ブルーアーカイブ×アークナイツ 調月リオと星外の預言者 作:バトクロス
今回で制御されしアポカリプス編は終幕です。
追記
完全に設定ミスをやらかしたので一度書き直しました。
戦争の次の日、私は仕事を休んだ。
いや、それだと語弊がある。
重症者を収容していた救護騎士団からの突き上げにあったナギサは私に多少助けを求めたが、それ以外の生徒達が全て休めと言い、そのまま私はトリニティで寝泊まりしている住居に軟禁された。
『先生はきっと死ぬまで働こうとするのでしょうが、私としては死なれては困りますから。と言うことで私は先生にはナギサ様の要請を無視して休んで頂きたいです。』
ナギサの伝令として来たはずのキョウカからはそう言われてしまったし、何ならその後に家に押しかけてきたミカからは
『ナギちゃんは何でもかんでも大人に頼りすぎじゃんね。セイアちゃんも今日から復帰を公表したし、私達がナギちゃんを助ければ良いんだ。だから先生は休んでいてね!』
と笑顔で圧をかけながらそう言われてしまった。
本当はセイアについて話を聞きたかったがそれは聞けるような空気では無かった。
その為彼女の目の前で、ナギサに今日は仕事を休ませてくれと言わされた。
また、補習授業部にも
「最近監督としての仕事が出来てない日が複数あるが大丈夫かい?」
と電話で聞いたが、電話に出たアズサから、
『ハナコが教えてくれるから大丈夫だ。そしてアリウスの皆を救ってくれてありがとう。先生を恨む人も居るかもしれないけど、私は先生の行動は正解だったと思う。だから先生は今日くらいは休んでくれ。』
と言われてしまった。
そうして私は一日中ネットサーフィンしたり、筋トレしたり、オンラインでチェスをしていたりした。
そうして一日を過ごし、そろそろ夕食を出前か何かで頼もうかと思った時、インターホンがなった。
カメラを見て多少驚きながら扉を開ける。
「ナギサとミカに……セイアまでどうしたんだい?」
そこには何やら重箱らしき物を持った三人が立っていた。
「漸く後始末までたどり着いたのですから、少しお祝いをしようと思いまして。」
「そうか、ありがとう。他意は無いんだね?」
「私そんなに疑われるような人間ですか?」
「……NO。」
私の担当した補習授業部の裏話や、オラクルとの謀略が頭によぎり、NOと答えるのが遅れた。
「ナギサはそう言っているが、勿論そんな事は上っ面に過ぎない。彼女は仕事をさせないように軟禁されている先生に近づく為の方便として使っているだけに過ぎない。彼女が何を考えているかと言う……」
「先生、セイアちゃんの言うことは気にしないでね。何時中身がそんなに無くても話が長いんだ。ナギちゃんは単に先生とお話がしたいだけだよ。それにこれ、トリニティでもなかなか予約取れないお弁当何だよ!美味しいから食べよう!」
ナギサの内心を事細かにバラそうとするセイアの口を塞ぎながらミカが苦笑しつつ手に持った物を掲げる。
「ナギサ、どんまい。」
そう言いながら何処か恥ずかしげな彼女の手をとって部屋に招いた。
「まずは今回の件の作戦指揮について感謝申し上げます。」
「私は責務を全うしただけだよ。けどありがとう。」
先程までは女子高生として年相応の振る舞いをみせていたが、食事を初めて数分後、ナギサは私に統治者としての顔で私に接してきた。
「今回の件で、我々トリニティはシャーレを全面的に信用する事を方針付けました。連邦生徒会に対しての不信感は未だ健在ですが、先生と……まぁカヤ防衛室長は信用しても良いかと言う風潮です。」
「今回の事例は別に私達だけで突破したものではないよ。」
「分かっています。ですがミレニアムとゲヘナはそもそもエデン条約の中であり、今回の事例では観察対象と言えるのは貴方とオラクル、そして連邦生徒会でした。実際にはそんな余裕は何処にもありませんでしたので気になさらないでください。」
ナギサが話す横で持ってきた弁当に舌鼓をうつ二人を見ながら、話が長くなりそうだと判断して一度箸を置くことにする。
因みに、ミカたちはフォークとナイフではなく、箸を使いこなしており、私は内心多少驚いている。
「オラクルは信用していないのかな?君がミカが抱える真実に到達したのはオラクルのお陰だよね。」
「私含めたティーパーティー上層部としては信用もしていますし感謝もしています。ですが我々が彼女を信用する経緯が
「ナギちゃんと先生には感謝しているよ。そしてパテル派の皆もね。全員のお陰で私は未だに大手を振ってティーパーティーに所属できて居るのだから。」
「オラクルも本来は大々的に言いたいのですが、ミカさんの事について隠す都合上難しいのです。」
「私個人はオラクルとは授業と最初に真実を探られた時以外直接会っては居ないんだけど、ナギちゃん曰く凄い人なんだってね。確かに殆ど一人で細い糸を辿って私の基に辿り着いたけど。私は彼女が凄く頭がキレる怖い人って事以外何も知らないんだ。」
「そうか、ミカはあくまで個人的に話すと言うよりも詰問されただけだったね。ならセイアは何か話したかい?ミカと同じ様な感じかな?」
ミカはオラクルとの接触がかなり限定的である事を思い出し、それならセイアはどうなんだと話しかける。彼女は食事の手を止めて天井に視線を向けた。
「私も確かに人となりを知る様な機会は無かったね。でもそれは仕方が無いさ。何しろ私と彼女の接触は親睦を深めるためでは無く、単に真実を暴きに来た狩人と獲物に過ぎなかったのだから。それにナギサが直ぐに激昂してしまったからね。」
「それはもう互いに水に流したでしょう!」
そんな穏やかな話をしている光景を見ると心が安らぐ。
「ただそのタイミングとは完全に別の話にはなるのだが三人とも知っての通り、私には不完全な予知夢、或いは未来視の能力がある。そこで見たものが余りにも異常で、私は彼女に会う前から彼女に興味が有るんだ。因みに……オラクルの出自について知っているのはこの内何人居るのかな?」
だが直後妙な事をセイアが聞いて来た。
それぞれが顔を見合わせた後、私とナギサが手を挙げる。
「成る程、そもそも面識が無かったミカ以外は私含めて全員が知っていると。ならば彼女の
「セイア、それはミカにも彼女の出自を伝える事になるのだが……」
私が彼女の視界が狭くなっている事をやんわりと伝えると出汁にされたミカが多少ほっぺを膨らませた。
「むー、先生仲間はずれは良くないと思うなぁ?」
「確かにミカは一部の事を除いて口が軽い。この話はまた今度にしようか。」
「セイアちゃんのケチ!」
「隠し事はお互い様さ。それはそうと先生、戦争前には様々な組織に行って協力を取り付けたのだろう?トリニティとしての誠意の見せ方は多分ナギサに任せていれば動にでもなるとは思うが、一応私からも直々に感謝の手紙を贈りたい。」
「確かにソレはするべきだね。うん、私も書くよ。」
セイアはそう言って話を自然に流した。
和やかな食事も終わり、食後の紅茶を用意している時だった。
「本題に入らせて頂きます。」
「やっぱり他意があったじゃないか。」
想像通りだったナギサに苦笑しながら紅茶を三人に出す。
「どうぞ、多分君達がいつも飲んでいる紅茶の方が美味しいとは思うけど。じゃあ聞こうか、どうせ内密な話なんだろう?」
「ありがとう御座います。はい、内密な話です。今から話すのは拘束しているベアトリーチェの話ですから。」
その名前が出た瞬間に、つよい緊張間が部屋に満ちた。
「今は確か、トリニティでも凶悪犯用の牢屋に繋いでいるんだっけ?」
「はい。シスターフッドが所有している物を借りています。昔はトリニティが異なる分派を弾圧する時に使用されていたとか……まぁ出来れば隠しておきたい暗部の歴史です。」
「彼女がトリニティの歴史から抹消されかけたアリウス分校を利用してトリニティに戦争を仕掛けようとした事を考えると、随分と皮肉な末路だと言えるだろう。まぁとにかく、彼女が生きているのを知っている人間は殆ど居ない。」
ナギサの説明をセイアが補足する。
「知っているのは君達三人以外はクーデターの実行犯のスバル達と、後はマコトとリオ、そしてカヤかな?」
「はい。そしてベアトリーチェに対する処遇で多少揉めています。」
そこまで言うと彼女は紅茶に口をつけた。
予想できていた。キヴォトスではどの様な犯罪が横行しているのかを私はまだ完全には理解している訳では無い。
だがこの様な戦争を主導する様な凶悪犯は恐らく居なかったのだろう。
「……確認だがこの都市ではこの様な事例は存在したのかい。」
「一応昔はあったとされています。ですが直近では無いです。独裁国家を築き上げるだけならまだしもそこから侵略戦争を起こそうとする人など。」
「ゲヘナのマコト議長だっけ?あの人は特に過激で
ミカの言葉が真実なら随分と過激だな。
ただおそらくリオは、
「正直言って私はマコト議長と同じ意見、アリウスの子達にしてきた所業を考えると
「先に言っておくとミカはこうだが、私達は死刑にはそこまで賛同する立場では無いと言っておくよ。良くも悪くもミカは真っ直ぐだからね。」
ミカの言葉は多分本音だろう、困った事に。
そして、彼女の手は微塵も震えていなかった。もう怖くない……いや、
「キヴォトスでは殺人は重罪なのではないかな?」
「もう死んでいる人をもう一度殺す事は出来ないよ。」
「あぁ違うよ。表向きには確かにベアトリーチェは死んだ事になっているしカヤもそこは黙認している、私もだ。けど人を殺すと言う事に対しての君達の心理的障害は大丈夫なのかな?」
「私は大丈夫。」
ミカは既に決心しているようだ。
「ナギサはどうしたいんだ?」
今のティーパーティーホストとしての意見を求める。
「そうですね。最終的にどうするかは兎も角、まずは彼女が握っていた情報を知りたいです。あれは口を割りませんから。いつかあそこから脱獄し再び戦力を拡充するためなのか、単なる嫌がらせか……とにかく彼女から情報を得たいのです。」
「そうか。」
彼女の抱える悩みはそう簡単に解消出来るものでは無さそうだ。
最早冷めてしまった紅茶を一口飲みながら、私はふと別の顔を思い浮かべた。
ベアトリーチェを拘束し、自ら指揮権を奪って投降を命じたあの生徒のことを。
「……そういえば、スバルのことはどうするつもりなんだ?」
「梯スバル、ですか。」
ナギサが眉を僅かに寄せる。
「彼女も出来れば、救われて欲しいと思うかい?」
部屋の空気が、また少しだけ変わる。
「勿論、そう思っています。」
ナギサは即座に答えた。
だが、その直後に言葉を続ける。
「ですが、理由付けが出来ないのです。彼女はベアトリーチェの支配構造を内側から支えていた教官の一人です。クーデターを起こして投降を促した功は大きい。それでも、彼女がそれまでどれだけの生徒を『虚無』の中に閉じ込めてきたかを考えれば、単純に減刑するわけにはいきません。」
「功罪相半ば、か。」
「ええ。カヤ防衛室長も、そして彼女曰く矯正局のミスズ局長もそこを曖昧にしたまま軽く扱うことには難色を示しているとのことです。そして、それは私も同じです。」
なるほど。
ナギサはスバルを救いたいと思いながらも、そのための大義名分を見つけられていないのだ。
アリウスの生徒たちを解放した英雄として扱うには、彼女の過去が重すぎる。
だが、私にはベアトリーチェが口を割らないと言うこの状況であれば切れるカードが存在した。
「なら、
「司法取引、ですか?」
「スバルなら、ベアトリーチェの隠し事をある程度知っている筈だ。彼女は教官として、ある程度の裁量と情報にアクセスできる立場にいた。ベアトリーチェが口を割らないなら、スバルから情報を引き出せばいい。」
ナギサの目が、僅かに細くなる。
「彼女の刑を大幅に軽くする代わりに、情報を提供させる……と。」
「そうだ。『功』を『情報提供』という形で具体的に評価する。彼女がベアトリーチェの組織構造や、残存勢力、隠していた研究や資産についてどこまで知っているかを話す。その内容の価値に応じて、処遇を決める。」
「……それは。」
「完全な無罪放免にはしない。だが、長期の厳罰を避ける……それこそ他のアリウス生達と同じくらいの罰と更生プログラムで済ませる理由にはなる。ナギサが求めていた『理由付け』になると思わないか?」
しばらくの沈黙。
ナギサは紅茶の水面を見つめたまま、考え込んでいる。
ミカが口を開きかけたが、セイアが小さく首を横に振って制した。
「……確かに。」
やがてナギサが顔を上げた。
「ベアトリーチェ本人から直接聞き出すより、確実性は低いかもしれません。ですが、何も得られないよりは遥かに良い。それに、スバルさんに対しても良い機会だと思います。」
「そうだね。彼女も、ただ囚われるだけよりは、何か意味のある形で区切りをつけたいと思っているかもしれない。」
「わかりました。」
ナギサは深く息を吐き、姿勢を正した。
「一先ず、ベアトリーチェの最終的な処遇は保留とします。その前に、梯スバルとの司法取引を優先して進めます。カヤ防衛室長とミスズ局長には、こちらから話を通します。」
「私も必要なら顔を出すよ。」
「ありがとうございます。先生が同席してくださるなら、話はより通りやすいでしょう。」
完全な解決ではない。
だが、少なくとも何もできない状態からは一歩を踏み出せる。
「それでいいのかい、ミカ。」
念のため、一番感情的だった彼女の意向を確認する。
「……うん。スバルちゃんのことは、アズサちゃんからも少し聞いてるし。悪いだけの人じゃないのはわかってる。情報を出してくれるならそれでいいよ。ベアトリーチェのことは、その後で考えれば。」
「セイアは?」
「私に異論はないよ。むしろ、効率的だと思う。無駄に時間を掛けるよりずっとマシさ。」
トリニティのトップの許可が取れた。
私は静かに頷く。
「じゃあ、その方針で行こう。まずはスバルから、どこまで話せるかを確認するところからだ。」
「ええ。」
ナギサはカップを置き、正式な口調で言った。
「それでは、本日はこれで御暇させて頂きます。先生、急な訪問にも関わらず、お時間をいただきありがとうございました。」
「こちらこそ。必要な話を出来て良かったよ。」
彼女達が玄関の扉を開けて帰って行くのをみながら、私は心の中で次の動きを整理していた。
スバルとの交渉。
カヤとミスズへの根回し。
そして、ベアトリーチェが本当に何を隠しているのか。
戦後の処理は、まだ始まったばかりだ。
私は今までオラクルと様々な話をした。
友人と言うには暖かさが無く、同僚と言うには親密で……そう、まるで先生だ。先生と言っても『シャーレの先生』は関係無い。彼も昔はいざ知らず今は信用できる人間ではあるが、教えを乞う対象ではない。
オラクルは私の思考を拡張し、私の知らぬ知識を与え、そしてその後は経験を積む機会を与え、そして常に見守っていた。
昔トキやヒマリから間接的に
オラクルは私に答えを教えない、ただ概要と理念を教えた上で、そのずっと手前に散らばる小さなヒントを渡すだけだ。
『観測者』と呼ばれる御伽噺の様な存在も『天国の支点』や『源石』と言った彼女が研究していた技術も私は何も分からない。絶対に届かない技術の頂きを見せられていると言うよりも、本当に理解の及ばない神話の話を聞かされているようなものだ。
それでも彼女は私達の自由意志を、この都市の未来を尊重している。それが続く限り彼女は敵になり得ない。彼女は善人だ。
だが同時にそれは此方に踏み込むなと言う隠された意思だったのかもしれない。その意思に含まれるものが、冷たい拒絶だったのか、暖かい配慮だったのかは分からない。
私は知っている、彼女が単に底抜けに優しいだけの人間では無い事を。
私は知っている、徹底的な合理性と覚悟を併せ持っている事を。
だけどそれでも彼女は善人である。
そう、善人である…
アリウス戦争が終結した2日後、私の個人端末に通信が来た。
端末を開くとそこに出されていたのはオラクルでも先生でもヒマリでも無い見知らぬ番号。
私は警戒しながら通信を開いた。
「いきなり誰かしら。この端末に連絡をかけられる時点で恐らく普通では無いのだろうけど。」
『失礼しました。私は黒服と申します。ゲマトリアの一員であり、あの戦争が始まる前にオラクルと先生に情報を渡した者です。今キヴォトスでもっともオラクルと親しい貴女に話したいことがあります。』
「そう、オラクルからは貴方達は倫理観の無い危険な研究者だと聞いているのだけど。その様な人間が何のよう?」
『手厳しいですね。私は先程戦争の裏でオラクルと話をし、過去の清算、具体的には特定の生徒への攻撃を始めとする様々な行為を辞めた上で、オラクルに神秘の探求に付き合って貰うことになりました……ですが重要なのはそこではありません。』
彼の言葉が少し途切れ、そして歯切れ悪く続けた。
『
その発言は私の感情を揺さぶった。
「……詳しい事を説明して頂戴。先程言ったように私は貴方を信じていないの。」
その言葉の微かな震えは私のひび割れた心の防衛反応だったのだろう。
『……此処までの説明で何か分からない事はありますか?』
「……説明に関しては無いわ。何故オラクルが貴方達と連絡を取ったのか、何故オラクルが貴方達には真実を伝えたのか。いや、それだけでなく何故私には観測者や源石について薄い話しかしなかったのかも何となく理解したわ。」
彼の話を聞いて、私は彼の言葉が真実であると理解してしまった。オラクルから直接聞かなければ知る由もない話が多すぎたから。
複製、神秘、ゲマトリア、そして観測者と源石……戦争終結時までオラクルが何故閉じこもっていたのかも理解できた。彼との交渉で手が離せなかったのだろう。
つまりそれは彼女が……本当に今のキヴォトスを不可逆的に変化させてしまう可能性があると言うのだ。私は滅ぼすと言う言葉は使うつもりは無い。あくまでデータ化されて封印されるだけだからだ。
だがそれでも納得は出来ない。
仮に私がそれを滅びでは無いと判断しても、私以外のほぼ全ての人間はきっとそうは思わないだろう。
そして私も、その行為に対して
「……でも何故貴方達は私にそれを伝えたのかしら。」
だが、そこが分からなかった。
彼等にとって、その情報を面識のない私に流す事がメリットになるとは思えなかったのだ。
『2つあります。1つ目は小さな保険に過ぎません。私はダメ元で貴女ならオラクルを
「……試してはみるわ。でも期待しないで。」
『わかっています。もう一つは貴女も
「冗談を言うなら切らせてもらうわ。」
そう言って、私は通信を叩き切った。
数秒後、再度通信が来る。
『話の途中で切らないで頂けませんかね?』
「私は生徒であり、生徒を食い物にする貴方達に協力すると思っているのかしら?それに私はオラクルの情報をそこまで知らないの。貴方達が求める様な人間ではないわ。」
『いえ、どうやら貴女は思い違いをしていらっしゃるようですね。私は
「……ベアトリーチェだったかしら。あのアリウス戦争の元凶は分かり易い邪悪だったけど、キヴォトスにとって貴方も負けず劣らずの危険因子ね。」
『私は過去を清算すると言いましたよね。キチンと安全確保をし、対価を与えて行いますよ。何しろオラクルが黙っていないでしょうから。』
「……そもそも私にはミレニアムを背負う責任があるの。もう切らせて頂くわ。」
『返事をお待ちしております。』
私は再び通信を切り、今度こそ端末は鳴らなかった。
『制御されしアポカリプス編』終幕。
『演算される非日常』開幕。
源石計画……文明を保存する鳥籠、或いは希望を繋ぐバトン。様々な思惑によって行われた運命に反逆する為の計画。オラクルとプリースティスの思惑は違ったが、共通して数多の祈り、そして微かな希望を源石に込めた。