ブルーアーカイブ×アークナイツ  調月リオと星外の預言者   作:バトクロス

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 まぁ序盤なのでね。色々と改変はしていますがまだ小さいです。


表裏二体の歪み

 一先ず告げられた部員が居るであろう部屋にたどり着くと、そこで椅子に座っている一人の生徒に会った。()()()()()()()()()()()()。怪我をしている様だ。

 

「君は、補習授業部の生徒かい?」

 

「はい……貴方はどちら様ですか?」

 流石にこの怪我が原因でテストを受けられなかったとしたら同情する。

 

「初めまして、私はシャーレの先生、今回補習授業部の監督責任者として君達と数週間サポートしていくつもりだよ……その前にこの怪我は何が原因で起きたんだい?」

 

「初めまして、貴方が先生だったのですね?私は阿慈谷ヒフミです。この怪我はちょっと用事でブラックマーケットに行く必要があってその時チンピラに絡まれてこうなっちゃいました……結局目的は果たせず、テストは受けられませんでした。」

 

「そうか。どの様な事情であれ、ブラックマーケットには基本的に行くべきでは無いよ。ただそれにしても災難だったね。学科担当者は怪我について何かしらの追試を行わなかったのかい?一応まずはそこの交渉を手伝おうか?」

 そうヒフミに言うと何故か彼女は目を逸らした。

 

「いや、その……実はブラックマーケットに行った日がテストの受験日でして、此処に来た原因は怪我での未受験では無く普通にサボりです。」

 その言葉に気まずさが含まれている事を考えるに流石に反省はしているのだろう。なら何も言う必要は無い……言う必要は無いがそれはそれとして彼女もれっきとした問題児である事は理解できた。

 

「因みに普段の成績は?」

 

「えっと、普通くらいです。それで『本来は此処に居るべき成績ではない』と今回ナギサ様に、先生のサポートを頼まれまして……あと一応部長です。」

 

「部長なんだね。まぁあくまでも臨時の部活だし臨時の部長かな?それとヒフミはナギサと友人なの?」

 少し疑問に思い、尋ねる。

 

「いえ、私がナギサ様と友人なんて畏れ多いです。ただ私に対してナギサ様が、何故か、関心を寄せられているだけです!……部長に関しての判断は、先生が正しいと思います。」

 

「確か部が無くなる条件って……」

 

「ぜ、全員が落第を免れたら、自然に部は無くなるはずです。な、なので、えっと……その時まで、よろしくお願いします。先生。」

 

「うん、よろしくね。」

 

「はい!それでえっと……名簿を確認したところ、メンバーは私を含めて四人みたいです。」

 そう言って彼女は立ち上がり

 

「とりあえず会いに行きましょうか、先生。まずはみんなで、どうすれば落第せずに済むかの計画を立てないと……。」

 そう言って彼女は駆け出した。私も彼女に付いていく事にした。

 

 

 

 

 

 

 

「ここは……随分と権威的な圧力を与えてくる部屋だね。」

 

「あ、あぅ……あんまり来たくはなかったのですが、この前叱られましたし……頑張ろう。えっと、失礼します……どなたかいらっしゃいますか?」

 物々しい部屋の奥の扉をヒフミが恐る恐る開ける。その先には一人の少女がいた。

 

「あっ、こ、こんにちは。」

 

「……」

 

「えっと……。」

 

「何?」

 

「あ、あぅ……そ、その……。」

 不機嫌そうな少女……いや、警戒心が高いのか?とにかくその少女に対してヒフミはたじたじだ。これでは話が進まない。

 

「初めまして、いきなり見知らぬ大人が居て警戒させてしまったかな。」

 

「ふ、ふん。分かっているようね、いきなり話しかけてきた生徒の後ろに貴方のような人間がいるんだもん!……それで、正義実現委員会に何の用?」

 多少優しく話しかけると彼女は返答した。この感じを見るに警戒心が高い様だ。

 

「え、えっと……探している方がいまして……。」

 

「はぁ!?正義実現委員会に人探しを依頼しようってこと?私たちのこと、ボランティア団体か何かと勘違いしているわけ?そんなに暇じゃないんだけど?」

 

「いえ、えっと、ここに閉じ込められてるって聞いて……。」

 

「……はぁ?」

 まさかのこの先に有るのは収容所の様だ。それにしてもミレニアムと違い、トリニティは収容所さえも華美なのか。

 

「ですから、えっと、その、良くないことをした方がここに……。」

 

「え、それってもしかして……?」

 2人が話していると、奥から……()()姿()()()()()()()()()()

 

「こんにちは。もしかして、私のことをお探しでしたか?」

 

「!?」

 

「!?」

 

「!?」

 流石に驚く。確かキヴォトスでは銃を持たない生徒は裸で歩く生徒よりも少ないとか言われていたが、それはあくまで比喩で実際には別に今まで裸で歩いている生徒は見たことは無かった。水着とはいえこの様な露出で歩く生徒は初めて見た。

 

「え、は、何で!?あ、あんたどうやって牢屋から出てきたの!?ちゃんと鍵閉めたのに!?」

 

「いえ、聞いていましたよ?私のことを話されているような声が聞こえたので、こちらに来てみました。何かご用でしたか?」

 そう言うと彼女は此方に気が付いたようで、視線を向けてきた。

 

「あら。大人の方、ということは……先生、ですね。あらためまして、こんにちは。なるほど、もしかして補習授業部の?」

 

「ま、待って!!その格好で出歩かないでよ!?ちょっとぉ!!」

 

「落ち着きなさい。そんなに慌てていると正義実現委員会の品位を貶めるよ……ヒフミ、名簿を見せてくれないかな?」

 

「……ごめんなさい。」

 この生徒の事も気になるが、その前にとても慌てている正義実現委員会の生徒を落ち着ける。彼女は先程正義実現委員会と言う組織に対して誇りを持っているような発言をした。そこを突くように指摘すると彼女は少し落ち着いたようだ。

 その生徒達を横目で見ながら、名簿の情報をヒフミに見せて貰う。

 

『補習授業部の2年生、浦和ハナコ。水着姿で学校を徘徊し、その現場を正義実現委員会に捕らえられる。現在、正義実現委員会の元で監禁中。』

 その情報によれば、確かに彼女はとんだトラブルメーカーの様だ。ナギサ達の面倒事と言う表現も余り間違ってはいないのかもしれない。

 

「……?何か問題でもありましたか、下江さん?」

 

「あるに決まっているでしょ!?何で学校の中を水着で徘徊するの!?」

 ハナコの疑問に対して直後に突っ込みが入る。

(下江……()()()()簿()()()()()()()()()()()()

 二人の掛け合いを無視して名簿をもう一度見せて貰う。

 

「……流石は正義実現委員会、そういった分野まで網羅されているなんて。」

 

「ばっ、バカじゃないの!?着るに決まっているでしょ!?そ、そんなことをするわけ……!」

 会話を少し意識から外しただけで理解不能な会話が展開されていた。一先ず正義実現委員会の生徒に話しかける。

 

「2人とも少し待ってくれ、下江さん。君の下の名前はコハルで合っているかな?」

 

「?そうだけどどうしたのよ。」

 頭を抱える。

 

「君は自分が正義実現委員会に所属している事は誇らしいんだよね?」

 

「?何を当たり前の事を。私はエリートなの!」

 

「……残念ながら君は今日から正義実現委員会の活動を停止してもらう事になる。君も補習授業部の一員だ。」

 

『補習授業部の1年生、下江コハル。既に3回連続で赤点を叩き出し、留年目前。補足事項:成績が向上するまで、正義実現委員会には復帰できないものとする。』

 

「そんな、そんなことって……」

 彼女は悲壮感を感じさせる表情で崩れ落ちたが、正直言って薄々察してはいた。

 

「……とりあえずもう1人を探しましょう。えっと白州アズサさん。」

 ヒフミが視線を逸らしそう名簿を読み上げた時、外が騒がしくなり、そして直ぐに静かになった。 

 そして扉が開き、見覚えの有る生徒と恐らく同じ組織に所属しているであろう生徒が入ってきた。

 

「ただいま戻りました。」

 

「任務完了です!白州アズサさんを現行犯で確保しました!」

 

 

「……惜しかった。弾丸さえ足りていれば、もう少し道連れに出来たのに。もういい、好きにして。ただ、拷問に耐える訓練は受けてるから、私の口を割るのはそう簡単じゃないよ。」

 

「は、はい!?」

 驚くヒフミの隣で私はナギサの言葉が嘘ではない事を理解した……確かに問題児だらけだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私達は特別授業を行うとされた教室で教員を待っていた。

 周りに居るのは各組織の幹部やリーダー達……ナギサ様に、ミカ様、ツルギ部長にハスミ副部長、ウイさんに、ミネ団長、そして成績上位者の生徒達だ。

 私、日織キョウカは成績上位者としてこの授業を受け、オラクルをサポートする役目がある。

 ナギサ様は私の事を信頼していると言ってはいるし、実際信用されていなければこの様な仕事は与えられていない。だが、同時に自分が一番使いやすい駒だったと言うだけでもある。

 私は自分に期待しないし、人に対しても期待しない。ただ役目を果たすだけだ。

 

 

 そんな事を考えていると、扉が開き、オラクルが入って来た。その立ち姿は堂々としているが、それよりも生徒の皆さんは彼女の頭上に目が行っている。いや、1人明らかに動揺している生徒が居るな。

 

「初めまして。私はオラクル、本日から臨時で特別授業の講師として勤務する事になった。呼び方は呼び捨てか、オラクル先生とでも呼んでくれ。毎日七限にわざわざ時間をとらせて居ることはすまないと思っている。だがその時間を有意義にする様最大限努力するつもりだ。よろしく頼む。」

 彼女がそう挨拶すると、疎らに拍手がなる。

 

「今日はガイダンスだ。エデン条約までの短い期間に何をするのか、そして質疑応答を行う予定だ。まずは……どうしたのかな?聖園ミカさん。」

 そう言ってスクリーンを降ろして映像を投影しようとした瞬間ティーパーティパテル派代表のミカ様が手を挙げた。

 

「オラクル先生だと先生と混じるからオラクルと呼ぶね。まず貴女は何者なの?そしてそもそもこの授業は何なの?私もこんな授業が有るって聞いたの数日前なんだけど、誰の命令と許可を得て行っているの?」

 

「そうなのですか?もしその様なものであれば私は救護騎士団の仕事を優先させて頂きたいのですが!」

 私は予めこの授業がミカ様とオラクルの接点を作るために作られたものであると知っていたが、他の生徒達はティーパーティの認可が降りていないと言う発言に動揺をきたしたようだ。

 

「……まず私はティーパーティフィリウス派の生徒会長、桐藤ナギサさんから呼ばれて来た外部講師だ。お察しの通り、キヴォトスの外の人間だ。それ以上の情報は、皆が私に対して警戒心を薄れさせてからなら話そうかな。」

 彼女はナギサ様からの要請であると言いながらそれ以上の事は口にしなかった。立場を弁えていると言うべきなのか、ことなかれ主義なのかは判断に迷うが……

 

「授業の内容を話す前に、質疑応答をする事にしようか。」

 彼女はそう言って手を叩いた。

 

 

 

 

「じゃあもう一つ。オラクルはナギサちゃんの()()()()?」

 初手はやはりミカ様の質問だった。この質問の回答次第では彼女はオラクルに対して距離を置くだろう。

 

「いや、()()。依頼主では有るが、本質的には対等に近い関係だ。そもそも外部講師だからな。勿論依頼主だからといって忖度するつもりは無いからそこは安心して欲しい。他の人達は何かあるかな?」

 彼女はサラリと受け流しつつ話題を自然に打ち切った。

 

「はい。授業で教える内容について教えて頂いてもよろしいですか?」

 

「羽川ハスミさん、ありがとう。質疑応答が終わった後行うつもりだったけど、当然の質問だと思う。私が教える事はエデン条約前と言う事もあり、『コミュニケーション概論』と言うものになっている。」

 

「『コミュニケーション概論』?何を行うのですか?」

 

「主に仮想事例を用いた思考実験と交渉術の強化だね。あくまで私の主観が多分に含まれると言うことは理解してほしい。」

 正義実現委員会の羽川ハスミ副部長が質問をすると、それに続いて次々と質問が始まった。

 

「オラクルは何故ナギサさんがこの様な授業を作ったかその理由を知らされていますか?」

 

「私はそれについて仮説を立てては居るが、確証は無いしその状態でそれを話すつもりも無い。ただ少なくとも皆さんに対して不利益を被らせるような事はしないつもりだ。」

 

「先生とは知り合いですか?」

 

「うーん……仕事での関係性は有るけど多分君達が想定している程のものは無いね。」

 

「やっぱり銃で撃たれると死んでしまうのですか?」

 

「そうだ。だから脅しでも銃は使わないで欲しい。先生のように特別な力は持っていないんだ。」

 

「オラクル先生はどの程度トリニティについての情報を仕入れていますか?」

 

「ナギサさんが提供してくれた情報と自分で調べた情報量を合わせれば、ある程度は調べていると自負している。」

 

「教える知識は外の世界のものですか?」

 

「実体験をベースにしている部分も有るかその側面はある。だけどこのキヴォトスと言う特異な都市でも応用できるように理論は構築してあるつもりだ。」

 そんな質問の中私も一つ質問をする事にした。

 

「質問です。オラクルは()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……外部の人間に判断できる事は少ない。だが少なくともナギサさんから頂いた前のエデン条約よりはマシだろうね。トリニティ内部で何かしらの()()()()()()()()()()。この話を聞きたい人は後で個別に来てほしい。」

 彼女はそう言った時、私に目を合わせると同時にミカ様を()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 授業が終わった後、生徒達はそれぞれの持ち場へ戻っていった。

 私はと言えば、教壇で資料を片付けているオラクルの元へ向かう。

 

「オラクル。」

 

「ん?ああ、キョウカか。どうかしたのか?」

 

「はい。ナギサ様から指示を受けています。滞在中の居室まで案内します。安全面に関しては信用してください。ナギサ様のセーフティハウスの一つなので。」

 

「助かるよ。この学園は広くてね。正直まだ地図を覚え切れていない。」

 彼女はそう言って荷物を手に持った。

 生徒達が消えた廊下を並んで歩く

 私は会話が得意ではないし、相手も無理に話題を作るタイプでは無い為とても静かだ。だが暫くして彼女が口を開いた。

 

「今日の授業についてフィードバックは何かあるかい?」

 そう言って彼女は私に視線を向ける。

 

「では率直に。」

 

「ああ。」

 

()()()()()()()()()()。」

 普通なら多少は言葉を選ぶだろう。

 だがオラクルはそういう遠回しな表現を好まないとナギサ様からは伝えられている。

 彼女は少しだけ目を丸くした。

 

「続けてくれ。」

 

「想像以上に警戒されていました。特に上層部の方々から。」

 

「その認識には同意する。と言うよりも環境的に警戒されて当然の立場だ。」

 

「確かにその通りでは有りますが、だからこそもう少し穏当に話を展開する必要があったと思います。にも関わらず、トリニティ内部に反乱分子が居る可能性を示唆した。」

 私は彼女を見る。

 

「余計な敵を増やしただけです。」

 

「手厳しいね、そう思う理由は?」

 

「簡単です。」

 廊下を曲がる。夕日が窓から差し込んでいた。付近に人が居ないことを確認しながら小声で話し続ける。

 

「仮に反乱分子が実在した場合、その人物は貴女を危険人物と認識するでしょう。」

 

「そうだろうな。」

 

「そして実在しない場合でも、貴女は外部の人間が根拠のない憶測を語った人物になります。」

 

「なるほど。」

 

「どちらに転んでも得は少ないかと。」

 そう言うと彼女は少しだけ笑った。

 

「よく考えられているね。しかも何方かと言うと考え方がトップの政治家では無くその側近としての考え方だ。興味深い。」

 

「私の言った事は少し考えれば分かる、事実の側面に過ぎません。過剰な評価かと。」

 

「そうか。まぁ確かに君の考えは正しいだろう。」

 彼女はあっさり認める。言い訳をしない辺りは好感が持てた。

 

「ただ。」

 そこで彼女が続けた。

 

「私はあの場で利益を得る必要があった。」

 

「利益?」

 

「興味と言い換えても良い。私には時間が無い。」

 その言葉には特定個人を指すものであると言う含みがあった。

 

「聖園ミカですか。」

 彼女は否定しなかった。

 それだけで十分だった。

 

「彼女はどう見えました?」

 そう聞くと、オラクルは少し考えてから答えた。

 

「賢い。」

 

「はい。」

 

「警戒心が強い。」

 

「そうですかね?あくまで立場を考えて発言したように見えましたが。」

 

「私は彼女の事をあまり知らないからね。そう言う異なる視点は助かるよ。」

 彼女は小さく笑った。

 

「そして、彼女は多分……いや、これは違うかな?」

 彼女が何故か口籠る。

 

「話してください。ここで話しているのはただの憶測ですから。」

 

「……ミカは多分ナギサの事を()()()()()()。恐らくナギサがミカの事を警戒しているように。」

 

「何故ですか?」

 

「初手で私がどの様な存在なのか聞いていたが、あれは()()()()()()()()。そもそも彼女が私を呼んでいないのだから、誰が私を雇用したかは自ずと分かる。あれはナギサに対して私は警戒していると言う牽制だ。」

 

 再び沈黙が落ちる。だが今度は気まずくなかった。

 互いに考えながら歩いているだけだった。

 

「では逆に聞こう。」

 唐突に彼女が言った。

 

「君から見て授業はどうだった?」

 私は少し考える。

 

「内容自体は悪くないと思います。エデン条約に関係して外部の人間から交渉事に関して助言を貰う……それ自体は妥当性を感じられるものです。」

 

「ありがとう。」

 

「ですがほとんど誰も授業内容を聞いていませんでした。」

 オラクルも頷く。

 

「そうだね。」

 

「皆、貴女を見ていました。」

 

「外部講師だから……では無いよね。やはり興味、そして警戒心かな。」

 

「はい。ナギサ様と対等であり、先生とも関係がある外部世界の人間……そして恐らく非常に優秀。」

 そこまで言って結論を述べる。

 

「だから皆、授業ではなく貴女を評価していました。」

 

「成る程。君は目立たないし、自分から何かを起こす力はないが優秀だね。」

 そう言って彼女は何故か嬉しそうな顔をした。

 

 

 

 

 

「到着しました。」

 

 私達は宿舎の前に辿り着いていた。

 トリニティの来客用居住区。そこから少し離れたナギサ様のセーフティハウスだ。比較的静かな場所だ。

 

「ここです。()()()()()1()()()()()()()()()()()()()()。警護と監視の都合上別々に住居を用意するのはコストがかかりますから。」

 

「ありがとう。」

 

 彼女は扉の前に立つ。だが入る前に、ふと振り返った。

 

「最後に一つ聞いても良いかな。」

 

「何でしょう。」

 

「君は私をどう評価している?」

 

 少し困った質問だった。

 本来なら濁すべきなのかもしれない。

 だが嘘をつくつもりは無かった。

 

「ナギサ様が信用していたとしても……いえ、寧ろ信用していたからこそ()()()()()()()()()()()()。」

 私はそう答えた。

 

「ほう。」

 

「勘違いしないでください。私は貴女が敵だとは思っていません、ですがティーパーティに所属している身である以上警戒は必要なのです。」

 

 オラクルは少し黙った後。

 

「それは良い評価だ。」

 と笑い、彼女は部屋へ入っていった。

 

 

 

 

 

 

 補習授業部の皆と顔合わせを行い、一先ず授業を行った後私は正義実現委員会の仲村イチカにナギサが用意した住居に案内された。

 本来は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、流石に生徒と大人が同じ部屋で過ごすのは良くないのでは?との声があったらしく彼女達とは離れて過ごす事になった。明日からは夜遅くまで彼女達の勉強をサポートするつもりだが今日は一先ず場所を案内してもらう都合上早めにきり上げた。

 

「ありがとう、イチカ。」

 

「お安い御用っす。あ、後1人後でここに来るので。」

 彼女が帰った後、私は用意された住居の扉を開けた。中はシンプルだが気品を感じられる作りであり、素材も丈夫そうだった。

 だがまずはすべき事がある。

 

「アロナ、()()()()()()()()()()()()()()()無いか探せる?」

 

『お安い御用です!発見次第細工しておきましょうか?』

 

「いや、そのままで良いよ。下手に警戒心を与えたくない。」

 

『分かりました!……先生は()()()()()()()()()

 

「いや、それほどでは無いかな。」

 そう言ってアロナに探させた所、幾つかの盗聴器とカメラが有った。だが、二部屋だけ無い場所が有った。

 

「流石に2階の寝室にはプライバシーがあるのね……そこは良かった。」

 と言う事で基本的にシャーレとしての仕事は寝室で行う事にした。

 

 

 

 

 書類をこなす事一時間ほど、下の扉が開く音がした。

 

(一応護衛と監視がついている筈だし監視カメラも特に反応していないから大丈夫だろうけど……どうしたんだろう)

 そんな事を思いながら寝室の扉を開け、下に降りると……見覚えの有る顔が見えた。

 

「オラクル!どうしてここに?」

 そこにはオラクルが居た。

 

「成る程……同居人は先生だったか。」

 驚く私に対して彼女は冷静だった。

 

「いや、成る程じゃなくて。オラクルもトリニティに来ていたのかい?」

 

「数日前からね。ナギサさんに依頼を受けている。内容については守秘義務があるから詳しくは話せないが、ある生徒の調査と特別授業の講師だ。」

 

「あぁ、特別授業の話か。」

 

 そう言えばナギサは以前そんな事を言っていた気がする。納得しながら椅子へ腰を下ろす。

 

「しかし、人がもう1人来るとは聞いていたが、まさかオラクルが同じ建物になるとは思わなかったな。」

 

「私もだよ。まぁ、護衛や監視を一箇所に集約した方が楽なのだろう。」

 

 オラクルは肩を竦めた。

 そして自然な様子で荷物を纏める。

「それはそうと先生。」

 

「何だい?」

 

「これからしばらくよろしく頼む。」

 彼女はそう言って手を差し出した。

 

「ああ、よろしく。」

 軽く握手を交わす。だが、その直後に私は妙な事実に気付いた。

 

「……待って。」

 

「ん?」

 

「一応、男女なんだけど。」

 

「そうだね。」

 

「いや、そうだねじゃなくて。」

 私は頭を抱えた。生徒がアウトでも大人の女性ならセーフとでも言うのだろうか、或いはトリニティ所属ではないからか?

 

「これナギサに後で言っておこうかなぁ……。」

 

「何をだい?」

 

「何をって、同じ家に男と女を住まわせるのはどうなんだって話だよ。」

 オラクルは数秒ほど沈黙した。そして真顔で首を傾げる。

 

「君は私を襲うのか?」

 

「そんなわけない!」

 思わず即答してしまった。

 オラクルは少し目を丸くした後、クスリと笑った。

 

「なら問題ないだろう。」

 

「そういう話じゃない。」

 

「そうかい?」

 

「そうだよ。」

 私が全力で否定すると、彼女は楽しそうに肩を揺らした。

 

「安心してくれ。私もその様な事態は想定していない。」

 

「当然だ。」

 

「まぁ私は貴方と比較しても虚弱体質だ。くれぐれも魔が差す様な事はしないでくれ。」

 さらりと言われてしまい、私はため息を吐いた。

 何だかんだで、この妙な同居生活もしばらく続くことになりそうだった。




キョウカは初めて出すネームドのオリキャラなので、何かしら意見や感想を書いてくれると有難いです。参考にするかもしれないので。
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