ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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最近やる夫スレ熱が再燃してます。自分も少し前作ってたんだよな……エタったけど……。
この小説はエタらないよう程々に頑張ります。


かのじょたちは いうことを きかない!

 DMC──お互いのダンジョン(プレイヤー)を守りながら、相手のダンジョンのライフを0にした方が勝ちのシンプルなルールだ。カードにはそれぞれコストが設定されており、毎ターン使えるコストが1ずつ増えていく。当然コストが大きいカードの方が強力だ。だが序盤にカードを出さないと一方的に攻撃されて負けてしまったりするので、基本的にバランスよくデッキを作るのが良いとされている。

 

「ぶべらっぽ!」

 

「ゴギャァァァ!」

 

 まぁ今の地の文は俺の現状を変えてくれる訳では無いのだけれども。

 

「加藤さぁん! 埋まってる! 頭コンクリの床に埋まってます!」

 

「大丈夫です加奈子さん! なんか段々昔を思い出して来て懐かしさで胸がいっぱいだから!」

 

「いやどうやって発声してるんですか!?」

 

 本当に懐かしい。高木と共にエヴァルテインを取って調子に乗った俺達は中級ダンジョンに潜ったのだが、大体こんな感じでボコられてた。飛び級なんざするもんじゃ無いと2人で後悔したものだ。

 

「加藤! ごめんね、ごめんね……」

 

「いや大丈夫だ……死ななきゃ安い。漸くライトドラゴン倒したしな……」

 

 フェアリルが出したライトドラゴンのステータスは体力4攻撃4防御3のバニラだ。本来攻撃2の俺ではダメージが入らないのだが、DMCでは戦闘破壊された場合、相手の防御を無視して1点ダメージを与える事が出来る。つまり俺は4回自爆特攻かまして何とかライトドラゴンを倒した訳だ。

 

「ナイスだ加藤! 後は任せろ!」

 

「ゴレットォ! お前もうちょっと早く任させろよ! 何で4ターンも罠貼って終わりなんだよ!」

 

「手札事故った! 罠しか引けてねぇ! だがライラが出せるコストまで溜まったし、相手も大きく動いてない。こっからだ!」

 

「やるわね……ちなみに私も事故ってるわ! 探索者全然引けない!」

 

「私も出せるカード全然引けない……」

 

「全員事故り散らかしてるじゃねぇか! 塩試合にも程があるだろ!」

 

 4ターンの間、ひたすら俺がライトドラゴンにしばかれるショーが開催されただけだった。一応ゴレットは罠を設置出来ているので、少しは頼りになりそうだ。

 

「次も加藤出しても……や、やっぱりやめる……」

 

「気にするなルロ。なんか思い出補正で段々ハイになって来たんた。そうだよ! なんか最近調子乗ってたけど、俺大して強くなかった頃の方が長いんだよ! あー懐かしい! 昔を思い出す! ハハハ! 死ね過去の俺!!!」

 

「頭ぶつけちゃったの? 今治すから……よしよし……」

 

 痛みと出血でテンションがおかしくなって来たが、ルロの回復魔法で癒されて落ち着いてくる。何言ってんだろ俺、頭おかしいのかな。

 

「おい姫さん! そんくらいで良いって! 軽く治すだけで平気だから! だから加藤の頭撫でるのやめろぉぉぉ!!!」

 

「だから8歳に嫉妬するのやめて下さいよぉ! ストップストップ!」

 

「離せぇ! そもそもこんな遊びしてる場合じゃねぇだろ! いつ終わるんだこの紙遊びは!」

 

「紙遊び!? 訂正しなさい! 戦略とプレイヤーの運が物を言うe-sportsなのよ!?」

 

「カード引いては加藤がぶっ飛ばされてるだけだろうがぁぁぁ!!! もう良い! テメェをぶっ飛ばす!」

 

 セラフィナが加奈子さんの拘束を振り解いてフェアリルに飛び蹴りをする。だが当然の様にフェアリルの体をすり抜ける。まるで幻覚のように。

 

「だから無駄だって言ってるでしょ……ちょ、邪魔! やめて! 凄まじい轟音鳴らしながら乱撃しないで! 視界歪む!」

 

「このまま虚空に消えちまえクソッタレがぁ!」

 

「部外者がダイレクトアタックするんじゃ無いわよ! えぇい! これでも喰らえ!」

 

 フェアリルがセラフィナに手を向けて強烈な魔力の塊を叩きつける。頭に血が昇って捌けなかったのか、モロに喰らって吹っ飛んでいった。

 

「セ、セラフィナさーーーん!」

 

「クソがぁ……あんのボケ妖精が……!」

 

「ハッハー! アンタがクソ強探索者チームの1人だろうと今の私には傷一つ付けられないわぁ! 大人しくする事ね!」

 

 こちらが力尽くで対処する訳にはいかないのを尻目に調子に乗っているようだ。腹立だしいが、フェアリルを殺す訳にはいかないので耐えるしか無い。

 

「さぁて……お互いコストが溜まってきた頃合いだけれども。悪いけど私から仕掛けさせてもらうわ!」

 

 フェアリルが掲げたカードが光り輝く。そして現れたのは──。

 

「【猪突猛進】 セラフィナ! 召喚!」

 

「ゲェ!」

 

 赤いショートカットの華奢な体。鋭過ぎる眼光は本人そっくりだ。とうとう出てしまった、URが。

 

「不味いぞ! セラフィナは確か──」

 

「【猪突猛進】 セラフィナの効果はダンジョンアタック……つまり相手プレイヤーに攻撃する度に罠カードを3枚まで破壊出来るわ! この効果は罠が発動する前に発動出来る! 随分とガラ空きの盤面だけれど……罠すら無くなったら何にも出来ないわねぇ?」

 

 現れた偽セラフィナがゴレットが貼っていた罠を一瞬で破壊する。罠をセット出来るのは3枚まで。モンスターも探索者も出せてない以上、あちらの言う通りこちらはガラ空きだ。

 

「クソッ! 狙いは俺か!」

 

「罠破壊は手段が少ないもの! トラップ多めの貴方は削れる時に削るに限る! さぁ行きなさいセラフィナ! ゴレットにダイレクトアタックよ!!!」

 

 ・・・・・・・・・・・。

 

「あ、あら?」

 

「あ、あの……あっちのセラフィナさん、ずっと加藤さんの方見てませんか?」

 

「え、俺?」

 

 呼び出された偽セラフィナにフェアリルが命令をしてもゴレットに近付こうとしない。何だったらこちらをガン見している。そのまま大股で俺の方に近づいてきた。

 

「ちょ、何──『オマエ……ナンカ……イイナ……』──は?」

 

 何故か顔を赤らめている偽セラフィナは俺の体にベタベタと触り始める。

 

『ハジメテミタキガシネェ……キニイッタ、オマエアタシノモノニナレ』

 

「お前何言って──」

 

『ヨシ、トリアエズドッカイッテヒンムイテ──』

 

 意味不明な事を……いや意味は分かるけど分かりたくない事をほざいている偽セラフィナが言い切る前に、そいつは轟音と共にぶっ飛んだ。

 

「こ、殺す……ブチ殺す……!」

 

「お、おいセラフィナ……」

 

「パチモン風情がアタシの男に手ェ出しやがってぇぇぇぇぇ!!! ぜってぇブチ殺すぅぅぅぅぅ!!!」

 

「お前落ち着──」

 

 セラフィナを止めようとしたら再び轟音。セラフィナを偽物がぶっ飛ばした音だ。

 

『フザケンナ! コイツハアタシノモンダ! テメェガシネ!』

 

「舐めてんじゃねぇぞゴラァァァ! くたばりやがれぇ!!!」

 

『テメェガナァ!』

 

「ちょ、ちょっと!? 何勝手してるのよ! あっち! あっちに攻撃しな『ウルセェ! メイレイスンナ! シネ!』えええええ!?」

 

「『ウォォォォォォォォォォ!!!」』

 

 雄叫びを上げながら殴り合う2人。お互い吹き飛ばされながらビルの屋上から去っていった。

 

「……ねぇ。今のターンやり直しとか……」

 

「「「「ダメ」」」」

 

「スッー……ターン終了……」

 

「お前バッジ足りないんじゃないのか」

 

 言う事聞かないにも程がある。何にせよ罠を破壊されただけでターンが回ってきた。チャンスを活かさない手は無い。

 

「ゴレット! 頼むぞ!」

 

「ああ! 召喚! 【騎士団長】ライラ!」

 

「任せてくれ!」

 

 ゴレットがカードを掲げるとライラが前に歩み出る。巨大なバスターソードが木の棒のように振り回されている。

 

「【騎士団長】ライラの効果発動! この探索者を召喚した時、山札から騎士と名前の入ったカードを手札に加える! 俺は手札に【純愛狂いの騎士】アナンタを加えるぞ!」

 

「今更なんだが何でそこまで知り尽くしているんだよ。どんな資料もらって作ったんだお前は」

 

「名前とか得意な事とか性癖とか全部書いたの渡されたわよ。見た時目眩したわ」

 

「目眩で済んで良かったな」

 

 ウォルタリアで探索者登録したライラすら採用しているあたり、ネタが余り無いのかもしれない。美人だから採用した可能性も高いが。

 

「どうする戦友。確かに相手の場はガラ空きだが、罠が2枚貼られているぞ」

 

「お姫様、罠破壊系のカードは引けてるか?」

 

「無い……セラフィナ、私も入れてるけど……」

 

「そうか……いや、ここで攻めないと有利を取れない。相手のライフを詰めて選択肢を狭めていかねぇとな」

 

「任せてくれ! どんな罠だろうと踏み越えて見せる!」

 

「よし! ライラでアタックだ! ライラの攻撃力は6! 6点丸々受けてもらうぞ!」

 

「Noooo!」

 

 ライラが接近してバスターソードでフェアリルを殴る。攻撃自体はすり抜けるが、痛みは受けるようだ。どんな原理だ。

 

「ふ、ふふ。中々やるわね……だが私はこれが初ダメージ。未だ34点残っている。この程度じゃ──」

 

「罠カード発動! 下剋上! 自身より相手のライフが多い時のみ発動出来る! このターンアタックしたカードの攻撃を2上げてもう一度攻撃するぜ!」

 

「おぶぅぅぅ! ゲボ痛ァァァ!!!」

 

 一気に12点のダメージを与える事が出来た。残り28点、こちらの損害がゼロなのを踏まえると良い調子だ。

 

「──と,思っていたのかしら? かかったわね! 罠カード発動! 命の保険! 自分のライフがそのターン中10点以上減少した時のみ使用出来る! その効果は手札から好きな探索者をコストを支払わずに召喚出来るわ! 代償として次の私のターン、探索者を召喚出来ないわ!」

 

「はぁ!? おい待て! そんなカード、リストになかっただろ!」

 

「アーハッハッハ! これは次弾用のカードよ! 知らないのも無理ないわねぇ」

 

「こちらが使えないカードを使うのは卑怯ではないか!」

 

「開発者特権よ! 文句は言わせないわ! 貴方達の対戦を受けてやってるんだから、せめてテストプレイの礎になりなさい!」

 

 発動した罠カードに呼応するようにフェアリルの手札が発光する。序盤事故っていたと言う事は手札のカードは高コストと言うこと。つまり──。

 

「来なさい! 【勇者姫】リファル!!!」

 

 凄まじい光が辺りを満たす。最早神々しいと言っても良いレベルの存在感が現れた。人によっては見惚れる程の美貌。清楚で清純な雰囲気。リファルさん本人とそっくりな存在がそこに居る。

 

『……ヨバレタカラニハ、オチカラニナリマショウ……サァ! ゼンリョクデカカッテキテクダサイ!!!』

 

 

 

 

 

 

──────────────────

        ○←フェアリル

 

 

 

  ○←ライラ

 

  ○←ゴレット 偽リファル→○○←加藤

                ○←ルロ

 

         ○←加奈子

──────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

「裏切るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 フェアリルの絶叫の通り、偽リファルさんは何故か俺の隣でフェアリルに槍を向けていた。その顔は超ウキウキ顔だ。嬉しくて仕方ないって感じ。犬か?

 

「早いって! 早過ぎるって! ぶりぶりざえもんでもワンクッション挟むわよ!?」

 

『? ナニヲイッテイルノデスカ? コノカタコソガ、ユウシャサマ! ワタシヲヨンダノハ、コノカタデス!』

 

「ちがぁぁぁぁぁう! 私私! 貴女出したの私ィィィ! ソイツら敵なのよ!」

 

『サァ! トモニマイリマショウ、ユウシャサマ!』

 

「話を聞けェェェェェ!!! 何コイツ! 何で人の話聞かないの!? わざと!? わざとでしょ!」

 

 凄まじい再現度だ。本物も全然話聞いてくれないし。いや意思疎通は出来る、会話も出来る。でも致命的にこちらの話が届き切らない。そんな感じ。人を見る目が無いのも原作再現だろうか。

 

「あの……違います」

 

『? ナニガデスカ?』

 

「あっちが貴女の陣営で、こっちじゃ無いです。勇者でも、無いです」

 

「こっちじゃないよ……? あっちだよ……?」

 

「あの……可哀想なので戻ってあげてくれませんか……? 流石に連チャンでこれは……」

 

『……エ?』

 

 俺、ルロ、加奈子さんの声が届いたのか。周りをキョロキョロし始めた偽リファルさん。

 

『……アッ』

 

 漸く気付いたのか、おずおずとフェアリルの方へ歩いて行く。

 

『コホン……サァ! ウデダメシトイキマショウ! ユウシャサマ!

 

「「「いや遅いだろ(わよ)(ですよ)!!!」」」

 

『モ、モウシワケアリマセンンンン!!!』

 

 ここで即謝罪が出る辺り善性もそっくりらしい。てか自分で生み出してるくせに何でコントロール出来てないんだよ、ホント。

 

「戦友よ! 先程の攻撃で私の相棒トライピオが無惨な姿に! どうしたらいい!」

 

「任せろ! 魔改造してチタニウム製にしてやるぜ!」

 

「お前ら今回ボケばっかじゃねぇか!!!」

 

 戦いは、まだ終わらない。

 

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