ブルーアーカイブ×アークナイツ 調月リオと星外の預言者 作:バトクロス
「……私の負けです。次の試合に行きましょう……それでオラクル、貴女は何故トリニティにいるのですか?」
一先ず顔合わせも終わり、互いに夕食を取った後、リビングで彼女が持ち込んだチェスをしながら会話をする……と言うか彼女は異星人だった筈何だが、何故こんなに強いんだ?
「守秘義務がある……のだが、これは言ったほうが良いのか?」
「どうしたのです?何か言えない事情でも?」
私の質問は簡潔な筈だった言えることなら言う、無理なら言わない。所詮その程度の話題だ。彼女が悩む事とは思えない。
「いや、言えない事情が有るが個人的には共有したい。しかし条件次第では伝えるべきでは無いと言う話だ。」
彼女はそう要領の得ない事を言うとこう切り出した。
「貴方への依頼は何だ?それ次第で
彼女のその発言で空気感が変わる。単に世間話のつもりで働かせていた脳みそのリソースを思考に追加で投入する。ティーパーティの彼女達の依頼に含みが無かったかを考え、
「補習授業部の成績を上げて、落第を阻止して欲しいと言われた。
そう言うと彼女は口を閉じ、そして黙り込んだ。
沈黙の中、先程の試合の焼き回しの様にチェスは一方的な試合展開を演じ、私の敗北で終わった。
「シャーレ……と言うか貴方は
彼女は唐突にそう言ってチェックメイトに追い込まれた私のキングを掴み、弄んだ。その目線は、何処か遠くを見つめている。いや、私を通して誰かをみている?
「……貴女は自分が指し手側だと言いたいのですか?」
「何方かと言うと、チェスとは異なるより自由度の高いゲームの駒だ。」
彼女はそう言って視線を私に戻した。
「ナギサを始めとする依頼主は指し手のつもりで貴方に接している。だから彼女が貴方に
彼女は否定しながらも、意図的に
だがそれを受け入れるつもりは無い。
「だが、
そう言って私は見るも無残な私の陣形を指しながら言葉を続ける。
「私は先生としてここに居る。決して使い勝手の良い駒ではない。ならば彼女達の選択を正すことも私の役目だ。」
そう言うと彼女は少し目を細め、直ぐに頷いた。
「わかった。そもそも貴方は私よりも生徒の事を考えて行動している。私の発言は貴方の立場と心情を無視した少々失礼なものだったね。」
そう言って彼女は駒を片付け始める。
「私から話せる事は無いが、貴方が私に助けを求めた場合は可能な限り力を貸そうか、先生。」
彼女の言葉に少し頭を悩ませる、
「君の今のトリニティでの立場だけ教えてくれないかな?」
「まぁ、その程度なら良いだろう。成績上位者、並びに組織幹部に対する特別授業、そして独立したカウンセラーだ。まぁ一応その時はそばにキョウカが護衛としてついて居るがね。」
彼女の役割を聞いて一つ思いついた。
「そうしたら私だけでは、補習授業部の考え方が分からなくなった時相談に乗ってくれ。カウンセラーを出来るという事は心理学関係にも造詣が有るんだよね?」
「それくらいなら問題ない。ただ、
彼女はそう言って自分の部屋に帰る。
そう言えば何故チェスが強いのかを聞きたかったんだ。後日聞こう。
次の日から依頼に沿って放課後に私は補習授業部で学習の監督をしていた。本音を言えば自習の監督をしつつ、分からない事に関しては教えられる分は教えようと思っていた。だが嬉しい誤算が有った。
「ハナコ、この問題はどう解けば良い?」
「どれですか?あぁ、なるほど。こういう時はですね、倍数判定法を用いてこののように……」
「なるほど……うん。理解した。」
アズサはハナコの指導を聞きながら理解を深めていく。
そう、補習授業部に入部しておきながらハナコは学業全般に対して非常に優秀だった。彼女のお陰で学業は当初の予定よりスムーズに進んでいた。だがそれとは別に一つ大きな問題児が居る。
「……?」
「えっと、コハルちゃん?何か分からない問題でもありましたか?」
「いっ、いや、別に!?」
「ちなみに今見ているそのページは、今回のテスト範囲ではありませんよ。」
「えっ、ウソ!やっ、違っ……っ!し、知ってるし!今回の範囲は余裕だから、先のところを予習してただけ!」
……そうか。
「ハナコ、この文章は何?」
「古い叙事詩の冒頭部分ですね。『怒りを歌え、神性よ』と言う……」
「あぁ、あれか。理解した。」
「ハナコ、これは……。」
「これは古代語を翻訳したものですね。原文を理解するには辞書がないと……ちょっと待っていてくださいね。」
「あぁ、成る程。なら、これは恐らく『Gaudium et Spes』……喜びと希望か。」
「えっと……はい、そうみたいですね。これは第二回公会議における……いえそれよりも、アズサちゃんは
「あぁ、昔習った。」
そんな二人を横目にヒフミに話しかける。
「
「はい!ハナコちゃんが何だがとっても凄くって……!それにアズサちゃんも学習意欲たっぷりです!コハルちゃんは実力を隠していたようですし……」
ヒフミは気が付かなかった様だがこの部活の生徒は色々とおかしい。私は既にこの部活において彼女以外の3人に対してはまともに上手く行かないだろうと感じていた。
まずコハルだ。彼女は間違いなく見栄っ張りでそして頭が恐らく良くない。いや、もしかしたら見栄を張った結果があの頭脳であり、地頭は悪く無いのかも知れないが何れにせよあのままだと不味い。しかも初対面の事を考えるにプライドが高く、正論をぶつけるだけでは駄目だ。
次にハナコだ。現状は露出狂である事以外は何も問題が無いが、それなら
そしてアズサだ。彼女は転校生と言っていたが、二年生での編入だ。つまり
「これならもしかして余裕で合格できてしまうかもしれません!本当に良かった……実はすっごく心配していたんです……。実は『もし1次試験で不合格者がででしまったら、合宿をしてください』とティーパーティから言われてまして……。」
「合宿?」
そんな事は聞いていない。
「はい、そうなんです。それに、もし三次試験まで全て落ちてしまったら……あうぅ。」
「何かあるの?」
オラクルが言っていた事が少しだけ分かった。この依頼には何かしら伝えられていない裏がある。
「な、何でもありません……!心配は杞憂で終わりそうですし、暗い話はこの辺にして……とにかく試験は問題なさそうです。」
そう言って安心しているヒフミを見て
「ハナコ、アズサ、コハル。ヒフミを少し借りる。良いかな?」
と言う。
「ん?別に問題ない。」
「大丈夫ですよ。」
「あんた何か如何わしい事でもするつもり!?」
「違うよ!?まぁとりあえずヒフミ、少し部屋から出ようか。話がある。」
「はぃ?分かりました。」
他の補習授業部のメンバーと十分に距離が離れた事を確認してヒフミに向き合う。
「さて、ではティーパーティになんと言われたのか聞こうか。」
彼女にそう静かに言うと、彼女は慌てたように
「いえ、大丈夫な事ですから!」
と言う。しかし大丈夫では済まされないし、私はこのままだと1回目の試験が上手くいく筈が無いと理解していた。
「それでも私は情報を知るべきだと判断した……それともやはり外様の大人である自分には情報を共有できる程の信頼は無いということかな?」
大人気ないが良心の呵責を与える様な言い方で、そう告げる。案の定ヒフミは
「い、いえ!そういう事では!……分かりました伝えます。」
あっさりと口を割った。此処らへんはミレニアム……と言うかリオならすんなり口を割ることは無かっただろう。それに私はどの様な事を告げられてもしっかりと生徒達に向き合って課題を解決していくつもりだ。
「試験は3回有りますが……その全ての試験で誰かしら不合格者が出ると
「……一応教育者としての視点で言わせてもらうが
これだとまるで補習授業部は全員を落第させる為に作られたように思えてしまう。
「ヒフミは気がついているか?あの三人の違和感に。」
「?……ハナコちゃんが優秀な事ですか?」
確認してみたが、どうやらヒフミは気が付いていないようだ。
「まずコハルについてだが……あのままだと落ちるよ。あれは全て見栄を張っているだけで、理解できてはいない。」
「そ、そんな事あるんですか?」
「将来的にバレた時の恥ずかしさの方が自分は致命的だと思うけどね……そしてアズサについてだ。彼女、そもそも二年からの転校生なんだろう?なら高難度の編入試験をパスしているはずだ。そして勤勉で学習意欲もある。なら何で此処に居るんだ?」
「いや、私みたいになんか都合があったんじゃ……」
「勿論そこは分からない。だから頼みがある。私は何とかコハルを説得して付きっきりで勉強を教える。ヒフミはアズサとハナコと仲良くなって情報を集めてきて欲しい。多分そこを知らないと対策を取ることが出来ない。」
私は感じている違和感を伝えながらそう頼み込んだ。
「……
彼女は明確に拒絶した。
「分かった……ただ理由を聞いてもよいかな?」
気持ちを押し殺しながら彼女に問う。
「何かしらの目的の為に友達という関係性を利用する、そんな事をしたくないからです。ハナコちゃんや、アズサちゃんと仲良くなるのは構いませんし、寧ろ仲良くなりたいと思っています。でも、無理に話を聞くのではなく相手から話してもらうのを待つべきです。だから先生……ごめんなさい。」
彼女は単純な善性と倫理観を元に私の頼みを再度打ち消した。
「分かった。無理を言ってごめんね。付き合わせて悪かった。戻ろうか。」
そう言って私はヒフミと共に部室に戻った。
オラクルはガイダンスの次の日から授業を行っていた。
彼女が教えている物事はシンプルだ。最小限もしくは武力行使をしないで交渉をする方法だ。1限、45分と言う短い時間で彼女は素早く教えていく。
一日目はトリニティの内乱と暗闘の歴史の説明だった。
二日目はグループワークでこの様な事が起こった原因と結果を考察させた。そしてそれぞれの生徒達に互いの班について
三日目はキヴォトスの外の契約や交渉の仕方とそれをキヴォトスで適用した場合どの様なリスクがあるか、逆にキヴォトスの契約や交渉の仕方は外ではどの様なリスクが有るかを教えた。
四日目は今までの授業を踏まえてトリニティは過去どうすれば良かったかと言う疑問についてだった。オラクルの外での知見とキヴォトスの特異性を踏まえた解釈と、それに対する生徒達の反論というディスカッション形式での対話を行った。
そしてオラクルによる特別授業が始まって最初の週末。私は貴重な休日を潰して、彼女に招かれてナギサ様に与えられた部屋に来ていた。
「『週末頼みが有る。土曜日は家に来てくれないか?』とはどうしたのですか?それと高級スイーツは何処に有るんですか?」
決してオラクルの
『そう言えばミレニアムに送るつもりの高級スイーツが個数増量中で余ったんだ。もし来てくれるのなら食べるかい?』
と言う文言に釣られたわけではない。
「それで、高級スイーツは何処に有るんですか?」
「先に本題だ。」
「騙しましたね?」
「人聞きが悪いな。あるにはある。」
そう言ってオラクルは机の上を指差した。
そこには比較的知名度のある高級ケーキが置いてある。
「……本当ですね。結構高いと思いますが。」
「私は契約違反は嫌いなんだ。……まぁそれに金はそれなりに有る。ミレニアムへのお土産の余りなんだ気にせず食べてくれ。」
「それなら安心しました。」
ナイフを入れ、一口。
甘い。
しかもただ甘いだけではなく、果実の酸味が程よく混ざっている。
「美味しいです。」
「それは良かった。」
オラクルは紅茶を淹れながら答える。
どうやら本当にスイーツで釣ったらしい。私は少しだけ警戒心を緩めた。
「それで、ミカについてだか。」
「はい。」
紅茶を淹れ終わった彼女も椅子に腰掛ける。
「私はミカと接触する下地が作れたとは思うか?」
私は少し考えた。
感情で答えるべき話ではない。恐らくこれは率直な意見を求められている。
「結論から言うなら、出来たと思います。」
「理由は?」
「まずトリニティの生徒達からの評価です。」
私はケーキを一口食べて続ける。
「好意的な評価が多いですね。そして私も基本的にその意見には賛同します。」
「ほう。」
「特に
オラクルは黙って聞いている。
「私達はキヴォトスの中で生きています。当然ですが価値観も似通います。だからこそ前例のある事に対しては簡単に対応できますが、それだけ未知の事については弱い。ですが貴女は違う。」
そして実例を挙げる。
「三日目の授業がありましたね。」
「あぁ。」
「キヴォトスでは契約違反よりも人間関係を優先する傾向がある、と。」
オラクルは頷く。
「その時、救護騎士団の生徒が『約束を破る方が問題ではありませんか?』と質問しました。」
「あったな。確かその言葉にはYESと答えた筈だ。」
「はい。厳密に言うならそれに対して貴女はこう答えました。」
私は思い出しながら言う。
『外ではそうだ。契約違反をした人間は信用を失う。だがキヴォトスでは違う様に思える。』
『違うとは?』
『例えば友人が約束を破ったとして、その理由が友人を助けるためだったならどうだ?私は契約違反だと思う。これはあくまで個人の思想だが少なくとも私が属していた社会では、その思想に基づいて社会は運営されている。』
『キヴォトスでは違うと?』
『勿論全員がそうでは無いさ。しかし君達はその行為を責めない事も多い筈だ。だから契約そのものではなく、契約を運用する社会構造が違うんだ。そもそもキヴォトスでは武力行使による意思表示が簡単だが、外でそれをしようとすると個人なら逮捕、国家なら戦争になってしまうね。』
オラクルは小さく笑う。
「覚えていたのか。」
「印象的でしたので。」
あの時、教室全体が静かになった。
誰も反論しなかった。しばらく考え込んでいた。やがてその生徒はその思想の善悪は置いておいて一先ず理解したと言った。
「貴女は基本的に外部の常識を持ち込みながら、キヴォトスを否定しなかった。あくまで差異でしか無いと意図的に善悪の議論を避けつつ、キヴォトスで使える部分を教えている。」
私はそう結論づけた。
「だから評価されています。」
「成る程。」
「あと単純に議論が強いです。」
「それは余り嬉しくないな。」
「事実です。」
私は即答した。
「少なくとも私が同じ生徒だったなら討論に参加したくありません。オラクル、貴女は今教師として立っているからこそ議論が出来ているのです。生徒として対等に議論をした場合貴女の意見が全てを押し潰してしまうでしょう。」
「酷い評価だ。」
「褒めています。それだけ理論の完成度、そして口の回し方が優れていると言っているのです……それこそトリニティの上層部と比較しても」
オラクルは苦笑し、少しだけ空気が和らぐ。私はフォークを置いた。
「ですが。ミカ様については微妙な結果に落ち着いています。」
「あぁ。」
「揺さぶりは効果がありました。あの授業は交渉や契約を目的としたもの、否応なしにエデン条約を意識させます。」
そう言うとオラクルが少しだけ目を細めた。
「ですが失敗です。」
「理由を聞こう。」
「ミカ様は動かなかった。」
即答した。
「普通の生徒なら何かしら反応していたと思います。ましてや私が知る頃のミカ様なら間違いなく貴女に何かしらのアクションを取っていたでしょう……ですがミカ様は我慢しました。」
授業初日のガイダンスの日。そしてその後の四日間。
彼女はずっと様子を見ていた。
「貴女が危険人物かどうか。いやもう少し踏み込みましょう。
「私の評価か……と言うか君は彼女がエデン条約に対して何かしら妨害しようとしている組織の中核に居ると判断しているんだね。」
「はい。ナギサ様がそう判断したのなら、一先ずその仮説に基づいて私は考えます……それにナギサ様は短慮で思い込みが激しい所は有りますが、私よりもずっと賢い。」
「そうか。で、君はミカの様子をどう分析している?」
少し考えながら言葉を選ぶ。
「私から見る限り、ミカ様は貴女に興味は持っています。だが動かない。いや、動けないのかもしれません。
彼女が紅茶を飲むのを見ながら続ける。
「だから一つ提案があります。」
「聞こうか。」
「一度ナギサ様と話をするべきです。」
オラクルは少し考える。
「今このタイミングでか?他の生徒達に警戒心を与えるだけだと思うが……理由は?」
「ナギサ様はミカ様を長く見ています。私よりも正しい判断が聞ける場合が有ります。」
当然だ。あの2人が古くからの友人である事は周知の事実だ。
「評価も貰えるでしょうし、アドバイスも頂けると思います。警戒心については私が根回ししてナギサ様から呼びつけて貰うようにしましょう。対外的にはこれでパフォーマンスとしては十分かと。」
「それは確かにそうだ。わかったよ。」
「あともう一つ。」
「何かな。」
「そろそろこちらから話しかける口実を作っても良いと思います。」
オラクルが私を見る。
「下地は出来たのだろう?」
「えぇ。」
「なら待つ必要は無いか。」
「私もそう思います。」
今までは準備期間だった。
だが相手は既にこちらを認識している。
なら次は接触だ。
「向こうが来るのを待つより、こちらから歩み寄った方が手っ取り早くまた、確実です。」
「手段としては……やはり授業か。」
「はい、ミカ様はああ見えて意外と真面目です。」
真面目だからこそ質問する。真面目だからこそ議論する。だから彼女に授業中さりげなく課題を与え、さりげなく手助けをする準備があると伝える。
「それだけか。」
「それだけです。」
変な口実は要らない。むしろ不自然になる。オラクルはしばらく考え、
「確かに。」
そう呟いた。
「君は側近向きだな。」
「前にも言われました。」
「政治家ではない。」
「よく分かっています。」
オラクルは紅茶を飲み、一息つく。そして少しだけ笑った。
「ありがとう。呼んだ価値はあった。」
「それは良かったです。」
私は最後の一口を食べながら答えた。
「それで。」
「何だい?」
「スイーツのおかわりはありますか?」
数秒の沈黙。
その後。
オラクルは少し苦笑しながら
「これ以上は無い……けどそうだね。私にチェスで勝てれば追加で買ってあげよう。花の女子高生だ。」
そう言って盤と駒を机のしたから取り出した。
「趣味なのですか?」
「いや、
1時間後、私は無残な敗北を喫した。
「悔しい……悔しいです。」
「負けず嫌いだね……君は随分と素を出すようになったね。」
「貴女と長時間接触して取り繕うのは無駄だと思ったので……もう一戦お願いします。」
「セイアさん。見つかりました。」
「本当かい!?何処に居たんだ?」
「トリニティです。今私達に授業を教えています。」
「……は?えっと、何かしらの通信を繋げる、もしくは君が話しかけて彼女について情報を探る事は出来るかい?」
「難しいかと。彼女はナギサさんと何かしらの契約を結んでいるようですのでセイアさんと直接接触するのは推奨できません。一応来週個人的に話しかけてみましょうか?」
「助かるよ……」
先生
対象は現在、補習授業部の監督および教育支援を継続中。
構成員の能力・性格・経歴に複数の矛盾を検出。
特に一部生徒については学力と現状が一致していないと判断している。
問題解決のため情報収集を試みたが、構成員(阿慈谷ヒフミ)の倫理観によって制止された。
対象は当該判断を受容。
──合理性よりも信頼関係を優先する傾向を維持。
阿慈谷ヒフミ
対象は補習授業部の構成員同士の関係形成を重視。
他構成員に対する警戒心および疑念は観測されない。
情報収集による問題解決という合理的提案を拒絶。
理由は「友人関係の利用」に対する倫理的抵抗。
対象は現状の危機を認識しているが、信頼形成を優先。
──行動原理は一貫して善意と信頼に基づく。
オラクル
対象は対ミカ接触作戦の初期段階を終了。
特別授業による評価獲得には成功。
特に「外部視点の提供」および「議論能力」に対する好意的評価を獲得した。
一方で主要目標である聖園ミカとの接触は未達成。
対象は自身の能力不足ではなく、過度の有能性が警戒要因となった可能性を提示された。
現在は観察段階から接触段階への移行を検討中。
──目標対象は当該存在を認識済み。
キョウカ
対象は当初の護衛および監視役から部分的に役割を変化。
現在はオラクルに対する観測者および助言者として機能。
ナギサの判断を信頼しているが盲従は確認されず。
当該対象はオラクルの行動を概ね肯定的に評価。
ただし成果については楽観視せず、独自の分析を継続。
また一部一般的な生徒の側面も観測。
──警戒状態は継続しているが、信頼形成も同時に進行中。