ブルーアーカイブ×アークナイツ  調月リオと星外の予言者   作:バトクロス

3 / 9
アンチ・ヘイトに片脚突っこんでいると思います。
まずこの作品のコンセプトとしてはトロッコ問題が根幹にあります。その為良くも悪くも連邦生徒会長にはスポットが当たるため、アロナが好きな人は少々辛いかもしれません。

それと短めです。申し訳ないです。
感想はどんなものでもありがたいです。特に今回の話に関しては否定意見も大歓迎です。


予言者と連邦生徒会長

 ヴェリタスではエンジニア部とは違い、冷え冷えするような視線で迎えられた。

「初めまして、ドクター……リオ会長はいらっしゃらないのですね。セミナーの会長は私達を見くびっているのでしょうか。」

「申し訳ない。だが会長に頼まれて付き添いで来たユウカに対して失礼だと自覚はして欲しい。リオに文句を言うのは構わないが、ユウカに対して敵意は向けないでくれ。」

 端から敵意が見え隠れしている『各務チヒロ』にオラクルは謝罪と共に釘を刺す。

 会話が途切れ、無言で二人に椅子に座るよう促す。

「リオ会長から聞いているとは思いますが、一応ヴェリタスについて説明させていただきます。」

 溜息をつきながら彼女は説明を始めた。

 

 

 ミレニアムサイエンススクールの部活動の一つ。元々はセミナーに情報を独占させないために発足した。そのためセミナーとは犬猿の仲であり、部活としても非認可。部長はミレニアム史上三人しかいない「全知」の一人明星ヒマリだが、現在ヒマリは特異現象捜査部の活動に注力している。

 

 

「そのため実質的なまとめ役は私が勤めています。」そこまで言い、彼女が一息ついたのを見計らって、オラクルが先に口火を切った。

「非認可なら態々セミナーが君達に時間を割く必要性はないはずだ?そもそも何故あの日の対談に参加する事が出来たのだ?」

「ヒマリ部長が特異現象操作部の部長としてリオ会長にヴェリタスにも参加させろと言われたようです。会長はヒマリ部長に借りが有りますから、拒否できなかったのでしょう。」

「つまり貸し借りで言うならリオの借りであり、彼女は私を此処に送り出した時点でヒマリの顔は立てたと言うことになるよな?」

「……そうなりますが、何か?」

 疑問をありありと浮かべる彼女に対して問いかける。

「仮に今回の対談で情報の提供を自分が拒否したらどうなる?私としては仮にもセミナーの敵対組織に情報を渡すのは辞めておきたいと考えているのだが。」

 オラクルのその質問に対し、チヒロは意図的に顔を歪め

「ハッキングせざるを得ないですね。リオ会長は確かに天才ですが、ヒマリ部長の方がソフトウェア関係では強いですから、ある程度のファイアウォールなら突破出来ます。」

 そう脅した。実際にはそんなに簡単なものでは無く、実際に行う場合は様々な労力がかかるため余りする事は無い。しかし出来るという事象自体が最強の見せ札となる。そうふんでの事だった。

 

 

()()()()()()()()()()()……ユウカはある程度の情報共有を行うべきかと思うか?」

 

 

 時間が凍結した。勿論ただの比喩だ、しかし確かにチヒロの脳内は動きを止めた。

(は?もんだいない……()()()()?)漸く先程の言葉を咀嚼し、理解したチヒロは鳥肌が立っていることに気が付いた。

「……それはどう言う事ですか?リオ会長はそこまで貴女に肩入れすると言うことですか?」

 震えながら()()()()()()()()、と思いながら尋ねる。

「いや、ヒマリ程度のハッキング能力なら自分は退けられると言うことだ……彼女は言っていなかったのかい?」

「何を。」

()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

 

 

 

 目の前でチヒロの顔が凍り付いているのを見ながら頭を回す。

(流石に大人げなさ過ぎたな。そもそも非公認とは言え、セミナーから潰されていないことを考えると恐らくリオは黙認している。ヒマリとは腐れ縁の様だし……ユウカはどう言うかな?)

 チラリと横目で溜息をついているユウカを見る。

「……ドクター、私はある程度の情報共有は行うべきだと思います。」

 その言葉をを内心嬉しく思いながら「その理由を教えてくれないか?」と問う。

 

「理由は幾つか有ります。一つ目は彼女達は曲がりなりにも自分が正しいと思ったことをしています。例え情報を渡したとしても悪用されるとは考えにくいです。二つ目は単純にヒマリ先輩とリオ会長は既に仲が悪いです。そんな状態でヴェリタスとセミナーが事を構えると、特異現象捜査部としての役割を後回しにしてでも後輩のためにヴェリタスの一員として動くでしょう。三つ目はそもそもドクターが情報戦を制している以上彼方からトラブルを起こされる可能性はほぼ無いと言うことでしょう。その為ある程度の情報を渡して恩を売っておいた方が良いかと。」

「分かった……すまないなユウカ。」

「別に……仕事ですから!」

 感謝の言葉をかけると少し間が空いてから返事が返ってきた。疑問に思いながらも話を戻す。

「自分はセミナーに居候している身だ。セミナー会計のユウカが問題ないと言うのなら話すことにしよう。」

「……感謝しま「ただし」す?」

 漸く再起動したチヒロを見ながら付け加える。

「盗聴器の類いが恐らくあるのだろう?録音は禁止だ。仮に何処からか情報が流れた場合、其方がで何処だと判断して対抗措置を行うつもりだ。理解して欲しい。」

「……そんなもの置いていません。」

「どうだかな。」

 

 

 

 

 オラクルはヴェリタスには自分が宇宙から来たこと、帰るために直しているものがワープ装置であること、リオの横領を補填した事以外を話した。

「……事故で此処に来た、それでリオ会長に捕まった、その後この都市のことと言語等をあらかた理解した、帰るためにリオに協力を仰ぎ、対価としてにエリドゥのシステム面を強化した、それ以外にも幾つか手伝いをしながら、帰るための準備をしている。そして情報を提供したくない理由としては暗殺未遂が既に起きていることと、万が一その情報が出回った際にキヴォトスに混乱をもたらすためと。……一応理解はしましたがやはり色々と隠していますね?その技術力は何なのか、ある一定以上に関しては徹底的に情報を開示し無い理由とは?」

「不満のようだがこれ以上は話せない。命を狙われている身ともなればな。」

 

 辺り触りない真実の側面を切り貼りした説明では案の定チヒロは納得しなかった。

 

「……あの暗殺未遂が私達による物だとでも?」

 明らかに言葉選びを間違えたことを遅まきに理解したオラクルは溜息をつきながら付け加えた。

「それは違う。既に見当はついている。しかし君達はセミナーとは敵対関係だ、いつこちらの不利益を発生させるか分からない以上、情報は伏せておくのが正しいと考えられるが。」

「その言い方だと、貴女の抱えているものは爆発物とでも捉えられそうですが?」

「この世界の住民が悪用すればね。」

 そう言うと、オラクルは席を立ち、扉を開けて出て行った。

 

 

 

「ユウカ、君のアドバイスで今日は防護服無しで外に出たが……正直言ってみなが持っている銃が私にとっては少々恐ろしいよ。」

 二人で並んで歩きながらそう呟く。

「さっきの話し合いも、いつ彼女が銃を抜くか気が気でなかった。だが難しいな……この立場とこんな状況で無ければもう少し優しく対応できたのだろうが、予め敵対している組織と話をつけるのは。しかも相手は子供だ。交渉の仕方がなってない。」

「いや、そもそもドクターは子供の相手は苦手でしょう?」

 そうユウカに突っこまれ、苦笑しながら首を傾げる。

「交渉ごとに関しては正直全年齢に対して自信はあるが、確かに子供と話したことはほぼ無いな。下手するとこの星に来てから生徒と話した時間の方が多い可能性さえある。」

「どうすれば良いかな。」

 そう問いかけるドクターに、対して「自分で考えてください。」とユウカは言い、ふと何かを思いついたように考え込み、にっこりと笑顔を浮かべた。

「せっかくですし、ある子供のトラブルを解決してみませんか?その過程で子供とのつき合い方が多少分かるかもしれませんよ?」

「……?別に良いが、一応リオには連絡して欲しい。彼女から何かしら要求が有ればそっちを優先する必要がある。」

「分かりました。きっとドクターにとっても良い経験になりますよ!」

 

 

 

 

 

 

 

「リオの了承は得られたようだな。ゲーム開発部か……そもそも学術機関としては随分と俗っぽいな。」

 その日の夜、()()の研究をしているとユウカから連絡が来た。そのメッセージを読み進め……

「……随分と問題を起こしているようだ。もう少し成果を出しつつ、トラブルを減らすように更生して欲しいと……これではドクターと言うよりも先生だな。」そう言いながら了承のメッセージをユウカに送り返す。

 リオから与えられ、何時も研究をしている個室が酷く寒く感じた。その原因は分かっている。

 様々な『生徒』と触れあった事で、彼女はある種の儚さ、そして虚しさを覚えていた。自分がよそ者であり、またよそ者であろうとしている事、それがこの小さな都市で精一杯生きようと足掻く生徒達の生き様と比べて酷く薄っぺらい様に感じられた。

 

 

 気持ちを切り替えようとディスプレイを見る。借りているスパコンの中で源石のモデルが起こす様々な変化をシミュレーションさせる、やがて源石が人の形を纏う。源石に含まれる情報を逆転させ、実体を構成するというものだった。

「この星で新たな研究対象として興味を持ったものはただ一つ、神秘だけ。神秘を取り出す方法はさっぱり分からないが、生徒の場合は明確な事象となって現れる……源石が手元に有れば興味深い実験が出来ただろうな。」

 

 

 いずれにせよ多少自分が関わった所でこの星がたどる未来は変わらない。自分は既に多くの文明が滅んでいく様を見てきた。心は痛めども、自分の出来る限界は理解している。きっと自分はこの先、出来ることを出来る範囲でやることしか出来ないだろう。だが……それでもこの星で伸び伸びと生きる彼等は眩しく映った。例え何時か絶望するとしても、今だけは何も知らず、夢を見ていて欲しい。そう思い、伸びをした後目を閉じ、そのまま意識を落とした。

 

 

 

 

 

 

 

「それだけは駄目。先生の活躍を直接奪うような真似は許されない。」

 

 

 

 

 

 

 次の日、朝起きると端末に一つのメッセージが届いていた。

『今日の23:55、サンクトゥム・タワーに独りで来てください。来なかった場合、それ相応の対応をとらせて貰います。このメッセージは開いて30秒後に自動で消去されます。』

 オラクルはそのメッセージを読むと直ぐさまリオの部屋に向かった。

 

 

 

 

「すまないが遠隔で動かせる高性能アンドロイドはないか?条件としては動きが極めて人間に近しい、歩行時金属音が鳴らない、リアルタイムで音声通話がスピーカーを通じて出来ること、自分の最初の防護服さえ来ていればアンドロイドと気が付かない事だ。あと録音機能も欲しい。」

「いきなり何の話?」

「連邦生徒会らしき人間から23:55にサンクトゥム・タワーに独りで来いと脅迫メッセージが届いた。」

「……それで引っ掛けようと?」

「ああ、間違いなく罠だろうからな。」

「……一応有るにはある、アヴァンギャルド君のデッドコピー版の人型ロボットが。外部に要求のセンサーを取り付ければ何とかなると思う。」

「因みに費用としては幾らくらいだ?」

「材料費だけで数億……壊されると思っているのね」

「ああ、予想が正しかった場合は後で何とかするよ。」

「……別に良いわ。横領額と比較したらどうとでもなる金額よ。」

「感謝する。」

「それと、録音した会話は必要な場合には他校のトップに内密に送って欲しい。」

「ミレニアム内なら安全だろうが、如何しても外に行く場合は他校のトップに話をつけ、信頼できる護衛を派遣して貰いたいからだ。」

「……基本的には許可しないけど、分かった。考慮に入れる。」

 

 

 23:50、何かを待っている様に佇んでいる黒いフード付のコートを纏った人影がサンクトゥムタワー手前に居た。それが目的の人物だと知っている私は後ろから声をかけた。

「今晩は、オラクル……こんな夜分に申し訳ない。」

『久しぶりだね、連邦生徒会長……この時間で無ければ不味い話でもするつもりだったのかな?』

 彼女の顔は相変わらず見ることは出来なかった。

 

 

 マスターキーを使い、ある部屋のドアを開ける。此処は先生の為に用意していた部屋、つまり今は誰も知らず、誰も興味を持たない部屋。大切な部屋をこれから汚すことになるのは業腹だがしょうが無い。

「此処に座ってください」

 彼女に対して椅子を用意し、反対側の椅子に腰掛けながら飲み物を用意する。

『今回の連絡は連邦生徒会の総意と言うことかな?それとも()()()なのかな?』

「話す必要は有りません。お茶でもどうぞ」

『ありがとう、気持ちだけ受け取っておく。』

 自白剤入りのお茶をやんわりと拒否され、内心溜息をつきながら、正攻法に切り替える。

「貴女と一対一で話をするためにこの場を用意させて頂きました。もっとも交渉では無く脅迫、もっと言えば命令です。」

 そう言いながら彼女の顔が隠れている頭に拳銃を突きつける。欠片も動揺する気配が見えない。

『やはり君がこの前の差し金だったか。だが今回のは想定外だ、こんなに直接的に来るとは。もう一段階ほどステップは有ると思っていたが。』

「随分と余裕ですね。命を握られているのに。」

 彼女の頭脳は既に得ている情報から天才的なものである事は理解していた。故にこの前の暗殺も自分が手引きしたことが感づかれていても余り驚かない。それよりもその酷く落ち着いた態度が気になる。

「ひょっとして調月リオが助けに来てくれるとでも思っているのですか?」

『ああ、自分が居ないことに気が付いたら直ぐに対応するはずだ。』

 聡明な人間の言うこととは思えない発言に思わず失笑する。

「どうやら勘違いしているようですが、私は連邦生徒会長です。ただの一生徒でどうこうできる存在ではありません。ミレニアム会長でもです。」

『傲慢だな……交渉に入ろう。』

 相変わらず彼女の顔は伺えず、声色にも変化がない。

「交渉では無く命令です。貴女はミレニアムに戻った後、調月リオを孤立させ、エリドゥに関してのトラブルを発生させその後失踪してください。あぁ勿論誰かにこの事を話したと察した場合即座に暗殺させて頂きますし、他の事に付いてのトラブルも解決してはなりません。例えばそうですね……ゲーム開発部の事とか。」

『……誰がそんな命令を聞くと思う?』

 何故そこまで反抗的なのか、一度立場を分からせる必要がある。そう考え、防護服越しに二発ほど拳銃を胴体に撃ち込んだ。

『……っ、乱暴だな。』

 防護服越しとはいえ、衝撃をまともに食らった様で流石に彼女の声が詰まる。

「立場が分かっていらっしゃらないようでしたので。それで返事は何ですか?」

『……君が何故その様なことを求めるのかを教えて欲しい。それによって取る手段や期間など詳細な事について検討できる。』

 口が回る、のせられていると自覚しつつも言っていることは正しいため多少の情報を提供する。

「キヴォトスの滅びを回避するためには救世主が必要なんです。」

『は?』

「これから先、先生と呼ばれる存在がやってくる。彼が問題を解決し、生徒達と交友を育み、いずれ起きる滅びを回避する。その未来に私は賭けているのです。」

「……それが?」

「鈍いですね、先生が解決するために調整したトラブルをただの部外者の貴女が解決しないで頂きたいと言うことです。貴女の行動は既に作られたストーリーを破壊しかねない。先生が来るまでのおよそ二週間、あらゆる手段を講じて命令を実行してください。」

『君は何故そんな会ったことも無い、来るかどうかも分からない人間を信じて敢えてトラブルが起こるようにしているのか?』

「知る必要はありません。私が聞きたいのはイエスという返事だけです。」

 

 

『……君は交渉ごとという物が下手なようだ。それだと君が何かしらの宗教や予言に従って何の力も持たない人間を脅し、破滅を起こそうとしているようにしか見えない。リオにも言ったが子供の癖に抱え込みすぎだ。もっと()()()()()()()()()()()()。』

 

 

 彼女が自分の地雷を踏んだ。情報を渡していない事を棚に上げていると理解しながらも怒りがこみ上げる。

(何度もループして、それしか方法が無いと結論づけた私に対してそんなことを言うなんて。そもそも他の人に頼るなんて……自分よりも能力が低い人間に。)

 超人、それは誇張では無い。キヴォトスにおいては最も総合力が高いのが彼女なのは間違いない。故に彼女は何度も自分で何とかしようとし、失敗し続けている。

 尚も話そうとする彼女に拳銃を再び突きつける。

「貴女が私の望む返答を行わない場合、此処で射殺した後、面倒ですが連邦生徒会の権限を使ってトラブルを再現します。」

 押し黙った彼女に定められた返事を突きつける。

『……最後に一つ聞こう。君は調整されたトラブルによって起きる悲劇はコラテラルダメージだと、一生徒の不幸などどうでも良いと思っているのか?』

 当たり前の事を言う彼女を見つめ直し

「当たり前の事です。何事にも()()()()()()()()()()()()。キヴォトスを救うために働いて貰う先生の価値はただの部外者である貴女や、ストーリーを展開するための部品でしか無い生徒達よりもよっぽど重要なのです。」

 そう告げた。

「さて、返事は?」

 彼女は口を開いた。

 

 

『君の理論によると、()()()()()()()()()()()()()と、()()()()()()()()()()()()()()()なら後者の方が圧倒的に重要であり、その人物はそれ以外の存在の生き方を全て強要し操作する権利が有り、それは当たり前の権利だと言うわけだね……』

 自分は圧倒的に追い詰められている筈の目の前の相手から底知れない圧を感じた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()断る(NO)

 

 

 

 その言葉によって生じた凄まじい怒りによって、先程の圧迫感はいとも容易く粉砕された。

「愚かね。」

 そう言って私は引き金を引いた。

 防護服が壊れ、弾丸がめり込んだのを確認して更に撃ち続ける。マガジンが空になった頃、倒れ伏した彼女のフードを剥ぎ取り、死体を確認しようとする。

「なっ、嵌められた!?」

 そこにあるのは()()()()()()()()()()だった。

『君の思想は━━わかった。多━━罪━━識が有る━━思って━━が、そこ━━強い意志を━━ているなら話し合う━━無駄だ。多分━━()()と気が━━だろう。もっ━━()()が君を━━とは思━━いが。特に私を殺━━よう━━た事を伝━━ば。』

 凍り付いている私に対して雑音混じりのスピーカーは付け加えるように音を発した。

 

 

『それと君━━葉はリアル━━ムで録━され━る。』

 それっきりアンドロイドは沈黙し、部屋には硬直した連邦生徒会長のみが残った。

 

 

 

 

 

「君の思想はよくわかった。多少は罪の意識が有るとは思っていたが、そこまで強い意志を持っているなら話し合うこと無駄だ。多分君は彼女と気が合うだろう。もっとも彼女が君を好むとは思わないが。特に私を殺害しようとした事を伝えれば。……それと君の言葉はリアルタイムで録音されている」

 そこまで言うとオラクルは一息ついた。

「……自分に()()()()()。」

 その言葉はリオには信じられなかった。

「……どう言う事?支離滅裂な彼女の発言を聞いて何でそう思ったのかしら?」

 溜息を付ながらオラクルがこちらを見る。

「リオはトロッコ問題についてどう思う?」

 いきなりの問いに面食らいながらも直ぐさま返事を返す。

「独りを犠牲にするわ。」

「同感だ、恐らく連邦生徒会長もそうだろう。だがスタンスは大きく違う。」

 

 

 

 彼女が私に手を向ける。

「君は恐らく背負うものが多いからこそ、本質的には臆病かつ心優しい。恐らくレバーを引くときにも何かしらの弁明や理由付けを行い、納得して貰おうとするだろう。自分は正しいと。」

 彼女がサンクトゥムタワーを指差す。

「連邦生徒会長は違う。恐らく弁明などする必要はなく、ただ正しい行いをすれば良いと考えているのだろう。元から何も思わないのか、擦り切れて何も思わなくなったのかは分からないが……」

 そして彼女は自分を指差す。

「私は中途半端だ。レバーを引くことはその人に対する罪で有ると理解しているが、同時に引かなければならないことも理解している。だからこそ後悔を背負いながらレバーを引き続ける。」

「つまり?」

 私は彼女が何が言いたいのかイマイチ分からなかった。それを察したのか彼女が再び口を開く。

「先程の話を完結に纏めると、彼女は『キヴォトスに訪れる滅びを回避するために正しい事をしている。だから大勢の人間のために、ただの外からの来訪者に過ぎないお前は消えろ。』そう言っている。最も何もかも伏せられた上でそんなことを言われても何も分からないがな。そして自分が同じ立場だった場合……」

 彼女は一度苦笑し、直ぐに笑みを消してこう言った。

「彼女よりもスマートにそして最大限周囲に配慮して……()()()()()()()()()()()。」

 

 

(暗殺されかけたから当たり前だけど、それにしたって彼女のあんな攻撃的な態度は始めて見た。)

 彼女が自分の部屋に帰った後リオは何故彼女が彼処まで敵対姿勢を明確にしたのかを考え始めた。

(恩、彼女の言う優しさ、周りの人間……)

 様々な言葉が頭の中を周りながら思考を形成していく。

(秘密主義、殺害、元の場所……帰る場所?)

 その瞬間リオは真実の一部に気が付く。

(オラクルは連邦生徒会長が元いた場所に帰るのを阻害していたからあんな対応をしていたのね。)




今回、連邦生徒会長はループによって正しいと確信している行動を阻害するドクターを完全に潰そうとしています。これは彼女なりの正義に則ってます。惜しい点としては自分が今までほぼ全ての事をコントロール出来ていた為、コントロール出来ないドクターに対して悪手を選択し続けてしまった事です。

また
全体的な生命に対する情の厚さ
ドクター>>>連邦生徒会長>リオ
ある特定の個人に対する情の厚さ
連邦生徒会長>>ドクター>>リオ
自分が所属する組織に対しての情の厚さ
リオ>ドクター>>>連邦生徒会長

と考えています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。