ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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沢山の評価ありがとうございます
期待に応えれる話を書けるか不安ですが、読んで貰えると嬉しいです
感想の方もありがとうございます、読ませていただいています


性癖真ん中ストレート(165km)

 

「27!? 嘘ですよね!? 小学生ですよね!? 加藤さん捕まるのが嫌だからって嘘はダメですよ!」

 

「いやマジなんですよ加奈子さん、コイツ……セラフィナは27歳、俺と高木の一個上です」

 

 ひとまず加奈子さんに警察を呼ばれる事は阻止出来た俺は、説明をする為に彼女を家にあげた。

……この数日間で俺の家にどんだけ人来るんだよ、誘引剤でも置いてんのかこの家。

 

「こ、こんな見た目の子が私より8歳も年上……」

 

「おい、さっきから聞いてれば何なんだよお前。人を見た目で判断しまくりやがって、差別主義者か?」

 

「い、いやそんな事は……」

 

『まぁハーフサキュバスだからなぁ、正直レアな種族だと思うぞ』

 

「アタシはハーフどころかクォーターだけどな。サキュバスの特徴大して引き継いでねぇし」

 

 ハーフサキュバス、人族と魔族の争いが終わりを迎えた辺りの混乱が多い時代に生まれた人族と魔族のハーフだ。

基本的に人族と魔族が子を成す事はほぼ不可能なのだが、唯一の例外というやつである。

戦いが終わってハイになった連中がやる事やった結果なので、平和になった今だと数が少ない。

 

「ハーフなのが体の小ささに影響あるんですか?」

 

「本来交わらない種族同士なのに何故か混ざっちまったから正常じゃ無いんだとよ、アタシらは。その影響で同族は皆小せぇよ」

 

 棒付きキャンディを舐めながら加奈子さんの質問に答えるセラフィナ。

彼女は非常に吊り目なので本人にそんなつもりが無くても睨んでるように見える。

服装に関しては、説得の結果何とか自分の服を着せる事に成功したので胡座をかかれても問題ない、無いのだが……。

 

「セラフィナ、お前寒くないか?」

 

「ちゃんと服着ただろ、心配してんのか?」

 

「いや薄着過ぎるだろって言ってんだよ」

 

「じゃあお前の肌であっためてくれよ」

 

「話進まないんだけど、会話の進行キー逆入力してる?」

 

「お前が決定ボタン押してねぇだけだろ、選択肢は出てんだぞ」

 

「選択肢全部同じなんですけど、選択の余地を持たせてくれよ」

 

 セラフィナの今の格好は酷い。

くっそ薄いタンクトップにこれまたくっそ短いショーパンとか言う真夏じゃなきゃ許されないような服装だ。今春だぞ。

もっとマシなの無いのかと聞いたが、見せてもらった服の1番マシなのがこれだったのだ。

俺のジャケット羽織れって言っても聞かねぇし。

つーか当然のように自分の生活用品大量に持ち込むの辞めてくんないかな。

 

「まぁそう言う訳で決して小学生を連れ込んで全裸にしていた訳じゃ無いんです。なので通報はやめてください」

 

「すいません早とちりしてしまって……良かった、連れ込まれてひみつさわさわされている子供は居なかったんですね」

 

「秘密さわさわって何だよ」

 

『DLsiteでしか聞かない単語出てきたな』

 

「それで……セラフィナさんは加藤さんの探索者時代の仲間……で良いんでしょうか」

 

「違ぇよ、コイツの女だ」

 

「幻覚見えてるのかな?」

 

 誰の許可を得て俺の彼女ヅラしてるんだろう。

普通俺の許可が無いとダメだよな?

 

「はぁ? 加藤、お前ふざけてんのか? 今更逃げようたって無駄だぞ。探索者辞めるって言った時はお前の意思を尊重してやったが結局ダンジョン潜ってるじゃねぇか。2年前の送別会を無碍にしやがって」

 

「いやあれ送別会じゃないだろ、ひたすらに馬鹿笑いして『無理無理w』って言ってる奴らと俺を罵倒して止めようとしてた奴らしか居なかっただろ。送り出そうとしてる奴皆無じゃん」

 

「その後アタシがサシで飲んでやっただろ」

 

「飲兵衛の竜人族ですら酔い潰れる竜酒を無理矢理飲ませてきただけだろ! お前飲んですら無かったし!」

 

「え、そんなの飲んだら酔って動けないんじゃ……」

 

「ああ、だからホテルに連れてって1発かました。ツバ付けとかねぇといけないからな」

 

「お前は絶対俺に言うべき事がある」

 

「気持ち良かったぞ」

 

「謝罪をしろぉぉぉぉぉ!!!」

 

『ノータイムで言うって事はよっぽど良かったんだろうな』

 

 聞いとらんわ感想なんざ!

畜生、あの時のセラフィナの笑顔に騙された!

何が『反対だが、お前の意思を無視したくねぇ……だからせめてサシで飲ませろ。それで良いから』だよ! 俺も強引に辞める負い目があったからホイホイついて行っちまった!

その結果がこれだよ!

 

「え……つ、つまり加藤さんとセラフィナさんは……すやすやエッチしたって事ですか!?」

 

「さっきから何なんすかその隠語」

 

『これもうDLsiteの回し者だろ』

 

 さっきから隠語の部分だけやけに感情込めてるし。

何が彼女をそこまで興奮させているのだろうか。

 

「……でも冷静になったら普通に犯罪ですよね? 警察とかに相談しなかったんですか?」

 

「あー……いや……ほら……仲間だし……? 苦楽を共にした大切な仲間をムショ送りにするのはなーって思ったり……」

 

『嘘つくな。加奈子さん、加藤の女の好みは気が強くて口が悪くて吊り目の体が薄い女なんすよ』

 

「完全に役満じゃないですか!!!」

 

「おい待て高木! どこにそんな証拠があるってんだ!」

 

『お前の元カノもクッソ気が強かったし貧乳だろ。後お前、呑み会で酔っ払う度に隣に居たセラフィナの尻触ってたの知ってるからな?』

 

「やっぱりおさわりマンじゃないですか!!!」

 

「アタシは別に良かったけどな、おもろいし」

 

「すいません警察呼んでください! そして俺を連行してください!」

 

『立場が完全に入れ替わってて草』

 

 基本的に俺は酔うと何かしらやらかす。

今は反省を込めて酒は一滴も飲んでいないが、過去の酒乱は消える事は無い。

過去が俺を責めたててくる、誰か助けてくれ。

 

「えー……聞く限りなんでセラフィナさんが加藤さんの事好きなのか全然分からないんですけど……」

 

『確かに、俺も理由の方は聞いてなかったな。態々聞かなくても良いかって思って』

 

「あん? アタシが加藤に惚れた理由? 別に教えても良いが少し長いぞ」

 

「じゃあ辞めよう、仕事もある。今日の所はセラフィナは合鍵を俺に渡して荷物を纏めて家に帰る、俺は仕事に行く。それで良いじゃないか」

 

 そう言った瞬間、セラフィナは自分が舐めていた棒付きキャンディを取り出して俺の口に凄まじい速度で突っ込んで来た。

当然キャンディは俺の喉奥にダメージを与えてくる。

 

「カハッ……! 俺のっ口内にあるっ軟口蓋から垂れているっ口蓋垂がっ!!!」

 

『喉ち◯この事を態々正式名称で言わなくて良いだろ』

 

「えーっとだな、まずはアタシの過去からだが……」

 

 

◇ ◇ ◇

 

 さっきも言ったがアタシはハーフサキュバス、要は人族から見ても魔族から見ても半端者だ。

人族と魔族の争い自体は終わったが、過激な連中にはまだ敵意の火種が燻ってる。

そんな状態でどちら側からしても中途半端に敵側に足突っ込んでるアタシらは、ちょうど良いストレス発散になったんだろう。

 

 結構な差別を受けたなぁ。アタシはこの性格だからさ、すぐ反発しちまうから余計に怒り買ってボコられてた。

当時は碌に戦えない雑魚だったしな、特に魔法が使えないのが致命的だった。

怪我隠すの大変だったわ。

 

 企業もさ、変にリスク抱えてまでアタシらハーフサキュバスを雇わねぇ。

それもあって結構な期間貧乏だったな、残飯漁った事もあるぞ。

よく腹壊してたわ、ウケるだろ。

 

「いや全然ウケないですけど……あのすいません、めっちゃ重いの来て面食らったんですけどこれ実話ですか?」

 

「これは俺も聞いたな。最近はかなり減ったけど少し前は人族は魔族への、魔族は人族への敵意がやばかったよな」

 

『俺らと7歳も離れてんなら知らなくてもしゃーないわな、ジェネレーションギャップだ』

 

「平和とは……」

 

 そんなアタシらハーフサキュバスが生き残るには、基本的に男に媚びるしか無かった。

私も親が男に媚びて生き延びた結果産まれたからな、捨てられたけど。

でもアタシは誰かに媚びて生きるのだけは嫌だった。

相手の機嫌を窺ってヘラヘラ笑って生きるなんて、そんなん死んでるのも同じだと今でも思ってる。

 

 ガキの頃は残飯漁り、ある程度成長したら日雇いバイトを転々としながら生きてきたから読み書き出来なくてよ、困ってたら偶々アタシを見かけたキャバクラ店長に声をかけられたんだ。

何でもサキュバスだけのキャバクラを作ったは良いが人手……つーかサキュバスが足りねぇってな。

ハーフどころかクォーターのアタシを雇うくらいには、全然集まってなかったな。

 

「一目見ただけでハーフサキュバスってよく分かりましたね……私セラフィナさん見ても普通の人間に見えます」

 

「サキュバスって女性には感じ取れないけど男には何と無く分かるんですよね、気配的なもので」

 

『フェロモンとかじゃなかったか? 正直あんま覚えてねぇや』

 

 まぁそんな店長に雇われてキャバクラで嬢やる事になったんだよ。

幸い顔は良いからな、アタシ。

ガキみたいな体も需要あるだろって事で。

実際、初見の客はそこそこアタシを指名したんだが……そいつら、全員アタシの事を完全に見下してたんだよな。

 

 見た目からクソ弱そうって思ってたんだろうな、どうせやり返されないと思われて色々言われたわ。

んでアタシがブチギレて客が逃げて終わり。

2度と指名は来ない。

こんなんのを繰り返してるうちに同じサキュバスの嬢からも攻撃されるようになってな。

囲まれてたせいで何も出来なかった。

顔だけは死守したけどな、そのせいで肌出せなかったけど。

 

「え、だからお前最初の頃いっつも長袖着てたのか?」

 

 そうだぞ、気付かなかったのか?

 

「全然気付かなかった……寒いのかとばっかり……」

 

「て事は、この後加藤さんが出るんですか?」

 

 ああ、ある日いつも通り店に出てたら変な2人組が店に入ってきてな。

多分大学生くらいの見た目の癖にやけに金を持ってた連中だった。

あの時のウルフカットとスキンヘッドは忘れられねぇな、ウルフカットの奴は死ぬほど酔っ払ってんのにスキンヘッドは平然としてたわ。

 

『完全に俺らの事だな、懐かしい』

 

「お二人の事……高木さんはお酒飲んでなかったんですか?」

 

「いや、高木はザルと言うか底がないバケツだから絶対酔わないんです。コイツが酔っ払ってるの見た事ない」

 

『褒めるなよ、加藤に褒められて嬉しいから朝だけど飲んじゃお』

 

「飲みたいだけですよね? それ」

 

 そうそう、2人組……加藤と高木が入ってきてさ。

店長が連中は金持ってるから複数指名取れるように声かけて来いって言ってキャバ嬢全員でコイツらに挨拶しに行ったんだよ。

指名No.1から人気な連中がどんどんコイツらに媚びまくってた。

 

 見てるだけでイライラしたけど変に言ってまた裏で殴られる訳にはいかねぇから黙ってた。そしたら酔っ払った加藤が何故か少し離れていたアタシに声かけて来たんだよ、他の嬢無視して。

 

【なぁ、アンタどうしたんだ?】

 

 あの時の加藤は変な意味じゃ無くて、単純にアタシが他と違って近付いてこないから言ったんだって後で聞いた。

でも当時のアタシは何故か加藤が嘲笑ってたように聞こえてさ。

 

【ウルセェ! 他の連中と一緒になってテメェら男に媚びてたまるか! ボケ!】

 

 後先考えずにそう言っちまった。

店内が一気に静かになってさ、店長がすっ飛んで来た。

 

【も、申し訳ありませんお客様!!! セラフィナ、何してんだお前ぇ!】

 

 店長も稼ぎ時なのに指名率ドベのアタシが台無しにしたと思ったんだろうな、事実だし。

そんで上から拳が降って来たんだわ、まぁそりゃ殴られるよなって自分でも納得してた。

そしたら──加藤が店長の腕を掴んで止めたんだ。

 

【……え、お客様?】

 

【なぁ……ここの店はさぁ……接客中に嬢に折檻するのが普通なのか? あぁ?】

 

 ついさっきまでは、顔も真っ赤で目も虚だった加藤が目だけは理性を取り戻してた。

そのまま店長をアタシから引き離して近付いて来た。

 

【何か気に障ったみたいだな、悪い】

 

【い、いや……】

 

【詫びになるか分かんないけどさ、一緒に飲まないか? 酌なんかいらねぇから、ただ一緒に飲むだけ。どうだ?】

 

【え……わ、分かった】

 

【あーそういう? わーった、じゃあ他は指名しないでおくか。酒だけくれ】

 

【は、はぁ……】

 

 加藤はアタシだけ指名した、高木も何を察したか知らねぇが何故か離れて1人で酒飲んでた。

 

【酒強いか?】

 

【……まぁまぁ】

 

【良いじゃん、どれ飲む? 金ならあるぜ、稼いだからな。今日は上振れたんだよなぁ】

 

 マジでただの雑談。2時間ほどしょうもない話して酒飲んで終わり。

浮ついた話も、媚びるような事も無く、ただ時間が過ぎた。

帰るってなって2人が会計した後、加藤だけ店長に話しかけてさ。

 

【さっきの子……セラフィナだっけ】

 

【は、はい! そうです!】

 

【次はもう少し涼しい服着てて欲しいな、見てるだけで暑いし】

 

【しょ、承知しました!】

 

 そう言って帰って行った。

加藤が涼しい服って言ったからアタシは長袖の服を着るのを禁止された。

大量のアザを店長に見つかって、他の嬢は死ぬほど怒られて減給。

アタシへの攻撃は、それっきり無くなった。

 

「……あの、ここだけ聞くと加藤さんが凄くカッコいいんですけど、さっきの女性の好み聞いた後だと……」

 

『キャバクラで自分好みの女見つけてテンション上がって話しかけたら何故か女が叩かれそうになったからキレただけだからなぁ』

 

「い、いや違う! あれはちゃんと殴られそうな女性を助けると言う真っ当な理由で怒ったわけで!」

 

「帰り際の涼しい服が良いなって……」

 

『怪我の事とか全然分かってない、単に好みの女の露出が見たかっただけって訳』

 

「うわぁ……」

 

「なぁ、俺の株価が暴落する音が聞こえるんだけど、こっから入れる保険ってあるか?」

 

 その後も加藤は何回も店に来てな、色々教えてくれたよ。

ある日、金が無いからここで住み込みで働いてるって教えたんだが、その時に探索者に誘われたんだ。

 

【男に媚びるのが嫌なんだろ? じゃあここは向いてねぇって、俺らと探索者やらね?】

 

【無理だ、アタシ一応魔族の血流れてる癖に魔法1つも使えないんだぞ】

 

【魔法なんて無くても問題ないって、何よりダンジョンアタックやべぇぞ! もう宝箱出た時のワクワク凄いんだって!】

 

【……】

 

【ちゃんと戦えるまで教えるし、ヤバくなったら助けるからさ。やろうぜ!】

 

【……お前の誘いだしな、口車に乗ってやるよ】

 

 そう言う経緯で、アタシは迷宮探索者になった訳だ。

 

「……まぁ加藤さんの内心がどうであれ、確かに好きになっても不思議では無いですね……」

 

 いや、この時はまだ惚れてる訳じゃ無いな。

まぁ良い奴だよな程度だ。

 

「え、そうなんですか? じゃあいつ?」

 

「……なんか嫌な予感して来たんだけど」

 

『俺はめっちゃワクワクして来たわ!』

 

 当時はまだアタシ含めて3人でな、加藤と高木の後ろをついてくことになった。

初めてダンジョンに入った時、結構不安だった。

ちゃんと戦えるかどうかって。

でも実際やってみると意外と行けた。

何だったら戦うのが楽しかった。

アタシ基本的に格闘で戦ってんだけど、モンスターを殴るのが楽しいから格闘でやってんだわ。

 

「初心者が格闘は厳しいって言ったんだけど予想を遥かに超えて強くなってったよな」

 

『コイキングだったのにギャラドスになったくらいには化けたよな』

 

 ある程度ダンジョン探索にも慣れたんだが、そんなある日。

丁度その日入るダンジョンが、当時の加藤達でギリ適性みたいなくらいの難易度だったんだよ。

無理しなくて良いって言われたが、追いつきたくてな……無理言って2人に付いてった。

そしたらその時、初めて見たのが──。

 

【オラァァァ! 落とせぇ! 宝箱ぉ! 暫くセラフィナの特訓で我慢してたけどもう限界だぁぁぁ!!! 宝箱宝箱宝箱ぉぉぉ!!!】

 

 加藤が宝箱に狂ってる姿だった。

あのイカれた表情、バッキバキになった目、鬼気迫る怒号。

全てが狂ってた。

そんな加藤の姿を見たアタシは──。

 

 

【カッケェ……好きだ……】

 

 

◇ ◇ ◇

 

「ってのが、アタシが加藤に惚れた理由だ、分かったか?」

 

「「いや惚れる所そこぉぉぉ!?」」

 

『アヒャヒャヒャヒャヒャ!!! ヒーッ!ヒーッ!』

 

 あんだけ引っ張って俺の好きな所がダンジョン中毒になってる所かよ!!!

何だこいつ、頭おかしいんじゃねぇのか!

つい加奈子さんとツッコミがハモったわ!

高木に至っては笑いすぎて酸欠になってるし!

 

「何だよ、何が問題なんだよ」

 

「問題しか無いわ! 何で狂ってる状態の人間見てかっこいい〜好き〜ってなるんだよ! 気は確かか!」

 

「どうしてよりにもよってそこなんですか!? そこで好きになるならもっと他にあったじゃないですか!」

 

「てかお前まさかギアススクロールにサインした1番の理由って……!」

 

「アタシが1番好きな加藤がダンジョンで狂ってる姿だからな、そりゃ1番好きな状態がいいだろ」

 

「お前マジふざけんな!」

 

「言っとくが別に今のお前が嫌いな訳じゃ無いからな! 勘違いすんなよな!」

 

「何で急にツンデレ風味足してきてんだよ! もうお腹いっぱいなんだよこっちは!」

 

『カヒュー……カヒュー……』

 

「高木なんか笑い過ぎて過呼吸起こしてるじゃねぇか! どうすんだこれ!」

 

「そんな事言われてもよぉ……やっぱり──」

 

 セラフィナは滅多なことでは笑わない。

基本的には無表情か仏頂面かキレ顔の3種類だ。

だがその時のセラフィナの顔は。

 

 

「好きなんだよなぁ……あの加藤が」

 

 

 困り眉になりながら、恥ずかしそうに笑った。

 

「……加藤さん」

 

「……何ですか加奈子さん」

 

「セラフィナさんはもうダメです、手遅れです。責任はしっかり取ってくださいね?」

 

「俺の意思は!?」

 

「おさわりマンに意思なんてあると思いますか?」

 

「おさわりマンってワードどんだけ気に入ったんだよ!」

 

 その後、仕事には当然遅刻した。

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