第5話 海底より出でる怪物
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ルミネの町…
中央広場…
「おう!生きて帰って来たのは其方らが始めてだ!」
「有り得ない…まさか…本当に戻って来るとは…」
俺は、ルミネの町へ戻り…
出迎えの町長にこう伝える。
「町長…」
「約束通り…船を出して貰う…」
「だが…そう急ぐこともなかろう…」
「今夜は宴を開こうぞ!」
「明日は、其方らにとって大きな戦いとなる…」
「今夜は戦いに向けて身体を休めると良い…」
ーーー
ロイゼが、酒場のバルコニーで深く溜め息をつき…言葉を続ける…
「しかし…まだ頭が理解しきれてない…」
「本当に俺たちは、迷い込んじまったのか…」
何処までも冷静沈着なラゼリス…
彼女の言葉は、それ程までに受け入れ難く疑いようもない発言だった。
「別に…疑ってる訳じゃない…」
「だが…どうも…合点がいかない…」
「あの言葉を受け入れようとしても…」
「謎が深まるだけだ…」
「ああ…」
「ところで…ラゼリスは?」
「酒場で話題の的になっている様だ。」
「俺達は、長い付き合いだが…連中にとっては…」
「そこらの女性とは比べようのない…」
「美しさだと…」
「まあ…だろうな…」
ーーー
「嬢ちゃん!この町で暮らす気はないか!」
「嬢ちゃんを見てると…」
「何だか!マスターの若い頃を思い出すよな!」
「そうだ!あの頃は俺達で奪い合ったっけ!」
「お前らには!私の心を奪えないよ!」
「だからか!マスターが独り身なのは!」
「ハハハハハハハハ!!!」
「あんた達!追い出すよ!」
「今夜は酒が美味い!」
「ハハハハハハハハ!!!」
ラゼリス(立ち眩み…目眩も…)
「それぐらいにしておけ!」
「明日は、俺達にとって!大きな戦いとなる!」
「例の…王国の精鋭でも敵わなかった怪物のことだ!」
「洞窟を根城にしていた…化け物の討伐は…彼女の救いあってこそだ…」
「今夜は戦いに向けて…身体を休ませたい…」
「そうだよな…」
「嬢ちゃんらは、町の英雄になる者だ。」
「俺達も陰ながら…応援しているぜ!」
「今夜は飲むぞ!酔い潰れるまで!」
「ハハハハハハハハ!!!」
ーーー
「助かりました…」
「貸しは返したぞ…ラゼリス…」
「ロイゼ…」
「随分と軽い貸しだな…」
「冗談だよ…」
「俺達は共に大いなる闇を祓う…仲間だ。」
「ええ…」
「大いなる闇…アミュシエルは、世界の終焉と共に現れる化身…」
「数多の勇者…もとい…英雄達の記憶を取り戻さなければ…」
「世界の歴史が乱れてしまう…」
「確か…あの化け物も言っていたよな…」
「オルゴ・デミーラと…」
「ああ…恐らくは…魔を統べる存在…」
「魔王のことだろう…」
「これも…英雄達の記憶が奪われてしまった。その弊害でしょう…」
「表の世界では…魔を統べる存在が復活していると言うこと…」
「本来は存在し得ない…魔物が蔓延る世界へと…成り果ててしまった。」
「くそっ!」
「俺達が負けたからか!」
ビクッ…
「やめろ…ロイゼ…」
「ラゼリスが驚いているだろ…」
「あ…ごめん…」
「取り戻せば…良いのです。」
「大いなる闇を倒して…」
「まあ…」
「目的が1つだけなら…やり易いな…」
「ヨーシ!」
「とっとと…明日に備えて寝るか…」
「明日は早いし…」
「そうだな…ロイゼ…」
「ふふ…」
こうして…俺達は、明日に備えて眠りに着いた。
zzz
ーーー
「船出の準備だ!」
「いいか!野郎ども!」
「この者達こそが!海の魔物と戦う勇士だ!」
「そして!」
「俺達こそが!この者達を戦地へと運ぶ!海で生きる男だ!」
オォォォォォォォォォォ!!!
「王国の精鋭でも成し得ない…偉業…」
「俺達は、それを成し得ることを信じているぞ!ご武運を!」
「出航ォ!!!」
カンッカンッカンッカンッカンッ!!!
静寂だった港町に…
船長の挨拶と…
船出の合図が鳴り響く…
ーーー
ザザザザザザザザザザッ!!!
「見ろ!王国軍の旗だ!」
ポルトレーテの町から…数隻…
船が見えていた。
「幾度も凝りないな…」
「また…犠牲を出す気か…」
「サントバウラ王国も…廃れたものよ…」
「いや…アレは…」
「ただの傍観か…あの場所で、錨を落としやがった。」
「まあ良い!」
「腰抜けの王国軍共は放っておけ!」
「そのまま!警戒を緩めるな!」
ーーー
「漁船を確認!」
「宜しいのですか?隊長…」
「どうやら…素人の様ですが…」
「よい…このまま待機せよ…」
「あの者達の腕を見たい…」
ハッ!
ーーー
「この辺りのはずだが…」
ザザザザザッ…
波の音だけが聞こえる…
「異変はないな…」
「本当に居るのか?」
「居ないのなら…そのまま町に向かうはずだろ?」
「それもそうか…」
「!?」
「何か!来ます!」
「船の底から!」
「感じるのか?」
「ラゼリス!」
「ええ…今までに感じたことのない…」
「異様な気配を…」
「倒せるものなら…倒して見せよ…」
「旅の者…」
ブククッ…
「誰だ…我の眠りを妨げる者は…」
ブククッ…
「まあいい…身の程知らずは海の底へ…」
「沈めてやろう…」
「!?」
「この下だ!」
「来るぞ!」
ドドォォォォォォォォォ!!!
「遂に姿を現しやがった!」
「海の怪物!」
「此奴らか…我の眠りを妨げたのは…」
「海帝王ケイオス様…わざわざ…お手を煩わせるほどでもありません…」
「このグラコスだけで…十分で御座います。」
「我が何者であるか…知るまい…」
「よかろう…冥土の土産だ。」
「七海(しちかい)の覇皇(はおう)であり…三英雄の1人…」
「海帝王ケイオスとは…我のことだ。」
「ご丁寧に名乗ってくれたぞ!」
「もう…探る必要は無くなった!」
「行くぞ!フェルト!」
「ああ!」
「ラゼリス!」
「私達は、その先へ向かいたいのです!」
「其処をお通し下さい!」
「バギ!」
ヒュゥゥゥゥゥゥ…
「決まった!ラゼリスの魔力なら…」
ーーー
「ほう…なかなかやりよる…」
「確かに…威勢だけではないな…」
「嘘だろ…傷ひとつ無い…」
「グラコスよ…其方は下がれ…」
「皆もだ…」
ハッ!
「海の魔物を下げた…」
「我だけで十分…」
「我にとって…小舟など…」
「握り潰すだけで事足りうる…」
「だが…其方らの名を聞いた時…」
「思い当たることがある…」
「大天使マキア…」
「この名に身に覚えは無いか…」
「!?」
「何故…その名を…」
「ラゼリス!?どうした!?」
「ロイゼ…やはり…お前だけか…」
「確かに…お前は知らなかったな…」
「どう言うことだよ!?フェルト!?」
「そう…驚くこともなかろう…」
「我はこれ以上…其方らに危害を加えたりはしない…」
「無論…他の人間共にもな…」
「!?」
「何だって!?」
「今!危害を加えないって言ったのか?」
「ああ…」
「三英雄…その称号を持つ者は他に居ない…」
「大天使マキア様…」
ラゼリス『私は、「大いなる光」である…主神の使いです。」
「そして…此処に…」
「かつて…俺達が敗れた後…アミュシエルを封じ込めた英雄の1人が…姿を現した。」
「海帝王ケイオス…久しぶりだな…」
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