第2話 大いなる闇
ーーー
「どこかで…」
気のせいではない…俺はそう思った。
すると…
「フェルト…ロイゼ…」
「やっと…再会できましたね…」
「すべてはお導きのとおり…」
「!?」
俺は、驚きのあまりに振り向き…ロイゼと目を合わせる。
すると、彼は戸惑いを見せていた。
俺はこう…彼女に問いかける…
「俺の名前…何故…君がそれを?」
ーーー
彼女は俺の問いかけに対し…こう返した。
「あなたはただ…記憶を無くされているだけ…再び…思い出すのです。」
「私たちの使命を…」
欠けていた記憶を流れるように取り戻した。
ーーー
「お前らと…世界を救ってきたこと…俺は誇りに思う…」
「たとえ…散っても…忘れても…」
「俺はいつか…再会すると信じているからな…」
「ああ…」
「すべては…から…与えられし…使命のため!」
「大いなる闇が…及ばない…場所へ…」
「皆さんをお導き致します!」
「それは共に…」
「すべてを忘れ去ることを意味する…」
「ああ…やってくれ…」
「ラゼリス…」
ーーー
「すべて…思い出した。」
「ラゼリス…君なんだな…」
ラゼリス『はい…』
「これは必然であり…偶然ではない…運命とは…私たちを繋ぎ合わせる力…」
ロイゼ『ほう…どうりでな…』
「ずっと違和感を持ちながら…生きていた。」
「大切なことを忘れているような…」
「やっと…晴らされた感じだ。」
「それはそうと…俺達は力の大半を無くしているな…」
フェルト『これは…「禁じられた秘術」によるものだ。』
ラゼリス『はい…』
ロイゼ『俺には分からん…』
フェルト『神と同等の力を得た者が…すべての魔力を解き放ち扱える古の秘術…』
「記憶と力のすべてを捧げ…時空を越える力…」
「俺達には…他に方法が無かった。」
「あのとき…大いなる闇との戦いに敗れ…俺達は世界を滅ぼしてしまった。」
ーーー
ラゼリス『数多の魔を統べる存在を従え…歴代の勇者の力を封じ…万物をも滅ぼした。』
「混沌の化身…あるときは…邪悪な神としても恐れられた。」
「まさに…大いなる闇そのもの…」
「その名は…」
「アミュシエル…」
「封印が解かれれば再び…大いなる闇として…復活の刻(とき)を迎えてしまう…」
「もう…時間が残されていません…」
俺は少し考え…事の深刻さを理解した。
「封印が解けるのも…神の力が弱まっていると言うことか…」
ラゼリス『はい…私たちが敗れた後…「三英雄」が大いなる闇を封印しました。』
「再び…復活すれば…もう手は残されていないのです。」
ロイゼ『禁じられた秘術とやらは…一度きりなんだな…』
「何度も使えないのか…」
フェルト『ああ…ラゼリスのような器の持ち主でも…心身と魂が保たない…』
「もう一度使えば…魂のない抜け殻となるだろう…」
「大切な仲間を失いたくはない…」
ラゼリス(…)
ーーー
「話は聞いた…もうすぐ夜が明ける…出航だ。」
船長は俺達へこう言い放った。
フェルト『聞いていたのか…』
ーーー
「船長として…船員がサボっていないか…監視する責務がある…」
「だが…その必要はなかったようだがな…」
ロイゼ『さっすが…船長…』
ーーー
「いいか?あの海域は…地獄だぞ…誰も生き残れないやも知れん…」
「それでも向かうと言うなら…船を出そう…」
フェルト『ああ…俺達はもう逃げない…』
ロイゼ『ああ!』
ラゼリス『はい…』
ふん…
「それで十分だ。」
ーーー
ザザザッ…
フェルト『あれから随分と経ったが…』
ロイゼ『海が荒れる感じがしないな…』
ラゼリス『どうにも…嫌な予感がします。』
「グランバレーナの海域は…この辺りの筈だが…」
ザザザザザッ…
「この風の流れ…覚えているぞ!」
「嵐が来る!総員!衝撃に備えろ!」
ゴゴゴゴゴゴッ!!!
ザザザザザッ!!!
ゴロロッ…
ドドドォォォォォ!!!
ロイゼ『急に来やがった!?』
フェルト『離れるなよ!』
ラゼリス『きっと…何かがある…』
「帆をあげろ!船の動力を失えばそれこそ終わりだ!」
フェルト『帆をあげた!』
「それなら!船底を見て来い!」
「海水が入り込めば!あっという間に海の底だ!」
ラゼリス『それなら心配は要りません!船に守りを施しました。』
「そうか!よくやった!」
「だがな…どうやら…ここまでのようだぞ…」
ロイゼ『おい!あれ!』
「!?」
海の波は、竜のように聳え立ち…
俺達を海の底へ沈める…
遠のく…意識の中で…微かな声だけが聞こえていた。
それが誰のものだったのか…
目が覚める頃には忘れていた。
ーーー
ザザザッ…
「此処は…」
しばらく…流れ着いた光景を見つめる…
曖昧な意識の中で…
ふと…我に返ったかのように呟きこう叫んだ。
「皆んなは…」
「誰か…居ないのか!」
必死の呼びかけは、浜辺の波打つ音にかき消される…
意識がハッキリとなるにつれて…
この言葉と考えにも…行き着いた。
「絶海の孤島…神秘の秘宝…」
「と言うことは…此処が…その島なのか…」
「海に沈んだ者達が探し求めていた物が…この先にある…」
「先ずは…皆んなを探さないと…」
その考えを胸に抱き…
俺は、周囲に落ちていた「どうのつるぎ」を拾うと…歩みを進める…
流れ着いた海岸の入り口に差し掛かったとき…
目の前には、1匹のモンスターの姿があった。
プルッ…プルッ…
「こいつは…ぶちスライム…」
ーーー
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