ブルーアーカイブ×アークナイツ 調月リオと星外の預言者 作:バトクロス
序盤なので話は短く、また戦闘シーンは恐らく本格的な描写としては初めての三人称視点で描いているためクオリティは多少低いかもです。
雰囲気を壊さないように裏方の話は最後の方に乗せます。
オープニング
私の策は正しかった。
あの愚かな小娘達を利用し、エデン条約を弱体化させつつその条約の神秘を乗っ取り莫大な戦力を手に入れ、そして崇高にたどり着く。
その為のゲマトリア、その為のアリウス生達、その為の聖園ミカ、全てを踏み潰しながら高みへと至る……
「いま、なんと?」
「と、トリニティ、ゲヘナ、そして複数の組織で構成された連合軍がカタコンベの正規ルートを驚異的な進行速度で突破しています!まるで正解のルートが分かっているかのよう……後10分もかからずアリウス自治区に侵入します!」
「なっ……今すぐ全軍を集め、防衛線を築き上げなさい!」
怯えながらそう報告する生徒を怒鳴り散らしながらも、私は計り知れない衝撃を受けていた。
(何処から我々の情報が……いや、考えるまでも無い、あの聖園ミカとか言う小娘に違いない!クーデターでも失敗して情報が流れたか?)
思わず脇道に逸れそうになる思考を無理矢理軌道修正する。
(今最も重要なのはユスティナ信徒、そしてユスティナ聖徒会が
エデン条約の掌握の為の切り札として準備していた事が裏目に出てしまった。
成果さえ得られれば手段は選ばない。
「巡航ミサイルをありったけ用意しなさい!自治区内に敵が侵入した瞬間に
『先生、後少しで自治区に着く。』
戦車に搭乗しながら様々な指示をしていると外で進行しているアズサから伝達が来た。
「アズサ、ありがとう。トキ、道は表示されているかい?」
『問題ありません。そろそろ追いつきます。』
私達がカタコンベに突入してもうすぐ30分。
ティタノマキアに搭乗しているトキには単純な機動力が違いすぎる事以外に、後方からの挟み撃ちを警戒して彼女のみ25分突入を遅らせている。
『先生、アリウス自治区に到達したぞ。』
そんな事を話していると開けた場所にたどり着いた。
「よし、此処に本陣を築くよ。ゲヘナ風紀委員会は2班に分かれて行動して。トリニティは5班に分かれて、その内1班だけ本陣の防衛に残して行動。そしてその全ての班にミレニアムのドローン3機ずつとSRTの各分隊が分かれて同伴し、破壊工作や斥候、そして索敵を行ってサポートしてくれ。」
そんな指示をしていると……地平線の彼方から複数の点が現れた。
その点は少しずつ大きさを増し……それが敵からの攻撃だと遅れて気がついた。
「あれは……巡航ミサイルだ!それも複数!」
「あんなのが間近で炸裂すればこちらは壊滅です!」
高速で近づく破壊の化身に瞬く間に大規模な混乱が巻き起こった。
『安心してください。』
敵軍が自治区に侵入したのを確認して30秒後、巡航ミサイルは発射された。
『発射完了しました!』
伝達を聞き、思わずほくそ笑む。
「幾ら子供が群がった所で所詮大人には勝てないのですよ!」
そう言って高笑いをあげたとき、
空に複数の閃光が走り、
地平線の彼方の空に大きな光が炸裂した
空に浮かぶ目を焼くような閃光と遅れて鼓膜に突き刺さる轟音、それは自分達に破滅をもたらす筈のミサイルが撃墜された事の証左だった。
『あぶない所でしたね。』
私達の頭上30メートル。鉄で出来た巨人……ティタノマキアが煙を出しながら迎撃に使ったレールキャノンの薬莢を排出した。
「トキ!ありがとう!」
『ティタノマキアとエリドゥの演算システムの力あってこそです。私だけでなくこの様な機体を作成していたリオ様にも感謝してください……そうではなく』
少し自慢げに誇った後、彼女は言うべきことを思い出したように言葉を続けた。
『私がミサイルの攻撃を全て防衛します。その間に先生達は足回りを固めつつ侵攻してください。』
「よし皆、先程の作戦通りに行動して。恐れないで、自分達は勝てる!」
「巡航ミサイルが、全て撃墜されたとでも言うのですか!?」
光り輝く空を見ながら呆然と呟く。
直ぐに頭を振って、次の作戦を考える。
「……生徒達、一度ゲリラ戦を行って敵軍に出血を強いながら時間を稼ぎなさい!」
そう言って私は直ぐにマエストロに連絡をした。
『どうされた。ベアトリーチェ。』
「どうもこうもありません!アリウス自治区に生徒達の連合軍が侵攻してきているのです。今すぐにユスティナ信徒達を作成しなさい!後ほど教義の下まで案内してあげますから!」
『ふむ、そなたは私の迅速な助けが必要と言うのだな?……だがしかし、そう事は簡単では無いのだ。』
「何を言いたいのですか!」
煮え切らない態度のマエストロに激昂しながら問いただす。
『ベアトリーチェ、そなたはこの事についての情報を調べて居なかったのだな?』
「何をおっしゃるのですか?しらばっくれるのも大概に「つまりそなたの準備不足、並びに勉強不足と呼べる物だ。対価はそれだけでは足りない。」……足元を見ると言うのですか!?」
彼の発言で背筋が冷える。
必死に頭を回転させ、一つ名案を思いついた。
「先生……私が勝った暁には先生を捕獲し、貴方に与えます!マエストロ、貴方にとって彼は興味深い観察対象の筈!」
総矢継ぎ早に話しかける。
『……成る程、分かりました。多少は手伝いましょう。』
「ありがとうございます!」
そう言って彼との電話を切った。
「……此処まで自分の策が上手く行っていないのにも関わらず、自分が勝てると信じている。あぁベアトリーチェ、なんと傲慢で視野が狭い人間なのだろうか。」
彼女の呆れた救援要請を切りつつ、立ち上がる。
「黒服は彼女を切る事にしたようだが……まぁ私はまだ先生、そして何よりオラクルと言う存在に出会って居ない。ならば複製は作ってやろうか……どの道作られた時点では
「堅実に侵攻しろ!情報によるとアリウス分校の生徒達はゲリラ戦のプロであり、実質学園全体が我々風紀委員の様な武闘派だと考えられる。決して侮るな!」
ゲヘナ風紀委員の切り込み隊長、銀鏡イオリが率いるゲヘナ2班は、慎重な戦法を取っていた。
ミレニアムのドローンを先行させ、その後方をSRTの分隊が追跡する。敵勢力を発見するか、ドローンが撃墜されるまで本隊は待機する方針だ。
「……ドローンが撃墜されました!」
ドローンの映像を観測していた生徒の報告とほぼ同時に、通信が入った。
『こちらSRT、FOX小隊。アリウス生と思われる中隊規模の集団を捕捉。現在、トラップの有無を探索中。』
イオリは即座に応じた。
「承知した。探索が終わり次第、こちらも戦車隊と歩兵部隊を並べて突撃する」
『了解。こちらはスナイパーで注意を逸らしながら、貴隊が通る道の安全を確保する。数分待機してくれ。』
通信が切れた後、遠くから散発的なスナイパーライフルの音が響き始めた。
数分が経過した頃、再びFOX小隊から連絡が入る。
『対人地雷だけは注意しながら進行してくれ。どうやらアリウス側は戦車のような大規模戦力を仮想敵として想定していない。確認されるトラップも落とし穴と対人地雷が主だ……よし、確認終了。不完全だが、戦車隊が進む道の安全は確保できた』
「よし。歩兵部隊は戦車の上に乗れ。戦車と装甲車で対人地雷を強行突破する!」
露払いを終えた事を確認し、本隊が動き出した。
その頃、FOX小隊のスナイパーとポイントマンである天神山オトギと高倉クルミは、隊長たちがトラップの発見と解除を行う間、たった二人でアリウス生たちの注意を引き続けていた。
「うわっ!流石に気づかれたわよ!色気づいて敵を直接撃つなって、何度も言ったでしょう!?」
「いやぁ、流石にあれだけ腑抜けた牽制射撃を続けていると意味が薄まっちゃうからね。FOX1の行動を支援する為にも、多少は当てないといけないと思ったんだけど……やり過ぎたね!」
つい数秒前まで二人が潜んでいた狙撃地点が、集中砲火に晒される。オトギがぼやく間に、正確な軌跡を描いて手榴弾が飛び込んできた。
クルミの顔が引きつる。即座にクルミは距離を取りながらシールドを構えると、オトギを背後に庇った。
次の瞬間、爆発が窓をぶち破る。二人は衝撃に煽られて外へ放り出されたが、何とか着地した。
「時間稼ぎはここまで!撤退する!」
『承知した』
FOX1とFOX2に撤退を伝えた直後、背後からアリウスの弾幕が降り注ぐ。
走りながらクルミは懐から閃光弾を抜き取り、振り向きざまに投擲した。目を閉じた瞬間、周囲が白い光に包まれ、遅れて爆音が響く。
そのまま走り続けようとした時だった。
クルミの太腿に鈍い衝撃が走る。遅れて熱を帯びた痛みを感じた。先程までのかすり傷とは異なり、まともな被弾だ。
「痛い……!」
「FOX3、走れるか!」
「このくらい大丈夫!」
それでも足を止めない。だが一瞬振り返った先の光景をみて、彼女は顔を強張らせ、僅かに速度が緩んでしまった。
「FOX4!奴ら閃光弾に怯んでない!このままだと追いつかれる!」
一度の遅れは致命的だった。銃声が確実に距離を詰めてくる。
閃光弾では意味がないと時折手榴弾や煙幕を後方に投擲するが余り効果は得られない。
冷や汗が背を伝う中、通信が割り込んだ。
『FOX3、FOX4、この先三ブロック先を右折しろ!』
先生の声だった。頭上には、いつの間にか一機のドローンが浮かんでいる。指示通り、二人は脇道へ飛び込んだ。
「追いかけろ。逃すな。」
オトギとクルミを追うアリウスの生徒たちは、獲物を逃すまいと全速力で駆けながら銃撃を続けていた。走射の精度は低い。それでも弾は時折二人に近付き、確実に距離を縮めていた。
「横路に入るぞ!」
獲物が脇道へ消えるのを確認し、アリウスの追手たちも同じ横路へ飛び込む。
次の瞬間。彼女達の視界に火花が散り、遅れて痛覚が機能する。
待ち構えていた風紀委員の戦車と歩兵部隊による一斉射撃が彼女たちを飲み込み、呆気なくその意識を消し飛ばした。
「助かった……援護感謝する。」
ヘイローが消え、倒れ込むアリウス生を確認して感謝を伝える。
「本隊が安全に突破できたのは貴女達のお陰だ。当然の事をしたまでの事。」
そう言って戦車から出てきた風紀委員は傷だらけのアリウス生の武装を剥ぎ取り、手錠をかける。
「どうやらあちらも制圧が終わった様だ。これより私は装甲車にアリウス生を乗せ、本陣まで送り届ける。送り届けて再度進行を再開するまでの間、貴女達も一度休息をとって次に備えてくれ。」
そこまで伝達し、風紀委員達はアリウス生達を担ぎ装甲車に向かった。
銀鏡イオリたちが率いる部隊のように、強力な個人が存在しない班が堅実に侵攻を続ける中、個人の力によって強引に進行している班が二つあった。
「その程度の弾幕で私は止められないわ。沈みなさい。」
「貴女達が被害者なのは知っているよ。だけど、ごめんね。貴女達の為に、倒すよ!」
ゲヘナ風紀委員長空崎ヒナが率いるゲヘナ1班と、ティーパーティーパテル派代表の聖園ミカが率いるトリニティ2班だ。
両者とも、自身の圧倒的な耐久力を担保にして囮となり、全ての罠を粉砕しながら前進していた。
ゲヘナ1班に相対するアリウス生達の前方にヒナによる猛烈な弾幕が展開される。咄嗟に物陰に隠れるも、瓦礫が少しずつ削られて行く。
「あの弾幕をひとまず止めるぞ!戦車隊集中砲火しろ!」
「待て!迂闊に大火力を前面に展開させると……」
彼女をとめるため虎の子の戦車隊を展開させた瞬間、
「なっ……そうか!
遅れて対物狙撃銃によって穿たれたと理解した。
だがもう遅い。
火傷を負った生徒達が必死に車外に出ては弾幕に撃ち抜かれ、倒れ伏す。
「あの生徒だけに集中しすぎるな!さっきからスナイパーやによって陣形が崩されているんだ!さっさと狙撃手を探せ!」
だが、そんな目論見は許されず、最後に残っていた瓦礫も消し飛ばされ、遮る者が無くなったアリウス生達は弾幕に飲まれた。
「お疲れ様。やっぱり私が前線を張った方が良いわね。」
ヒナは「終幕:デストロイヤー」の弾幕で前線を押し上げヘイトを集中させ、その間にスナイパー達に狙撃すると言う作戦を実行していた。
SRTと風紀委員のスナイパーを除いたゲヘナ1班の残りの人員は、気絶したアリウス生を拘束し、本陣へ送り届けることに尽力していた。その為、進行速度はまだ現実的な範囲に収まっていた。
「ミカ様!貴女はパテル派の代表なのですから、先走らないでください!その身に何かあればどうするのですか!?」
「それくらい覚悟しているよ!と言うか、貴女達もとから私と一緒に彼女達を解放する為にクーデター起こすつもりだったじゃない!」
一方、トリニティ2班の速度は常軌を逸していた。
ミカは
他の班と違い、トリニティ2班は撃破したアリウス生を手錠で拘束したままその場に転がし、とにかく初動で戦力を削ぐことに注力していた。その為進行速度は優に他の班の2倍を越す。
ミカが自身の隕石爆撃で崩壊した戦線へ彼女が単独で突撃するため、周囲は一人にさせまいと全軍で続かざるを得なくなっていた。
「撃て!撃て!あの化け物を何としてでも止めろ!我々を道連れにしても構わない!」
そう言いながら接近するミカに小銃を乱射するアリウス小隊の小隊長だったがそのままラリアットを受け、吹き飛ばされて気を失う。
「大体貴女達とは違って私は銃弾を使わなくても敵を制圧できる!だから
ミカの言葉通り、彼女は銃弾や砲弾の使用頻度を最小限にし、彼女個人の神秘や身体能力を駆使した乱戦を行い、戦況を支配していた。
「だとしても、これ程仲間が増えたのなら貴女が矢面に立つ必要は無いでしょう!?だから早く……!」
ミカと共に戦線へ突っ込んでいた生徒の一人が苦言を呈した、その瞬間だった。
重低音と共に遠距離から砲弾が撃ち込まれ、辺りが爆煙に包まれる。
「よし、これであの軍団も大人しく……!?」
双眼鏡で遠距離から観測していたアリウスの生徒は、有効打を与えたと確信した。
しかし次の瞬間、その確信は打ち砕かれる。爆煙の中から、味方の生徒を庇いながら立つ
双眼鏡の向こうで、ミカは何かを言いながら手を振り上げる。
次の瞬間虚空に亀裂が走り、隕石が小隊目がけて落下した。
「ほら私は戦略兵器でも無ければ大丈夫だから。」
そんな風にミカは笑い、そのまま走り出した。
「……あの方は、やはり色々と異常だな。」
そう誰かが呟き、そして無言でついて行った。
『最後の巡航ミサイルも撃墜されました!もう在庫がありません!』
『予め設置していたトラップ群も効果を成していません!敵には単純な兵力以外に優れた特殊部隊も付いている可能も!』
『第1、第2、第5、第7、第8、第9小隊通信途絶!2時間で既に此方の戦力の3割が壊滅、1割が敗走している模様!』
報告に思わず拳を叩きつける。
「秤アツコは既に手の内、マエストロさえ来ればユスティナ信徒達のミメシスを生み出せる!」
先程マエストロに連絡をしてから既に1時間45分が経過している。
確保して吊るしたアツコを複数の目で凝視しながら歯噛みをしていると聞き覚えの有る声が聞こえた。
「やはり随分と悲惨な戦局の様ですね、ベアトリーチェ。」
振り返るとそこには不気味な人形の様な存在が居た。
「遅いですよマエストロ!この様な戦況になったのは貴方が遅れて来た事にも責任の一端があるのですよ!?」
「……そうですか。それで、ユスティナ信徒を大量に複製すれば良いのですね?」
「えぇ、力は力によって滅ぼされるのです!それを思い知らしめてやります!」
ミメシスは戦局を逆転させ、そして敵を壊滅させるに足る。
戦闘開始から3時間経過後、アリウスの戦力の内少年兵達によって運用される部隊が既に全体の4割壊滅、2割敗走と言う圧倒的な劣勢に追い込まれていた。
だが此処で戦況に変化が生じた。
『トリニティ第3班から報告!新たな敵影を捕捉……
『ゲヘナ第2班からも同様の報告あり!何でも敵は亡霊の様な存在で撃たれても消えるだけで、暫くしたらまた奥からやって来ると!』
複数の班から類似する状況の報告が挙がり、本陣に動揺が巻き起こる……
「全班、一度戦線を少し下げ防御に徹して!」
その前に神速で先生からの指示が飛んだ。
『我々に亀になれと言うのですか?』
「違う。防衛線を下げる代わりに
その苛烈な指示に一瞬空気が凍った。
「……それではそこに居るアリウスの
「あぁ、相手がまともな人間なら最初の威嚇の砲撃をくらった時点で防衛をきり上げるはずだ。そうであることを祈ろう。」
こうしてアリウス解放戦争は更なる激化の道を辿った。
同時刻、連邦生徒会が保有するサンクトゥムタワーの廊下での録音。
「リン、頼みが有ります。」
「なんですか?どうせ面倒事でしょうが。時間が無いので手短にお願いします。」
「防衛室の予算を増やしてください。」
「何故……と聞くまでも無いですね。」
「分かっているのなら話は早いですね。SRT、そしてヴァルキューレの装備の拡充、そして規模の拡大の為です。」
「……財務室は既に貴女について、SRTの復活を越権行為だと判断して不信任案をちらつかせて居るのですよ?」
「なっ、巫山戯た真似を。」
「その不信任案については過半数の部署が最終的に賛同したとして私が握りつぶしましたが、その様な発言をされると庇うのは難しくなります。と言うかそもそも私も貴女を本来庇いたくないのですがね。」
「……貴女は良くも悪くも波風を起こしたく無い立場ですから。SRTの案件については煮え湯を飲まされましたが、今回は感謝しておきます。」
「はぁ……とにかく予算増額は不可能です。たとえ実績を出したとしても。」
「実績を出させたくないの間違いではありませんか?」
「……下衆な勘繰りは辞めたほうが良いかと。」