直久 今代の怪物。孤児院で育った。便利屋久遠に合流して記憶同期再開してる。
ゲルマニアグループの総帥
不老不死のラインハルトの異名を持つ。正体は中世頃に(ほか分霊に頼んで)エドテンしたとある怪物の魂の1つ。定期的に本体と記憶同期するが、他の魂から「こいつだけ強度がバグってない?」と思われてる。
Side 直久
前世と今生含めて何度ぶりかの授業中。
「……ここまでで何か分からないところとかありますか? 天上院君、星野君、冥月院さんも分からない所ありましたら……」
と授業で一段落したところで問いかけてくる山田先生。
何故か教室の後ろで腕組んでる千冬がいるが、気にしたら負けなきがして放置している。
「問題無いです」
「渡された日から目を通していたので今のところはついていけてます」
「そもそもこの参考書と教科書たたき台作成から挿絵以外清書したの自分なんで大体頭の中に入ってます……」
「まさかの釈迦に説法状態!? 束博士が出したIS基本書をとある人が教科書と参考書のベースを作成したと聞いてましたけど……!」
オレの言葉に驚く山田先生。
「『月詠久遠』は便利屋久遠の歴代所長のペンネームの苗字。んで、オレのはそのまま『月詠久遠直久』。暇なときや仕事の依頼で執筆したり出版に関わった時はその名前で載せてる」
「流石世界的企業の西澤ピーチグループやゲルマニアグループからも依頼を受ける便利屋の直久さんですわね。ちなみに私は直久さんの出版した本、絶版品含めて全部4冊ずつ持ってますし、そのうち2冊ずつにはサインもしてもらってますわ」
何故かセシリアが自慢気にそう告げ、生徒がざわめく。
「セシリアが絶版品含めて4冊ずつ持ってるやべぇ狂信者」的な認識と、「直久は世界経済の半分を牛耳る西澤ピーチグループや欧州でも有名なブランド品とか取り扱うゲルマニアグループのコネがある人物」というあたりがざわめく理由……のはずだ。
「一部界隈でカルト的人気があると言われてる月詠久遠の正体がこんなところでわかるとは……」
「いや、千冬姉……直兄の事務所で世話になった頃教えてもらったじゃん。なんで忘れてるの……?」
一夏がジト目を向け、そっと目をそらす千冬。
戦闘センスと生存力にリソース極振りしたと言うか、生活力や女子力を代償に桁違いの戦闘力を持ってるような千冬からしたら、全般が高い一夏の言葉は耳が痛いのだろう。
「……ちなみに絶版品した本って再版とかは……」
「ウチの倉庫にあるやつなら当時の値段で売るよ。大体が余ったから自主回収したヤツだし」
アクアにそう答えると、「なら各種2冊くらいずつ取り置いてほしい。……多分アイがコレクションしたがるから」と言ってきたのでオーケーしておく。
「できたら私も……サイン入りだとうれしいです」
山田先生がそうもじもじと告げてきたのでオレは頷く。
うっかり別名義のサインしないよう気をつけないとな……と思ってるとチャイムが鳴る。
「では、今日はここまでです。分からないことがあったら、早めに相談してくださいね。勉強は積み上げが大事ですから」
そう山田先生は締めくくった。
どうやら初日は半ドン(今の若者代表な一夏たちには通じなかった)で正午の鐘と共にホームルームか行われた。
「本日は変則的だが午前で終わりだ。寮の荷解きが終わってない者も居るだろうし、終わってるなら学園を探索したりするのもありだ。食堂は空いているから、食事は指定された時間の範囲で昼と夜食べたいものは行くといい。ソレ以外は購買の既製品などで腹をごまかすように」
そういうと解散となり、自由時間となる。
「「直兄(さん)!」」
一夏と箒ちゃんが駆け寄ってきた。
「「お昼一緒に」」
「先約居るから食堂でその人たち含めてみんなとなら……?」
申し訳ないが事実を通達したうえで妥協案を提示すると2人はしょんぼり顔で頷く。
「ところでどなたと食事を?」
セシリアの言葉に、少し微妙な顔で答える。
「――久遠の前任者の、元教え子兼、便利屋のお得意様かな」
「……不純。私にあれだけ世話をして面倒見ていたのは遊びだったの……?」
こちら側にいる一夏、箒、セシリア、面白半分についてきて渡した万札全部使ってお菓子を山程買って主人たちにも渡してる本音を見て若干威嚇の気配を見せてるのは、対面で食事終えて一息ついてる赤毛の女性。
「それは先代の『定兼』の話。いや、『
「……黙秘」
先代時代の教え子の生活力が終わってる件について。
「千冬といい、真冬といい、生活力がなさすぎるのも考えものだな」
「千冬姉と似た気配してたけど、そっちも同じなんだ……」
アカンモノを見るように一夏が険しい目をする。
「あの、この人は……?」
コッソリ(出来てるとは言ってない)見てたアクアが何かに急かされて?問いかけてきたので
「先代便利屋時代……12年ほど前の交代直前最後の仕事で非常勤講師してた先代が1年教えてた教え子だ。世代交代後も『部屋掃除』や『家事代行』してたからお客様でもあるがね」
と答えておく。
「……なるほど……?」
首を傾げつつもポケットのスマホでL〇ne起動し、なにやら書き込んでるアクア。
「それで話ってのは?」
「……学園にいる間、週一くらいでまたお願いできるかしら……」
「オレは構わないが、風評被害とか諸々大丈夫か?」
女ばかりの学園で、男(しかも表向き希少な男性操縦者)が部屋を出入りするという女のいざこざ不可避なヤツを警戒して問いかける。
「誤差。貴方に囲われてる既成事実になるし、貴方の卒業に合わせて退職して便利屋の事務員兼愛人に就職予定だから」
「「「「「!?」」」」」
「その返しが来るのか……」
真冬の言葉に食堂の生徒たちが一斉に真冬を見た気がするが、本人はどこ吹く風である。
……幻想郷成立前後から向こうモテ期らしいの来てなかったが、ここにきて来てるのか……?
「むー、かんちゃんたちにとっても強敵が居たっぽい……」
「もしかして、直兄はダメ女のほうがよかったりする……?千冬姉や束さんの世話とかもなにかとしてるし……」
「落ち目とかの時ほど、色々やってくれるし……否定する要素ないな……姉の一件で転々*1としてても、コッソリ会いに来てくれたこともあるし……」
「私の遺産相続のゴタゴタが終わるまではチェルシー共々優しくしてくださいましたし……否定できませんわね……」
本音、一夏、箒、セシリアか遠い目でそう零す。
「私とお姉ちゃんの不仲修復とかもしてくれたし……」
「お姉ちゃんがストレスで私のお菓子とかドカ食いして太った時のダイエット手伝ったこともあったよねー」
簪(とその言葉に頷く刀奈)に本音が懐かしい話を零す。
「……とりあえず、今週の何処かで抜き打ちで訪問するからよろしく」
「ええ、わかったわ……」
オレの言葉に真剣な顔で答える真冬。
高所恐怖症の人がバンジーを決意するような顔で言われるとなんかもにょるものだ……。
「それはそれとして……不埒な貴方の同室は誰かしら?」
「不埒って……今のところは不在だ。……まあ入学に関して揉めてるせいで編入になりそうな知り合いが予約してるから相部屋の相方は確定してるようなものだな」
「「「なっ!?」」」
……モテ期来てるの?前世の高校生時代に来て欲しかったなぁ(現実逃避)
「……心当たりが正しいなら……金か銀、どちらで?」
ジト目のセシリア。
いや、お前さんも金髪だけど……。
「髪色聞いてるならセシリアと同じだなぁ」
「……あのあざとさの塊のシャルロットさんでしたか……」
遠い目をするセシリア。
「セシリアさん、その人の特徴とか詳しく」
なんかセシリアに一夏たちが向いたので、オレは三十六計逃げるにしかずと逃走を選択する。
逃げるんだよぉ〜!
――*――*――*――
Side アクア
「……ってことで、かなりライバル多いと思うけど……」
人のいないところで先ほどのやり取りをアイへ連絡するが……。
『関係ないよ? あの人と私同い年だし、あの人と同じ孤児院に居たもん。少しの離別が固く結ばれるための前段階ってことあるし』
……ルビーの母親だけあるのか、譲れないところだと話を聞かないというか、意図的に聞いてない……。
「……というか、同じ孤児院にいたとか初めて聞いたぞ。ついでにその言い方だと、オレたちの父親あの人になるんだけど……」
『彼が引き取られたのが私が14歳の時、妊娠したのは15の時だよ。そもそも髪色違うでしょ?』
『そもそもママは処女懐胎だってば!』
ルビーが通話の声に乱入してきた。
「……とりあえずあの人の書いた本とか絶版品含めて欲しければ当時の定価で売るって言ってたから『いくら? 3セットは欲しい』」
割り込みの圧もすごい。
値段を言おうとして、確認してなかったことを思い出す。
「……値段聞いてなかった。とりあえず2セット取り置きはしてくれてるからどれ欲しいか月詠久遠直久の書籍調べてリストでまとめ『アクア頼んだ!金に糸目はつけないから!』とりあえず1セットあたりの値段をあとでメッセージで送る。何セット買えたかも連絡する」
オレはそう告げて通話を切る。
……男の恋愛は名前をつけて保存、女の恋愛は上書き保存というが、やっぱりそうなのかもしれない……。
――*――*――*――
Side 天上院のか夫*2
やはり僕は素晴らしいから*3部屋に招いてあげると言えば大抵の娘が応じるから*4やっぱりあの二人より優れてるし*5当然だよね!
……逆にあの娘たちはあの二人に洗脳されてるのか*6、靡かないどころか敬遠するし、何処かであの二人殺して目をさまさせなきゃ……。
というか、男性操縦者は3人もいらないしね!
転生特典で与えられる唯一性のはずだし*7、やっぱりあの二人がいると目立たないし、消すしかないか……。
手籠めにしたやつ使って上手く消してやらないとね。父さんたちのように上手くできるだろうし。