とある世界線のインフィニット・ストラトス   作:月神サチ

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第8話 クラス代表決定戦後……。

Side 直久

 

一夏たちと共にラインハルトのアクア凸へ同行することになり、アリーナのピットにたどり着く。

 

「星野愛久愛海。直接会うのは半年ほど振りだな」

 

「……ハイドリヒ卿。お久しぶりです。新商品CM撮影の差し入れの時以来ですね」

 

緊張した様子でラインハルトの声かけに反応するアクア。

 

「そこまで強張らずとも良い。前回のように卿の事務所の事務員が横領してCMの契約金をちょろまかしてるのを釘刺しに来たわけでもないからな」

 

「その千里眼もびっくりな不正発見センサーで電撃訪問するから、『黄金の獣の唐突な視察や訪問は来訪先の不正忠告』って言われるのでは……?」

 

クロエが思わず突っ込む。

 

「半分以上当たっているな、耳が痛い指摘だ。だがコレも私の性故、死ぬまで変わらぬだろうな」

 

「漫才してないで話すすめて、どうぞ」

 

オレのツッコミにラインハルトは苦笑してから告げる。

 

「アクア、養子のクロエだ。どうも小市民的感覚で育ってるが、必要と思ったら私相手にも伝えるべきことは伝える諫言ができる娘だ。1組に月曜から編入させ、本日から卿の住む寮に住まわせる故、仲良くしてくれると舅としてとても助かる」

 

「クロエ・クロニクルです。直久兄様のように身体能力に優れてる訳でも、他の養子の方のように才能あるわけでもないですが……どうかお側に置いていただければと……」

 

「ああ、あと卿の写真見て一目惚れして、卿の出た映画やCM等をプライベート機の中で何度も見たりしてた――ぐっ!?」

 

オレはラインハルトに肉薄し、ためらいなく鳩尾に肘を打ち込む。

 

大樹にトラックが突っ込んだようなズン、という衝撃が床に響いたが……まあ誤差だろう(てきとう)。

 

女の子の秘密を野郎が暴露するのは無粋だし是非もないよね。

 

「とりあえずアクア婚約おめでとう。オレ視点義理の息子にして義理の弟になるな。まあお互いに血縁関係確定してない婚約関係だけどほぼ確定してるから細かいことは気にしない感じで」

 

「アッハイ」

 

言質(懐のボイレコで)取ったのでとりあえずヨシ!(現場猫感)

 

「一夏たちも義理の妹とその旦那ということで、多少気にかけてくれると助かる」

 

「気にかけるのはいいけど」「義理の父親ってことはアクア君のお母さんとも結婚……あっ、星野アイって人!?」「……どれだけ低く見積もってもアラサー……昨今の出産事情考えたらアラフォーやアラフィフだと思うんだけど、どんな人なのかな……?」「婚姻関係結ぶのは構いませんけど、ハプスブルク家のような血が近すぎることにならないようにしてもらいたいですわね……」

 

一夏たちにお願いしたら、アクアとオレの関係から逆算してオレの婚約者にアクアの母親がいる→L○neのグループにいる星野アイにたどり着いたり、年齢差とか諸々気にしたり、しれっと合流したセシリアから謎の釘刺しがあったりと姦しくなる。

 

「とりあえずクロエを預ける手続きを済ませねばな。19時にはここを経たねばならぬ故、なにか用事があるなら早めに済ませてくれ」

 

「ん、わかった」

 

オレが頷くと時は金なりと言わんばかりにラインハルトはクロエと共に去っていく。

 

入れ替わるように千冬が入ってきた……あれ、1組編入予定だけど、担任いなくて良いのか?

 

「あ、千冬姉、今ラインハルトさんから――「織斑先生と呼ばんか愚妹め」」

 

一夏の声かけが出席簿アタックで黙殺された。

 

「あー、千冬さんや。今義父殿が1組に生徒……義父殿の養子アクアの嫁編入させるって学園長に凸しに行ったから、行ったほうがいいかも……」

 

「なっ、ええい仕方ない。オルコット、クラス代表受けるか?「辞退しますわ」よし星野、クラス代表な」

 

「えっ?オレも辞退し……行っちゃった……」

 

千冬がセシリアに確認取ったかと思ったら、すぐにアクアにクラス代表に決定したと一方的に通知してラインハルトたちを追いかけるように去っていった。

 

アクアが困惑してるけどぜひもなし?

 

「いや、試合結果的にオルコットさんがやるべきでは?」

 

アクアが指摘するが、

 

「私、世界の大多数を敵に回したくありませんもの」

 

と答える。

 

「ん?どういうこと?」

 

一夏が首かしげるので解説する。

 

「……男性操縦者の使用するISの稼働ログのうち、戦闘ログについてISを貸与したゲルマニアグループが精査の上、情報請求されたら提出する。これをラインハルトが飲んだから、オレとアクアのIS貸与と自由国籍取得が認められてるんだ」

 

「初耳なんだが?」

 

「今始めて言ったし、総帥殿はオレが説明したと思って言ってないから、聞かされてないならそうなるな」

 

オレの返答に困惑するアクア。

 

「色々大丈夫なのか??」

 

「可能な限り穏便かつこっち有利にできた方だと思うぞ。鶏肋で黒毛和牛と物々交換成立したくらいには」

 

箒のおずおずとした言葉にそう返す。

 

「なおなおの規格外な稼働ログで技術者が頭抱えてあくあくのログとか見ても参考にならないって匙なげるかもねぇ……」

 

「……とりあえず、専用機没収されてモルモットルートを遠ざけるためのコラテラルダメージとして、クラス代表頑張るしかない……か」

 

アクアの言葉に、オレが矢面に立てないことがそこそこ申し訳なく思ったり思わなかったり……。

 

 

 

 

――*――*――*――

 

Side 有馬かな

 

「……なんか……ヤダ……」

 

ネットニュースで出てきたアイツの婚約報道。

 

ゲルマニアグループという、アクアと再会できたきっかけ……とあるCMの担当会社にして、世界2位の規模で欧州に根を張る怪物企業……そんなところの養子とアクアがくっつくというものだ。

 

ぽっと出の女がアイツの横にいると思うと……。

 

とか思ってたらL○neにアイツからのメッセージが。

 

慌てて見ると、『妹がアイドルグループを作ろうとしてる。有馬ならかわいいし、似合うと思ったからどうかな……』みたいなことがちょっとめんどくさく堅苦しい言い回しで書かれていた。

 

……ふーん?

 

『そんなめんどくさいことやりたくない。アンタが私と結婚確約、アンタから私と婚約したって発表してくれるならやってもいいけど』と送ってみる。

 

……いや何考えてるんだ私。

 

慌てて消そうとしたが

 

『それでいいのか?』

 

と帰ってきて思考が停止した。

 

「……えっ」

 

訳が分からない。

 

『重婚というカタチになるし、婚約してるゲルマニアグループ総帥の養子を立てるカタチになる。結果優先度がつくって但し書きを飲めるならだが。……山のようなお見合い写真の連中のように何処かの紐付きにしてゲルマニアグループに食い込もうとする連中やそのために用意された要員に比べたら有馬は信頼できるから』

 

私そんなチョロい女に見え『ならいいわよ』『本当か!? 明日明後日なら学園から出られるからどこかで一度会いたい』私のバカーっ!?

 

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