ブルーアーカイブ×アークナイツ  調月リオと星外の預言者   作:バトクロス

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初の戦闘シーンです。様々な作者様の戦闘シーンを参考に頑張りました。


極光

 星がよく見える夜。私は椅子に腰掛けながら窓から星をみていた。計算上この星の座標が判別し、転移が可能になるまで残り三ヶ月程。この三ヶ月で随分と様々な権力者達と知り合ったものだ……そしてその周りの人々とも。

 

「申し訳ありませんオラクル。お時間いただきます。」

 

「あぁ、かまわないよトキ……リオの事だっけ。」

 

「はい。相談したい事があります。」

 きっかけは彼女が私に送った『リオ会長について相談があります。』と言うメッセージだった。

 椅子に座った彼女にリオが補充していたお茶をだす。

 

「ありがとうございます。」

 そう言って茶に口をつける彼女は随分と緊張しているようだった。

 

「それで相談事は?」

 

「はい。私はリオ会長が孤独に突き進んでいるのを止めてほしい、いえ()()()()()()()()()()()()()()のです。」

 想像以上に可愛らしい悩みを聞き思わず微笑む。

 

「何故笑顔を浮かべているのですか?」

 

「いや、若いなと思ってね。」

 

「……ありがとうございます。」

 多少ふくれっ面だったがそう言うと彼女はため息をついて話を続けた。

 

「確認だが、リオが孤独に突き進んでいるとはどう言う事かな?今の彼女は他者と協力して物事を進めており、またユウカへの引き継ぎやコユキへの教育を初めとした他のセミナーとの交流も増えている。」

 まず大前提としてリオが孤独では無いと言う客観的な事象を挙げながら問う。

 

「いえ、違います。あれは全て自分でコントロールしていた頃の()()()()()()()()()()。いえ、寧ろ彼女一人が抱え込む物事の数と責任の重さは比較にならない程大きく、そして重くなっています。」

 興味深い視点だった。

 

「続けて。」

 

「はい。リオ会長はやはり今でも合理性を思考の中心に置き、他者とのコミュニケーションはその思考を如何に伝え、もしくは押し通すかと言うものに集約されています。」

 彼女の思考は鋭く研ぎ澄まされていた。本来エージェントとしての活躍を期待され、また実際ミレニアムの秀才達に比べると頭脳はどうしても劣る人間であると考えていたが、これも長年リオと共にいたからか。

 

「またエデン条約への干渉もそうですが、結局会長は()()()()()()()()()()()()()()()()。一見他者と協力しているように見えますが、あの時会議で聞いた話では会長がしくじれば条約は瓦解しかねませんし、そうなった時に頼れる人間は誰も居ません……貴女以外は。」

 そう言って彼女はため息をついた。

 

「君の考えは分かった。よく整理されているし、納得できる要素もある。それで何を私に伝えたい、何を私にして欲しい。」

 彼女の瞳と目を合わせそう尋ねると、

 

「1つ目は貴女が()()()()()()()()()()()様注意してください。2つ目は今話した事をリオ会長に伝えた上で、回答を聞いてきてください。3つ目は貴女がいる間、彼女をささえ続けてください。」

 と言う回答が帰ってきた……リオに随分と重い感情を向けているようだ。可能なら叶えてあげたいが、最後の事に関しては難しい。

 

「申し訳ないが最後のは無理だ。」

 

「何故ですか!」

 自分の返答にトキが噛み付く。

 

「落ち着いてくれ。私の耐久はキヴォトスの生徒達とは違うんだ。」

 

「あっ……失礼しました。」

 一先ずトキを落ち着かせる。

 

「私としても彼女の事は好ましく思ってはいるし、支え続けたい。だけどこれからそのリオの頼みでトリニティに行かないといけないんだ。」

 

「なっ、何故ですか?」

 

「私からは何も言えない。だが私が言っている事は理解できたよね。別にリオを助けたくない訳ではないんだ。」

 

「理解しました。」

 悲しげな彼女に助け舟を出そうと考えた。

 

「それに君にとってはチャンスだ。」

 

「チャンスとは?」

 

「最近私が居るからリオに接触しづらかったのではないかな?つまり私が居なくなれば」

 

「前みたいにリオ会長から頼って貰える!」

 

「そういう事だ。」

 瞳が輝いているトキをみて内心安堵のため息を零した。

 

 

 

 

「そう言えばトキ、『ひかりのたんけん』の試運転を含めて今度『アビ・エシュフ』と呼ばれるパワードスーツを使用してネルと模擬戦するのだろう?私は君の戦闘力を知らないから何も言えないけど、相手は『約束されし勝利の象徴』と称されるエージェントなんだろう?勝算はあるのかい?」

 

「はい。驚かせてみせますよ。」

 

 

 

 トリニティに行く前日、私はすべき事を終えた。コユキには最低限の教育を行い、リオにはコユキのためのAI作成の監督を引き継がせ、エンジニア部にはそれを連絡させた。

 そして最後に、私は何時もとは違うエリドゥのある模擬戦用の空間の管制室でリオ、そしてユウカと共にC&Cの二人を待っていた。

 

「オラクルはそもそも初めてキヴォトスの生徒達の戦いを観るんですよね?」

 

「あぁ、リオが暗殺未遂以降は私の身柄を厳重に保護してくれたからね。君達と違って銃弾1発で私は重傷を負うし、何なら即死するかもしれないから有難かったよ……ここの安全性は大丈夫かい?」

 

「えぇ、この模擬戦室は予め対戦車砲やレールキャノン、高出力ビーム砲が直撃しても耐えうる筈よ。」

 そんな話をしているとひらけた中庭に同時に2人が入ってきた。ネルは両手にサブマシンガンを持っている。反動は心配になるがそれよりもトキだ。

 

「……随分と重武装だね。」

 彼女の身体は水着のようなスーツに包まれ、両腕にはガトリング、両肩には()()()()()()()()が備え付けられていた。

 

「元々は両肩にビームキャノンを取り付けていたけど、今回は試運転で装備を変えているわ。」

 

「……部外者が言うのも何だが少々酷では?明らかにあのパワードスーツは規格外のものに見えるぞ。」

 そうユウカに問いかけると彼女は何故か難しい顔をした。

 

「普通ならそうです。ですが相手は()()()()、ミレニアム最強です。」

 

『用意は良いか。あたしは出来ている。』

 自分の思考を断ち切るように声が響いた。視線を前に戻す。ネルはサブマシンガンを構えた。

 

『私も何時でもいけます。』

 トキはガトリングを構えた。

 二人の瞳に闘志が宿る。

 そして数瞬後、ブザーが鳴った。

 

 

 

 

 初動はトキの方が速かった。ガトリングを斉射しながら跳躍し、そのままテンポをとる。

 

「これがリオ会長の切り札……!」

 反応したのはユウカだった。

 

 私も思わずモニターへ目を向ける。

 空間全体を揺らすような連射。曳光弾が一直線ではなく面となって広がる。回避不能を前提とした人一人に向けるには過剰なまでの火力は本来生徒一人の手には余るものであり、同時に火力を担保した兵器は機動力が不足する。だがそのパワードスーツは機動力と火力を両立していた。

 だがそれ以上に驚いたのは、

 

「ネルが反応している。」

 トキの面での制圧を避けるよう、ネルは既に横へ跳んでいた。予測していたかのような回避。否、予測していたのだろう。地を蹴り、壁を蹴り、空中で姿勢を変える。全弾回避は不可能だ、現に既に幾つかかすり傷がついている。だが彼女はなんてこと無いように回避軌道を取り続ける。

 やがてガトリングのクールダウンが必要になった。

 

『お返しだ。』

 アビ・エシュフの弾幕が止んだ次の瞬間、ネルのサブマシンガンが火を吹いた。

 アビ・エシュフはネルと比較して巨大であり、回避は可能だとしても被弾は不可避だろうと言う予想は裏切られた。

 

「なっ、()()()()()()()!?」

 ユウカの声には隠せない驚愕が含まれていた。

 アビ・エシュフは巨体とは思えない滑らかな回避軌道をとりながら、回避しきれないサブマシンガンの弾丸を全て()()()()()()

 

『その程度ですがネル先輩。』

 

『面白い事を言うなその口は、まだまだに決まってるだろうが!』

 ガトリングのクールダウンが終了した様で、今度は弾幕戦が始まる。

 

「リオ、あれはどの様な理屈で弾丸を迎撃しているんだ?」

 

「単純な話よ。」

 リオはモニターから目を離さないまま答えた。

 

「アビ・エシュフはエリドゥの演算支援を前提に設計された機体だった。」

 

「演算支援?」

 

「あらゆる情報を収集し、未来を予測するためのシステムよ。センサーが取得した情報から相手の軌道を予測し、その結果を操縦者へ提示する。」

 

「それは……未来予測とでも言うべきものだな。」

 

「えぇ。ただし本質はやはり予測演算に過ぎないわ。予測できるものはあくまで限られた範囲の限られた物量に限られるもの。」

 リオはそう言うが、その予測精度は異常だった。

 少なくとも人間相手に運用する水準ではない。

 

「なら何故弾丸を迎撃できる?」

 

「弾丸にも軌道はあるからよ。」

 リオが画面を指差した。

 減速。

 加速。

 機体の旋回。

 そしてガトリングによる迎撃。

 全てが妙な程滑らかだった。

「アビ・エシュフは被弾する弾丸を選別しているの。」

 

「選別?」

 

「全てを避けようとはしていないと言う事よ。」

 ユウカが言葉を継ぐ。

 

「この機体、脅威度計算を常時行っているんです。」

 

「なるほど。」

 理解した。飛来する全ての脅威へ同時に対処するのではなく、致命的な脅威を優先して迎撃する。

 

「正確には三段階ね。」

 リオが補足する。

 

「回避可能な弾丸は回避する。回避不能だが迎撃可能な弾丸は迎撃する。それも不可能な場合のみ装甲で受ける。」

 

「理論上は実質耐久が無限か……」

 

「理論上では無く今目の前で起きているでしょう?だから強いのよ。」

 彼女の声に自信が混じる。

 

「トキの技量も優秀だけれど、アビ・エシュフ最大の武器は火力でも装甲でもない。」

 モニターの中。

 ネルが再び射撃を行う。

 だが弾丸は届かない。

 紙一重で回避され、残りはガトリングが撃ち落としていく。

 

「リアルタイムで行われる絶対的なアクティブ防壁よ。」

 

 

 

 

「児戯であり、茶番だな。」

 

 

 

 

「なっ……どう言う事?これを見てなおそれを言うの?」

 咄嗟に湧き上がる怒りを抑え込み、私はモニターに映し出される数値と実際の戦場を指さす。それに対する彼女の反応は冷やかだった。

 

「技術力と言う面に置いては確かに凄い。この都市でも頭3つ程抜けているとは思う。だが、()()()()()使()()()()()()()。」

 そう言って私の方を見る。

 

「……どう言う事かしら?」

 今度の問は純粋な疑問から産まれたものだった。

 

「君はさっきエリドゥの演算支援をもとにしていると言ったね。確認だけどこの機体は陸戦用で想定される任務はエリドゥの防衛だよな?」

 

「えぇ、空戦用にするには火力と機動力の両立が技術的に難しかったの。それでも十分過ぎるほどの性能よ。」

 彼女を説得しようとし……

 

「つまり現実的な運用が都市防衛、もしくは単機強襲用の機体でありながらリソースを注ぎ込み過ぎた結果()()()()()()()()()()()()()()()()。強襲としてならまだしも都市防衛用としては欠陥兵器だな。」

 直後、予想外の方向から指摘された。

 

「確認だけど貴女の指摘は技術力では無いのね?」

 

「あぁ、先程言ったように君の技術はこの都市では異常値だ。勿論私の本来の力が有れば軽く超越したものが作れるだろうがそれは話が違う。私はこのようなことで決して驕らないよ。私が言いたいのは用途と性能がミスマッチを起こしているということだ。」

 彼女の言葉について思考する。

 

「……貴女の考えだとエリドゥのバックアップを受けなくても強い機体を量産すべきだと言う考えね。」

 

「理想論だがな……ネルを見る限りこの都市では弱き群れより強き個の方が戦術的価値が高いのだろう。そして()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。違うかい?」

 

「……えぇ、その通りよ。」

 

「だから君がその様な視点を持てなかったのも仕方が無い。それに何度も言うが強襲用としてなら素晴らしい機体だ……話の腰を折ってすまなかったな。」

 そう言って彼女の視線がモニターに戻った。

 

 

 

 戦況は確実にトキへ傾き始めていた。

 ネルはなおも接近を試みる。

 だが近付こうとする度にガトリングの制圧射撃が進路を塞ぐ。

 

『ちっ……!』

 壁を蹴る。

 床を蹴る。

 弾幕の隙間を縫うような機動。

 だがそれでも距離は縮まらない。

 むしろ少しずつ押し返されていた。

(不味いな……。)

 ネルは唇を噛む。

 アビ・エシュフの性能は想像以上だった。

 回避、迎撃、装甲、火力。

 どれをとっても隙が見当たらない。

 まして今のトキは冷静だ。焦りも油断も無い。このまま射撃戦を続ければ間違いなく負ける。

(だったら――)

 ネルが地を蹴った。

 

「速い!」

 ユウカが隣で驚くほどの今までとは比較にならない速度。一直線の距離を詰めることしか考えていない突撃。

 

『来ましたか。』

 トキは予測していた。接近戦以外に勝機は無い、ならば必ず踏み込んでくると。演算結果はそう示していた。

 次の瞬間、アビ・エシュフの背部から二門のレールキャノンが展開され、肩部に接続された。リオが僅かに眉を動かす。

 

「使うのね。」

 

「『ひかりのたんけん』か……リオ、確認だが試し打ち位は試運転前にしたよな?」

 

「え?してないわよ。」

 

「おいおいおい!」

 トキの声が響く。

 

『試運転を開始します。』

 

『試運転だからといってやすやすと当てられると思うな!』

 

 砲身内部が青白く発光した。

 収束。

 チャージ。

 圧縮。

 通常のビーム砲とは明らかに違う。

 

『――発射。』

 

 閃光。

 音より先に光が走り、遅れて音と衝撃波が来た。

 モニター越しではどの程度の速度なのかさえ分からない超高速。

 

『っ!?』

 ネルが反応する。

 だが避けきれない。

 咄嗟に身体を捻る。

 直後。

 右肩を青白い光が掠めた。

 ネルの身体が吹き飛ばされると同時に地面に着弾した砲撃が土煙を上げる。

 

『がっ……!!』

 

 数メートル先へ転がりながらも即座に立ち上がる。

 しかし制服の肩口は焼け焦げていた。

 

「直撃していない……?」

 ユウカが呆然と呟く。

 その一方で。

 オラクルは別のものを見ていた。

 

「リオ。」

 

「分かっている。」

 

 アビ・エシュフの各部から白煙が噴き出していた。

 異常な熱量。

 肩部兵装周辺の温度表示が急激に上昇していく。

『警告。冷却系統限界。』

『警告。冷却系統限界。』

『警告――』

 機体内部に警告音が鳴り響く。

 トキの表情が僅かに変化した。

 

「排熱が追い付いていないか。」

 オラクルが静かに言う。

 

「あれだけの出力だ。当然よ。」

 本来のビームキャノンを急遽換装した兵器。

 リオは十分な実証試験など行っておらず、試射も今回が初めてだった。

 

『……なるほど。』

 

 トキが小さく息を吐く。

 そして迷う事無く非常ロックを解除した。

 

『トキ!?』

 ユウカが声を上げる。

 次の瞬間。

 アビ・エシュフの装甲が開き、トキ自身が機体から飛び降りる。

 着地。

 同時に両手を上げた。

 

『私の負けです。』

 沈黙。

 数秒遅れてネルが大声で笑った。

 

『ははっ!なんだそりゃ!』

 

『機体が先に戦闘不能です。続行不能と判断しました。』

 その言葉にネルは肩を竦める。

 

『まあいい。勝ちは勝ちだ。』

 だが。

 その視線は停止したアビ・エシュフへ向いていた。

 

 

 

「馬鹿なんですか会長!」

 その声で隣を見るとリオにユウカの拳骨が突き刺さっているところだった。

 

「搭乗者の安全性確認もせずにぶっつけ本番で試作兵器をぶっ放すとか、どうかしてますよ!」

 

「理論上は安全だったから……」

 

「現実と机上の空論を一緒にしないでください!」

リオに対してのお説教はユウカに任せ、トキとネルのもとに向かう。

 

「お疲れ様二人とも。」

 

「不完全燃焼で終わってしまったな。」

 

「情けない敗北でした。」

 

「いや、そうではない。」

 トキの無表情でありながらしょぼくれた雰囲気に対してフォローをする。

 

「試作兵器の欠陥を把握した。運用上の問題点も見つかった。その時点で試験としては成功だろう……と言っても勝ちたかったという感情に蓋はできないよね。」

 

「……はい。次は負けません。」

 どうやら多少気迫を取り戻したようだ。

 

「それとネル。」

 

「ん?どうした?」

 

「君は凄いな。正直個人が随分と仰々しい称号を持っているなと思ったが、君の戦闘を観てそれが噂の一人歩きでは無いと理解できたよ。」

 

「ふっ、当たり前だろ。あたしは美甘ネル。最強だ。」

 そう言う彼女の笑顔は自信に満ち溢れていた。

 

 

 

 部屋に戻り、寝る用意をしているとリオが訪れて来た。随分とユウカから絞られたようだ。

 

「とりあえず簡潔な報告書と所感を仕上げたわ。一応目を通してくれない?」

 受け取って軽く目を通す。

 

「……レールキャノンに関してはエンジニア部にフィードバックを行うつもりなんだな。正しいと思う。リバースエンジニアリングするよりも楽だ。」

 排熱機能に関してはエンジニア部に一先ず投げると書いてある。だがそれよりも目を引く箇所が有った。

 

「……演算支援によるアクティブ障壁は、O()N()O()F()F()()()。基本設計に関しては両腕部のガトリングを軽量化し、ビームキャノンの砲門を小型化、()()()()()()()()()()姿()()()()()()()()()()()……前言った都市防衛の任務を小数で行えるように、機動力を大幅に上げるつもりだね。良いとは思うけど、これは技術的に可能かい?」

 彼女は一度『ひかりのたんけん』をオミットし、機動力と将来的な量産性を考えて計画を練り直したようだ。

 

「安心して、今度ゲヘナとトリニティから少し投資をしてもらうの。各校が求める強さまでミレニアムの戦力を引き上げさせるためにね……実際にはなりふり構わなければ現状でも抗えるけど、使えるつては使うべきよ。」

 よく考えられている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく読み進めていると、一つ妙なプランが目についた。

 

「『アビ・エシュフ・ティタノマキア』これは……さっき指摘したことの()()()()()()()()。」

 そのプランは先ほどのアビ・エシュフにむしろ増設パーツを追加し、単機での戦略的勝利を目的としたものだった。一応それぞれのパーツは量産可能なようになっており、アビ・エシュフは戦闘中に着脱可能ではあるが……それにしたって異常な装備だった。

 

「増設装甲以外にも追加兵装として、『ひかりのたんけん』、マルチミサイル、索敵用ドローン、フォールディングシールド……それに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に遠隔通信の中継ドローンまであるじゃないか。」

 明らかに過剰な武力だった。仮想敵が、まるで数の力による戦略を圧倒的な個という戦術で打ち破りかねない敵のような。

 

「なぜこんなものを考える。」

 そう尋ねると、彼女は目線をそらし、

 

「万が一のためよ。」

 そういった。




アビ・エシュフ・ティタノマキア。……オラクルの思想とは真っ向から対立する、単機決戦用プラン。その目的はただ一つ……敵が理解する前に終わらせること。
リオ自身ですら実現の目処を立てられていない机上の空論だが、彼女はそれでも設計を捨てなかった。
この計画のきっかけとなったのは、明星ヒマリが持ち込んだとあるデータである。
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