ブルーアーカイブ×アークナイツ  調月リオと星外の予言者   作:バトクロス

5 / 9
今回は脇道にそれます。
オラクルからあっさりとハッキングされ、多額の資金を強奪された上に、弱味を握られ、てんやわんやで入れた新しいセキュリティソフトがトロイの木馬だったカイザー。
ミレニアムから送られた暗殺未遂の映像、並びに音声データをみたトリニティとゲヘナ。
その3つを描いていこうと思います。


歪む世界

side カイザーコーポレーション

 先生が来る約四週間前……

 

 

「カイザー理事!様々な機密情報がすっぱ抜かれました!他の関連企業も同様の事が起こっている様です!」

 朝の業務をしているカイザー理事の扉が乱暴に開かれ、社員が泡を吹きながら入ってきた。

「な!?詳細をよこせ!」

 カイザー理事はそう報告した部下に怒鳴りつけた。ひったくるように受け取った端末に送られた情報を見て、顔を引き攣らせる。

「ブラックマーケットのマネーロンダリングに連邦生徒会との癒着疑惑、犯罪者集団との接触にアビドスへの嫌がらせ、更に他会社との暗闘に様々な給料の未払いと……幾らなんでもここまでハッキングされるのは有り得ないだろ!」

 一番張れてはならない連邦生徒会との癒着については部分的な側面しかバレてはいないものの、これらが全て明るみに出た場合株価は5分の1程度まで落ち込むと推測される。

「声明が発見されました!ハッキングの際にメッセージを埋め込まれたかと!」

 振り返ると別の社員が走って寄ってくる。

「ぜぇぜぇ……相手は個人犯、要求は金です!犯罪を公表しない代わりに金を要求しています。電子マネーを使って受け取るとのこと!」

「犯人を発見できると思うか?」

 睨み付ける彼の視線に怯えつつも「恐らく不可能かと……それに既にシステムに幾つもの地雷を仕掛けられています。拒否した場合はそれらがどうなるか……」

 その返答に苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべる。

「要求は幾らだ、払う方向で進めろ。」

「2兆です!」

「……グループ全体の為だ。他のグループ企業にも連絡を送れ、緊急会合だ!」

 そう言うと直ぐさま通信を繋いた。

 

 

 

 

 会議は30分もかからずに終わり、犯人に金を支払うことが決定された。

「クソッタレ……約束は守るんだろうな。」

 頼むからそうで有ってくれと祈っていると再び部下からの連絡が来た。

「犯人からの声明です。『今回はこの情報は公開しないようにしよう。だが、今回は君達が後ろ暗い事を山ほどしていたからこそこんな事になった。これからももし、再び悪事を行おうとする場合はまたハッキングして強請ることにするよ。あと今君達の防御網はズタボロだね。そろそろ自分以外のハッカーが色々と手を出してくると思うよ。さっさと別のセキュリティソフトを入れた方が良いと思うけど……まぁ君達がどうなろうが知ったこっちゃ無い。好きにすると良い。』との事です。」

「巫山戯るな!導入にどれだけかかると思っている!エンジニア班は全力でサイバー防壁を作り直せ!」

 その日、カイザーコーポレーションは多額の資金を強奪され、またキヴォトス全域からサイバー攻撃が相次いだ。そして小康状態に入ったタイミングで大急ぎで高性能セキュリティソフトを導入した。

 そして暫くの間カイザーグループは悪事を控えるようになったという。

 

 

これが最初の致命的な歪み

 

 

???「最近学校に襲撃が来ないねぇ。」

???「ん、そうだね。」

???「これならあんな胡散臭い大人に頼らなくても良いでしょ!」

 潰れかけの廃校は大人の手を借りることを先送りにし、

 

 

??「ククク、これでは小鳥遊ホシノさんを追い詰めるプランが上手く行かなそうですね……暫く様子見をしますか。」

 先生と黒服が出会う切っ掛けも潰れ、

 

 

??「カイザーとの連携を破棄することになるなんて……お金を払っているのですよ!?クソっ、私達もセキュリティをアップデートしないと何時かバレるかも知れない……とにかく他の部署にも伝達して警戒を促さないと。」

 防衛室の惨状も軽減され、

 

 

???「こんな事は今まで起きたことは無かった。恐らくあのオラクルとかいう人物のせいでしょう。『自分の身は自分で守ること、それと()()()()()()()()()()()()()()()』と言ったのですが……いや、確かに表立って混乱を引き起こしてはいません。彼女が直接したことは犯罪を暴いてそれをネタにカイザーから金を奪っただけ。ですが……二次被害が大きすぎる。既に無視できるものでは無い……」

 彼女が殺害を決意する切っ掛けとなった。

 

 

 

 

 

 

sideゲヘナ学園

「マコト様。お届けものです。」

「中身と何処からのものかを先に言え、普通に爆弾でも入っていたら如何する。」

 封筒を持ってきたイロハに苦言を呈しつつ、続きを促す。

「ミレニアムのセミナーからUSBが送られてきました。」

 彼女が封筒を開け、中からUSBとメモ用紙を取り出した。

「メモには何と書いてある。」

 訝しげにそうイロハに問いかけると彼女は書いてある文章を読み始めた。

「『初めまして。まずはこのメモを見てくれてありがとう。下手すると受け取って貰えないかと思っていたから。私は調月リオ。ミレニアムの生徒会長よ。このUSBには連邦生徒会長のある行動を録画したデータが入っている。貴方達と別にもう一つ同じものを別の組織に送っているわ。その映像は人間ににせたアンドロイドにカメラと遠隔で会話できる装置をつけて撮影したものよ。先に言っておくと連邦生徒会長はフードを被ったこのアンドロイドをとある外から来た人間と勘違いしているわ。それを踏まえてこれから先、どう言うスタンスをとるか考えて欲しい。詳しい話を聞く気になったのならこの回線に電話をお願い』と書かれていますね。」

「何処のどいつがそんなに怪しいものを受け取るか……悪戯だろう?」

 マコトは呆れてUSBをゴミ箱に捨てようとし、思い直して受け取った。

「確認だが、このUSBは情報部を経由せず《直接万魔殿に来たのだな?》》」

「はい。」

「何故だ?基本的にこの様な場合は先に情報部で中身を確認してから来る筈ではないか?」

「それは……万魔殿とは別に風紀委員の方にも同じものが届いたからです。受け取ったのは空崎ヒナ……風紀委員長です。彼女は私達よりも先にそれを見たようで、『これは情報部には見せない方が良い。送り手の意図通り、貴方達だけで見るべきものよ。』と言われまして……」

 彼女の言うことは全て反抗したくなるが、今回の件について反抗したらカチコミをかけられる未来が一瞬見えた。それに彼女が見た上で態々そう言うと言うことは何かしら有るのだろう。

 舌打ちをしながら奥からパソコンを取り出しUSBの差し込み口を探していると、『コンコンコン』と扉がノックされる。

「誰だ。」

『空崎ヒナよ。』

 そのまま返事を待たずに扉が開けられ、中にヒナが入ってくる。

「何で此処に来た。」

「貴方達がUSBを捨てるかも知れないと思って念の為来た……今から中身を確認するつもり?」

「ああ、だから帰れ。」

 素っ気なく追い出そうとするも、ヒナはずかずかと進んできて、そのままマコトの隣に腰掛ける。

「おい!」

「申し訳ないけど、いがみ合うのは後にして。」

 何時もとは違う雰囲気に飲まれ、渋々とヒナを無視して作業に取りかかる。

「再生するぞ。」

「その前に……出来れば貴女と私、二人だけにして。最悪でもイブキちゃんには絶対に見せないこと。」

 溜息をつき、無言でイロハに視線を向ける。

 頷いたイロハはそのまま扉から外に出ていった。

「……再生するぞ。」

 

 

 

 

 

 映像が終わった後、私は暫く何も話せなかった。

「……どう思う?マコト。」

 私に対してヒナが問いかけてくる。いや、『私』でありながら『私』を見ていない。彼女が見ているのはゲヘナ学園万魔殿議長羽沼マコトに聞いている。

「……ヒナ、捏造の線はないか?私よりも元々は情報部と繋がりがあったお前の方がそう言うのは得意だろう。」

「仮に捏造だったとしても送り手がミレニアムの天才。私達が捏造かどうかを見破る手段は無いと考えた方が良いわ。」

 そう答えると彼女の紫の瞳が此方に向けられる。

()()()()()()、貴女の瞳はそう言っている。」

 その言葉に溜息をつき、立ち上がる。

「ヒナ、雷帝を覚えているか。」

 その言葉に彼女の体が反応する。

「……当たり前よ。貴女、何が言いたいの?」

 自分が今から言う言葉を頭の中で咀嚼し、やはりあの映像がフェイクで有ることを願いながら口を開いた。

「かつて雷帝は暴力と策略、そして様々な発明品によってゲヘナに独裁を敷いた……言ってしまえば目に見える力で分かりやすく生徒たちをコントロールしていた。だがもし、今まで連邦生徒会長が目に見えない力で自分達に気付かれる事無く行動をコントロールしていたとしたら……私は彼女が恐ろしくてたまらない。」

 そう言うとヒナが溜息をついた。

「何か忘れていないかしら。」

「何をだ?思わせぶりな事を言わずさっさと言え。」

 ただでさえ頭を悩ませているのにヒナから呆れた様な口で物を言われ、機嫌が悪くなる。

「この映像では、連邦生徒会長が手玉にとられていると言うことよ。」

 端的に告げられた言葉に思考が硬直する。

「確かに……この映像は明らかに連邦生徒会長の想定外な事象だ。暗殺し損ねる事も、それが録画されていることも。そして手玉にとったのは恐らく連邦生徒会長が勘違いしていた外の人間。」

 そこまで言うとヒナの方を向く。彼女は頷いて自分の意見を表明した。

「私は、意に沿わない人物が居れば殺害しようとする連邦生徒会長も危険度は思うけど……曲がりなりにも彼女はキヴォトスの事を思って行動しているようには見える。それに今は失踪中だし。……それよりもそんな連邦生徒会長を手玉にとれる外から来た大人の方が危険だと私は思う。何しろ送り手の調月リオが彼女の情報を公開してこない。憶測だけど、その大人はミレニアムと手を結んで何かキヴォトスに対して混乱を巻き起こそうとした。それを察知した連邦生徒会長がやむを得ず殺害と言う手をとろうとしたと言う可能性は考えられない?」

 穴だらけかつ、外の大人が悪意を持って行動しているという前提だが彼女の推理は悪くないように思えた。だが見過ごせない点も有った。

「だが、その混乱を巻き起こすという判断基準は何だ。ある程度の情報は保持していたとしても、恐らく連邦生徒会長の独断と偏見に左右されるぞ。例えばこのデータを見た自分達が『他の生徒たちに共有するかも知れない』、そう思われるだけで何もし無くてもいきなり暗殺されるかも知れないんだぞ。映像の最初に言っていただろう。連邦生徒会の総意ではないと。」

 そこまで言うと彼女の瞳を覗き込みながら言った。

「私は腐ってもゲヘナの議長だ、目に見える危険性と見えない潜在的リスクなら目に見える危険性を重視する。連邦生徒会長の暴走とそんな彼女が莫大な権限を与えた先生。そっちを警戒するべきだ。」

 ヒナは目を伏せ、小声で何かを呟くと顔を上げ、口を開いた。

「私は実績における信用を重視する。今までキヴォトスの様々な事を担ってきた連邦生徒会長と名も知らぬ外の大人なら私は連邦生徒会長を信用する。そもそもこの映像がフェイクの可能性も未だに有るわけだし。」

 二人の意見が食い違った。

「ヒナ、昔からお前とは意見があわなかったが……如何する?私に逆らうか?」

 脅しつけるように言うとヒナも自分を睨み返して来た。

「……そんなに心配なら先生が応募している当番には自分達風紀委員から定期的に向かわせつつ、情報を回収する事にするわ。気休めとは言え、やらないよりはマシでしょう?これなら安心できる?」

「……分かった。」

「代わりに貴女は調月リオと連絡をとってその大人と会えるようにしなさい、最悪情報だけでも調月リオから奪ってきなさい。それと当番に行くなら風紀委員の人数が減るから嫌がらせは抑えて欲しい。」

 この憎たらしい顔面を殴りつけたくなったが、普通に勝てないので心の中で悪態をつくだけにする。

「分かったよ!」

 ヒナが帰った後、徐に呟く。

「ゲヘナは自由を重んじる……仮に連邦生徒会がそれを脅かすのならば、最悪トリニティやミレニアムとも()()()()必要があるか。一度アリウスとの取引は中止しよう。」

 

 それから暫くして先生の当番は3日に1回はゲヘナ学園の風紀委員が勤めるようになった。またその日は()()毎回トラブルの数が少なかった。

 

 

これが二つ目の致命的な歪み

 連邦生徒会長の行動に雷帝を幻視したマコトは連邦生徒会への対応策としてトリニティやミレニアムとの連携強化を模索しはじめ、それに伴いアリウスとの取引は自然と消滅した。

 

 

sideトリニティ

「あ!ちょうど良かったですナギサ様。お手紙です。軽く中をチェックしましたが、危険性は無いと判断されましたのでご安心ください。」

 その日、ミカとの茶会を終え、自室に帰る途中、お付きの生徒から手紙を受け取った。

「分かりました。」

 そのまま自室に入り、自分の空間に鍵をかける。私は今、誰も信用できなかった。先程のお付きの生徒も。幸い中はチェックされたものの、中のメモとUSBには手をつけてなかった。

「宛名は……調月リオ?ミレニアムの生徒会長ですか。」

 そんな人間がトリニティに何のようか。そう訝しげに思いながらメモを広げ、目を通す。

『初めまして。まずはこのメモを見てくれてありがとう。下手すると受け取って貰えないかと思っていたから。私は調月リオ。ミレニアムの生徒会長よ。いきなりで申し訳ないけどトリニティは多頭性と聞いているわ、だけどそれでもこの中身は貴女が本当に信用できると判断できる権力者にしか見せないで欲しい。中身の映像は人間ににせたアンドロイドにカメラと遠隔で会話できる装置をつけて撮影したものよ。先に言っておくと連邦生徒会長はフードを被ったこのアンドロイドをとある外から来た人間と勘違いしているわ。それを踏まえてこれから先、どう言うスタンスをとるか考えて欲しい。詳しい話を聞く気になったのならこの回線に電話をお願い』

「……阿呆らしい。悪戯ですか。」

 あまり良い噂は聞かないが、腐ってもミレニアムの生徒会長だ。それなりに才覚は有るだろう。()()()()()()()()()内容を先にメモに書くだろう。こんなもの疑ってくださいと書いてある様なものだ……ミカなら興味を持つかも知れない。

『面白い悪戯が送られてきましたが気になりますか?一応ミレニアムの生徒会長の名前で送られてきました。まぁ偽物でしょうが。』

 モモトークで連絡を送ると直ぐに返信が帰ってきた。

『さっき言ってくれれば良かったのに。今からナギちゃんの自室に行くよ!』

(全く、異なる派閥のトップが夜中に秘密で会合とは……セイアさんが行方不明だと言うのに危機感が無いのでしょうか。)

 

 

 

 連絡を送ってから数分後。ドアがノックされた。

「何方ですか?」

『ミカだよ。』

 小声で幼馴染みの声が聞こえ、ドアを開ける。

「やっほー、ナギちゃん。面白そうな悪戯だって?」

「ええ、ミカさんなら興味を持つかと思いまして。」

 扉を閉めながらそう言う。

 昼に会ったばかりの彼女は相変わらず脳天気そうだった。

「これがその現物です。全く、パテル派のトップである自覚を持ってください。」

「いや、フットワークが軽い方が良いじゃん?」

「フットワークでは無く頭が軽いのではないですか?とにかく部屋に戻ってください。」

 気安く軽口を叩き合いながらミカを部屋の外に出そうとする。

「はいはい……ん?」

 私に抵抗せず扉に向かって押されていたミカがメモの内容に気が付き、体に力を入れる。

「ナギちゃん。やっぱり一緒に見ない?私が此処に来たことがバレたときにただの興味本位で来た事実ではなく、『念の為上層部で内密に確認していました。』とか言えた方が都合が良くない?」

「面倒くさいのですが……」

 そう口では言いつつも内心諦める。(ミカさんはこうなると面倒ですから)

 扉の付近から奥に戻り、パソコンをつける。一応USBに危険なウィルスやトロイの木馬が入って居ないか既存のウィルスチェッカーにかけた後、映像データをインストールする。

「じゃあ見ようか!」

「はいはい……」

 

 

 

 映像が流れ終わった時、私はこの内容が捏造かどうかを考え、次に本当だったら誰に伝えるかをリストアップしていた。

(殺人未遂……それも連邦生徒会長が、それにオラクルと言う外からの来訪者、先生との繋がり……)

 考えが纏まらず頭を抱えていると隣からポツリと言葉が聞こえた。

「あの人は人を殺すことを正当化していた。それに比べたら間接的かつ事故の私は……」

 上手く聞こえなかったため、彼女に「何か言いましたか?」と聞き返そうとすると

「ナギちゃん。連邦生徒会長は個人はより多くの人の為に犠牲になるべきと言っているけどどう思う?」と私よりも早く話しかけてきた。

 その質問には虚を突かれた。今までの人生、そしてトリニティの歴史を思い返しながら口を開く。

「……勿論有るべきでは無いです。ですがそれは理想論です。現にトリニティは様々な学園が合併しながら成長してきたものです。当然少数派は毎度現れましたが、それらは全て鎮圧され、無かったものにされてきました。昔は色々と血生臭かったと聞いています。恐らくは殺人も有ったでしょう。」

「……そうだよね。犠牲はつきものだよね。」

 私の言葉にそう返す彼女の声は震えていて……帰ろうとするミカの手を思わず掴み、引き寄せた。

「え!?ちょっナギ「話しましょう。」」

 急だったからかあっさりと引き寄せられ、驚いた表情を浮かべる彼女に有無を言わせず告げる。

 セイアさんが居なくなってからドンドンと彼女との距離が開いていることを実感していた。

「貴女はまるで何かを犠牲にしたかの様な反応をしています。何を隠しているのか教えてください。幼馴染みでしょう!」

 彼女の顔が歪む。

「……何時も派閥がどうのこうの言っているナギちゃんがこんな時だけ幼馴染み面しないで!」

 振りほどく力は強く、思わず椅子から転げ落ちる。

「っつう……」

「あっ、ごめんね!」

 ミカが慌てて手を差し出そうとして不自然に手をおろす。

()()()()()()()()()()。」

 その後開いた口からはぞっとするほど感情の籠もってない言葉が発せられた。

「私なんかに近づく必要は無い、連邦生徒会長も孤独だったんだ。きっとこれはある種の導きなんだよ。」

 彼女の変わりように危機感を募らせ

「待ちなさい、ミカさん!」

 そう叫ぶも彼女はそのまま部屋から出て行った。

 

 

これが三つ目の致命的な歪み

 聖園ミカは連邦生徒会長の行動から自分の過ちを正当化し、更にはその覚悟の有り様を見て本来よりも遥かに急進的にアリウスとの和解を目指すようになる。そしてそれだけぼろが出るのも早くなると言うものである。




羽沼マコト 無法地帯とも言える自由主義が蔓延るゲヘナの議長である生徒。彼女は連邦生徒会長の行動は間接的に人をコントロールするものであり最終的には個人の自由を奪いかねないものであると判断した。仮に連邦生徒会長にそのつもりが無かったとしても、それを知る術は最早無い。彼女はこれから先、トリニティへの嫌悪感を押し殺し、足蹴にするつもりだったエデン条約に対して真剣に向き合うことになる。それと後日調月リオと話し合う事になる。

空崎ヒナ 風紀委員として連邦生徒会長の行動にほんの少しだけ理解を示している。もっともそれは風紀委員としての視点で有り、個人としては有り得ない選択だと思っている。チナツが先生と直接会っているため警戒心は多少緩め。マコトの変わりようには困惑しているものの、嫌がらせが減ったため概ね喜ばしい事だと考えている。

聖園ミカ セイアを殺してしまったと思い悩んで居る中連邦生徒会長の行動が映った映像を目撃。目的さえ有れば人を殺しても問題ないと曲解し、そこから逆に殺してしまったからこそそれに報いるだけの事を為さねばならないという強迫観念にとりつかれ、アリウスとの融和をより真剣に向き合うことになる。また副産物として本来矛先を向けていたゲヘナに対する嫌悪感が増幅されておらず、据え置き程度になっているためクーデター未遂も現状起こす必要は無い。この様に本人の精神状態以外は実は良い方向に向かっている。

桐藤ナギサ ミカとは異なり、連邦生徒会長の行動は決して許される行為では無いと考えている。ミカの心情に気付いたのはファインプレーだったが、惜しくもその先には届かなかった。あの時ミカに告げた言葉は『犠牲はつきもの』という結論では無く、『だからこそ私達はその事実を反面教師として、精進して行かなければならない』と繋げたかった。その察しの良さからミカの事を秘密裏に監視し始め、本来よりも圧倒的に早く『トリニティの裏切り者』にたどり着く。それと後日調月リオと話し合う事になる。

百合園セイア 普通に未来視で見た未来が滅茶苦茶になって大慌てしている。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。