ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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シャーマンキングのOP、本当に葬式で流した人居るんですかね


よみがーえーれーデッデッデッデッ

 

「」←ゲル塗れグロッキー篠夜

 

「俺は……何でこんな無駄な時間を……うぅ……」

 

「泣かないでくださいよ……」

 

「宝箱の演出をあそこまで熱く語れるのは加藤くらいなもんだな」

 

「熱くてネットリしてたわね、キモ」

 

「だって適当な仕事されたらダンジョンに沼ってる俺がシャバく見えちゃう思ったら! つい! ついぃぃぃ!」

 

「いや、それ言ってる時点でもうシャバいですって!」

 

「何だよ演出説教って……俺は何がしたいんだよ……。こんなんだからいつまで経っても治らないんだよ……。誰か助けてくれぇ……」

 

「下手に反省してるとこっちも怒りづらいんですってば! ほら、しっかりして! 地面に横たわらないでください!」

 

「うぅ……ごめんなさい……」

 

「情緒不安定過ぎるわね」

 

 アホな暴走が終わって漸く気付いたが、先程の宝箱は跡形も無くなっている。恐らくこの男の幻覚だったんだろう。幻覚にキレ散らかすって終わってる。

 

「何にせよこれでコイツの幻覚は一段クオリティが上がった訳だろ? 良かったな!」

 

「虚し過ぎる」

 

「ピンポイントの対策過ぎるわね。まぁ加藤には特攻だけど」

 

「次会ったら俺完封されるかもしれん」

 

「どうせ邪魔した瞬間暴れ出すからヘーキだろ。……で、コレどうする?」

 

 ぶっ倒れる篠目の兄を指差す高木。白目を剥いて動かないイケメンはゲル塗れで非常に汚い。

 

「取り敢えず水掛けて起こすとして……篠目、この兄貴は何なのかちゃんと説明──篠目? おい、アイツどこ行った」

 

「んあ? ……おっかしいな、さっきまでそこ居たんだが」

 

「トイレじゃないの? あそこに公衆トイレあるし」

 

「だとしたら一言くらい……ん?」

 

 少し離れた所に赤い血溜まりがあった。凄まじく嫌な予感がして駆け寄る。そこには──。

 

 

「」←切腹してくたばってる篠目

 

「何でだァァァァァ!!!」

 

 分かりきっていたが、篠目がぶっ倒れていた。急いで【治癒】をかけるが目は覚さない。

 

「おい高木ィ! はよ治せぇ!」

 

「は? ……何でコイツ死に掛けてんの!?」

 

「知らねーよ! 取り敢えず傷塞げ!」

 

「えぇ!? あ、あの! 篠目さん私と会った時に切腹した時は普通に意識ありましたよ!? なのにどうして……」

 

 あまりの唐突さと異質さに困惑する俺達。しかしゲルダに電流走る──!

 

「分かったわ。ストレスよ!」

 

「どう言う事だ!?」

 

「ストレス受けまくると沢山食べちゃう事ってあるじゃない! 過食ってやつ! それと同じよ! あのスカした兄貴に会ったのが嫌で嫌で嫌過ぎて篠目のストレスが天元突破! そんでいつものように切腹でストレス解消しようとした時にもっともっとって深追いしちゃって、今こうして死に掛けてるって訳!!!」

 

「生物として欠陥過ぎるでしょぉぉぉ!? この人よく生きてこれましたね!?」

 

 俺も高木の2人がかりで篠目の傷は塞がった。だが非常に顔色が悪い。回復魔法は間違いなく作用している筈。と言う事は──。

 

「加藤! 血だ! 血が足りてねぇ! このままだと失血死するぞ!」

 

「そうだよなぁ! クソッ! 回復魔法じゃ血はどうしようも無いってのに!」

 

「俺達レベルなら数分程度ならドパ流ししても平気だが、多分血の量的に30分以上はコレだ! 流石にまずい!」

 

「加藤のネットリ説教が長過ぎたのよ! 大体1時間くらいやってたもの!」

 

「畜生! 俺のせいで! すまねぇ篠目! ……いや違うわ! これは俺のせいでは無いだろ! この馬鹿のせいだろ! なんか笑顔なこの馬鹿のせいだろ!」

 

「言ってる場合ですか! どうするんですか!? このままだと──!」

 

 一応エリクサーがあればこの程度なら治せるが、こんな事になるなんて想定していないので持っていない。高木達もそうだろう。ってか想定出来る訳無い。だがこのままだと篠目はお陀仏だ。どうする……?

 

「……そうだ、ダンジョンだ!」

 

「ダンジョン!? 何でよ!?」

 

「篠目はまだ息はある。んでダンジョン内で死んだ場合はダンジョンが蘇生してくれる。つまり!」

 

「そうか! 篠目をダンジョンにぶち込んで、中で失血死させれば生き返って全快だ! ナイスだ高木!」

 

「字面だけ見たらとんでも無い事言ってるように見えるんですけど大丈夫ですか!?」

 

「そうと決まれば運ぶぞ! バイト先のとこなら近いだろ!」

 

 早速篠目を担ぐ。最早一刻の猶予も無い。全力で走る!!!

 

「行くぞぉぉぉ!!!」

 

「「おおおおお!!!」

 

「あ、ま、待って!? こ、この篠目さんのお兄さんは!? 放置!?」

 

 仲間を救う為、俺達は走る! 死ぬなよ篠目! ダンジョンで死ね!

 

◇ ◇ ◇

 

「加藤さんどこ行ったんだろ……。加奈子さんも来ないし……。困ったなぁ」

 

 私はしがない受付員。中級程度のダンジョンの受付に毎日座って仕事をしている。それなりにお給料も良い。ダンジョン運営が儲かっているお陰だ。割と最近入ってきた清掃員のお2人が来ないので困っている。

 

「まぁ……そんなに人来ないし大丈夫か。最近は他所の方が人気高いし……」

 

 私が担当しているダンジョンはシンプルな物。罠も少なめな傾向があり、潜りやすいと言われている。ただ、高レアアイテムがこのダンジョンから排出された事はない。

 

「確率はそんなに変わらないと思うんだけど、良い評判が無いと人気がなぁ」

 

 誰だって【高レアアイテムが出た事あるダンジョン】に潜りたいに決まっている。その方が稼げるからだ。出た事がないと言う事は今後も出ないかもしれない。そんな風評があるのがここのダンジョン。中級探索者が少ないのもあって、ぶっちゃけ過疎ってる。1日に2チーム来れば御の字だ。

 

「ま、そのお陰で変な人も来ないし。来る人大体顔見知りだし。楽ではあるよねー」

 

 探索者は大きく分けて3種類居る。駆け出しやほぼチンピラのような初級ダンジョンでもヒーヒー言ってる初級探索者。それなりに場数を踏んで肉体的にも精神的も成熟した中級探索者。そして高レベルダンジョンでも何のその。ガンガン潜って稼ぎまくる上級探索者だ。ウチに来るのは中級。それなりに礼儀も出来る人達だけだからやり易くて良い。

 

「トップの【勇者の集い】とか、このダンジョンに来ないんだろうなー」

 

 上級探索者の中でも抜けて強い探索者。俗称だけど超位とか言われてたっけ。そんな探索者の集まりが【勇者の集い】。言ってしまえば外れ値だ。強過ぎる。

 

「ちょっと劣るけど【金工房】も強かったらしいけど……あそこもう会社だからなぁ。探索者って感じしないかも」

 

 日本で活動している超位探索者チームは3つ。【勇者の集い】、【金工房】、そしてもう1つ。【自我中心】……一部の者がビビり散らかす、【勇者の集い】の正反対みたいなチーム。

 

「確か加藤さんって前のバイト先でクビになったんだっけか」

 

 あの人【自我中心】のリーダーらしいけど……悪名ほど悪い人には感じないんだよなぁ……。挨拶ちゃんとするし、雑談だってする。割と普通の青年って感じ。見た目はちょっと柄悪めだけど。

 

「なんか評判下がってるみたいで苦労してるし、注意はちょっとだけにしとこ」

 

 実際私がそんなに悪印象無いのは被害に遭って無いからだろう。随分と暴れていた(捕まらない程度)らしいので迷惑かけられた人からしたら仕方ないのかもしれないけど。まぁ頑張って更生しようとしてるなら、良いんじゃ無いだろうか。

 

「ふぁぁ〜、交代までもうそろそろだし、頑張りまs」

 

 

バァァァァン!

 

「「「うおおおおおおおおおおおお!!!」」

 

「嫌ァァァァァ! 死体を背負った暴漢達がぁぁぁぁぁ!」

 

 まるで血の気を感じない顔色の女性を担いだ男とそれに続くスキンヘッドと動くゲル。百鬼夜行にも恐ろしさで負けないと思う。2人と1体なのに。

 

「開けろ開けろ開けろ! 入り口開けろ!!!」

 

「え、支部長……いや会長! 何してるんですか!?」

 

「いいから開けるんだぁぁぁ! 間に合わなくなんだろぉぉぉ!」

 

「で、でも丁度今探索チームが入ってて……! まだ1階層でして……」

 

「構わーーーん!! 俺が許す!!!」

 

「は、はいぃぃぃ!」

 

 急いで入り口のゲートを開ける。ダンジョンに潜る階段が現れるが、安全の為に速度は遅い。まだ2割くらいしか上がっていない。

 

「いや遅! 待ってらんないわよ!」

 

「……やるしかねぇ! ゲルダリアァ!」

 

「OK! 任せなさい!」

 

「え? え? え???」

 

 ゲル……じゃなくてスライムの女性? はゲートまでの床に自分自身をぶち撒けた。床がゲル塗れでヌルヌル。そして──。

 

「逝ってヨォォォォシィ!!!」

 

 暴漢ってか加藤さんが女性をボウリングみたいに放り投げた。ゲルによって摩擦抵抗が無くなった女性は速度を上げてどんどん滑っていく。そのまま開き切ってないゲートを潜ってダンジョン内に入る。

 

 ガン! ゴン! ドカッ! バキッ! グキッ! ゴロゴロゴロゴロ……ベチャチャチャッ!

 

 

ホ ー ル イ ン ワ ン

 

125.3m

 

 およそ人体から聞こえていい音では無い物が聞こえた後、ダンジョンが蘇生魔法を使用したのが感じ取れる。

 

「……む? わっちは一体……」

 

「「「セーーーーフ!」」」

 

 銀髪の美しい女性が蘇生されて転送されてきた。それを喜ぶ加藤さんと会長とスライム。ハイタッチするくらいテンションが高い。

 

「いやー間に合って良かった。マジで焦ったわ」

 

「全く面倒掛けてくれるよな〜コイツ」

 

「感謝しなさいよ! おバカ」

 

「……そうか。わっちは死んだのか。何とバカな事を……何じゃ切腹って……訳分からん……掛けがいの無い命を守りたい……」

 

「そういやコイツ死んだら賢者タイムになるんだった……」

 

「コレ何時間持つかしら?」

 

「限界まで戦って死んだ訳じゃ無いから、もって3時間だろ」

 

「じゃあマトモなうちに掃除させるか。篠目、お前がぶち撒けた血、掃除しに行くぞ」

 

「掃除……この綺麗な星を維持する為に大事なことじゃな……。しっかりやらねばな……」

 

「え? ……え?」

 

 あんな事があったのに当然のように会話をして出て行った。理解が追いつかない。

 

「……あ、どうも」

 

「あ、お疲れ様です……。あの、加奈子さん」

 

「はい」

 

「あの人達って、狂ってます?」

 

「まぁ……かなり」

 

「……そっかぁ……」

 

 取り敢えず、加藤さんの評価を1段階下げる事が確定した。だって……怖いもん。

 

 

◇ ◇ ◇

 

「ぐ……おのれぇ……許さんぞ……。篠目、僕は諦めないぞ。必ずお前を手に入れて見せる……ゲホッゲホッ! クソッ! ゲルが気管に……!」

 

「ママ〜、あれ何〜?」

 

「あれはきっとローション相撲で完敗した敗残兵よ。恥辱とヌメリに(まみ)れているでしょ? 最期はペペローションに満ちた棺桶に入って一生を終えるの」

 

「本当だ〜、弱者は死に方も選べないんだね〜。可哀想〜」

 

「……今日は……帰ろう……」

 

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