ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】   作:1パチより4パチ派

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全部エネロマさんが居たからじゃ無いか…!(割とガチ)

「漸く帰って来れたわねぇ……」

 

「……復興作業大変」

 

「まさか1ヶ月以上もやる事になるなんて思いませんでした……」

 

「1週間目くらいでもう大丈夫言われたが……まぁリファ嬢が納得する訳無いわな!」

 

「それでそのリファルはあの調子かぁ……」

 

「……」

 

 眉間に皺を寄せて『私、怒っています!』と言うのが見え見えのリファルは、日本に戻ってきてから一言も発していない。ずっとスマホで調べ物をしている。

 

「……やはり、そうですか」

 

「何がだリファ嬢?」

 

「コレを見てくださいゴランド!!!」

 

「ニュースサイトだな。……ウォルタリアの事件の話じゃねぇか」

 

「無いんですよ!!! 加藤様の功績を讃える記事がネットの何処にも!!!」

 

「……また始まった……」

 

「リファル……それウォルタリアでも言ってたわよね?」

 

「何度だって言います! これは! おかしい! 間違っています!!!」

 

「間違っちゃいねぇぞ? ただ単にその他って纏められちまっただけで」

 

「そんな詭弁は要りません! こんな見出しでは、完全に私達だけの功績のように見えてしまうでしょう!?」

 

「まぁ……それはそうなんですよね……」

 

「こんな、こんな他者の功績を奪う様な真似……何と浅ましい……。己が恥ずかしいです……」

 

「そうは言っても私達じゃなくて、周りが勝手にそう言うふうにしちゃったのよねぇ……」

 

 ウォルタリア襲撃事件……最早襲撃と言うより侵略レベルのそれは、今の世の中で一番ホットな話題と言っても良い。1ヶ月経った今でもテレビやらネットやらで報道されるくらいだ。……問題は、騒動を収めた功績が殆ど私達に来てしまった事だけど。

 

「皆は納得出来ますか!? 確かに私達も戦いました。事前に調査もしていました。ですがあの夥しいモンスターの数に立ち向かい、犯人側の主力を倒して捕縛したのは誰ですか! 主犯の魔の手から王妃や城に居た人々を体を貫かれながらも拳を振るったのは誰ですか! 捌ききれないモンスター達から首都丸ごと覆い、動けない人々を守っていたのは誰ですか! そう! 【自我中心】……加藤様達のお陰じゃないですか! ならば賞賛を受けるのは彼等でしょう!?」

 

「落ち着けリファ嬢。気持ちも分かるさ。俺だって過剰な濡れ手柄着せられて気分悪ぃよ。だが王妃や騎士団長も言ってただろ? 【今この混乱の中で分かりやすい象徴はどうしても必要。申し訳ないがどうか頼む】ってな。仕方ねぇって」

 

「ゴランド……ですが」

 

「正しい事だけが人を救う訳じゃねぇぞ? そこ勘違いしたらダメだ。他者を守る嘘もこの世にはあるのさ。清濁両方飲み込んでこそ、お前さんが目指す人を救う【勇者】なんじゃねぇのか?」

 

「……すいません。取り乱しました」

 

「いやいや、謝らなくて良いって。リファ嬢は間違ってねぇんだから! 不条理に怒るのは全然良いんだぜ! ガッハッハ!」

 

 ゴランドが宥めたお陰でリファルは落ち着きを取り戻した。流石は帰還兵。あの地獄の戦争を生きて帰って来たのだから、子供の説得なんて簡単ね。……まぁリファル成人してるけど。

 

「他の皆も、申し訳ありません……」

 

「そんな! 謝らないで下さいリファル様! 私もリファル様が正しいと思います!」

 

「……確かに。何の賞賛も無いのはちょっと酷い。あの気狂いが居なければ恐らく勝てなかった」

 

「すげぇよなぁ加藤って奴は! 何せあの【不沈鎧イージスアーマー】をぶっ壊しちまうんだぜ? 世界が出来て史上初の快挙だろうな! 一戦打ち合って貰いてぇなぁ……」

 

「いやいや。普通あり得ないわよ? どんな攻撃も通さないからイージスアーマーなのに、通すどころか粉微塵って。どうなってんのかしらホント」

 

「……気が狂ってるから物理法則も狂ってるとしか」

 

「狂い過ぎでしょ。誰か修理してあげて?」

 

「加藤様ですから! きっと常識に囚われないのです!」

 

「リファル様……その全肯定botやめた方が良いと思います……」

 

「本人は常識インストールしたいみたいだけどね……」

 

 何にせよ1ヶ月ぶりの日本だ。このメンバーが出会った国だし、それなりに愛着もある。それなりに長期の仕事だったし、少しゆっくりしても──。

 

「おい、誰かこっち来るぞ?」

 

「え? ……あれ日本ダンジョン運営の会長じゃない。こんな所で何してるのかしら」

 

 オレンジ色のポニーテールを弾ませながらこちらに走ってきた。凄い息を切らせている。どうやらずっと走っていた様だ。

 

「ハァ……ハァ……や、やっぱりここに居たわね……そ、そろそろだとおもゲホッゲホッオエッ!」

 

「……少し落ち着いた方が良いと思う」

 

「だ、大丈夫ですか!? 回復しましょうか!?」

 

「い、いや大丈夫……。それより着いてきて欲しいの。急ぎの事案があって……」

 

「急ぎ……? 分かりました。行きましょう」

 

「リファル、話をちゃんと聞いてからでも……」

 

「いいえ、エネロマ。これだけ焦っていると言うことは大事に違いありません。まずは移動するのが先決です!」

 

「……そう言うことなら行こう」

 

「荒事か? 力で解決出来るなら良いんだがなぁ」

 

「流石は【勇者の集い】ね! こっちよ!」

 

 そうして、ダンジョン運営の会長に私達は着いて行ったんだけど……。

 

 

 

 

 

 

 

「エネロマ先生!!! お元気そうです何よりです!!!」

 

「」ガクッ

 

「……膝から崩れ落ちた」

 

「精霊族だから膝なんて無いんだがなぁ」

 

 向かった先には【自我中心】リーダー加藤が何故か嬉しそうに待っていた。

 

「ギリ時間内だな。ミニスカメイドは勘弁してあげますよ会長〜。あ、もう俺が会長だった! セレスちゃん、ごめんちゃ〜いw」

 

「クッ……クッ……!!!」ギリギリ

 

「会長……じゃなかった。セレスさん、諦めましょう。大丈夫、反撃の機会は必ずあります。今は耐える時です。あ、マルボロ買って来ました?」

 

「元部下にパシリにされるこの屈辱ぅぅぅ! 必ず晴らすからね!?」

 

「私の仕事増やさない様になってからにしてくださいね」

 

「あの、取り敢えず説明して? 早く」

 

 他にも彼の仲間の……高木だったかしら。その秘書も居る。一体どう言う事だろうか。

 

「あーすんません。実はこの前会長に就任しまして! 日本ダンジョン運営会長の高木でっす! よろちくね❤️」

 

「リファルです! 改めてよろしくお願いします! そして急ぎの件とは!」

 

「加藤」

 

「ああ。──エネロマ先生! 俺達に弁護士として雇われて下さい!!!

 

「orz」

 

「ちょ、先生!? どうしたんですか先生!」

 

「エネロマ!? しっかりしてください!」

 

 何故私が弁護士資格を持っている事を知っているのだろう。探索者になる前は確かに弁護士として働いていたけども。

 

「いや〜弁護士探せって言われたは良いが、誰が良いのかさっぱりでなぁ。誰か居ないかと思って探索者名簿見てたら貴方が目に付いたんですよエネロマさぁ〜ん」

 

「バカな……運営にも私の資格なんて教えてないわよ!?」

 

「あ、名簿って言っても俺個人の物です。他人の情報全部調べて書いてる奴。人にお願いする時に便利ですね〜」

 

「……強請ってるだけ」

 

「こ、こんな人がトップになっちゃったんですか……?」

 

「終わってますよね。秘書の私が一番思ってます。それ」

 

「弁護って言ったって……何やらかしたのよ」

 

「いや話すと長いんですけど……」

 

「加藤様はお困りなのですね!?」

 

「え? あ、はい。仲間が少しピンチで……」

 

「であるのなら! 是非とも協力させて頂きます! 我々【勇者の集い】と【自我中心】の方々が力を合わせれば越えられない困難などありません! さぁ、私に悩みをいくらでも──」

 

「あー……エネロマ先生だけで良いんで……大丈夫です。時間取らせてすいません」

 

「………………………………ソウデスカ」

 

 あんなに元気いっぱいだったリファルは一瞬で何処かへ消えた。今そこに居るのはしわしわピカチュウ……じゃなかった。リファルだった。900年くらい寿命スキップした?

 

「……リファルにも協力させなさい」

 

「え? いやいや、ただでさえ先生頼るのに他の人までは……。流石に……」

 

「リファルにも頼りなさい! じゃなきゃ話も聞かないわよ! 良いの!? 帰るわよ!? 呪うわよ!?」

 

「先生!? どうしたんですか先生! 落ち着いて下さい!」

 

「良いから早くお願いしますって言って来なさいよぉ! 貴方別に鈍チンじゃないでしょ!? 鈍感主人公でも無いくせに分かんないフリしてんじゃ無いわよ!」

 

「そんな! ただ俺に謎の憧憬を持っているから変に関わったら悪化させるかと思って!」

 

「ちゃんと分かってるじゃないの! 変な気遣いしなくて良いから!」

 

「でもリファルさん引き込んだとかなったらセラフィナ絶対キレますもん! どうするんですか! 出会って2秒で即開戦したら! 俺止めるの嫌ですよ!」

 

「私も言い訳考えてあげるから! 説得もするから!」

 

「本当ですか!? 本当ですね!? 嘘じゃないですよね!?」

 

「マジマジマジマジ大マージ! だから早く! 私あの子が落ち込んでる姿見てられないのよ!」

 

「……エネロマの過保護が出た」

 

「完全に冷静さ失っちまってるなぁ」

 

「だってリファル良い娘だもの!!!」

 

「「はいはい」」

 

「それに関しては同意です!」

 

 ちょっと人の話を聞かない事があるだけだ。ちょっと思い込みが激しいだけだ。こんなに人の為に頑張れる子を贔屓して何が悪い。言って見なさいよルドガー!

 

「えーっと、リファルさん」

 

「……ハイ」

 

「その……手貸して貰えると……助かります」

 

「お任せください!!!」

 

 水を得た魚の様に元気になるリファルを見て一安心。良かった、今後更に面倒に拍車が掛かるかもしれないけれど取り敢えず良かった。

 

「じゃあ……そもそも何で弁護士探してるか、教えてくれる?」

 

「了解です先生!」

 

「うん。その先生呼びホントやめて? 何で貴方、私に対しての信頼度高いの?」

 

「俺が高木に復讐出来たのも……ギアススクロールを手に入れる事が出来たのも! 全部エネロマさんのお陰じゃないか!」

 

「いや知らんし! 変な栞挟まないでよ!」

 

 気が進まないが、話を聞かないと何も進まない。変に聞き漏れがあれば大変なので、一から十まで話させないと……。何させられるか分かったもんじゃないから。

 

◇ ◇ ◇

 

「と、言う訳で暫くここで待機する様お願いしますね」

 

「……それは良いのだが……」

 

「♪」

 

「この娘は……何じゃ?」

 

「見張りです。まさかとは思いますが子供の前でスプラッターハウス開催したりしませんよね?」

 

「……ぜ、善処しよう」

 

「と言うか、驚かないんですね。【道具喰い】だと言うのに」

 

「? 【道具喰い】だから……何じゃ? 悪さする訳でも無かろう?」

 

「はい、良い子です。ですが一応討伐対象になっておりますので」

 

「わっちの討伐対象は基本的にモンスターとわっちの2択しか無い」

 

「食べ物は好きと大好きしか無い両津さんみたいな事言わないで下さいね。何か必要ならLINEなりでメッセージをくれれば持って来ますから」

 

「すまんのぉ。迷惑掛ける」

 

「いえいえ。大切な仲間ですから。加藤さんや他の方も、何だかんだ篠目さんが大切だから動いてる訳ですよ」

 

「そうかそうか! わっちそんなに愛されキャラじゃったか! う〜んこれはわっちだけのスピンオフとか出ちゃうのでは無かろうか!?」

 

「それではクォーツ、篠目さんと遊んでいて下さいね」

 

「♪」

 

「あれ? 無視? 嘘か? 大切に思っとるの嘘か?」

 

 そう言って鶴岡は仰々しい扉から出て行ってしまった。部屋の中は綺麗に清掃されていて居心地は良い。

 

「さて……時間が山ほど出来てしまったな」

 

「……」

 

「ん? ……あぁ、悪い。手元に置いとらんと落ち着かんのじゃ」

 

 クォーツと呼ばれておった【道具喰い】がこちらに近づいて来ないと思ったら、わっちの刀に戸惑っている様子。申し訳ないとは思うが、離すわけにはいかない。

 

「安心せい。わっちはお主の事を斬ったりせんよ」

 

「……♪」

 

「驚かせてすまぬな。どれ、詫びついでに遊ぼうか。何をする? 何でもやろう」

 

「♪♪♪」

 

「ほう。トランプか! 良い良い! わっちこれでも仲間内でも運は良い方なのじゃ!」

 

 そう。己で決めたのだ。止めてくれた上に居場所までくれた彼奴の為にも。もう人は斬らないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「鶴岡! 鶴岡!」

 

『どうしました? 急に電話なんて』

 

「この娘すんごいインチキ仕掛けてくるのじゃが!? 目にも止まらぬイカサマされ続けて全敗なんじゃが!?」

 

『クォーツ……また成長したのですね。私は嬉しい……』

 

「負かされ続けているわっちには何か無いのか!?」

 

『加藤さんは慣れましたよ』

 

「彼奴も定期的にカモられとるんかい!!!」




エネロマの見た目は世界樹の迷宮4のホロウって言うエネミーっぽいイメージです。服はクソデカ魔女帽とローブ。
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