プロローグ
――Side 三人称
西暦20XX年1月
女性しか運用出来ないとされていた特殊兵器【インフィニット・ストラトス(以降ISと呼称)】。
公表され10年経とうとしてるそれをとある日本の少年が起動させたことにより、世界中が震撼した。世界中で再調査したところ、日本の青年と少年の2人が追加で発見され3月頃に公表される。
1人目は子役や俳優としての経歴で知られる少年、
2人目は便利屋久遠を営む青年 冥月院直久。
3人目は三世代議員を務める名門の天上院嫡男の天上院のか夫。
IS学園より招聘を受ける形で3人は入学する。
それにより――世界の表も裏も、大きな波紋で揺れ動くことになる――。
――*――*――*――
Side 妖怪横丁近辺
「ん? カラスが手紙を持ってきた……?」
少年ゲゲゲの鬼太郎は窓からやってきて一声上げたカラスを見て首を傾げる。
父親の目玉おやじの風呂(茶碗の湯船)の様子見しつつ一息ついていた所なので丁度よかった……のかもしれない。
「……」
「誰からじゃ?」
カラスが差し出した手紙を広げて読み進め、内容を確認した鬼太郎は顔を上げて目玉おやじの方に顔を向ける。
「便利屋してるあの男が、暫く便利屋を休業するという連絡ですね」
「儂の現役時代から半月以上休む時は必ず連絡寄越す律儀な奴じゃからな。ソレで今回はどれくらいの期間とか書いてあるんじゃ?」
「それが……期間未定、代わりに一時的に戻るとかならできるから、数ヶ月くらい時間かかっていいなら便利屋の依頼書入れに手紙を、急ぎなら幻想郷の博麗神社の巫女か八雲に話通せと……」
「期間未定とは儂も初めて聞くな。八雲か博麗の巫女に話通せと言うことは、話通した者たちも介入……なるほど、これを期にもう少し幻想郷と儂らの交流させようという魂胆でもあるんじゃろうなぁ」
うーんと腕組みしつつそう見解を告げる目玉おやじ。
「彼の手が欲しいのは所在不明者の捜索か、人間とのゴタゴタが表沙汰になりそうな時なので……後者の時どうしてもとなったら、幻想郷経由で連絡いれるのがいいと思います」
「その辺が良いかもしれんのう……。砂かけ婆やねずみ男あたりにも連絡残してると思うが、いつも通り確認して回覧回したり、あやつの便利屋近くの竹林に繋がる灯籠横の掲示板に書いておくとしようかの」
――*――*――*――
Side 奥東京の1角
「本当に休業してる……」
「だから少し前に休業のお知らせのチラシをポスティングしてたし、私たちには挨拶しにきたでしょうが」
黒髪の少年日向冬樹とその姉日向夏美は便利屋久遠の事務所がシャッター下ろされて長期的臨時休業のお知らせが貼られている前でそんなやり取りをしていた。
「でもまあ……千冬さんはIS学園の先生で、一夏さんもIS学園の生徒になるらしいし……大丈夫かな?」
「僕的に直久さんが刺されないか心配だけどね……すごいモテモテだし……姉ちゃんなにその変な目は」
冬樹が問いかけるも
「べーつーにー?」
と流す夏美。
「それよりボケガエルが家事サボってないか確認しないとね」
――*――*――*――
Side 幻想郷
「あの人への依頼のために妖怪横丁の連中来るのはいいけど、賽銭入れてくれないから参拝客未満なのよね……酒盛りしにくるこっちの妖怪連中が食べ物や酒持ってくるだけマシに見えるし……」
ぶーたれてるのは今代の幻想郷の巫女 博麗霊夢。
「仕方ないだろ、あの人と連絡できる指輪は霊夢と紫、藍しか渡されてないみたいだし」
金髪に白黒服の魔法使い魔理沙が宥めるようにそう告げる。
実際霊夢の右手の薬指に指輪がはめられている。
「……まあ、薬指につけてくれたし? 寛大な心で彼への連絡対応してあげるけどね」
「外のしきたりだと結婚指輪は左指につけるものらしいけどな」
「えっ」
――*――*――*――
Side 冥月院直久
オレは冥月院直久。
便利屋久遠の……6代目ってことになってる古くから居る人の形をした怪物だ。
ちょっとした手違いで転生し、ゲゲゲの鬼太郎や東方Projectが混在したような世界観で紆余曲折あったり、ケロロ軍曹関連らしい宇宙人やオカルト関連に遭遇したりしたが今はIS起動できる素質発覚でIS学園に拉致られている。
まあ外に出たら表と裏からIS使えるモルモットとして狙われかねないのでオレの裏事情知らないなら妥当かもしれない。
ゲゲゲの鬼太郎、東方Project、ケロロ軍曹、インフィニット・ストラトスという時点で「誰だよこんな闇鍋的悪魔合体させたの」案件だが、推しの子世界線も混在してる(一部フラグ叩き折ったが)ので、まだ何かありそうだと疑心暗鬼の真っ最中である。
「すごいねあの人、周りの視線を意に介してないし」「なんの本読んでるのか分からない……!」
そして現在IS学園生活1日目の朝ホームルーム前の登校時間。
教室や廊下から向けられる女子たちの視線をシャットアウトするために本を読んでいる。
「あ、あの」
女の子とは異なる低い声にオレは意識を浮上させる。
「どうした?ファースト」
星野アクアがこちらに声をかけていたので、最初に見つかった男性操縦者をかけてそう呼ぶと、険しい顔を見せた。
「その呼び方は好きでは……いえ、そうじゃなくて……数年前のドーム公演当日に母を……アイを助けてくれましたよね?」
「……? 何のことかさっぱりだな」
「そんなはずは……!」
「(助けたなど言えるほどのことはしていない。死の淵から這い上がる蜘蛛の糸をこそ垂らしたが、あとは本人の気力だ。治した傷は這い上がってみせた彼女の意志の強さに敬意を評しただけだ)」
立ち上がって耳元でそう囁くと
「……! すみません。」
ばっと距離とって一礼するアクア。
不思議な子だなぁ(すっとぼけ)
そんなこんなでホームルームがはじまり、何故か自己紹介が始まる。
なにやらイキり散らかす若いのがいた気がするが、誤差と思って放置することにした。
「冥月院直久です。1人だけみんなと一回りちょっと上で違うので、お手柔らかに……」
「直兄は千冬姉より上だしな……ぐえっ」
しれっと呟いた一言により、出席簿が顔面に直撃したのは織斑一夏(♀)である。
この世界では初期から女の子で、幾多の男を魅了するくせに全員振っている魔性の女と地元では(悪名寄りの)有名な娘である。
「……冥月院は勉強含め困ったことがあれば相談するといい。先生として生徒の面倒を見る義務があるからな」
なんか先生と生徒を強調してる気がするが、オレは曖昧な笑みを浮かべてスルーするのが安牌と確信して実戦するのだった……。
――*――*――*――
Side アクア
ホームルームがおわり、休み時間
とりあえずアイとルビーへ直久が彼だったこととお礼を伝えられたことをメッセージすると爆速で【よくやった!】というスタンプが帰ってきた。
……逆に言えばあの人をISのゴタゴタに巻き込んだのが自分なのも確定したわけで、少し罪悪感。
「ねえねぇアクア君!」「好きなタイプとか教えて!」
……実質女子高生なIS学園に放り込まれた男だからか、すごい群がられてる。
2人目の天上院のか夫とかいう男も人が集まってるが……あれ?
2人の黒髪の娘が複雑そうな顔をして直久さんの前で立っている。
「……久しぶりだな、一夏。色々言いたいことはあるが、それより先にやることがある」
「そうだね、箒」
「「直兄(さん)、この子たち誰??」」
指差す方には如何にも外国のお嬢様みたいな金髪の髪先がロールしてる娘、水色の髪の娘に鈍い赤茶色の髪の娘がしれっと直久さんの後ろでボディタッチしていた。
「話すと長くなる……こっちは数年前に欧州に飛んだ時に遺産関連のゴタゴタを片付ける依頼を受けて知り合ったセシリア嬢。こっちがクライアントとして付き合いのある更識家のお嬢さんの簪ちゃん、そしてこの子がその侍女してる布仏家のお嬢さんの本音ちゃんね」
「「いやそうじゃなくて」」
……息ぴったりだな……。
とか思っていたら先生たちが姿を見せたので慌てて生徒たちが蜘蛛の子を散らすように去っていく。
……この生活、胃薬が手放せなくなりそうなのはなぜだろうか……。
――*――*――*――
Side 天上院のか夫*1
僕は天上院のか夫。
前世では理不尽な目にたくさんあったけど、死んだあとに神様*2に恵まれた環境と類まれなる才能*3のある転生を与えられた。
お陰で小中ではモテモテだったし、僕の家を知らずに喧嘩売ってきたバカは僕に泣いて詫びたりする哀れな末路をたどったりしてとても満たされた生活してる*4。
ひょんなことからIS?とやらに乗れることが判明して、女の園と言われてるIS学園に入学した。
美女ばかりというので、中学みたいに何人か手を出しても何とかなるだろう*5。
とか思ってたのだが……。
なんか他2人の男操縦者のせいで僕がぶっちぎりには、目立っていない*6。
僕より目立つの、おかしくない?*7
僕よりチヤホヤされるの、ずるくない?
ムカつく、腹が立つ。
……ああそうか、コイツらは僕の栄光に輝くための踏み台なのか。*8
そのうち勝手に自滅して、僕にいい感じの踏み台になるんだろう。*9
モブっぽい子じゃない、ヒロインみたいな子が僕に目を向けてないのはあとから目を覚ますフラグってやつなんだろう。*10
なら僕は、この2人と違って努力無くても優れてると証明しないとかな*11