ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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これでDMC編は終わりです。次回は放置されまくったあの人が漸く出ます。


忘れ物と暴れ者

「1週間ぶりか。どうだった」

 

「色々あって疲れた。ルロは良い子だったぞ」

 

「そうかそうか。突然任せるような事をしてすまんかったな」

 

「今言ってどうすんだよ。先に言うセリフだろそれ。で? そっちのゴタゴタは終わったのか?」

 

「1週間もあれば意見を統一するくらいしなければ魔王を名乗れんだろ。……まぁ反対意見の者達は渋々と言った所だがな」

 

 翌日、ルロが帰る日になり魔王が迎えに来た。話を聞く限り、ルロは帰っても大丈夫そうだ。

 

「お、おい……加藤……」

 

「どうしたゴレット」

 

「いや俺ライラとお姫様見送りに来ただけなんだが……何で魔王様と同じテーブルで茶飲んでんだよ……」

 

「嫌なのか?」

 

「畏れ多いにも程があるだろ! 俺ただのゴブリンだぞ!? 普通謁見とか出来ないからな!?」

 

「え? でもこのおっさん割とカジュアルに外出てるぞ。最初知り合った時何してたと思ってんだよ、パチンコだぞパチンコ。娘ぽっぽいてパチンコ! 畏れなんてどこにあるんだよ」

 

「お前は馴れ馴れしいってか舐め腐ってるだろ! 単なる魔族だったら打ち首だからな普通!」

 

「いや打ち首とかそんなんやらんし……儂どんだけ怖がられてるんだ?」

 

「も、申し訳ありません魔王様! なんかもうマジイメージエグすぎて! むかーーーし魔光祭の時に遠目で見たっきりで! 正直どんな方かあんま分かってないです!」

 

「うーん正直。そんなヘコヘコせんで良いぞ。儂そう言うの苦手だし。……それでルロはどこだ? 見えないが」

 

「今セラフィナと加奈子さんと荷造りしてるよ……終わったみたいだな」

 

 リビングで魔王と待っているとセラフィナ達が入ってきた。ルロが持ってきた着替えなどの荷物の他に大量の袋。お土産だ。

 

「お父さん。遅くなってごめんなさい」

 

「いや構わんが……随分と買ったなぁ。来ようと思えばいつでも来れるんだぞ?」

 

「買ってないよ? フェアリルから貰ったの。お詫びの品って」

 

「貰ったと? どれ……何だこれは」

 

 魔王が袋の中身を見ると大量のカードパックが入っていた。当然DMCだ。

 

「お父さんもやろうね! 楽しいよ!」

 

「娘を1週間預けたらデュエリストになってたんだが。どうなっとるんだ加藤よ」

 

「色々……あったんだよ」

 

「その色々を言わんかい」

 

 言えと言われたのでここ1週間の出来事を伝える。前半は笑って聞いていた魔王だったが、後半のフェアリル暴走の話を聞くと少し真面目な顔をする。

 

「ふーむ……そのような事が……。それでそのシャロリーネと言う吸血鬼が何かやったのではと?」

 

「だってあからさま過ぎるだろ。騒動終わって意味深な発言して去っていくって。私が黒幕ですって言ってるようなもんだろ」

 

「思わせぶりな事言いたいだけと言う可能性は?」

 

「迷惑過ぎるだろ。……考え過ぎか?」

 

「儂はその者を見ていない以上、断言は出来んが……未来を操作するなど儂どころか歴代魔王ですら出来んからな」

 

「要するにあり得ないって事か」

 

「と言うか仮にそのフェアリルと言う妖精に仕掛けたとして……バレてないのに態々お前に怪しまれる事言うか?」

 

「確かに。そんな間抜けな筈ないよな」

 

「だろう? つまり……厨二病だな」

 

「明らか成人してたけどなぁ」

 

 予後が悪かったのだろうか。可哀想に。まぁ占いやってる時点でそれっぽいと言えばそれっぽい。今度会った時に文句言っておこう。

 

「さて、そろそろ帰るか。この後も予定が詰まっててな。一旦城に帰った後ウォルタリアに行かねばならん」

 

「ウォルタリア……ああ、ダンジョン見に行くのか」

 

「ウォルタリア唯一のダンジョンだからな。ずっと使用不能で置いとく訳にもいかん。あそこの王妃にも嘆願書が来たからな。では世話になった! 今度はこちらに招待してやろう!」

 

 そう言って立ち上がる魔王はルロに軽く目配せをする。最後に挨拶しろと言う事だろう。

 

「泊めてくれてありがとう。加藤、セラフィナ、ロール。加奈子もご飯奢ってくれて嬉しかった」

 

「おう。元気でな」

 

「何があったら言えよ姫さん」

 

「どうかお体にお気をつけください」

 

「プレゼントありがとうございましたルロ様! また来てくださいね?」

 

「うん。師匠もライラもまたね」

 

「あ、あぁ……。地味に俺、ゴブリンの中で初めてお姫様と会ったかもしれん」

 

「名誉な事だな。魔族の姫君よ、また会う時まで」

 

「うん! またね!」

 

 玄関から魔王とルロを見送る。何だかんだ早い1週間だった。当初はどうなるかと思ったが……あれ?

 

「あ! ま、魔王! あれ! あれ!!!」

 

「ん? ……あぁ! すっかり忘れとったわ。すまんすまん! ほれ、受け取れ」

 

 そう言って魔王はスーパーウルトラハイパーミラクルポーションを投げ渡してくる。傷を付けないようしっかりと抱え込む。決して離しはしない。

 

「危ねぇ、忘れ物しないでくれよ魔王様ぁ❤️」

 

「うわ、お前に今更様付けされるのめっちゃ嫌だな……。不愉快な気持ちになる」

 

「何でだよ! 普通様付けする方正しいだろ!」

 

「まぁいい。付属の説明書貼り付けとるから、ちゃんと読むんだぞ?」

 

「分かった分かった! 一回やらかしてるからな! 同じ轍は2度踏まねぇ!」

 

 確認すると確かに紙が貼られている。前の新薬の時は一気飲みして酷い目に遭った。言い付けはちゃんと守る、これ大事。

 

「……お父さん、私忘れ物した」

 

「何? 早く取ってこい。待っとるから」

 

「あれ? ちゃんと部屋確認したんですけど……」

 

「リビング辺りか? 何忘れたんだ姫さん」

 

「えっとね……」

 

 パタパタと近付いてきたルロが俺の腕を引っ張る。当然ルロの方が身長が低いので自然としゃがむ形になった。

 

「どうした。忘れ物は──」

 

 

 

 

 

 

チュッ

 

 

「ふふ……忘れてた」

 

 右頬に軽くキスをされた。……チークキスは肌に当てないで口鳴らすんだが……。

 

「バイバイ!」

 

 様子を見ていたのか爆笑しながら帰っていく魔王と手を繋いでルロは家を出て行った。そこで笑える父親ってどうなんだ。

 

「魔族の国ってこんな文化ありましたっけ」

 

「さぁ……。ふふ、でも良かったじゃないですか。ルロ様嬉しそうでしたよ?」

 

「そうですかねぇ。マセてんなぁとしか……」

 

「微笑ましいではないか。子供に好かれるのは良い事だぞ」

 

「親近感湧くんだろうな」

 

「おいゴレット。それつまり俺の知能がコロコロコミックスって言いたいのか?」

 

「コロコロに失礼だろ」

 

「失礼なのはお前だろ! ──おわっ!?」

 

 凄まじい力で床に押し付けられた。このパワーは確認するまでもなくセラフィナだ。セラフィナはルロがキスした頬の上から口付けをして──。

 

 

 

 

 

 

 

ズボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボボォォォォォ!!!!!

 

「ギャァァァァァァァァァァァァァァ!!!!! 痛ェェェェェェェェ!!!」

 

 ダイソンもびっくりの吸引力で吸ってきた。顔の皮膚ならず、頬肉まで引きちぎらんとするそれは、俺に激痛を訴える。死ぬ気で引っ剥がして距離を取る事に成功。ここで背中を見せれば即座に終わる。目を離してはいけない。

 

「何すんだオラァ!」

 

「こっちのセリフだ! 顔面剥げるわ! 加奈子さん、付いてます? 俺顔付いてます?」

 

「つ、付いてますよ! 大丈夫! 皺だらけになってるけど……」

 

「顔半分が男梅みたいになってるぞ……」

 

「剥げてないのが奇跡では無いか?」

 

 顔の反対側を引っ張って皺を伸ばす。その隙にも引っ付いてこようとするセラフィナを牽制しながら距離を取り続ける。

 

「何なんだよお前! エルリック兄弟並みに持ってかれる所だったそ! 何にキレてんだ!」

 

「上書きするだけだ! 大した事じゃねぇ! 自分の物に自分の印付けるのが悪ぃって言うのか!」

 

「要は唯の嫉妬じゃねぇかぁぁぁ! 8歳だぞ!? 本気にしてんのか!? 嘘だろ!?」

 

「年齢なんぞ知るかぁ! 畜生! ツバ付けるくらいじゃダメだ! はっきりマーキングしねぇとダメなんだ! 大人しくアタシにされるがままになれ! 今日こそ決着を付ける!」

 

「訳分からない物に決着付けんじゃねぇよ脳筋バカ! 周り見てみろ! ルロにキレてんのお前だけ! あれを本気の事だと思ってんのお前だけ! 少数派だと言う事を自覚しろ馬鹿野郎!」

 

「いやアタシには分かる! あれはガチだ! 今は8歳だから良いが将来どうなるか分からねぇ! だからこそ今! アタシがゴール決めるしかねぇだろ!」

 

「前から思ってたがお前俺の事信頼して無いだろ! もう何年もの付き合いになるのに信じてないだろ! 居酒屋の時ちゃんと言っただろ!? 忘れたのかノータリン!

 

「死んでも忘れるか! でもあれっきりじゃねぇか! もっと定期的に言えや! 後誰がノータリンだボケ! そもそもアタシに学教えたのテメェだろ!? アタシがノータリンなら教えたテメェもノータリンだろうが!」

 

「義務教育も受けてないような奴と一緒にすんじゃねぇよ! 子供のやった事マジに受け取るような単純さ直した方がいいでちゅよ〜? あ、無理か! バカだもんな! お前バカだもんな!」

 

「あ、あの2人とも──」

 

「テメェもしっかりバカだろうが! 何処の世界に宝箱開いてテクノブレイクする奴が居るんだよ! テメェだけだよテメェだけ! そんなに宝箱開くの好きなら箱に腰振ってれば良いだろうがぁ!」

 

「人が悩んでる発作持ち出すのは卑怯だろうが! あれに関しては俺じゃなくてあんな演出作った魔王が悪いんだよ!」

 

「そうやってすぐ人の所為にすんじゃねぇよ! 他責のカス! 人生うまく行かないのも人の所為か! 楽だよな! 他に押し付けてればよぉ!」

 

「お前だって面倒ごとあると他に投げるじゃねぇか! 昔勝手に喧嘩買った後の後始末面倒だからって俺と高木に投げたよな! 誰のお陰で警察に捕まらなかったと思ってんだよ! 1対10だったからって顔がブロブフィッシュと見分け付かないレベルにする必要無いだろうが!」

 

「あれはテメェらが勝手にやった事だろ! アタシが一度でも頼んだか!?」

 

「お前が捕まったら嫌だからやったんだよ! 文句あんのかタコ!」

 

「無ぇよ! ありがとなクソが!!!」

 

「怒るのか感謝するのかどっちかにしてくれません!? しかもさっきから脱線し過ぎだし!」

 

「ダメだなこれは。最早お互い何で怒ってるのかすら忘れている!」

 

 周りが何か言っているが全く耳に入ってこない。示し合わせた訳でも無いのにお互い額をぶつけ合ってメンチを切り合う。

 

「上等だボケェ! 表出ろ! ぶっ飛ばしてやる!」

 

「俺が女殴らないとでも思ってんのかセラフィナァ! 顔以外ボコボコにしてやったって良いんだぞオラァ!」

 

「「掛かってこいやぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ちょ! 落ち着いて下さい! 喧嘩は辞めて……い、行っちゃった……」

 

「外から滅茶苦茶戦闘音がするんだが」

 

「……帰るか。休暇も今日で終わりだしな。ウォルタリア行きのポータルは……っと」

 

「俺も帰るか。わざわざ付き合う義理もないし。店開けよ」

 

「え!? あ、あの!?」

 

「行ってしまいましたね」

 

「……私も帰って良いですかね」

 

「お気を付けてお帰り下さい。マスター達に巻き込まれないように」

 

「あ、はい。ロールさんお大事に……」

 

「ゴーレムに対して合っている言葉かはわかりませんが……お気遣いありがとうございます」

 

『『死ねやオラァァァァァ!!!』』

 

「……適当にアマプラでも見て待ちますか」

 

 

 




5時間後…。

「「……」」

「終わりましたか。落ち着きましたか?」

「まぁ、な……」(全身ボロボロ)

「流石にな……」(顔以外ボロボロ)

「……八つ当たりして、悪かった」

「いやまぁ……俺も言い過ぎたわ。取り敢えず【治癒】使うか……」

「おう……って、アタシじゃなくて自分先に治せよ」

「んだよ。良いだろ別に」

「でもよ……」

「良いって」

「……ありがと、な」

「……おう」

「(あれ? 何で喧嘩したのに良い雰囲気になってるんですか?)」

「……ん? あれ? 魔王から貰ったポーション、俺どこやった?」

「それならマスターが懐に入れたままですよ」

「……」(懐を確認すると瓶が粉微塵になっている)

「あ、注意書きの紙は何とか……えー『バカクソ蒸発しやすいから後で使うんならちゃんと蓋しとけよ!』だそうです」

(膝から崩れ落ちる加藤)

「あ、悪ぃ……。アタシの所為で……」

「いや良い。良いんだ、どうせ治らなかったさ。うん」

「ご、ごめんな。詫びすっから、な?」

「ああ……」

「(何でしょう。セラフィナ様に凄く負けてる気がします)」

この後荒らした場所を仲良く掃除した。

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