ブルーアーカイブ×アークナイツ  調月リオと星外の予言者   作:バトクロス

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あけましておめでとう御座います。
この作品悩んだんですが、短編では収まらない為連載にします。
いつも通り感想と評価をお願いします。お気に入りはしてもしなくても大丈夫です。この作品が嫌いな人にも意見を頂きたいので。
あとタイトルは調月リオと星外の預言者なんですよ。
今回はリオがメインです。


調月リオと先生

 ドクターの暗殺未遂から数日後、連邦生徒会長が居なくなった。またそれに伴い大規模なトラブルが発生した。

 数千もの学園自治区が混乱に陥り、ミレニアムも所有している風力発電所がシャットダウンした。もっとも私自ら対応に乗り出した結果他の学園自治区に比べて被害は最小限に留めることが出来た。

 昔なら私が先頭に立って対応を指示する様なことは無かった……彼女曰く「それが人を頼ると言うことだ、成長したな」と言われた。

 

 

 要塞都市エリドゥ。そのコントロールタワーの中、たった一人でリオはスマホでニュース記事を見ていた。

『連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出。スケバンのような不良たちが、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に上昇。治安の維持が難化。戦車やヘリコプターなど、出所の分からない武器の不法流通も2000%以上増加。』

(これも連邦生徒会長が仕組んだ事なのかしら……)

 そんなことを思いながら機能が停止しているサンクトゥムタワーをモニター越しに見る。

(オラクルは連邦生徒会長が私と同じように何かしらのツテで()()()()()()()をしていた可能性が考えられると言っていたわね。その為連邦生徒会長が起こりうると考えた何かしらのトラブルを発見するためにも、遠回しに圧力をかけていたゲーム開発部への介入は()()()()と)

 この様々な惨事は連邦生徒会がこれ程までに一人に頼り切りだったことを示しているがリオはそれよりも一歩先の思考をしていた。

(連邦生徒会長は何処までを()()()()何処からが()()()()()()()()のかは分からない……だが今回の騒動については恐らく意図的に仕組んだものでしょうね。様々な混乱が巻き起こされるのも連邦生徒会が彼女一人が消えるだけで機能不全に陥るのも、彼女が言う先生と言う存在をアピールするため……そう考えれば筋は通る。)

 するとニュースで速報が流れ始めた。どうやらサンクトゥムタワーの機能がいきなり復活したらしい。直ぐさま連邦生徒会に向かっていたユウカに電話をかける。

「ユウカ、サンクトゥムタワーが復旧したようだけど、何か分かる?」

『会長、まず先に挨拶くらいしてください……先生と呼ばれるフィクサーが変わりにサンクトゥムタワーを復旧させました。連邦生徒会長が失踪前に手配していた外の人材の様です。』

「先生……」

 頭の中で録音していた連邦生徒会長の言葉が蘇る。

『先生とは連邦捜査部『シャーレ』という新しく出来た部門に所属するらしいです。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることも可能で、各学園の自治区で、制約なしに戦闘活動を行うことも可能な様です。』

 前、録音していた話と繫がる。

「ユウカ、気を付けなさい。個人にそれだけの権限を与えると言うことの意味を。」

 前から疑問を持っていた、『どうやってトラブルを解決させるか』と言う問いに対する解答が『個人に驚異的な権力を握らせる』と言うシンプルなものだった事に内心頭を痛めつつ話を続ける。

「先生は警戒対象として認識しなさい。」

『でも、先生個人は優しそうで優柔不断なただの若い男性でしたよ。あ、でも指揮は上手でした。サンクトゥムタワーに行くまでの間、不良を蹴散らして来たのですが何時もより戦闘をスムーズに終わらせることが出来ました。』

 既にユウカは先生に対して好印象を持っていると判断出来る状態だった。

「……ユウカ、セミナーに所属している人間が入れ込まないで頂戴。貴女の性格は大きな利点では有るけれど、ついつい不要なところまで踏み込みがちよ。それと、帰ってきたら聞かせる物が有るから。」

 そう伝えると押し殺した笑い声が聞こえてきた。

「何か面白い事でも?」

『リオ会長は変わりましたね。きっと良い方向に。前はこんなにコミュニケーションをしていただけませんでしたから。ドクターの影響ですか?』

「……切るわよ」

 

 

 

 帰ってきたユウカをエリドゥに招く。

「態々の此処を集合場所にしたと言うことは何かしら機密性のあるものですか。」

「ええ、此処で聞いたことはは他言無用よ。」

 録音を再生する準備をした後、自分は一度部屋を出る。

「多分最初は独りで聞いて、考えを咀嚼した方が良いと思うから。」

 背後のドアが閉まる寸前、音声が流れ始めたのを聞いた。

 

 

 数分後、酷く硬直した表情でユウカが出て来た。

「確認ですが、これは捏造されたものでは無いのですね?」

「ええ、隠し事は良くないと分かっては居たけど……流石にこれは色々と問題が有りすぎるから。」

 前ユウカから言われたことを思いだし、多少気まずくなりながらも話を続ける。

「でも連邦生徒会長が失踪し、変わりに『先生』と呼ばれる人間が来た。最近のトラブルの連続も幾ら連邦生徒会が機能不全に陥ったとはいえ、少々被害が大きすぎる。それに先生が来てからピタリと止んだ。」

「……先程の話と合わせると、先生を救世主として印象づける為の演出だと言いたい訳ですね。」

「ええ、そして貴女がその演出に引っ掛かって欲しくは無い。だからこそ、やむを得ずこの録音を聞かせたの。」

 そうしてユウカに顔を近づけ、問いかける。

「これを聞いた上で、先生を信用できる?」

 

 

 ユウカは目を閉じ、数秒考え込んだ。そして目を開き、自分と目を合わせてこう告げた。

「個人的には先生個人は()()()()()と思います。」

 その瞳は『先生』と言う存在に対しての妄信の色を宿していない。にも拘わらずそう答え他彼女に多少驚く。

「……理由を聞いても良いかしら。」

 ユウカは一度咳払いをすると持論を展開し始めた。

「そう思う理由は3つ有ります。まず一つ目は先生と会話したところ、連邦生徒会長とは会ったこと無いようです。夢のような空間でそれらしき人物とは会ったことはあるようですが。その為、彼の行動は誘導されている可能性は有りますが、基本的には彼自身が選択し行った善行だと考えられます。2つ目はそもそも連邦生徒会長は錯乱しているように見えますが、私はここまで根回しをしている人間が先生を無条件で信用し、ドクターを警戒する原因が単なる錯乱とはと思えません。この行動には何かしらのきっかけが有ったのではないかと考えています。3つ目は()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「ちょっと待って頂戴。」

 ユウカの発言に思わず制止の声を上げる。

「私が先生を信用していないから信用すると言うのはどう言う事?」

「単純な話です。セミナーと言うミレニアムの生徒会が先生をフラットに見るためにはある程度バランスが必要です。リオ会長は信用しない、私は信用する。そうすることでより正確な観測と対応が出来ると思います。」

「……そう。」

 彼女の発言に思わず唸る。(納得できる理屈ね。)彼女の考えを咀嚼し、納得した。

「貴女のスタンスは分かった。理屈も納得できた。ありがとう。」

 そう言って話し合いを終えようとすると、「少し待ってください。」とユウカが声をあげた。

「この録音は他の学園、特にゲヘナとトリニティの上層部には提供したほうが良いかと思います。」

「……様々な混乱をもたらすだろうから余りしたくは無いのだけど。」

 ユウカの提案に難色を示す。

「それにオラクルについての情報をある程度提供する必要もある。リスクを負いたく無いわ。」

 仮にオラクルが誘拐でもされれば取り返しのつかないハメになる。既にオラクルはミレニアムの基幹部分に食い込んでいる。最大のリスク回避は誰にもオラクルの情報を渡さない事だ。もっとも連邦生徒会のデータベースを調べればひっそりと載ってはいるが。

「上層部が混乱すると判断すれば彼女達だけで封印すれば良いのです。選択肢だけを与え、それとなく此方も働きかけることでリスクは抑えられるかと。」

 それに……そう言ってもユウカはこうも言った。

「リオ会長はドクターに入れ込みすぎてますよ。彼女は大人なんですから、そこまで庇護する必要は無いと思います。あと先生と二人っきりで話すなら『当番』に立候補すると良いでしょう。」

 

 

 

 

 数日後、様々な工夫をしてシャーレの当番として先生と会うことが出来るようになった。菓子折を抱え、扉を三回ノックする。

「どうぞ。」

 扉を開けると中にはスーツを着た一人の男性が座っていた。

「初めまして、私がシャーレ顧問の『先生』だ。」

「初めまして、ミレニアム会長の調月リオよ。先日は早瀬ユウカがお世話になったようね。」

 持ってきた菓子折を渡そうとするも

「いや、寧ろ当番として助けて貰っているのは此方の方だよ。感謝だけは受け取っておくよ。」

と、やんわりと受け取りを拒否される。しかしそれは想定済み

「では、今日の仕事が終わった後に一緒に食べましょう。生憎賞味期限が短くて……」

「それなら頂こうかな。えっと……2時間ほど時間はとれそうだね。じゃあとりあえず仕事を始めようか。」

 あらかじめ、二人っきりで話せる時間を確保する。

 

 

 

 基本的にはシャーレの仕事は、長期の仕事と短期の仕事が入り混じるものであり内容は多岐に渡る。もっとも発足直後で有るためか、基本的には小規模、もしくは切羽詰まった依頼しかやってこないが。

「よし、今日の仕事は終わり。お疲れ様。」

「えぇ、お疲れ様。」

 今日は運良く書類仕事と地域の小競り合いの解決だけですんだため、時間通りに事が運んだ。

「仕事も終わったことだし、色々と話させていただくわ。それと……出来れば通信機器は全て電源をOFFにするか、異なる場所に置いてきて欲しい。」

 伸びをする彼に対して菓子折とお茶を出しつつ様子を窺う。

「確認だけどあくまで話すのがメインなんだね?それにこの手際の良さ、リオは最初からそのつもりで今日来たんだね。良いよ、話せることは話そう。」

 

 

 

 

 部屋は気まずい空気が漂っていた。

(どうやって話せば良いのかしら、ドクターが居ないのがこんなに心細くなるなんて)

 推定無罪とは言え、あの連邦生徒会長の手がかかっているであろう先生に直接質問するには色々と荷が重く、どうやって話し始めれば良いのか分からない。

(リオから話があると言われたけど、そもそも彼女の事を何も知らないからね……此方から話しかけるにしても話題が……)

 一方先生も、今までの当番の生徒達と明らかに何か違うリオに対してこの状況も相まって何を話しかければ良いか分からなかった。

 膠着状態が続いて居るとリオの端末が鳴った。

「もしもし……オラクル?……えぇ、先生と二人っきりだけど?……分かっているわ……うん、参考にする……何とかする。」

 話し終えたリオに怪訝な顔で「『オラクル』って誰なのかな?」と先生が問いかけた。

「……ちょうど良かった。どうやって話そうか困っていたの。けどその前に先に幾つか質問をさせて欲しい。」

 そう言うとリオは話し始めた。

 

 

 

「先生は何処からやって来たの?」

「この都市の外から。」

「同じ星?」

「多分そうだと思う。」

 先生は快く質問に応じてくれた。

「先生は連邦生徒会長とどの様な関わりがあったの?」

「現実か……それとも夢なのかな?不思議な空間で列車に乗っていて、そこで彼女と話したんだ。内容は詳しく覚えていなかったけど……この都市を託された様な気がする。実際自分の為に様々な権限と物資を置いておいてくれたからね。感謝しているよ。」

「怖いとか理不尽だとか、思わないの?」

「思わない。それが大人の役目なのだから。」

「昔からそうだったの?」

「?あぁそうだよ。」

 様々な質問をしながら時折重要な質問を忍ばせる。

「百を救うために一を犠牲にする場合、それについてどう思う?」

「一を犠牲にしないように全力を尽くす。」

「回答になってないわ。」

「先生の責務としてその様な犠牲は許容されない。」

 先生のスタンスと連邦生徒会長との関連を探る。

「生徒の許されるべき行為と許されない行為の線引きは何だと思う?」

「他人に害を及ぼすような、やってはいけないことをやるかどうか。とりあえずはそこかな?」

「曖昧ね……自分の都合で人を殺そうとするのは?」

「論外だね。少なくとも生徒にそんなことをさせるわけにはいかない。」

 その言葉を聞いて少し安心する。

「仮に依頼を受けて対処しているときに反対の組織から相反する依頼が来たときはどう対処する?」

「うーん……状況次第だとは思うよ。最大限何方の組織にも納得して貰えるような折り合いをつけるよう努力する。……けど基本的には予め受けていた依頼を優先するかな?」

 すると先生がコップを地面に置き、私の顔を見つめてきた。

「そろそろ『オラクル』と言う人について教えて欲しいな。リオと親しげに話していたけどミレニアムの生徒なのかい?」

「良いわよ。」

 

 

 

「オラクル……私以外は『ドクター』と呼ぶわ。詳細は省くけど彼女は約一ヶ月前にこの都市の外からやって来た存在。ただし貴方とは違って事故でやって来た。今は元いた場所に帰るために帰る手段を模索しているわ。その為にミレニアムに居候している。」

 彼女……調月リオが話している内容を聞き、少し興味が湧いた。

「外からやって来た人か!一度会ってみたい「駄目よ。」……何故?」

 割り込むように否定してきたリオに疑問を呈す。

「それは貴方が……連邦生徒会長と繋がりがあり、まだ安全と判断できないからよ。」

 思い返してみると彼女は何度か連邦生徒会長との関連について問い詰めていた気がする。

「リオは連邦生徒会長との確執でも有ったのかい?それともその()()()()と言う女性の方に有ったのかな?」

 そう更に問うと彼女は返事をせず、飲みかけのお茶を口にした。

「何が有ったのかは分からないけど、仲直りする事は「出来ない」……何故かな?協力出来ることなら協力したいのだけど。」

 先生としての立場としても是非とも解決しておきたいものだったが、土足で踏み入りすぎたか?と目を閉じて内省しようとすると

「違うの、別に先生が悪いわけではない。」

 随分と歯痒い声が聞こえた。

「先生は多分私とは相容れない部分もあれど、善人だとは思う。だけど、いや、だからこそ話せない。」

「……何故?」

「貴方は既に連邦生徒会長から依頼を受けている。そして私の願いは彼女の意志に反することだとおもうから。」

 先程貴方はそう述べたでしょう?とリオの目は語っていた。

 凍り付く自分に対し

「気になるのならまずは自分で調べてみてください。」

 そう言ったのを最後に自分もリオも口を閉ざす。

 するとタイマーが鳴った。

「……2時間経った様だね。」

「……そうね。」

 そう言うと彼女は立ち上がり扉に向かって行った。そしてドアを開くと振り返りながらこう言った。

「先生は、生徒の立場を尊重する?」

「……可能な限り尊重する。」

「……そうであると信じてる。」

 そう言うと今度こそリオは外に出ていった。

 

 

 

 リオが出ていった後のそのそと端末の電源を入れる。

『先生!前言っていた事を忘れたんですか!?可能な限り、電源は入れておいてくださいねって!先生の命綱なんですよ!』

「ごめんねアロナ、生徒がそう頼み込んできたんだ。」

 感情豊かなAI……AI?のアロナにお叱りを受け、苦笑しつつそう答えると彼女の顔が怪訝なものになった。

『誰ですか?そんなことを言う生徒は。』

「ん?あぁ、リオ。調月リオだよ。口下手だし眼光は鋭いし、内容もなんか気になるけど……多分悪い生徒では無いと思うよ。」

 そう答えるとアロナの表情が固まった。

『……彼女もイレギュラーと化した

「何か言ったかい?」

『何も言ってません!』

「そうか……話は変わるけど『オラクル』と言う人物と『連邦生徒会長』について調べて欲しいな。」

『……分かりました。』

 アロナの様子が変なのに気が付きつつも今はスルーして頼み込む。

 

 

 次の日、『結局分かりませんでした!』そうアロナから告げられてがっくりと肩を落とす。

「時間かかった割に、こうなったか……」

『ごめんなさい……』

 そう言ってアロナが引っ込む。

(自分はあくまで生徒達の味方だ、一生徒に入れ込むのは良くない。)

 仕事が終わった後にパソコンを開く。

(アロナも分からないと言っていたじゃないか。そう言っていたじゃないか。)

 そう頭の中で考えながらも指は止まらない。パソコンには調月リオについての情報が映し出されていた。

 

 

 

 

 

クロノス・スクール著 『ミレニアム震撼、要塞都市エリドゥ』

 

【 今回のニュースのキーパーソンはやはり生徒会長、『調月リオ』氏であろう。何しろ彼女とそのお着きのエージェントのみでこの都市を建設したのだから。今回の発表の前にまずは彼女について紹介しておこう。

 

 ミレニアムサイエンススクールの生徒会に相当する「セミナー」、そのトップである生徒会長。「千年難題の解決を望み、星を追う者」を自称しており、リオ自身も技術者を本領としておりその能力はキヴォトストップレベルとされている。

 

 ミレニアムの全てを手中に収め監視していると噂されており、「ビッグシスター」とも呼ばれている。監視の幅はもはや異常と言っても差し支えなく、ミレニアム内で流通する全てのデータの中身とその通信相手を検閲できる監視システム「ビッグシスターアルゴリズム」を作り上げていた。

 

 しかしそれはつい先日本人が、あっさりと()()()()ため別のシステムに移行したと要塞都市エリドゥ発表時に宣言した。それと同時に今まで監視していた事を謝罪しつつも必要性を説明し理解を求めた。この件によって噂が確かで有ることが証明された。もっとも要塞都市エリドゥのインパクトに流され、また暗黙の了解であったため、その後話題にするものは余り居なかった。

 

 元々は自他共に認めるゴリゴリの合理主義者であり、大を生かすためならば小を切り捨てる決断を「一片の躊躇なく」「即座に」下せる冷酷さを持ち合わせており、そのためならばどんな悪辣な方法も辞さないと言われていた。実際に取材を行った際、セミナー書記の『生塩ノア』氏は『突飛な行動をされる方』『ブルドーザーみたいに強引』と取材に答えていた。

 

 この様に自分が正しいと信じたことは、他の誰から何を言われようとも、どんな邪魔が入ろうとも、そこに介在する感情を何もかもを「合理」の一言で片づけ押し潰していく手法や、「全てのことに精通しているが故に全てのことに疑念を抱く」性格であるために他者を信用する・頼るという行為をほとんどせず、あらゆる失敗や裏切りに備えて重要な情報を秘匿するため、味方が非常に少ないとされていた。

 

 だがこの話には続きがある。この発表の少し前から彼女はどうやら人を信用し、頼ると言うことを少しだけ覚えたと言うのだ。これはエリドゥを内向きではあるものの一般生と色々と制限はあるものの報道陣に対して発表したことからも納得できることだ。最近調月リオ生徒会長と関わりが増えているセミナー会計の『早瀬ユウカ』氏が原因では無いかと我々は睨んでいるが、本人曰く「私は原因では有りません。」と言っていた。

 

 これ以降は要塞都市エリドゥについて深掘りしていくとする。

 

 そこまで読み溜息をついた。

(あくまで半分ゴシップ紙の様なものだとされているが……それにしたって彼女は色々と特殊すぎる)

 彼女は自分がキヴォトスにとって警戒するに値する存在かを見極めようと昨日当番として来たと言うことは理解できた。だが……

(彼女は随分と人間らしさを感じた。寧ろ情に厚いような……)

 そんなことを考えながらも記事を追っていく。

(結局オラクルと言う存在は見つからなかったか……)

 恐らく彼女が変化したタイミングでオラクルと会ったのだろうと推察は出来る。だが彼女はある程度情報を隠しているようだ。

「ユウカに聞いてみるか。」

 モモトークでユウカに『オラクル、もしくはドクターと言う人物について知っている?』

 そう連絡を送った数分後、連絡が帰ってきた。

『リオ会長はなにか言っていましたか?』

『いや、事故でやって来た外の人間で有ることくらいだね。連邦生徒会長と関係性が有るからとそれ以上は教えてくれなかったよ。外の人間なら一度会っておきたいが……』

『うーん……リオ会長は猜疑心が強い人ですから。私としては言っても良いですが、先生ならリオ会長とも仲良くなれますよ。自分で聞いてみてください。それに他の生徒達もある程度は薄らと知っていますよ。』

『そんなのネット記事には載っていなかったよ?』

『エリドゥ発表の時の記事を見ましたか?あの後本当はもう一つ記事が出来るはずだったんですよ。有ることが原因でポシャりましたが。』

『分かったクロノス・スクールに掛け合ってみるよ。』

『……余り人の内側に土足で踏み入らないでくださいね。』

『分かった。善処するよ。』

 そう書くと端末の電源を切った。




まぁ、今回は繋ぎです。本番はパヴァーヌ1章と2章です。また、一部時系列を入れ替える予定です。
顔や性別についてですが、先生はアニメ版の先生に近い人間です。
ドクターはプリースティスとは異なるタイプの美人で有れば好きに妄想して貰って構いません。
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