「お、行くか? よし」

 

「回復しましたね」

 

「浮き沈みが食い付いたブラックバス過ぎるな」

 

 アイテムを回収した後、下の階層に続く階段を下る──が、着いた瞬間に正面から通路を埋め尽くす大きさの極太レーザーが飛んできた。幸いまだ通路自体には降りてなかった為、誰も当たらなかったが、今ので通路がボロボロだ。

 

「あー、これ完全に気づかれてるね。降りて来たの狙って狙撃されてるよ」

 

「一本道しか無いから避けよう無いじゃねぇか。欠陥過ぎんだろこのダンジョン」

 

 セラフィナの言う通り、このダンジョンはここまでずっと長い一本の通路と大部屋の繰り返しだ。となると、先に大部屋に居るモンスターにバレて狙い撃ちにされれば中々にしんどいものがある。

 

「どうすっか。なんか良い案あるか?」

 

「加藤くんの極光剣でぶっ飛ばすのはダメなの?」

 

「待ってください。前衛が2人に頼りきりな現状で、加藤さんを消耗させるのは得策では無いかと」

 

「一応言っておくがアタシでもアレ耐えて撃ってくる奴ぶっ殺すのは無理だぞ。速度自体はトロイから避けれるなら楽なんだが……」

 

「ミッチミチレーザーだからな。ガキのポケット並みに詰め過ぎだろ」

 

 さてどうしたものか。俺達に途中で帰ると言う選択肢は存在しない。そもそも加藤が帰らないだろうし。まだ半分近く残ってる、消耗が少ない突破方法は……。

 

「……良い方法を思いついたぞ」

 

「お! マジ? 流石リーダー、狂ってても戦闘面は冷静だぜ!」

 

「して、その方法とは何ですか?」

 

「まず高木が自分に障壁魔法を貼る。自分だけで良いぞ」

 

「【障壁(ウォール)】、これで良いか?」

 

「次に鶴岡が高木を拘束する」

 

「【光束(ライトバインド)】。久しぶりに使いました」

 

「うん、ちょっと待ってくんない?」

 

「そして俺が高木を持つ」

 

「何? 持ち方完全にシールダーなんだけど。今は脆き雪花の壁なんだけど」

 

「よし、お前ら全員俺の後ろに並べ」

 

『了解(です)』

 

「加藤くん? マイフレンド? どしたん話聞こか? てか話聞いて? どうする気? 何する気? 体固定するのやめて?」

 

「前に言ったろ。今度ダンジョンで盾にするって──突撃ぃぃぃぃぃ!!!

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 俺を盾にして通路を爆走する加藤達。当然大部屋のモンスターからの攻撃が飛んできて──。

 

「ギャババババババババウビビビビビビィギィ!!!!!」

 

 障壁魔法を貼っていてもダメージがガッツリ入る。回復魔法を遅延でかけていたので、ダメージは即回復するが痛いものは痛ぇぇぇ!!!

 

『ゴ、ゴガァ!?』

 

「隙だらけだぁぁぁ!」

 

 加藤は俺を左手に携えながら跳躍し、レーザーをぶっ放していたドラゴンの首を落とす。その後、着地した加藤は俺を放り投げてモンスターの群れに突っ込んでいく。

 

「よくやった高木! 後は適当にしろ!」

 

「助かりました高木さん。流石のバリアと回復力ですね」

 

「魔法の効き目薄いなら盾になる! 仲間の事を1番に考える高木くんらしいよね! カッコいいよ! 輝いてるよ! 頭が」

 

「テメェら全員カーネルサンダースの出し汁にぶち込んでやらぁぁぁ!!! 【流星(メテオ)】ォォォォォ!!!」

 

「道頓堀の事をカーネルの出し汁言うなよ」

 

「引き上げられてからもう何年も経ってますよ──あ、やばいやばい。避けましょう、見境無しです」

 

 あったまきた! 温存なんか知らねぇ! 全部吹き飛べやぁぁぁぁぁ!!!

 

 

◇ ◇ ◇

 

「魔王様、奴らの事ですが……」

 

「何だ、まだ不満かケルロスよ」

 

「不満と言うより、間違いなく関係を断つべき連中だと思います。軽く調べましたが……チーム名【自我中心】。ロクデナシ、ドカス、外道、詐欺師など多くの声がありました。普通であれば、このような評判になりませんよ」

 

「だが気の良い奴らだぞ? 以前は儂がやらかしたからやり合っただけで、無闇矢鱈に暴れたりはしないだろう?」

 

「現在はそうかもしれませんが、過去にダンジョンの独占や乱闘騒ぎなどを起こしていますよ。王が関わるような、ましてやダンジョンのテストなどと言う重要な仕事を任せる相手ではありません。……ルロ様の教育にも非常に悪いです」

 

「最後のが本音か。良いではないか、あ奴らの事を話す時のルロは楽しそうだぞ? 余程加藤達と共に居た時の事が心に残っておるのだろう。……これまで散々苦しめてしまったからな、少しでもあやつが楽しくあれればそれでいい」

 

「それは……」

 

「それに何より強い! 戦が無くなった今の世であそこまで高みに至れるのは大したものだ! 強い者は好きだぞ儂は! ガッハッハ!」

 

「……」

 

 実際問題、人族と魔族の争いが無くなってから明らかに強者は減った。今居る強者は、過去の戦乱から生きている寿命の長い種族……老兵だ。故に新たに強くなる者は少ない。全ての国に軍がある以上、訓練などで強くなった者も居るだろうが……魔王様とやり合って五体満足なんて者は、連中くらいだろう。

 

「(我々魔族の国も、もっと育成に力を入れねば……)」

 

 下手に平和になったせいで、強さを求める者は少ない。別に強く無くてもある程度は生きていけるからだ。差別や貧困が根強く残っては居るものの、直接殺し合いで死ぬ事が無くなった。故に弱者は弱者のままで居られる。良い事だ。良い事なのだが……有事の際に強い者が居なくてどうすると言う話になる。

 

「(この争いが収まった時代に強くなるには、奴らのような頭のネジが外れた者で無いと難しいか……)」

 

 強くなるには確かに才能が必要だが、何よりも大事なのは【強くなると言う欲望】だ。必死さと言っても良い。理由はどうあれ、強くなりたいと思いながら戦い続ける者は……高みに至る。探さなければならない、我々もそのような人材を。人族なんぞに負けてはいられない。

 

『ギャァァァァァァァァァ!!!』

 

『プルルルルルルルゥ!?』

 

『クエェェェェェェェェェ!!!』

 

 ダンジョンからモンスターの断末魔と、とんでもない轟音が発せられる。……地下から聞こえるなんて、どんだけだよ。

 

「うむ! 耐久性は問題無いようだな!」

 

「騒音問題が発生してますがね……」

 

 地獄のBGMを爆音で聞かされながら、今後の魔族の事を考えると溜息しか出なかった。

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