Side 直久
アクアとオレの外出許可をもぎ取ったオレは、アクア関連の案件対処のため、東京へ赴く。
同行者としてアクア固定のそれぞれのパートナー枠で楯無、クロエが同行することに。
認識阻害の礼装とウィッグつけた3人と伊達メガネつけてるだけのオレという変装の雑さだが、幸い誰も気がついてない。
「人が多いですね……」
「土日の東京なんて、人口密度が世界有数だし……」
「治安はいいが、一応スリとかに気をつけろよ。最低限の金以外はISの拡張パスにあるとはいえ、な」
クロエの言葉に楯無とアクアが助言してる。
「もうすぐだが、足は大丈夫そうか?」
「はい、このくらいなら問題ありません。箱入りですが、運動とかはしてますから」
「深窓の令嬢ってのがぴったりだものね……」
オレの確認にふんすふんすしてるクロエにこれでも名家のお嬢様な楯無が複雑そうな顔しながらこぼす。
長閑な会話しながら目的地――苺プロへたどり着く。
受付で変装解除するまで誰か認識されなかったことにオカルト側の力凄い……とアクアがなったりしたがそれはさておき。
「…………」
警戒心バリバリの猫のような目をしてるアクアの双子の妹ルビーと……
「♪」
ルビーの対面に座るオレに正面から抱きついてゴロゴロ言ってるアイが対照的だった(現実逃避)
「アイさん「アイ」……アイ、二児の親らしくもう少し自重を……「15で産んだから5年分のモラトリアムはあっていいと思う」それは違うとワイトは思います」
ルビーの左右に座る斎藤社長と斎藤夫人は頭痛そうな顔をして、斎藤夫人の横でアクアが呼んでいた有馬かなという娘が反応に困っている。
「……冥月院久遠直久です。諱の久遠は受け継いだ便利屋久遠から来ています。この度アイとの結婚のため挨拶に参りました。こちら細やかなものですが……」
心ばかりの手土産をローテーブルに差し出す。
「アイの養父のつ斉藤壱護だ。その……アイと同じ孤児院にいたというのは本当か……?」
斎藤社長の言葉に頷く。
「ええ。アイドルにスカウトされたと相談受けたり、貴方が真っ当な社長なのか調べたりもしたことあります」
「……なるほど……」
「斎藤ミヤコよ、アイを引き取ってくれるって、本当かしら?「ちょっとミヤコまま!?」」
斎藤夫人……ミヤコさんの言葉に反応するルビー。
「彼女がそのつもりなら「ここまで露骨なアピールしてるのにその言い方はない」……自分は懸念が問題無さそうなら話を進めるつもりで来ましたが……2人が成人してない上、ルビーさんの反応から話を考え直す方がよいかともなっているのが現状です」
アイのインターセプトで訂正しつつ言い方を変えつつも本心を伝える。
「私的にはお母さんが結婚とか論外反対認めない!」
「アンタちょっとは言い方に気をつけなさいよ! ゲルマニアグループ総帥の養子っていう世界経済に影響力ある人なのよ!?私たちのような一介の芸能人や事務所なんてたやすくすり潰されるわよ!?」
「親の威光は最終手段。よほどがなきゃオレはやらんよ???」
「やる可能性があるじゃない!」
うーん、打てば響く有馬かな。これだからアクアに気に入られたんだろうなぁ……。
「まあそれはそれとして……」
オレはアイにあることを耳打ちする。
「……うーん、深入りしてほしくないんだけど……そうも言ってられないか……」
アイから後ろ向きだが許可が出たのを確認。
「星野瑠美衣、この手紙を別室で見るといい」
とローテーブルに手紙を差し出す。
「は? 何で? ここで読まれるとまずいの?」
「オレは構わないぞ? 色々面倒なのは君の方だ」
オレの言葉に腑に落ちないと言った顔で手紙を取って別室に向かうルビー。
「……えっと、ラインハルトさんからアイと直久……さんが結婚するには諸々条件があると突きつけられたのですが……」
空気を切り替えるように話を振る斎藤社長。
「オレの見立てでは来月以降云々言ってた条件さえこなせば、あとは努力次第で認めてくれるかと」
「B小町再興とか、アクアのお嫁さん3人とかなくていいの?」
アイが嬉しそうに問いかけてきた。
「なくていいが、『課題にどんな取り組みしたか』が無いとまだダメだって言われるだろうけど」
「……なるほど……?」
アイが考え込む間に有馬かなとアクアの話を進めることに。
「とりあえずアクアが有馬かな……君との婚姻を希望してる。おそらくあとから入る女たちの手綱をクロエと一緒に握ってほしいってことだろうな」
「……腑に落ちないけど、コイツとは友達以上家族以下の付き合いあるし……隣にいられないのはいや……仕方ないからやってやるわよ」
途中へにょったけど、最後にビシッとキメる有馬かな。
これでアクアの表向きの盾は大丈夫そうかな……。
「大丈夫か、むしりなくあたっ!?「アクア君、女の覚悟を無碍にしなさんな」」
思わず怪僧ウルージさんみたいな言い回しになってしまったな……。
「ではアクアさんと有馬かなさんの婚約発表の方、いつでもできるよう根回ししておきますね。ああ、タレントのお仕事の方は続けていただくのは構いませんので……」
クロエが胸をなで下ろしながらそう告げる。
「……アンタ自分以外の女がいてもいいの?」
クロエの様子に思うところがあったのか、そう問いかける有馬かな。
「思うところがないと言えばうそになります。しかし……同じ人を想えて、心を1つに……といかなくても、呉越同舟のようにアクアさんのために手を携えることができるなら……私は受け入れてみせます」
「……澄んだ目でそこまで決意の固まったこと言われたら降参するしかないわね。……アンタみたいな権力後ろ盾はないけど、ヤバい奴とかをチェックくらいはできるから……よろしく」
「はい、よろしくお願いいたしますね、有馬さ「かなでいいわ」……かな」
嫁が仲良くできそうなのを確認して胸をなで下ろすアクア。
丁度ルビーが戻ってきた。
「……この手紙の通りだった。……ママとの結婚……仕方ないから認めるけど……手紙に書いてた通り、協力しなさいよね」
オレはルビーの言葉に頷き、アイがよしっとガッツポーズ。
「とりあえず話もまとまったし……一安心かな……」
「いや、アイの婚姻発表のタイミングとかのすり合わせしたいんで……」
斎藤社長の言葉にそこわすれてたな……となったがとりあえず着実に諸々が進んでると言ってもいいだろう……。
――*――*――*――
Side のか夫*1
「ちっ、オズボーンのジジイめ、ケチくさいこと言わずにオレにあのEsとかいうデカパイ女よこせばいいのに*2……どうせ爺だし不能だろうし*3、使わないなら*4もったいないだろ*5」
愚痴ってるとキアラがやってきた。
「どうかなさいましたか……?」
「ウチのスポンサーがケチだって愚痴ってただけだ。……んで、今日は誰連れてきたんだ?」
「(私の名字や血縁関係辿れないのとこの道化のおかげで色々調べられますが、贄になってる人たちは本当にお気の毒……)そのスポンサーさんと提携した亡国企業のエージェントとのこと……軽くまとめられた書類はこちらに……」
渡されたものを見てほおが緩む。
アメリカ代表候補生のダリル・ケイシー……ギリシャ代表候補生のフォルテ・サファイアと恋仲という百合カップルしてる女だ。*6
百合ってのは野郎が踏み散らかすから美しいんだよな!*7
やはり正常な思考にするため亡国企業がボクに託したんだろう*8。ボクが理解させなきゃね*9。
ついでにパートナーの方も脅して*10ボクの良さを理解させよう。
コレで世界はより良くなるはずだ。
早速呼びつけるとしようか……。