ダンジョン中毒から抜け出したい【書籍化&コミカライズ決定】 作:1パチより4パチ派
【精霊裁判とは! 適当さが極まっている精霊族が生み出したクソみたいな裁判である! 原告と被告はお互いに5人の弁護人を集め自身を弁護させる所謂チーム戦だ! 基本的に精霊族の裁判員も適当なのでその場のノリで判決が決まる! つまり! 仰々しい名前なだけのパッションバトルなのである!】
「故に必要な人材は相手に流されず、自分の意見を貫き通す鋼の意志が必要になってくるわ。それを5人、集める必要がある」
「安心してください先生! 選りすぐりの人材を集めました! こちらです!」
【先鋒──勇者の集いリーダー! 人を見る目だけが無いエルフ! リファル!】
「先陣は私にお任せ下さい!」
【次鋒──口先だけで29年! 打倒資本主義! コミーの神父鶴岡!】
「打倒資本家ならば力を貸しましょう」
【中堅──無駄な足掻きを辞めない中毒者! 見た目も中身もチンピラ男! ダンジョン中毒の加藤!】
「俺の説明だけ悪意に満ちてんだけど!?」
【副将──弁護士としての矜持を守る為、ふざけた裁判に立ち向かう! 良心精霊のエネロマ!】
「大将のお膳立ては任せて頂戴!」
【大将──例え相手が狂人だろうと魔王だろうと、間違っているなら絶対に引かない! 真っ直ぐな正義をその胸に、今日も彼女はツッコミ続ける! あらゆる理不尽に立ち向かう一般人! ──加奈子!!!】
「………………」
【それいけ! 裁バトラーファイブ! 篠目の自由をその手で掴むのだ!!!】
「いーーーーーやーーーーーでーーーーーすーーーーー!!!!!」
全力で叫ぶ事でこのふざけ切った流れを止める。何で全員キョトンとしてるんですか。ビンタしますよビンタ。
「おやおや加奈子さん、どうか落ち着いて下さい」
「落ち着ける訳無いでしょ! 何ですかこの集まり! 何ですか精霊裁判! 何なんですか【】の中の謎の説明文! 裁バトラーって何!?」
「ナレーション入れた方が良いかと思いまして。信者の方にお願いしました。良くないですか? 裁バトラー」
「司法に中指立ててる裁判に対してならお似合いかもしれませんね! 帰ります!」
加藤さんから『加奈子さん! お願いです、助けて下さい!』と言われたから着いてきたらこの有様。心配を返して欲しい。
「待って下さい加奈子さん! ふざけてる訳じゃ無くてマジで困ってるんです!」
「私である必要無いですよね? セラフィナさんとかに頼んでくださいよ……」
「セラフィナはダメです。アイツはレスバなんてする前に拳で相手をノックアウトします。それじゃあ意味が無いんです。色々考えた結果、加奈子さんにお願いしたんです!」
「本当に考えました? 脊髄に行動権渡してませんか?」
「俺は交友関係が少ない(略してはがない)じゃ無いですか。その中で真っ当な正しさと凄まじい胆力を持っているのは加奈子さんだけだったんです。決して適当に選んだ訳じゃありません!」
「ツッコミ役で選んだだけじゃないですか! もう目に見えてるんですよ! 相手側もこのふざけた裁判やってくるんですよね!? じゃあボケ倒して来るに決まってますよ! 私過労死しますって!」
「お願いします加奈子さん! 後で何でも言う事聞きますから! どうか! どうか篠目を助けると思って! 俺を助けると思って! 何卒!!!」
「嫌です! 確かに篠目さんのお兄さんの暴挙は許せませんけど、私以外に頼んで下さい! ルロ様の時みたいに物で釣られませんからね!」
「マジかぁ……マジかぁ……どうしよ……ほ、他に適任は……」
嫌だと断言したら目に見えて困り始める加藤さんを見て罪悪感が芽生えて来る。どうしてだろう、凄く悪いことをしている気分になってきた。何でこの人弱る時とことん弱るんだろう。
「ハァ……分かりましたよ……」
「え、いいんですか!?」
「だって何だかんだ言って加藤さん達だけだと心配だし……だったらまだ最初から見てた方がマシかなって……」
「ありがとうございます! ありがとうございます! よっしゃあ! 聞いたか鶴岡! 篠目! この戦い、我々の勝利だ!」
「加奈子さんが参戦してくれるなら勝ち確ですね」
「よっ! 勝利の女神の名は加奈子!」
「取って付けたような太鼓持ちされても困るんですよ! ……それでその、お二人とは初対面……ですよね?」
「そうですね。初めまして加奈子様。お話は聞いております。加藤様の恩人だとか!」
「やたらと彼から評価高いみたいだけど……もしかしてすんごい魔法が使えるとか、戦国無双だったりするの?」
「普通の人間です! 全然強く無いです! 吹いたら飛んできますよ私は!」
【勇者の集い】のメンバーなんて言う超有名人に変な誤解をされたくない。ただでさえ最近街で知らない探索者の人から加藤さん達の新メンバーと思われてるのに……。
「それで……私は何をすればいいんですか?」
「まずは精霊裁判のルールを説明しないとね。複雑過ぎる訳じゃ無いからそこは大丈夫な筈よ」
「本当ですか? だってさっきパッションバトルとか言ってましたよ? 理屈ガン無視ゴリ押し論破王決定戦じゃないですか?」
「これが【精霊裁判】のルールよ!」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
⭐️精霊裁判のおやくそく⭐️
・5対5の弁護人で言い争ってね!
・相手を論破力のある証拠で追い詰めてね!
・良い感じに論破出来ると論破ゲージが上昇するよ!
・ゲージが最大になったら必殺論破を撃ち放ってね!
・勝ち越した側の主張が認められるぞ! 君の無罪を勝ち取ってね!
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「って言う感じかしら。簡単でしょ?」
「ほらぁぁぁぁぁ!!! もうふざけてるぅぅぅ!!! そもそも論破ゲージって何です!? 無いでしょそんな物!」
「いや、あるわよ。ちょっと見せるわね」
エネロマさんが指をくるっと回す。すると空中に──。
論破ゲージ
□□□□□□□□□□
「これが論破ゲージよ。精霊裁判ではこれを公開情報として出されるわ。左から□が◾️に変わっていって、一番右端まで溜まったら必殺論破を使えるわ」
「現実とゲームの境界線ガバガバ過ぎるでしょ!? 本来裁判って法律とか過去の事例とか状況とか! そう言うの込み込みで進める物でしょうがぁ!!!」
論破ゲージ
◾️◾️◾️□□□□□□□ ピピピ
「スゲェ! もう3つ溜まったぞ!」
「チャージ効率が凄まじいですね。流石は加奈子さんです」
「結局ツッコミゲージィィィ!!! ツッコミに効率も何も無いんですよ!」
「そんなに嫌ならばツッコむのを辞めたらどうじゃ?」
「この不条理だらけのまま放置出来るもんですか! 世界が終わりますよ!」
「ね? こう言うところが凄いんだよ加奈子さんは。常人だったら諦めてるぞ?」
「成程……凄まじい精神力、私感服いたしました。加奈子様を見習って、私もつっこみとやらをやってみます! お一人では大変そうなので!」
「え! 本当ですか!?」
「えっとですね……裁バトラーってなんじゃーい! ……こうですかね?」
「おっっっそ!!! 何十行も前のボケに今ツッコんでどうするんですか! もうみんなスクロールして画面から見えなくなってますよ!」
「ボケにツッコむ際は画面内で……勉強になります!」
「ダメだこの人! 絶対フルボケタイプだ! 何があってもツッコミ側に回らない!」
「何と言う事でしょう。この小説の登場キャラは全員野球、全員サッカーと同じようにボケとツッコミ両方の性質を併せ持っているのが特徴だと言うのに。これでは世界の法則性が崩れてしまいます」
「基本的に1人に押し付けて複数人でちょけるからバランスも何も無いんですよ! 元から!」
「まぁ最初から崩れてるなら後は積み上げるだけじゃから逆に楽じゃろ?」
「土台がしっかりしてないからどう足掻いても傾くんですよ! セルフピサの斜塔!」
論破ゲージ
◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️ピピピ
【ゲージが論破で満ち溢れた!!!】
「論破してましたか!? もしかして私の発言全部論破カウントされてます!?」
【今こそ、必殺の論破を放つのだ!!!】
「トドメの一撃みたいに言わないで下さいよ!」
「ナレーションの人テンション上がってないか?」
「ここまでやれとは言ってないんですがね」
「とまぁコレが論破ゲージの説明よ。大体分かった?」
「分かるかぁぁぁぁぁ!!! こんなの裁判じゃありません!!!」
「そう! そうなのよ! そう思うでしょ!? 私改善しようとしたけどダメだったの! 良かった! 分かってくれる人がいて! 私貴女に友情抱きそう!」
「さっきまでの態度的にそうは思えませんけど!?」
エネロマさんはどっちポジションのつもりなんだろう。いやこの人は事実を述べてるだけだから真面目なのか。巫山戯ている物を紹介するから巫山戯てるように感じるだけで。
「ハァ……ハァ……もう何なんですかコレ。私の裁判イメージと違い過ぎて疲れてきた……」
「実際何でこんな裁判が今日まで続いてんだって話ではありますよね。先生に国語の教科書開いてーって言われてスク水に着替え始める奴ぐらい意味分かんないですもん」
「本当に意味分からない例え言うの辞めてくれません? もうちょっとあったでしょ」
「水着に国語の教科書の内容が書いてあったのでは? 所狭しと全体に」
「スク水芳一!?」
「亡霊から芳一を守る為に和尚が夜なべして書いたんじゃろなぁ……」
「持ってかれる割合多過ぎるでしょ! 即死ですよこんなん!」
「セパレートタイプならもうちょい守れますよ!」
「焼け石にかける水の量多少変えたとて!」
「み、皆さん! これを!」
突然リファルさんが声を上げたので振り向くと──。
論破ゲージ
◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️
「い、いけない! 論破ゲージが溢れて……ああ!」
本来のメーターから突き抜けて溜まった論破ゲージは爆発し、跡形も無く消えてしまった。訪れる静寂の中、加藤さんがポツリと言った。
「やっぱすげぇよ加奈子さんは……」
「嬉 し く な い !」