ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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投稿頻度が下がってるってはっきりわかんだね。
色々ゴタゴタしています。すいません。


おしゃけ無いの!? おしゃけどこ!?

「戦友よ、ありがとう。お前と会えなければ祖国に帰って来れなかった」

 

「なぁに。気にすんなよ。お前のベイ捌き悪くなかったぜ」

 

「アイツら遅れてきたと思ったら何で仲良くなってんの?」

 

「アタシが知るかよ」

 

 ウォルタリアに先に着いて、勝手に移動する訳にも行かないのでポータル屋の待合室で待っていると漸くライラがポータルでウォルタリアに来た。何故かゴレットと一緒に。互いに固い握手した後、門に引き返して去っていたゴレット。それを見送るライラ。何コイツら。訳分からないんだけど。

 

「ラ、ライラ様……申し訳ありません……」

 

「何、気にするな。お前のお陰でかけがいの無い友ができた。ありがとう」

 

「何コイツ、反転し過ぎだろ。オルタ化でもここまで変わらないぞ」

 

「コイツ絶対海外留学チョロっとしただけで人生観変わりました! とか思い上がるタイプよ。私には分かるわ」

 

「しょっぺぇ大学生かよ」

 

 俺達3人の言葉なんぞ聞こえてないようで、何故か手に持っているベイブレードを大切に懐にしまうライラ。さっぱり訳分からない、何でそんな世界救ったみたいな表情してるんだろうか。

 

「さて、随分と待たせたようだな。悪かった、早速だが王妃様の所まで連れてくるよう言われている。着いてこい」

 

「いや別にそれ自体は良いんだがもう4時間経ってるぞ。王妃待ちぼうけ食らってキレてるんじゃね?」

 

「……アナンタ。王妃様に連絡は……」

 

「し、しておりませんわ。私はてっきり加藤さん達を宿に案内するのだとばっかり……」

 

 ライラは無言で自身のスマホを確認する。俺含めた全員で覗いてみると、メッセージが100件溜まっていた。書いてる内容は様々だが、要約すると『お前今どこにいる?』になる。どんどん青ざめていくライラに少し同情心が出てきた。

 

「す、少し王妃様に連絡を取るから待て……」

 

「まぁ……取り敢えず開口一番謝った方が良いぞ」

 

「もしもしとか言う前に謝った方良いわよね」

 

「いざとなったらスライディング土下座も視野だな」

 

「……善処しよう」

 

 そう言って電話する為にライラは離れて行った。哀れな……。

 

「うぅ……やらかしましたわ……」

 

「あー、大丈夫だろ。多分。知らんけど」

 

「誰にだって間違いはあるものね! だから私がショタにちょっかいかけるのも許してね!」

 

「黙れ原材料洗濯のり。スパンコール混ぜてASMR動画にすんぞ」

 

「消費型コンテンツにしないで! 長く愛される存在でありたい!」

 

「お前の見た目でそれは無茶だろ」

 

「セラ! それは流石に無いわよ! 絶世の美女の見た目! セクシーダイナマイトボディ! ゲルダは可愛いスライムでしょこんなの!」

 

「見た目をいくらでも可変出来るのに現在の見た目に価値なんざ無いだろ」

 

「何でぷにるは良くて私はアウトなのよ!」

 

「アウトじゃなくてコールド負けだ。さっさと土持って帰れ」

 

 アナンタを励ましながらゲルダリアをこき下ろす。正直怒ったは怒ったが、あれくらいなら2年前までだったら日常過ぎて引き摺ってられない……あれ?

 

「やべぇぇぇ! 思考が! 思考がどんどん以前の俺に戻ってるぅぅぅ!!!」

 

「ふふふ……残念だったわね加藤。探索者から抜け出そうとするアンタを引き止める私や高木達の新たな作戦。それは『以前のノリに巻き込みまくれば流されてくれるだろ、加藤ゴミちょろいし』作戦よ! 上手く行ってるようで何より! ほーんとチョロ甘ちゃんで助かるわ〜。可愛いね♡ 逃げられると思うなよ

 

「ネーミングセンス交番に届いてないか聞いて来いや! 乾燥剤の山に叩き込むぞテメェ!!!」

 

「セ、セラフィナさんは怒っていませんか? 私加藤さんを怪我させてしまったのですが……」

 

「あん? あんなの別に普通だろ。一々気にしてられるかよ」

 

「怪我させた私が言うのも何ですが、どんな日常送っていらしたのですか?」

 

 殺伐、かなぁ……。散々喧嘩もしまくった。道のど真ん中でやった事もあったなぁ。乱闘騒ぎだって警察呼ばれて怒られたし。あゝ、我が黒歴史。特異点として修正出来ないかな。

 

「ん、どうだった。怒られたか?」

 

「……ひたすら優しい声で無事で良かったと言われた」

 

「いっちゃんキツイやつだなそれ」

 

「心の底から心配させた結果がベイブレードじゃ王妃も浮かばれないわね」

 

「ご健在だバカゲル! ……さて、王城に行くぞ」

 

「背中が煤けてるぞアイツ」

 

「うーん、ちょっと可哀想だと思う」

 

「だ、団長ぉ〜……ごめんなさぁい……」

 

◇ ◇ ◇

 

 ポータル屋から出てウォルタリアの街並みを今更ながら確認する。通路の至る所に水路があり、綺麗な水が流れている。海に囲まれている島国での生活用水を担っているのだが、常に清潔さを保っている。これがウォルタリア全域で整備されている自慢の水路という訳だ。……ってネットに書いてある。

 

「しっかし街並みが……なんつーか古いな。車道どころか車すら無いじゃねぇか」

 

「当然だ。ここウォルタリアの首都アクアスは前魔王の時代から続く由緒正しい街並みを維持している。他の国のように便利さに囚われて、美しい街並みを崩すような事はしない」

 

『お会計はどうなさいますか?』

 

『あ、PayPayで』 ペイペイ♪

 

「おい、由緒正しい街並みで由緒正しい電子決済が行われているんだが」

 

「便利さには勝てなかったよ……」

 

「即落ち2コマもビックリね」

 

 どうやら近代化はしっかり進んでいるようだ。その内呼び込みくんがあちこち置かれても不思議じゃ無い。

 

「……久しぶりの街並みですわ」

 

「そういやアナンタは日本に派遣されてたんだったな」

 

「そうですわね。丁度加藤さんが探索者を辞めた頃に……何で辞めたんですの?」

 

「己の過ちを終わらせる為かな」

 

「現状はどうなのですか?」

 

「ちょー不愉快」

 

「逆北島康介!?」

 

 現状何も上手く行っていない。ギアススクロールは手に入れたけどまだ俺とセラフィナしか署名してないし、そもそも高木のアホがすり替えなんざやらなければ必要ない物だったし。医者行ったら薬増やされたし。前の記憶飛んだ新薬はもうダメって言われたし。何? 俺の人生ハードモード過ぎんか?

 

「そろそろ城に着くぞ。礼節を弁えるように」

 

「流石に王族前にしてバカやらんぞ」

 

「魔王は良いのか?」

 

「あれはタダのパチンカスだから良い」

 

「魔王ってパチンカスでしたの!?」

 

「うわーマジ? 見たかったなぁ……あ、でもオピスはビビってそう。アイツの実家って確か魔王国の辺境伯よね?」

 

「辺境伯の息子が俺らとつるんでバカやってて許されるとか世界って優しいんだな」

 

「弁えろと言ってるだろ! もう城入るんだぞ!」

 

 ライラに叱られながら門を潜る。中は清掃が行き届いた綺麗な内装。地味に城なんて初めて入った。長い廊下を直進して階段を登ると、いかにもな大扉を門番2人が警備していた。

 

「騎士団長! ご帰還ですか」

 

「うむ。王妃様に謁見したい。この者達は例の連中だ」

 

「了解しました。今開きます」

 

 扉が両脇に開かれていくと、レッドカーペットの先の玉座に座っている女性の竜人族が居た。座っているのを見ると、羽と尻尾が邪魔そうだ。

 

「良かった……ライラ。戻って来たのですね。予定時刻が過ぎても連絡すら取れなくて困っていました」

 

「も、申し訳ありません! アナンタ並びに奉仕活動中のゲルダリア、その仲間の者2人を連れて参りました!」

 

「そう……。アナンタ、久しぶりですね。会えて嬉しいです。元気でしたか?」

 

「は、はい王妃様! 定期連絡ではマトモな成果を報告出来ず、申し訳ありません! 次こそは……!」

 

「ありがとうございます。貴女にも出来る仕事があるから、それをお願いね。それでそちらの方々が……」

 

「加藤です。こっちはセラフィナ。このショタコンスライムのやらかし拭いに来ました。話は聞いています。この国難、我ら【自我中心】にお任せください。そして活躍した暁には! リーダーの俺が! めっちゃ活躍した暁には! どうか国でそれを喧伝して下さい! その為だったらダンジョン潜りまくりますよ俺は!」

 

「それが目的かよ……」

 

「だからあんなに乗り気だったのね。自分の風評良くする為に」

 

「コイツスーパー利口主義では無いか……」

 

 うるせぇ黙れ。何言われようと今の俺には効いたりしない。そもそもの話、ゲルダリアが国中のショタに手を出したせいだし、俺はその尻拭いしに来ただけ。リーダーとして。だから加奈子さん、もしこの事知っても怒らないで下さい。俺悪く無いんです、マジマジ。

 

「何と頼もしい……! では早速ですが頼みがあるのです。報酬は……」

 

「いえいえ。元より金には困っていない上、これは償い。報酬なんてものは必要ありません」

 

「うわー調子こいてるわーこれ。見なさいよセラ。あれがアンタが惚れてる男の顔よ?」

 

「逆にある程度株下げといてもらわねぇと虫が増えるからあれで良い」

 

「ぐうぅぅぅ! じゅ、純愛ゲージフルカスタムオールゲージネクストラブですわぁぁぁ!」

 

「言葉としての体裁を保った方いいんじゃ無いかしら」

 

「貴様らは礼節を保てぇぇぇ!!!」

 

 ◇ ◇ ◇

 

「加藤の奴何してんのかねぇ」

 

「支部長、差し入れです。どうぞ」

 

 ジュッ!

 

「ほわちゃぁぁぁぁぁ!!! 僕の額がグレンラガァァァン!」

 

「2時間前から何一つ仕事進んでいないのですが? 何ですか? やる気無いんですか? いっぺん死にますか? 死ぬ気弾撃ちますか?」

 

「俺死ぬ気丸の方が良い。楽そうだし」

 

「そうですか。ではどうぞ」 ポイッ

 

「うん、これホウ酸団子だよね。事務所の駐車場に置く用のヤツだよね」

 

「生命力ゴキブリの支部長になら丁度良いかなと」

 

 そろそろドラツの機嫌が限界だ。サボるのを辞めて働くかぁ。適当に書類にハンコを押すと言う俺である必要性皆無の仕事をこなしていく。

 

「所でお手紙が届いていますよ」

 

「またぁ? 国からぁ? もう良いって。流石にワンパ過ぎるだろ。最後のガラスぶち破って手紙が入ってくるとかしてくれないとなぁ」

 

「恐怖新聞と覚醒ヒロイズム混ぜないで下さいよ。国からじゃなくて本部からですよ」

 

「本部? んーじゃあ読み上げてくれ」

 

「どう読みますか?」

 

「書いた奴の感情を代弁する感じで」

 

「えー……『おいクソハゲ。お前何考えてんだ、こんな量のアイテム1度に市場流すとか頭おかしいのか。完全に現場パンクしてんだよ、その苦情全部こっち来てんだよ分かってんのか馬鹿。他国からもアイテムこっちにも流してくれとか来てんだぞ。当然のようにAランク以上のアイテムを大量に取ってくんじゃねぇよ。何だよあの数。春のつくしでももう少し自重するわ。頭皮剥がれてくたばれクソハゲ』──以上です」

 

「それ原文そのままだろ。書き方的に分かるわ」

 

 オーゥ! ナンチューコト! スッゴイカワイソ! 完全にブチ切れてるみたいだ。オモロ。鼻くそつけて送り返してやろ。

 

「てかさ、俺としては感謝されるレベルだろ。無料だぞ? 無料でアイテム供給して高過ぎる相場下げてやったのに何でキレられるんだろうな」

 

「喉乾いた人に窒息するレベルで天然水ぶち込んだら死にますよ」

 

「それくらい耐えれない方ダメじゃね?」

 

「バケモンと人を比べるのは良く無いと思います」

 

 俺バケモンだったんだ。あんま自覚無いな。体半分になっても回復するくらいなのに。

 

「それでお手紙は以上?」

 

「手紙は以上ですが……1つ気になる事が」

 

 そう言ってドラツが差し出して来た物を受け取る。これは……取引所のリストか。

 

「これが何? 俺達『自我中心(エゴイスト)』の功績が書かれてるのか?」

 

「特殊取扱い類の箇所を見て下さい」

 

「えー…………は? 何だこれ」

 

 言われた通り見てみると、明らかにおかしい。このリストには国内の全ての取引所にあるアイテムや道具類が載ってある。そう、在庫がある物しか書いていない。

 

「……霊酒が消えてる。どこにも無ぇ」

 

「はい。国内全ての取引所で霊酒が在庫切れです。複数銘柄がありましたが、全て例外なく」

 

「おかしいだろ。日本に精霊族や妖精は数少ないんだぞ。それがこんな一気に無くなる訳無ぇだろ」

 

「ですが事実として無くなっています。日本で作られていない輸入品の霊酒が全て」

 

 霊酒は俺ら人族や魔族のような肉体を持たない不安定な種族が飲む酒。その為製法が非常に特殊で、日本じゃまともな手段だと作る事ができないし取り扱いに関してもかなり厳重になってる。まぁ海外から取り寄せた馬鹿が前やらかしたが。

 

「…………」

 

「支部長、どうしますか」

 

「ちょっと待て。電話する」

 

 スマホを取り出して電話をかける。数コールしたのち、胡散臭い優男の声が聞こえてきた。

 

『どうしました高木さん。加藤さんが何かやらかしましたか? それともクォーツ関連ですか?』

 

「鶴岡、頼みあんだけど。あ、ガチな?」

 

『……何でしょう』

 

「お前の信者って海外にも居たよな? 魔族しか居ない国とかにも」

 

『ええ、私が宗教の教えは世界に羽ばたいていますよ。ちなみに日本は全国に拠点があります』

 

「そのうち日の丸がどんどんデカくなって白を塗りつぶしそうだな。海外の信者に取引所で霊酒置いてるか聞いて欲しいんだが」

 

『分かりました。ですが早くても連絡は明日になると思いますが』

 

「それで良いわ。よろしく」

 

 言うだけ言って電話を切った。デスクの引き出しから1枚の書類を取り出す。数日前に警察と【勇者の集い】が不正手段で霊酒を密蔵していた組織を潰した時の報告書。

 

「……偶然にしてはあからさま過ぎるな」

 

 誰だか知らんが、俺の、俺達の遊び場(ダンジョン)潰そうってんなら……容赦しねぇぞ。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、酒関連で思い出しましたが支部長が隠していた酒は全てスタッフの方達に分配しました。なのでもう1瓶もありませんよ」

 

「どぼちてそんなことしゅるのぉぉぉぉぉ!? うわマジじゃん!」

 

「支部長の仕事押し付けられまくったストレスでやりました。1ミリも反省していません」

 

「でしょうねぇ! ゆんやぁぁぁぁぁ!!!」

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