ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】 作:1パチより4パチ派
「……むぅ」
「あ? 何だよ。喧嘩売ってんのか?」
「自意識過剰なのですね。別に売っておりませんが? 仮に売っていたとしてもセラフィナ様にそれを買いませんよね? だって買うのでは無く強奪するのですから。なんて野蛮極まりないのでしょうか」
「テメェ……いや、ただの負け惜しみか。精々主人の命令通り留守番やってろよ。そんくらい出来んだろ? それともこんな簡単な命令も出来ないほど性能低いのか?」
「自宅を守ると言う事はそれ即ちここがマスターの帰る場所と言う事です。つまりマスターは自分の居場所を私に託してくれた訳ですね。悪態つきながら戦闘要員として連れて行かれるお方には分からないかもしれませんが……」
「んだテメェ!!!」
「何でしょうか???」
「お前ら仲良くしろや! もう家出るんだぞ!」
爆音量テレビな2人を諌めつつも、荷物の再確認をする。1番怠いのが装備だ。剣も鎧も死ぬほど嵩張る。いくら転移魔法で行くとは言え、邪魔なものは邪魔だ。
「やはりウォルタリアですか。私も同行します」
「ダメ。いくら自力歩行出来るようになったって言ってもダンジョン潜る以上お前に出来る事は今回は無い。大人しく留守番してくれ」
「本来私はダンジョンで戦う為の存在なのですが」
「それはそれ。これはこれ。俺らのペースに着いて来れないだろ。家の掃除でもしといてくれ。大体で良いから」
「……ご命令とあれば」
「あと暇だろうしネトフリ加入しといてやったから」
「いくらでも待てます。任せてください。評価の低いクソ映画を片っ端から見てますから」
「何? お前YouTubeにレビューでも投稿するんか? 苦痛は味わいたく無いけど感想だけ気になる視聴者達の人柱になるのがブーム?」
「ゴーレムなので土柱ですね。土の呼吸使っても良いですか?」
「お前呼吸の必要無いだろ」
後なんか岩の呼吸の劣化っぽいし。しょうもなさに溢れた会話を打ち切って電話をかける。相手はオピスだ。
『もしもーし。何かな?』
「LINEで伝えたけど俺とセラフィナ家開けるから。ロールの様子たまにで良いから見てくれよな」
『良いよー。合鍵持ってるしね。丁度ロールのメンテナンスしとこうかなぁって思ってたからさ』
「そうか。ならタイミング良かったな」
「(合鍵に関してはもう何も言わなくなったなコイツ)」
『じゃあ頑張ってー。お土産よろしく。帰って来た時に素晴らしいクソを見せてあげるね!』
「うん本当にいらない。LOVEPHANTOMくらい要らないって叫びたい」
世界の貴重な資源が価値の無い存在に変換される予約がされつつも電話を切る。そろそろ時間だ。
「じゃあロール、頼んだぞ」
「はい、行ってらっしゃいませ。マスターが帰るまでしっかりこの家を守ります。現地妻作ったらダメですよ」
「オピスに頭部のメンテナンス重点にやってもらえよ」
「コイツの思考ってコアだから頭スカスカだろ」
「頭が小さい分脳も少ない方に言われましても……」
「「……………」」(メンチの切り合い)
「うっふ〜〜〜ん❤️ぽんぽん痛いのぉ〜ん❤️助けて〜〜〜ん❤️」
胃痛に悩みながら、俺とセラフィナは家を後にした。ロールの奴、テレビ見てたせいで映像作品にハマったのかな。そのうちサメ映画見始めそうで嫌だな。
「あんのゴーレム……腹立つわー」
「俺としては早く仲良くなって欲しいんですけど無理そうですか?」
「あの馬鹿が煽ってこなけりゃ良いんだがな!」
「うーんパワハラ期間長すぎて敵対心へばり付いてるからなぁ……」
俺とオピスくらいだろう。ロールが素直に言うこと聞くのは。俺より喧嘩っ早いセラフィナとの相性は最悪。ムシキングだったら技相性△間違い無しだ。
「まぁおいおい改善すると言う感じで頼むわ。じゃあ行くか、途中ゴレットのとこ寄らないといけないし。修理終わったらしいから」
「相変わらず仕事早いなアイツ」
「死ぬ程怨嗟の声叩きつけられたけどな」
『受け取ったら2度と来んなよ気狂いマン』とまで言われてしまった。今回で記念すべき100回目の出禁宣言である。次頼んだら101回目だ。また頼もう。
◇
「だからさぁ。逃げないわよ。何回も言ってるでしょ? 加藤がなんかやる気出しちゃった以上私もやらないとダメだし」
「お前には前科があるからダメだ。……彼奴の事だが、いつもあんな感じなのか?」
「久しぶりに会ったけどちょっと変わったかも? 2年前はもっとギラギラしてたんだけどねぇ。少し落ち着いたわね。老化?」
「あれで落ち着いたに入るのか!? 全盛期はどれだけ酷かったと言うのだ!」
「全盛期はー……目が常時イッてて語尾がダンジョンになって宝箱で高レア引く度に叫声あげながら次のモンスターをバラバラにしてたわね」
「……どうやら貴様達のヤバさ加減を甘く見ていたようだ。貴様達がこの国のトップチームじゃ無いのはその狂い様が原因か」
「私達基本的に国の言う事聞かないからね。何回か国が契約しないかとか言ってきたんだけど全部無視したし。我が強いのしか居ないからやりたく無い事は本当にやらなかったわね〜」
「貴様らが捕まっていないのが不思議でならんのだが」
「捕まるような事はしないわよ。ラインギリギリで反復横跳びするのが得意なのよ私達」
「いや飛び越えてるでは無いか! それも複数回!」
「やっべ! 今の無し! 今の無し!」
「相変わらずバカやってんな」
「あ、セラ。加藤も来たわね」
セラフィナとポータルに向かうと既にゲルダリアと騎士団長のライラが待っていた。時間には間に合ってるから遅刻では無い。
「来たな。やたらやる気があるのが気味が悪いが……猫の手でも借りたい現状、贅沢は言ってられん」
「任せろ。ここから俺の信用成り上がり伝説が始まるからな」
「おい、コイツは昨日から何を言っているのだ。理解出来んぞ」
「諦めろ。もうコイツの頭の中で完結しちまってるから何言っても無駄だ」
「凄まじく後悔の念が襲ってきた。そこのゲルの話に乗ったのが間違いだったか……」
「いや私悪く無いし。嘘は言ってないし。こうなるなんて予想外だし。はい論破」
「議論すらしてないのに論破して満足するな! ネットのしょうもない連中みたいな事しおって!」
ライラが何故かキレてるので適当に落ち着かせながら、ポータルの予約時間を待つ。今日は……30組も居るのか。職員は大変だな。
「にしてもポータルの料金ってまた上がったんだな。前は近い距離なら1人3万で行けた記憶があるんだが」
「あぁ? ニュース見てねぇのか。何でも【
「マジか。確かに【転門】ってバカみたいに魔力使うもんな。だとしても2倍はやり過ぎな気もするけど」
でも【転門】を使える奴自体激レアな世の中だ。ただでさえ魔力を大幅に喰う以上、体と精神への負担が大きいのに安い給料じゃやってられんと言うのは分からんでも無い。普通の人族や魔族は魔力が尽きかけたら寝込むレベルだし。高木? あれ普通じゃないから……。
「そう考えると飛行機って安いよな。時間掛かるし墜落リスクあるけど」
「燃料が安いからね。全然使わないから駄々余ってるもの。でもポータル値上がりしたなら逆に車が売れるんじゃ無い?」
「どうだか。少なくとも俺は免許無いし買う気無いわ」
「…………」ソワソワ
「おい何ソワソワしてんだ? 貧乏ゆすりダセェから辞めろよ」
「いや、実はもう1人来る予定があってな……まだ来てないが」
「もう1人? 誰よそれ」
「日本のダンジョンからは高レアのアイテムが多くドロップしていると話を聞いてな……自国のダンジョンよりもしかしたら【清浄なる神樹】が手に入りやすいのではと考えて派遣した者だ。結果はダメだったがな……2年ほど派遣して空振りだ」
「多くドロップしてるって、それ私達が潜り過ぎて単に試行回数が多かっただけなんじゃない?」
「じゃあそいつが日本に飛ばされてたのはアタシらのせいって事か」
「違う! 俺らのせいじゃない! 人のせいにするな! ドロップしないのはそいつの運が悪いせいだ!」
「爆速で人のせいにしてるじゃない」
これ以上俺らの咎を上乗せしてくるのやめて欲しい。別に良いだろダンジョン潜りまくったって。いや一部のダンジョン独占みたいな事してたけど! でももう時効だろ! 2年経ったぞ! もう良いじゃん!
「も、申し訳ありませーーーん!」
「ん、来たみてぇだぞ」
「……なんか聞き覚えある声なんだが」
「遅刻だぞ! 何をやっているアナンタ!」
凄まじく胸部装甲を振り回して向かってきたのはセラフィナとデートした時に唐突にポップした訳分からん竜人族、アナンタだった。……コイツが派遣されてたのかよ!
「ハァ……ハァ……ちょ、ちょっとやらなければならない事があったので……面目ありません……」
「全く……時間に間に合ったから今回は許してやろう。だが王妃様のお気に入りだからと言って、私は甘やかさんからな!」
「は、はい! 以後気を付けますわ! ……あら?」
ライラに平謝りしていたアナンタが不意に顔を上げてこちらに視線を向けてきた。主に俺とセラフィナ。
「純愛推しカプ来たぁぁぁぁぁ!!!」
「は? おいアナンタ!何を言って──」
ライラの言葉が聞こえてないのか。目にも止まらぬ速さでセラフィナに駆け寄って両手を取る。
「お久しぶりですわ! お元気でしたかセラフィナさん! 加藤さんも! こんな所で会えるなんて
「やばい! バカの献立みたいな語彙で捲し立ててきたぞ!」
「な、何なんだテメェ! ちょ、前からそうだがどっからこんな馬鹿力出てんだ!」
「私気になり過ぎてこの木なんの木、木ィィ原くゥゥゥゥゥゥゥゥン!!」
「ボケの
暴走するアナンタをセラフィナから剥がそうと手を伸ばす。その瞬間、アナンタは俺の方を勢いよく振り向いた。
「あ、申し訳ありません! つい興奮して──」
ブゥォォォン!!!
「え?」
振り向いた勢いでアナンタの爆乳があり得ない風切り音を立てながら振り払われた。当然、そのデカ乳は伸ばした俺の腕に当たり──。
ボキャキャ!!
「腕がァァァァァァ!!!!!」
「え? ど、どうなさいましたの?」
「どうなさいましたの? じゃねーよ!!! テメェが爆乳
「完全に逆にイッたな」
「え? 私の胸が加藤さんの腕を? そんな馬鹿な事ありませんよ。胸ですよ?」
「見ろぉぉぉ! その曇りなき眼で! お前の胸に付いてる破壊の化身、その行いを!!!」
「まずは腕を治した方良いんじゃないかしら」
そうだった。怒りで治す事を忘れていた。必死こいて腕に【治癒】をかけて治す。おかしいな、中級程度のモンスターの一撃ならかすり傷すら付かないんだけどな。つまりアナンタの爆乳は中級モンスター以上と言う事だ。討伐依頼はどこですか?
「おいおい……何で1日に2回も会わなきゃならねぇんだよ……」
「ん? ゴレット? お前何してんの?」
「いや普通にポータルで転移する予定あるんだよ。てか何でお前腕折れてんだよ。アホか」
「そこのおっぱいが傷害罪かましてきたんだよ! 俺のせいじゃねぇ!」
「乳が腕折る事なんて無いだろ」
「なっとるやろがい! な っ と る や ろ が い !!!」
「まぁ何でも良いから退いてくれよ。もう俺の予約の順番なんだわ。戦いに遅れる」
「ああ、悪い。またな」
ゴレットが横を通り過ぎてポータルの方に向かう。戦いって何だろう。よし、丁度腕が治った。今日は俺の名誉を挽回するのだ。こんな所で余計な事してられん。
「ふん。何だ貴様ら。ゴブリンなんぞと親しくしているのか」
「……あぁ? 何だ急に」
「あの連中がどれ程畜生だったかを忘れているようだな。いや、知らないだけか。人族はまともな教育をしてないらしい。全く……アホな事に満足したら時間まで大人しくしていろよ」
何だコイツ。今の時代に表立ってゴブリン差別かよ。そもそもゴブリンが奴隷だったのなんて大昔だろ。畜生たって、それ主人が命令した事だし。なんか腹立ってきた、嫌味の100個くらい言って泣かしてやろうかな。
「!!! ラ、ライラ様! 今の言葉は訂正してください! 酷過ぎますわ!!!」
ライラに送る100の罵声を考えていると、アナンタがライラに駆け寄る。表情を見るに怒っているようだ。ライラは既に待機所に向かって歩いている。流石に同じ種族だからか、アナンタに言葉を返そうと振り向くが──。
「あ! ハンカチを落としてしまいましたわ!」
ブゥォォォン!!!
「何?」
ライラに追いつく直前で落としてしまったハンカチに気付いて反転した。当然抑えられていない暴れ馬は空間を削り取る勢いで振り回されて、足を止めていたライラに向かって振るわれる。俺の腕すら破壊した一撃だ。当然ライラは──。
ドゴシャア!!!
「ボッファァァァァ!!!」
巨大な鉄球にぶち当たったような声をあげて体ごと吹っ飛んでいく。その方向は、丁度【転移】で移動するゴレット。ゴレットが門をくぐった後、閉じられる直前で吹っ飛んでいったライラは──。
「「「「あ」」」」
そのまま門に吸い込まれるように入ってしまった。
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⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ⭐︎ ハハッハンハハッハン♪
だいのうえのゴブキング
マイスコア✖️0 ⭐︎
ゴブベイのせんじょう ────────────────────
「何処だここはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「ん? お前加藤達と一緒に居た竜人族じゃねぇか。何してんだ?」
「大型トラックに轢き飛ばされたような感覚が……いやそうでは無い! ここは何だ! だだっ広い会場にゴブリンしか居ないでは無いか!」
「ここか? ここは
「は!? 何を言っているんだ!?」
『ギヒヒヒ! ショウブ! ショウブ!』
『ベイヨコセ! ベイヨコセヨ!』
「不味い! 闇ブレーダー達が来たぞ! 早くベイを構えろ!」
「な!? べ、ベイブレードなんぞ持ってないぞ!」
「じゃあ何しに来たんだお前! 仕方ねぇ! 俺の予備を貸してやる! 丁度タッグマッチだ! 行くぞ! ゴーシュート!」
『『ゴーシュート!』』
「分かった! 私が悪かった! 見下したのを謝る! だから帰してくれぇぇぇぇぇ!!! ゴーシュゥゥゥト!!」
戦争とみずびたシティーが嫌いです