ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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イカサマライクゲイム

 

「ふぅー……クソが。パチモン風情がアタシに勝てると思いあがんじゃねぇってんだ」ゼェゼェ

 

「あ、セラフィナさん。お帰りなさい。……勝っちゃったんですね」

 

「舐めんな。まぁちと潰すのに時間かかっちまったが……まだやってんのか。アイツら」

 

「そうですね……。カードゲームはよく分からないんですけど」

 

「姫さんの策ってのは……まだか」

 

「ど、どうなんでしょう。対戦で勝てば止めれるとは言ってましたが……」

 

「そうか。どっちにしろ早く終われって──」

 

『ユウシャサマ! アナタサマトウチアエルトハ! シアワセデス!』

 

「俺は不幸せdeeeeeeeath!!!」

 

「よし、アイツも消すか」

 

「収拾付かなくなるのでやめて!? 足元ふらついてるし! 危ないから!」

 

◇ ◇ ◇

 

 【勇者姫】リファル。DMCの探索者の中で最強と言って良い性能を持っている。ステータスは全て10。この時点でとんでも無いが、他のカードの効果を受けないとか言うイカれ効果を付けられている。その代償としてコストが全カードで1番重いのだが、そんなカードが中盤に出てきてしまったのだ。その結果──。

 

「い、痛ぇ……」

 

「加藤! やっぱり私もう加藤出すのやめる!」

 

「何言ってんだ……。低コストの俺でブロックしないと話にならねぇ! リファルさん2回通したら負けなんだぞ! 幸い破壊された時の1ダメージは通る! これで誤魔化すしか無い!」

 

「戦友! 何か打開策はないのか!? 弱いモンスターや探索者でもこの状態で出され続ければジリ貧だ!」

 

「……罠多めの俺のデッキじゃ【勇者姫】リファルに対しての回答が少な過ぎる。本来出される前にロックして勝つデッキだからな……。くそっ! あの罠カードの存在さえ知ってればケア出来たのに!」

 

 他のカードの効果を受けないと言う事は、罠カードの効果も受けない。出せばゲームが終わると言っても良い効果だ。ステータスも最強な為、倒すには10体のモンスターや探索者を壁として使い潰す必要がある。だが当然、その間も相手はカードを使える。どう考えても不利だ。特にゴレットのデッキは半分が罠カードだ。相性最悪と言って良い。

 

「アハハハハ! 一時はどうなるかと思ったけど、これが現実よ! 制作者に勝てる訳無いでしょ! もう諦めたらぁ?」

 

「お前後で絶対殴るからな……」プルプル

 

「足プルプルで草ァ! 生まれたて? 現世若葉マーク? かーわーいーいー! アハハ!」

 

「クキカキコキコカキクカァァァ!!!」

 

「落ち着け加藤! 憤死するぞ!」

 

 一方的に煽られて頭の血管が限界だ。だが実際どうする? ルロの『策』を実行するにはこのDMCで勝つしか無い。ここから捲る方法は……。

 

「さぁ! そろそろ終わらせてあげようかしら! アンタらに勝ったらもっと偽探索者増やして規模を──ゲボッ、ゲホッゲホッ……うぶっ……」

 

「おいフェアリル、お前……」

 

 上機嫌だった筈のフェアリルだったが、突然吐血をして咽せ始める。吐き出した血は彼女の足元を赤に染めた。

 

「フェアリル! 大丈夫!?」

 

「ゴホ……ハァ……ハァ……。な、何が? これあれだから、昨日食べたトマトハンバーグだし? 消化遅いだけだし……」

 

「限界が近いんだろ、お前」

 

「……」

 

「おかしいと思ったんだ。街中の偽探索者はちゃんとお前の指示聞いてたのにさっきのセラフィナやらリファルさんの勝手な行動……自分の力、制御出来てないな?」

 

 今思えば当たり前だった。アイツが魔宝珠を取り込んでから既に2時間経っている。ルロが言っていた同化現象も進んでいるだろう。最初はまだ何とかなっただろうが、長時間の間ど素人がF1カーを運転できるものか。

 

「血反吐を吐いてるレベルのしんどさを耐えれるようには見えねぇ。……もう諦めろ、死ぬぞ」

 

「……」

 

「幸いお前が迷惑行為程度で止めてるおかげで、偽探索者達は物壊すくらいしかしてない。引き返すんなら今のうちだ。……俺は別に、お前に死んで欲しいとは思ってない。もっかい言うぞ、諦めろ」

 

「……嫌よ」

 

「フェアリル!」

 

「五月蝿いわよ! たかだか数日会った程度で分かった口聞くんじゃ無い! 止まるもんか! ここまで来たなら最後までやり切るのよ!」

 

 ダメだ。聞き入れそうに無い。完全に視野狭窄になっている。仕返しさえ完遂すれば後はどうでも良い。そう言う状態だ。終わった後の自分の命すら勘定に入れてない。

 

「ルロ! フェアリルは限界だ。長引くと本当に死ぬ! 早めに蹴りを付けるしか無い!」

 

「で、でも……どうすれば勝てるの? 私、さっきから攻撃されてばっかりで……」

 

「クソ、手詰まりか……?」

 

 どうする。強制的に止める事も、ルロの策の為に対戦で勝つのも出来ない。何をどうすればあの馬鹿を止めれる。

 

「さぁ! 私側のアタックはまだ終わってないわよ! アンタらがリファルにもたついてる間に召喚したモンスター! フルアタックで……15点ねぇ……?」

 

フェアリルの言う通り、現在こちらが受けるダメージは15点。これを通したら超絶不利になる。しかしルロ側にはそれを防ぐ手が無い。罠も既に前のターンに吐いてしまったし、壁となるモンスターや探索者も居ない状態だ。

 

「ゴレットの方は罠貼ってて面倒だから……ルロ、貴女から狙ってあげる!」

 

「あぅ……」

 

「ッ! ……行きなさいモンスター共! ルロにアタックよ!」

 

 俺やライラは先程の呪いでカードとして扱われている。自分の意思で戦ったり出来ない状態だ。当然今さっき破壊された俺は攻撃も見送る事しか出来ない。逃げろと言うまもなくモンスター達が襲いかかって──。

 

 チョイチョイ

 

「ん? ……! お前は──!!!」

 

◇ ◇ ◇

 

【そして時は現在、70話冒頭へと戻る──】

 

「いや回想長すぎません!? 70話から15話も回想だったんですけど!?」

 

「大丈夫です加奈子さん! ワンピース114巻よりは少ない筈です!」

 

「回想多すぎて枠黒ばっかとかそう言う話じゃ無いんですよ! それよりどうするんですか!? ゴレットさんやられちゃいましたよ!? このままじゃあの妖精の人が……」

 

「いや、この状況をひっくり返せるかもしれません! それだけの可能性が来てくれた!」

 

「は? か、可能性? 何を言って──」

 

「行くぞルロ! 俺達のターンだ! まず盤面掃除だ! 安心しろ……今なら【引きたいカードが必ず引ける】!!!」

 

「……! うん、分かった! 私のターン!」

 

 カードを1枚引くルロ様。さっきからいいカードが引けないと嘆いていたのを見てたので、毎ターンのドローにかけるしか無いのは私でも分かる。当然今引きたいカードが必ず引ける訳が──。

 

「引けた! 【煽動教祖】ツルオカを召喚するよ!」

 

「なっ!? このタイミングでそのカードを!?」

 

「えぇ!? 引けたんですか!?」

 

 何と言う豪運だろうか。ランダムの中から欲しいカードをピンポイントで引けるなんて。妖精の人……フェアリルさんも驚いている。

 

「ツルオカの効果発動! このカードが場に出た時、全てのカードは、場の中で1番攻撃が高いカードに強制アタックしなければならない! 私の方にはツルオカしか居ないけど……フェアリルの方には沢山いる!」

 

 ルロ様が掲げたカードが光り、出てくるのは胡散臭い詐欺神父様。偽鶴岡さんはゆっくり両手を上げて、高らかに吠えた。

 

『イマコノバデモットモユウフクナモノ……ステータスガアットウテキナモノ……ソレハソコノエルフデス! サァミナサン! カクサヲゼセイスベクワタシニツヅケェェェ!!!』

 

『『『『ギョアアアアアアアア!!!』』』』

 

『ナッ! ワタシノホウニ!?』

 

 偽岡さんの号令に従うようにフェアリルさん側のモンスターがエルフの人に突っ込んでいく。当然偽岡さん含めてやられてしまったが、あれだけ居た相手のカードが無くなった。エルフの人も体力が無くなったのか、空に溶けていく。

 

「チィ! 運が良いわね! 唯一の回答を引いてくるなんて!」

 

「罠を2つ置いて……終わり!」

 

 後少しでエルフの人は倒せそうだ。でもその前に相手のターンが来てしまう。何とか次のターンは迎えれそうだけど……。

 

「ハァハァ……残念だけど! 私の手札だけでも貴女の負けは確定しているわ! 盤面捌いた所で貴女はもうガス欠! 何を引いても勝てる状況なのよ! アーハッハッハ! ドロー!!!」

 

 

 

 

 

───────────────────

レア度:コモン 【性根がねじれる者】タカギ

 

体力1 攻撃1防御2

 

効果:この探索者はダンジョンアタックした後破壊される。

───────────────────

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

 鳩が豆鉄砲を食ったような声を出してフェアリルさんは固まった。少し離れてるけど今引いたカードが見える。……あれ高木さんのカードじゃない?

 

「は? 何でこんなクソ雑魚枠埋めかさ増しカード入ってるのよ。私のデッキにこんなの入れてないわよ!?」

 

 本人も予想外みたい。入れ間違えたのかな? そう思っていたのだが──。

 

「ククク……手札も見た方が、良いんじゃないか?」

 

「え、手札……」

 

1枚目──タカギ

 

2枚目──タカギ

 

3枚目──タカギ

 

 

 

4枚目────────タカギ

 

「ありゃりゃ雑魚塗れェェェェェ!? わ、私の手札が入れ替わってるぅぅぅぅぅ!!!」

 

 どう言う事だろうか、フェアリルさんは自分の手札をずっと手に持っていた筈。一体誰がすり替えて……。

 

「!!! ……なるほどな、そう言う事か」

 

「セラフィナさん? 何がですか?」

 

「アタシでギリだし、お前に見える訳無いか。今あの馬鹿妖精の後ろには、道具喰いのガキが居るんだよ」

 

「え!? クォーツちゃんが!?」

 

『♪』

 

 鶴岡さんが匿っている道具喰い──クォーツちゃん。前に自分の部屋を抜け出して加藤さんの家に来た事があったけど……また抜け出しちゃったんだ。確か透明になれるんだっけ……?

 

「で、でもそれが何が……」

 

「あのガキは鶴岡に世話してもらってる」

 

「そ、そうみたいですね」

 

「遊び相手も基本鶴岡だ」

 

「は、はい」

 

「そして鶴岡はアイツにサマを教えている」

 

「は、はい。……ごめんなさい、今なんて?」

 

「つまりだな。あのガキはあの馬鹿妖精の山札! 手札! ついでに姫さんの引くカード! 全てを操作してんだ! 自分の持ってるカードと一瞬ですり替えてな! すげぇな、まさかここまでの境地になってるとは……鶴岡の言う通り本当に役に立ちやがったぜ!!!」

 

「要は唯のイカサマ反則じゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 加藤さんが言ってた可能性ってこれ!? 命がかかっているのは分かるけどカードゲームで勝てないからってイカサマ!? しかも自分の手じゃなくて外部の手で!? 何であの人ドヤ顔してたの!?

 

「良いんですか!? 本当に良いんですか!? こんなやり方で勝っちゃって!?」

 

「いやでもほら、確か見たぞこんな感じの漫画。高木が前読んでたやつだけど……将棋で他人に見えない奴の代理打ちする感じの。あれと同じだろ、多分」

 

「こんな汚いヒカルの碁ある訳無いでしょうがぁぁぁ!!! 佐為に謝れ!」

 

『♪♪♪』

 

「でもあのガキめっちゃ楽しそうだぞ。……そういや前に遊んでやった時、加藤をサマでボコボコにしてたな。アイツにとってイカサマは楽しい遊びなのかもしれねぇ」

 

「碌でも無いにも程がある! 教育間違えてる! 絶対!」

 

「まぁ早く終わるんならそれで良いだろ。マクロで見たら善行に入るし許してやれよ」

 

「ミクロで見たらやってる事カイジの登場人物と変わらないんですよ!」

 

「何これ何これぇ! 何がどうなってるのぉ!?」

 

「ダメだよフェアリル……。ちゃんとプレイしないと」

 

「出来る訳無いでしょぉぉぉ! どう考えてもアンタらが何かやったんでしょ! ふざけんな! 無効よ無効!」

 

「はーーー? 証拠は? 俺らが何かした証拠は??? 人の事イカサマ野郎扱いしてくるんだったらしっかりした証拠あるんだよなぁ?」

 

「なっ! こ、こんな状況でカードがすり替えられるなんてアンタら以外に居ないじゃない! 状況証拠で充分よ!」

 

「お前に触れる事すら出来ない俺らにそんな大それた事出来る訳無いだろ? 自分で入れたカードなら信じてやれよぉ〜ギャハハ!」

 

 先程までボコボコにされてた恨みからか。悪い顔をして笑う加藤さん。あれ完全に分かってる。クォーツちゃんがイカサマしてるのを分かって言ってる。それで良いのか26歳。

 

「ほらほらどうしたぁ? 続けようぜ? 相棒カード、リファルさんにしてんだろ? じゃあまたリファルさんを出せばいいじゃないか。まぁ踏み倒しで出せない以上、出せるのは後3ターン後だけどなぁ!」

 

「ぐぅ! で、でも3ターンなら! この雑魚を壁にすれば凌ぎ切れるわ! まだいけ──」

 

「ダメ。罠カード発動、【脱力の雨】。場にいるカードの体力を1下げて、ゼロになったカードはアタックもブロックもできない。この罠は破壊されないと無くならないよ」

 

「何でピンポでそんなカード入れてるのよぉぉぉ!!! 出しても盤面埋めるだけで役立たずじゃないのぉぉぉ!」

 

 結局マトモに動かさせずにターンが終わった。加藤さんの笑みがどんどん邪悪さを増していく。ルロ様もルロ様でふんふんしてる。

 

「さぁて……ゴレットの仇、取らせてもらうぜ? 一方的になぁ!!!」

 

「助ける為! 助ける為だから! ごめんねフェアリル! 絶対助けるからね!」

 

「嫌ぁぁぁぁぁ!!! 誰か私を今助けてェェェェェ!!!」

 

 もしかしたら加藤さんは本当にルロ様の教育に悪いのかもしれない。だって若干移ってるもん、大義の為なら少しやり過ぎてもいいって考えが。

 

「どっちが悪役がもう分かんないや……」

 

 召喚されて意気揚々と突っ込んでる加藤さんを眺めながら、私は愚痴を溢すしか無かった。

 

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