ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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書いては満足出来なくて消しての繰り返し。これがスランプという奴なんですかね。やる気無いだけ? そうかな……そうかも……


ふえるかとうちゃん

「加奈子さん!!!」

 

「加藤さん!」

 

 コンビニの前で待っている加奈子さんに近付く。電話から大体5分程度。割と走ったが、ルロを背負っているので全力では無いせいで少し遅れてしまった。

 

「ごめんなさい、突然……」

 

「大丈夫です。それより盗んだ妖精はどこに行きましたか?」

 

「凄いスピードで後ろからひったくられたせいで見れてないんです……」

 

 加奈子さんは別に戦える訳でも無いし、仕方ない所はある。軽く【索敵】を使うが引っ掛からない。フェアリル自体が強くないせいで精度の甘い俺の【索敵】では分からないようだ。こんな事になるんだったらもっと練度上げとくんだった。

 

「クソッ。あのバカ妖精どこ行った……?」

 

「加藤、加藤。私フェアリルの場所分かるよ」

 

「本当か?」

 

「魔宝珠持ってるなら……私の魔力で出来てるから、辿れば」

 

「じゃあ頼む」

 

「うん。……ねぇ加藤、私の……所為かな……」

 

「……そんな事無いぞ」

 

 俯きながら悲しそうな声色で呟くルロに、俺はそんな言葉しかかけてやれなかった。

 

◇ ◇ ◇

 

 ルロの案内で街中を駆けていると突然周りの空気が変わった。空間の魔力が澱んだ感じだ。

 

「おい加藤! なんかヤベェぞ!」

 

「ルロ! 後どのくらいだ!?」

 

「街の真ん中だから……もう少し……」

 

「あ、あのセラフィナさん! もうちょっと高くしてくれません!? 私地面スレスレなんです! 何だったら離してくれません!?」

 

「この状況でお前1人残す訳にもいかねぇだろ! 大人しくしてろ!」

 

「だとしても脇に抱えられるのはどうなんですか!?」

 

「足遅ぇんだから仕方ねぇだろ!」

 

「いやお2人が早過ぎるだけですから!」

 

 現状俺がルロを背負い、セラフィナが加奈子さんを担いでいる。移動速度の関係で仕方ないのだが、セラフィナの身長が足りて無いから地面に膝が擦れそうだ。

 

「セラフィナ、やっぱ俺が加奈子さん背負うからお前はルロを──」

 

「ダメだ! 加奈子はアタシが担ぐ!」

 

「いや背丈の問題で──」

 

「(血走りまくった眼)」

 

「よし、先を急ごう」

 

 変に口を出すと怒られそうだ。今はそれどころじゃ無い。兎に角フェアリルを探さなければ──。

 

「アーハッハッハッ!」

 

「おいこの高笑い、あの妖精じゃねぇか?」

 

「あっちから聞こえる……行こう!」

 

 フェアリルが居るであろう場所まで近付く。空を見ると飛びながら魔宝珠を持った人物が居た。

 

「……あら、もう来たのね。察知がいい事」

 

「……フェアリル……なの?」

 

 そこに居たのはあの30センチ程の妖精の姿では無かった。大体160センチ程の身長に真っ黒な長い髪。黒ずんだ羽を広げて空中に佇んでいる。

 

「そうよ、フェアリルよ。私は生まれ変わったの。この魔力に満ちた宝珠で念願の進化が出来たのよ!」

 

「び……び……!」

 

 鋭い吊り目。スレンダーな体。やたらと露出の多い服。気の強そうな言動。これは、これはぁ……!

 

「ビジュ良いじゃん……」

 

「フンッ!!!」

 

 

《b》メキャ
《/b》

 

「義経様ァァァァァ!!!」

 

「泣きどころ蹴られたからって弁慶にならなくても……」

 

 セラフィナに脛を破壊されて地面に膝をつく。しまった、あまりに見た目が良いせいでつい本音が出てしまった。こんな事言ってる場合ではない。

 

「凄いわよね! ルロ、これ貴方の魔力でしょ!? それも凄まじい力! あんな小さく弱い妖精だった私が、ここまでの力を得られたのよ!」

 

「見た目変わっただけじゃねぇか。あんま舐めた事言ってんじゃねぇぞテメェ」

 

「じゃあ……試してみる?」

 

「上等だぁ!!!」

 

「えぇ!? ちょ、降ろしてぇ!?」

 

 セラフィナが空を飛ぶフェアリルに飛び上がって突っ込んでいく。当たればまず無事では済まない蹴りを繰り出すが──。

 

「なっ──!?」

 

 その蹴りは当たる事は無かった。フェアリルの体をすり抜けて空振りしたセラフィナが地上に戻ってくる。

 

「どういう事だ……? 魔法か何かか!?」

 

「ひ、ひぃぃぃ……し、死ぬぅ……」

 

「おいセラフィナ! 加奈子さんに無理させんな!」

 

「あら、手品のネタを自分でバラすほどバカじゃないわ。自分で考えなさいよ」

 

 ヘラヘラと嘲笑うフェアリル。今彼女が言ったのは昔よく言われていた妖精への偏見だ。基本的に妖精は碌な力を持たない非常に弱い種族だ。戦争時にも巻き込まれればひとたまりも無いので隠れて中立を貫いた程だ。そんな力がある訳が無い。

 

「それがお前が言っていた【進化】って言う事か?」

 

「そうよ。初代勇者の仲間の1人……大妖精クレネント。凄まじい力を持っていた妖精の英雄も、今の私のように進化して強くなった。分かる? 妖精の進化って言うのは、それ程凄い事なのよ!」

 

「凄いけど……ダメ!」

 

 ルロが強い口調でフェアリルを否定する。その顔には焦りが見える。心の底からフェアリルを心配している顔だ。

 

「前も言った! 私の魔力にフェアリルは耐えれない!」

 

「何を言っているの? 今こうして問題無いじゃない」

 

「違う! 今のフェアリルは暴走してるだけ! 常に魔力が垂れ流しになってる! このままだと……耐えきれなくて死んじゃう!」

 

「……良いのよ。死んでも」

 

「え……?」

 

「兎に角! 今こそ私の復讐が始まるのよ! 私をコケにしたダンジョン運営に大ダメージを与える復讐が!!!」

 

「盗んだ物掲げて高笑いするのが復讐か?」

 

「な訳無いでしょ? これを見なさいよ!!!」

 

 フェアリルが指を鳴らすと彼女から溢れ出している魔力が形を成す。

 

「え……人!?」

 

「これは……!」

 

 DMCのカードに出演していた探索者達が姿を現した。カードリストに載っていたから見覚えがあるが、見た目だけはそっくりだ。

 

「まさか……DMCのカードを実体化出来るって言うのか!?」

 

「その通り! 出そうと思えばモンスターもいくらだって出せるわ! 当然こいつらはみーんな私の命令を聞くわ!」

 

「ま、まさか復讐って……」

 

「えぇ、そこの人間。貴女の思っている通りよ。ふふふ……」

 

 まさか、生み出した探索者やモンスターでダンジョン運営の本部に攻め込もうと言うのだろうか。だとすれば不味い。これだけの数で戦闘を起こせば、どれだけ被害が出るか──!

 

「さぁ行きなさいお前達!」

 

「! しまった!」

 

 どうやって止めるか考えていたら生み出された探索者達が散り散りに走り出す。そしてそいつらは近くに居た一般人に近づいて──。

 

『オイコラァ! ジャンプシロオラァ!』

 

『ナニガンツケテンダゴラァ!』

 

『ダレノオカゲデセイカツデキテルトオモッテンダァ!!!』

 

「ひぃぃぃ!!! 許してぇぇぇ!!!」

 

「……ん?」

 

 生み出された探索者達はひたすら迷惑行為をし始めた。恫喝、乱闘、ポイ捨てetc……。なんか、思ってたのと違う。

 

「アーハッハッハッハッハ! 良いわよ! その調子よ!」

 

「……おいバカ妖精。何だこれ」

 

「誰がバカよチンピラ。決まってるでしょ? 迷惑行為よ」

 

「見りゃ分かる。何でこんなのやらせてんだよ。復讐はどうした」

 

「やってるじゃない。現在進行形で」

 

「あの……どう言う事ですか?」

 

「私のDMCを踏み躙ったダンジョン運営は探索者のイメージ改善を目論んでいた……だったらやる事は一つ!!! 偽物の探索者生み出しまくってひたすらに軽犯罪させて評判を地の底に落としてやるわぁぁぁ! これが究極の復讐よぉぉぉ!!!

 

「回りくど過ぎるだろォォォォォ!!! ジュラル星人かお前はァァァァァ!!! 1発ぶん殴るとか言ってたんだからそこはカチコミしに行けよ!」

 

「いやだって……顔見たくないし……見た事無いけど……」

 

「何で変なところで小心者のままなんだよ! 内面も変わっとけよ!」

 

「うるさいうるさいうるさい! 多様性の時代、復讐の形も様々よ! 私は奴の社会的地位をどん底に叩き落としたいのよ!」

 

「お前の作戦で1番どん底に落ちるのは探索者達の評判なんだよ! 俺らを巻き込むな!」

 

「何とでも言いなさい! さぁ暴れ狂え偽探索者共! 良い感じに悪さしてくるのよ!」

 

『『『『『ウォォォォォ!!!』』』』』

 

「と言う訳で私は他の場所に行ってこいつらをばら撒いてくるわ。じゃーねー」

 

「あ、待ってフェアリル!!!」

 

「おい逃げるな! クソッ、追うぞ!」

 

「い、良いんですか加藤さん! 追いかけちゃって!?」

 

「何言ってるんですか加奈子さん! さっさと止めないと面倒が終わらないんです! 幸い偽物連中はしょぼい犯罪だけ! 放置しても直ちにヤバいことにはならない! 大元を何とかしないと!」

 

「いや、でも、その──」

 

 言い淀む加奈子さんが指差す先に視線を移す。

 

『ダンジョン! タカラバコ! エンシュツ! モグラセロォォォ!!!』

 

『何ぃぃぃ!? 何なのぉぉぉ!?』

 

「あそこで偽物の加藤さんがダンジョン潜ろうと暴れてるんですけど……」

 

「誰か助けてェェェェェ!!!」

 

 近くにあったダンジョンの受付に詰め寄っている俺の偽物がいた。助けを求める受付の人と本物の俺。だが残念ながらこの辺にスーパーマンなんて居ないので自分で何とかするしか無い。

 

「クッソォォォ! 死ねオラァァァ!!!」

 

 

ズバァァァン!

 

『ダンジョーーーーン!』

 

「どんな悲鳴だバーカ! つーか他の偽探索者はカタコトながら会話出来てただろ! 俺のだけ単語だけなんだけど!? 解像度と言語能力低過ぎんだが!?」

 

「い、一応鳴き声は似てましたよ」

 

「全然慰めになってない! てか加奈子さん今鳴き声って言いました!? そう思ってたんですか!?」

 

「え!? い、いやそんな事は無いような気がしない事も無さげなような感じがするような……と、兎に角! このままだと加藤さんの評判もどん底になっちゃいますよ! ほら! 沢山いる中でやたら加藤さんの偽物多いですし!」

 

『『『『『ダンジョン! ダンジョン! ダンジョォォォン!!!』』』』』

 

「俺多過ぎだろォォォ!!! 何でこんなに俺だけ多いの!?」

 

「レア度がコモンだったからかな……?」

 

「ここでも排出率関係あるんかい!」

 

 迷惑かけまくってる俺の偽物に向かって突撃する。フェアリルも何とかしなければいけないが、ここで処理しないと俺の人生がハードコアになってしまう。皆殺しにしなければ。俺みたいなのは1人で充分なのだから。

 

 

 

 

 

『ギャーハッハッハ! イイゾカトウ! モットチタイヲサラセェ! ──ギャァ!?』

 

「あの加藤さん。今何の躊躇いもなく高木さんの偽物斬りましたよね」

 

「本物でも問題無いですからね」

 

「親友の概念崩れそうです、私」

 

 




更新速度が亀になったのを誤魔化す為の作中強さ格付け(今更)

論外……魔王

魔王の次くらいに強い……ゲオルグ(本気)

強者の中でも抜けてる……加藤(ガチギレ) 篠目

強者……加藤 高木 セラフィナ リファル ゲオルグ(迷いデバフ)

強いは強いがピーキー……鶴岡 オピス ゲルダリア アナンタ ライラ ルロ

まぁ強い……熟練探索者 ドラツェルバ

捕獲レベル5……初心者ダンジョンに出てくるデカいアリ

一般探索者より弱い……ゴレット ケルコット

ほぼ一般人……加奈子(ただしツッコミ時は全てに勝つ)








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