第1話 新たなる目的
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「来たか…冒険家フェルト…」
「さて…」
「新たな目的は決まったか?それとも…俺の情報を?」
フェルト『もう…古い付き合いだろ…また頼む…今日はその為に来た。』
「普段は酒場のマスターだが…」
「情報屋もやっている…あんたにしか頼めない…」
「世界中を旅する冒険家であり…古い付き合いだ。」
「最近だと…自分の船を持ったみたいじゃないか…」
フェルト『ああ…その件だが…』
「船旅の最中…酷い嵐に遭い…船を沈めてしまった。魔物との戦いにより…ダメージが酷くてな…」
「出来れば…凄腕の船長も紹介して欲しい…」
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「なら…この情報をお前にやる…」
「近頃…この近海を彷徨く海賊の連中からある噂を耳にした。」
フェルト『ある噂?』
「ああ…誰も決して辿り着くことがない…絶海の孤島に古くから眠る神秘の秘宝…」
「だが…海賊の連中は、妙なことを口にしていた。」
ーーー
「絶海の孤島に古くから眠る秘宝…」
「海賊や盗賊なら…耳にするだけでも…探し求めて奪いに行くはずだ。」
「だがな…」
「誰も決して向かおうとしない…」
「あの海域だけは…辞めておけ…皆が口を揃えてそう呟くんだ。」
ーーー
「この一件以来…海賊の連中は、この店に姿を見せることは無かった。」
フェルト『なるほど…新たなる目的ってわけだ。よし…早速…出航の準備だ。』
「待て…まさか…本当に向かう気なのか?」
フェルト『当たり前だ…』
「どんな手掛かりでも…どんな困難な旅路だろうと…」
「俺は、目的地に辿り着いて来た。」
フェルト『世界を旅する冒険家として…新たな目的があるなら…どんな手を使ってでも辿り着く…』
「俺は、伝説の勇者でもなければ…特別な血筋でもない…」
「だから…俺は…」
ーーー
「偉大なる者たちとは違う成果で…歴史に名を刻みたいんだ。」
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「恐れ入ったよ…やはり慣れないな…お前のぶっ飛んだ考え方には…」
フェルト『そうか?』
「ああ…凄腕の船長だが…この港で停泊している者が居る…」
「運がいいと…話を聞いてくれるかも知れない…」
フェルト『分かった。ありがとうな…』
「冒険家フェルト…」
ザッ…
「必ず戻って来いよ…」
フェルト『信じておけ…必ずだ。』
俺は、そう言い残すと酒場の出入り口へと向かう。
すると、どこか不思議な雰囲気を持つ女性とすれ違った。
フェルト『今のは…気のせいか…』
俺は、少し考え…気のせいだと言い聞かせる。
酒場を出ると、そのまま船着場へと向かう。
船長には、確かな貫禄があり…一目で分かった。
ーーー
「絶海の孤島に古から眠る神秘の秘宝か…確かに噂では聞いたことがある…」
「だが…問題は…例の島が浮かぶ海域だ。」
「お前も…船を出していたなら…知っているだろう…グランバレーナの海域を…」
フェルト「!?」
「またの名を…海の墓場…」
「あの海域に入れば最後…二度と戻っては来られないと聞く…」
「海流に舵を取られ…海底へと引き摺り込まれるか…荒波にのみ込まれるか…決して止むことがない大嵐によって難航となるか…あの海域はそんな場所だ。」
フェルト『えらい詳しいな…』
「それはそうさ…俺が世界で、ただ1人の生き残りだからな…」
「あれはもう…数十年も前だ。」
フェルト『なるほど…どうりで…』
「もう一度、あの海域に向かう日が来ようとはな…お前の話には乗ってやる…だが…」
「ひとつ条件がある…」
フェルト『条件?』
「なあに…簡単な条件だ。」
フェルト『それなら…乗った。』
ーーー
フェルト『それが…これか…』
船長の条件とは、船員不足による…下仕事を手伝うことだった…
「ハハハッ!俺が、金を欲しがる面に見えるか?それなら…お前は、まだ青二才だな…」
「あの海域に向かうと聞いて…喜んで死にに行く者など居るはずがなかろう…」
フェルト『まあ…確かに…』
「船長とは、客人と船員の命を守ることが大事だ。」
フェルト『それで…さっきから…あの女性はどうなんだ?甲板の掃除や積荷の準備すらもしないけど…』
「ああ…あれは客人だ。そしてお前は、臨時の船員だ。船長である…俺の命令は絶対だな…」
フェルト『扱いの差…』
「また…船長にこき使われる。旅人が居るとはな…」
「此処では、新人と呼ぼうか?」
「お前も同じ旅人だろう…」
ロイゼ『そうだったな…俺は、ロイゼだ。』
フェルト『俺は、フェルト…』
お互いに、簡単な挨拶を交わし…
それから一晩…船出の準備をすることになった。
夜も更け…辺りが静まる頃には、船出の準備を終えていた。
フェルト『やっと終わった…』
ロイゼ『まあまあ…初めてにしては上出来じゃないか…』
フェルト『それはどうも…』
ロイゼ『なあ…』
ロイゼ『不思議だと思わないか?』
フェルト「?」
フェルト『何がだ?』
ロイゼ『さっきから…あの女…俺達の様子を見続けて居るんだぜ…それも…休む素振りも見せずにずっとだ。』
ロイゼ『それに…どう言うわけか…不気味な感じがしない…声を掛けてくることもしないのにだ。』
フェルト『俺も確かに感じた。そんなに気になるなら…俺が話かけて来ようか?』
ロイゼ『マジか…度胸があるな…噂に聞く…海の魔物かも知れないぜ…』
フェルト『これでも…冒険家をやって来たからな…』
俺は、そう伝えると…
腰を上げて、ある女性に向けて歩みを進める。
月明かりに照らされ…お互いが向き合うなか…
俺は、ある感情を抱いた。
それは、何処か懐かしさのようなものだった。
まるで、何処かで会ったことがあるような…ロイゼからも…そんな感じがした。
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