第3話 流れ着いた先
ーーー
シュッ!
ズシャァ!
プルッ…プルッ…
ファファ…
「脅威は退けたが…」
「何かが…おかしい…」
ーーー
さっきまでの…荒れ狂う海が嘘のようだ。
ーーー
晴天の空と美しい海にはまるで…大嵐があったとは思えないほど…
澄み切っていた。
この違和感には…裏がある…
冒険家の勘ってやつだ。
魔物から…ゴールドを手にすると…
岩場の陰に沿って…その海岸を後にする…
岩場を抜けると…微風が俺を出迎えた。
「いい風だ。」
「街は…この方角だな…」
冒険家の勘ってやつは…
案外と当たる…
それほど…研ぎ澄まされた感覚は…
自分でも…不思議なぐらい…
心地いい…
「今までの…自分を信じろ…」
そう言い聞かせ…街道らしい…
道を進む…
やはり…俺の勘は当たっていた。
森林を抜けた先には、港町が見える…
この島には、俺達以外に人が居るようだ。
「再会できると良いんだが…」
ーーー
町の人々から視線を感じる…
どうも落ち着かない…
この町の名を住民から聞くと…
ルミネの町というらしい…
「町の外から…珍しい…」
「此処は…離れ小島の港町で知られていますね…」
フェルト『俺と同じ…旅人を見なかったか?』
町娘はこう答える…
「いえ…見ていません…」
フェルト『そうか…ありがとう…』
俺の違和感は、この会話でやっと繋がった。
ーーー
ルミネの町?
聞いたことがない…
ーーー
俺は古い地図を購入すると…自分の目で確認した。
「やはり…世界地図には、どれも見たことも聞いたこともない…名称の記載がある…」
「何処だ…此処は…」
「皆んなの行方も分からない…」
「町長なら…何か知っているか?」
俺は、その考えに行き着き…
住民の案内のもと…町長の家を訪問することにした。
ーーー
「町の外から?」
「ああ…いや…こっちの話だ。」
「此処は、レオミナル島…」
「南西の離れ小島だ。」
「他にも…サンフレッド島…クランバース島…サンディオル島…ラグナべアス島…」
「この…5つの島が浮かぶ海は…(ジ・ヘブン)と呼ばれている…」
俺にはどれも心当たりがなかった。
船を持ち…海を渡っていたから分かる…
そんな様子を見ると、町長はこう続けた。
「私が思うには…」
「其方は別の世界から…迷い込んで来たのかも知れない…」
フェルト『別の世界?』
ーーー
「離れ小島から…海を渡った先にある…」
「ポルトレーテの町から…北に位置するレオミナル島の王国…」
「サントバウラ王国から…世界に異変が起きていると報告を受けている…」
「どの報告も…実に不可解な事象のようだ。」
「私も…頭を悩ませていた。」
「その1つが…海底より出でる怪物だ。」
「長い間…ポルトレーテの町へ向かえなくなっている…」
「商船や漁船は迂回するしかない…」
俺はある交渉を持ちかけた。
隣町のポルトレーテに行けば…仲間が居るかも知れない…
「俺がその怪物を討伐するなら…ポルトレーテの町へ向かってくれるか?」
甲高い声を上げ…町長は俺の交渉を笑った。
心の底から…冗談だと思っているらしい…
ハハハハハッ!
「いや失礼…王国の精鋭でも敵わなかった化け物でな…」
「見ず知らずの旅人を…向かわせる訳にはゆかん…」
「だが…其方がどうしても…海を渡りたいと言うのなら…」
「先ずは…嘆きの洞窟に棲まう…人喰いの魔物を倒してきて貰いたいのだ。」
「よろしいのですか!?町長!?」
酷く驚いた様子を見せる商人…
「無論!其奴を倒してきたのなら…」
「その腕を見込み…討伐の依頼が出来る…」
「どうだ?引き受けるか?」
町長の条件をのむか…他を当たるか選択が迫られる…
俺は、少し考えると依頼を引き受けることにした。
「分かった…俺が倒そう…」
ーーー
「そうか…」
「だがな…油断はするなよ…」
「あの洞窟には、何が待ち構えているのか…詳しいことは分からない…」
「あの洞窟に送り込んだ者達が未だ戻らない…」
「そんなことが…何度もあった。」
「つい先ほども…送り込んだばかりだ。」
ーーー
つい先ほど…
ーーー
この言葉がどうも引っ掛かった。
俺は、ルミネの町を後にする…
「町長…宜しいのですか?」
「構わん…」
「さて…彼奴はどうか…」
ーーー
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