ブルーアーカイブ×アークナイツ  調月リオと星外の予言者   作:バトクロス

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本当に申し訳無い。新学年就活の準備や、サークルの立ち上げで忙しかったのと、原作の再現の為、ブルアカを読み込んでました。


イレギュラー

『今回の件はある程度は自分がやる……ただ、アドバイスは求めるつもりよ。それに貴女も後3カ月程度で解析も終わり、この星から出ていくのでしょう?』

 そうリオに言われ、ゲーム開発部の事には首を突っ込まない事を約束して3日目。ちょうど今日が先生達とトキが廃墟探索に行く日らしい。今、自分は朝食を食べながら昨日の会話の流れを録音したものを聞いている。

「……仮に連邦生徒会長に未来視が有るならば、何故私を攻撃し、先生達と敵対とまでは行かなくても()()()()()()にしたのだ?それもこれも暗殺の失敗が全ての元凶だが……そこまで計算済みなら恐ろしいが。」

 彼女が自分を過信して居ないかどうか気になるが、ひとまず置いておこう。若いとは言え、彼女も立派な研究者の卵だ。子供扱いをしようと思えば出来るが、彼女はそれを求めないだろう。

「前提条件を纏めよう。第一に連邦生徒会長は()()()()()()()()()()()()()()()仮定に過ぎないが、前会った時態々ゲーム開発部に言及していた。ただ、それを維持しようとしているのか変えようとしているのかが分からない。」

 頭の中で状況の整理をする。通常ならまず行わない思考だが今回は仮定と念頭に置き、その様に定める。

「第ニに彼女は先生を盲信して居るが、先生は彼女についてそこまで重い感情を持っていない様に見える。そこから考えられるのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、もしくは《連邦生徒会長による一方的な好意の押し付け》》。前者なら先生とまともに腹の探り合いをするのは骨が折れるだろう。」

 だがそんな事は流石に無いだろうと考えている。もし本当にそれが出来るならあの様に苦し紛れにトイレで時間稼ぎをする事は無いだろう。少なくとも彼は精神面はともかく頭脳面は平均値を多少上回る程度だろう。

「第三として、先生は()()()()()()()()()()リオは対外的な部分はともかく本質は殆ど話していないだろうし、仮に先生に助言をしたのが連邦生徒会長であろうと無かろうと自分の話はしないだろう。仮に先生が口を滑らせたら何故その事を()()()()()と返されてしまうだろうからな。」

 朝食を食べ終え、パソコンを開き、メモをとる。

 それ以外にも様々な情報を自分で記憶し、思考する。

 解釈はしないし求めない。それで歪み、無くなる情報も有るのだから。

 ただ事実を分類し、指向性を把握し、考察で有ると前提を置きながらまとめ上げる。

 そこまでの思考を纏めあげ、メモに残し、そしてそれを全て頭の中から()()()()()

 

 

 

 

 

『どうやって彼女は未来を見た?』

 未来視と言う物はオラクルにとっても未知の物で有り、オカルトに過ぎない。未来視の本質はフラッシュバックや、デジャヴと同様の脳の働きがもたらす虚像に過ぎないとされている。

『或いは見たのではなく知っているのか?』

 だが先程仮定と言葉に出したが、オラクルは彼女の発言を単なる妄想と片付けるべきでは無いと判断した。

「何れにせよ、彼女が先に攻撃したのだ。『何事にも優先度と重要度が有ります』……だったか?。ならば全てが終わった時、

 

 

全てを教えてもらおうか。」

 彼女の能力。それが汎用性を持つもので有れば、無視するつもりは無かった。

 

 

 

 

 

 

「トキさん凄いですね!巡回ロボットをこんなにあっさりと。」

「いえ、先生のシッテムの箱?のお陰です。少なくとも一人ならロボット一人捌く間に恐らく増援が来ていたでしょう。」

 

 今、自分達は廃墟を探索していた。

「流石だねトキ。ミレニアムが誇るエージェントの一員なだけは有る。と言っても自分は後から調べて知ったけど。」

「それが普通です。C&Cはゲヘナの風紀委員会やトリニティの正義実現委員会と違って少数精鋭かつそこまで表に立たないので。」

 

 自分としてはリオの息がかかっている生徒を連れて行く事は望ましく無かったが、彼女の本音がどうであれ、ここまでキチンと働かれると素直に感心する。

「そろそろ目的地じゃないかな、こんなに早く来られるなんて!」

 モモイは昨日のいざこざを忘れ、あっさりと目的地に行ける事に興奮している。

「お姉ちゃん落ち着いて、遠足は帰るまで……」

 多少はミドリが静止しているが、焼け石に水だ。とにかく一度山場は越えただろう。

 

 水を飲みながらふと考えが頭に過ぎる。

(……そもそもアロナはなんでこんなにリオ達に敵対的なんだろう。)

 過去を振り返り始める。

(そもそもこの世界は先生と言うだけで一定のラインまで無条件で信用されている。なのにリオは明らかに『先生だから敵対している』ように見える。アロナはそこが自分の身の安全に対して不安要素だから敵対的なのか?いやそれよりも)

 根本にたどり着く。

()()()()()()()?()

 オーパーツとは言え、アロナの人工知能としての性能はズバ抜けており、にも関わらず妙に人間臭い。シッテムの箱は連邦生徒会長から託された物で有り、アロナを始めとして先生として活動していく為の要素が詰まっている。

 だが本来のシッテムの箱は間違いなく()()()()()()()()()()()()()。何故ならオーパーツだからだ。

 数百年数千年後、来るかどうかも分からない存在の為に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

(このシッテムの箱は恐らくオーパーツでありながら連邦生徒会長の手が加えられている)

 思考を纏めようとしても上手くいかない。

(リオが言っていた()()()()と言う女性、その情報の欠落がこの思考を難しくしている。そもそも仮にリオの気が変わって会えたとして生徒では無い都合上、どの様なスタンスで会うべきか分からない。)

「先生!行くよ!」

「あ、あぁ分かったよ。」

 モモイから呼び掛けられ、思考を中断させる。ひとまず休憩は終わりだ。

 

 

 

 数十分後、迷った自分達はとある工場にたどり着いた。

「ここらへんなのかな?」

 辺りを散策していると

『──接近を確認』

 無機質な機械音声が響き渡る。恐らくは、自動音声。

「えっ、な、なに?」

「部屋全体に、音が響いてる……?」

 ……これが、確認か。扉の前まで向う。

 特に警告はされない──が、扉が開く様子もない。

 

『対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません』

「え、え!? 何で私のこと知ってるの?」

 

 周囲に監視カメラのようなものは無い。私たちの目の前にあるのは、普遍的な扉のみ。

 しかし、どういう方法なのかは分からないが、この扉は──あるいはこの部屋は、私たちのことを認識しているようだった。単なる存在の確定だけでなくその情報まで把握している。

 

 『対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません』

「私のことも……一体どういう……?」

 

『対象の身元を確認します。飛鳥馬トキ、資格がありません』

「予想通りですが、私もですか。」

 三人の生徒達を『視た』あと自分を『視た』のだろう。

 

『対象の身元を確認します。……先生。資格を確認しました、入室権限を付与します。よって才羽モモイ、才羽ミドリ、飛鳥馬トキを、先生の『生徒』として認定、同行者である『生徒』にも資格を与えました。承認します。下部の扉を開放します。』

 

 次の瞬間床が抜けた。 

「「「は?」」」

 全員が訳も分からず落下した。

 

 

 

「お姉ちゃん、先生!きゃあ!」

 ミドリの悲鳴が響く中、地面に激突する。しかし思ったよりも衝撃は来なかった。

「うっ、先生大丈夫ですか?」

 下を見るとトキが自分の下敷きになってつぶれていた。

「うわぁ!ごめんね!」

 思わず悲鳴を上げながら飛び退く。咄嗟に2人の下敷きになろうとしたが、どうやらトキが私を引き寄せたらしい。

「うぐぅ……先生達は大丈夫?」

 モモイが潰れた状態から起き上がりながら声をかける。

「何とかね……」

 それにしても電気がついているのか妙に明るい。

「真っ暗闇では無くて良かったですね。」

 ミドリが埃を払いながら立ち上がる。

「明らかな隠し部屋。怪しいですね。探索しましょう。」

「その前に安全確認が先だ。モモイとミドリは怪我はない?」

「大丈夫!」

「大丈夫です。」

 念の為二人が怪我をしていないか確認していると……

「……あれは何ですか?」

 周囲の安全を確認したトキが警戒を滲ませながら指をした。

 

 

 

 後々考えると、その部屋はまるでその存在を引き立てるためだけに作られたかのような空間だった。

 恐らく、上階の扉の先は存在していなかったのだろう。この空間のためだけに、屋上までくり抜かれている。

 自然光が──本来この施設に入り込むとは思えない光が、スポットライトのように中央に鎮座するその存在を照らしていた。

 

 連邦生徒会が管理していた廃墟の中、資格を持たざる者を拒む扉の先に封じ込めていたもの。明らかな重要因子。

 光の中で、美術品のように、石造りの、およそ座り心地は悪いであろう椅子に座っているそれは。

 

「お、女の子……?」

 

 一糸纏わぬ姿で眠る、少女だった。

 

 

 

 

「あの子……眠ってるのかな?」

「どういうことなのでしょう?少なくとも求めていた物では無さそうですが?」

「…………」

 私は仕事柄、その少女が息をしていない事に早いタイミングで気が付きました。

「ねえ、起きてる……?」

「おーい! ねえってば!」

「反応は無いね。」

 才羽姉妹が顔の前で手を振っているが少女からの反応はありません。

「……返事がない、ただの死体のようだ」

「不謹慎なネタ言わないで! それに死体っていうか……ねえ、見て。あの子……『電源が入ってない』みたいな感じがしない?」

「うーん? 確かに言われてみれば、何だかマネキンっぽいね。どれどれ──」

 ゲーム部と先生が不用意に接触としているのを見て慌てて制止しようとします。

「皆さん。明らかな不確定要素に対しては、安全の確認を先にした方が良いと思われます。」

 護衛としての建前とは別に、リオ会長との約束も頭に有った。オーパーツ、並びに明らかな特異技術が発見された場合は()()()()()()()()()()()()と言う物、リオ会長からの連絡は制限されているが、自分から連絡すれば問題ないのです。

 ゲーム開発部が動きを止める中、先生は尚も前に出た。

「トキ、大丈夫。()()()()()()()()()()()()()()

 彼は制止を振り切り、そう言って手を伸ばし、頭に触れる。

 慌てて銃を装備しながら先生と少女の間に割って入ろうとするも

「……何も起きないね。」

 先生が手を離し、脱力した私を横目にふと何かに気が付いたように先生が回り込む。

 先生に付いていくと端末が椅子の陰に隠れていました。

 見た目だけならば、普遍的なモニターとキーボードが埋め込まれた端末ですが……そのモニターはひび割れており、長い間使われていないことは把握できます。

 試しに先生が何かキーボードに打ち込んでみましたが、反応は無い…、

「どうやら少女と連動している訳でも無いようですね。」

 その言葉を皮切りに才羽姉妹が近づいて来る。

「ねえ先生、もう近付いても良い? もっと近くで見たい!」

「それに……その、そのままじゃ可哀そうなので。服でも着せてあげたいです」

「確かにそうだね……これじゃあ不審者だ。でも、警戒は緩めないでね」

「やったー! どれどれ……」

 ひとまず、触れていきなり人形が動き出す様子は無かったので、私は許可を出した先生の指示に口を挟まなかった。警戒態勢を緩め、自分も観察する。

「随分綺麗で人に近いですが……人ではありませんね。」

「へー、すごい、肌もしっとりしてるし柔らかい……」

 自分の呟きを他所に、モモイは近付いてすぐさま、人形をぺたぺたと無遠慮に触った。

 ……警戒という言葉を知らない様だ。

 

 と、そこで。

 

「ん、あれ? 先生、ここ、文字が書かれてるよ」

 彼女がいち早く新たな発見をした。私も直ぐ様彼女の後から覗き込む。

「AL-IS……アル、イズ……エー、エル、アイ、エス? んー、どう読むんだろ……アリス、とか?」

「いやどうでしょうか……いまいち私の角度からだと判断しにくいですね。」

「ちょっと待って、これよく見ると全部ローマ字なわけじゃなくて……AL -1Sじゃない?」

「えー、そう?」

 先生はタブレットを見ながら難しい顔をしている。

 そんななか才羽ミドリは少女に服を着させ始めた。

「ていうかミドリ、予備の服なんて持ってきてたんだ……ってそれ私のパンツじゃん!」

「違うよ、これは私の。猫ちゃんの表情が違うでしょ。……よし。これでいいかな」

 先生がタブレットから目を離した頃、ミドリによる人形の着せ替えは終わったようです。

 彼女の着替えというだけあって、緑色がアクセントとして加えられた制服。

 ……同じ服を複数持っているのか、と思ったが、制服であれば何ら不思議ではないのでしょうか?

 

 「いったいこの子は……それにこの場所、どう考えても普通じゃないよね」

「この子に聞いた方が早いんじゃない?」

「それはそうだけど、この子が起きなきゃできないでしょ。もちろん、それができれば一番──」

 と、才羽ミドリが人形の方を見て、その言葉が終わるその瞬間だった。

 

 警告音と──起動音。

 

 

「ん?」

「下がってください!」

 

 先生を含めた全員を押しのけながら直ぐ様銃を引き抜き構える。

 

「な、何この音!?」

「起動音みたいだけど……もしかくて近くにロボットが?」

「ううん……『あの子』から、聞こえた気がする」

 

 着替えのために側にいたミドリが言うように。

 

 起動音は、人形から。

 彼女から、発されている。

 そして今までの沈黙が嘘のように、人形はゆっくりと──目を、開けた。

 

 

 

「状態の変化、および接触許可対象を感知。休眠状態を解除します」

 

 

 

 

 

 

「お、起きた……!?」

 目の前で起きた彼女に対して銃を向けるトキを視界に捉えながら彼女を見つめる。

「…………」

 今の今まで無反応だった人形は──少女は。

 まるで生きているかのように、まるで人間のように、それが当然かのように落ち着いた様子で視線を巡らせて、椅子から立ち上がって、言う。

 

「状況把握、難航。……会話を試みます。説明をお願いできますか」

「え、えっ? せ、説明? なんのこと?」

「せ、説明が欲しいのはこっちの方! あなたは何者? ここは一体なんなの!?」

 

 意思疎通が、できている。

 機械的な受け答えとは言え、向こうからだ。この時点でキヴォトスのアンドロイドとしては高スペックで有ること確認出来る。廃墟の状態や、端末の破損状態から見てこのアンドロイドが製造されてからはかなりの年月が経っていると推測できる。にも関わらずこのスペック。

 

「彼女もシッテムの箱と同じオーパーツか?」

 

 そう小声で呟く。

 そんななか少女はいきなり質問を質問で返されたにも関わらず、淀みなく応答する。

 

 

 

「本機の自我、記憶、目的は消失状態であることを確認。データがありません」

「ど、どういうこと……? い、いきなり攻撃してきたりしないよね?」

「肯定。接触許可対象への遭遇時、本機の敵対意思は発動しません」

「…………」

 

 

 

 ひとまず、敵対しているわけでは、ないようだが。

 遭遇時に『発動しない』──つまり、()()()()()()()()()()()()()()()

 

「トキ。」

「潜在的な危険性については分かりません。ですが少なくとも現状は安全かと。」

 その言葉に胸を撫で下ろしながら緊張を多少緩める。

 

「うわ、すごい。ロボットの市民ならキヴォトスによくいるけど、こんなに私たちに似てるロボットなんて初めて」

 私の側まで再び歩いて来たモモイは、少女のことを『ロボット』と評した。

 どうやらロボットに囲まれた工場という場所、少女から起動音が聞こえたという状況から、そう判断したらしい。

 

 ロボット──機械、あるいは兵器、なのか。

 

「……『接触許可対象』とは、私たちのこと?」

「回答不可、本機の深層意識における第一反応が発生したものと推定されます」

「深層意識って、何のこと……?」

「…………」

 

 何もかも情報が不足している。シッテムの箱を撫でながらそっとアロナに尋ねる。(私は彼女を生徒として扱うべきなのだろうか。そもそもゲーム開発部の2人は既に彼女に興味津々だ。どうすればよいと思う?)

『現状言えることは多く有りませんが、最初はゲーム開発部に預ける事を推奨します!彼女が機械学習をこれから行うのであれば、教師データとして無害かつ極端に頭が良いわけではない彼女達が適切だと思います!』

「アロナ、ありがとう。君の答えはわかった……うん。自分も決まった。()()()()()()()()。」

 

 

 先生が再び何かを考え込んでいる。

「うーん……工場の地下、ほぼ全裸の女の子、おまけに記憶喪失。……ふふっ、良いこと思いついちゃった」

 そんななか明らかにあくどい笑みを浮かべながらモモイが近づいて行くのに気が付きました。

「いや、今の言葉の羅列からは、嫌なことしか思い当たらないんだけど……」

「ねえ、先生。ちょっと相談があるんだけど」

 彼女はミドリの言葉を無視し、先生に話しかけ、

「……なんだい?」

「持ち帰っても良い?」

ミレニアムの生徒としてあり得ない事を発言しました。

「…………」

 これはリオ会長に連絡をするべき事であると思い、静かに通話を立ち上げます。

「……持ち帰ってどうするつもりですか」

「それはもちろん、私たちの部員になってもらうの!」

 ……論外です。

「いいですか、才羽モモイさん。廃墟の全体像も、この場所の意味も、あの少女の全ても。何一つとして分かっていないのですよ?確かに今は彼女は無害だと私も思います。しかし、あの少女が今は無害でも、いずれお前に銃を向けるかもしれません。その危険性を分かっているのですか?」

「敵になるかもしれないってこと?」

「……はい。そして私はその可能性が高いと思っています。」

「んー……でも、友だちになれるかもしれないじゃん?」

 リオ会長の情のなさには距離を感じましたが、彼女達の楽観主義には別の意味で距離を感じます。

「……責任を取れないのにそんな事を」

()()()()()()()。」

 その言葉に振り向く。

「……先生までもそんな事を言うのですか?」

「あぁ、実際私にはある程度の()()()()()。使い所はこう言う時のために有るんだと思う。子供は大人に迷惑をかけるものだ。」

「……大人とは()()()()()()()()()()()()()()()()、仮に味方だとしても()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 その時の先生の返答が、私が初めて()()という大人の矜持を知った時だった。

 

 

「トキの近くの大人がそうだとしても私は違う。大人とは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。リオに色々と言われて難しく考えすぎていたよ。()()()()()()()()()()()()()()()。その時トラブルが発生したのならその時は交渉して、場合によっては頭を下げればよいんだ。」

 そう言って優しい、しかし力強い笑顔を浮かべる。

「それに現実とか言う不確実な天井を設定して自分の出来る範囲を区切ってサポートするのは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

 

 先生の意見に勢い付いたのかモモイも勢いを取り戻す。

「何も知らないってことは、私たちの仲間にだってなってくれるかもしれないし!」

 その無垢で、希望に溢れた言葉が私は()()()()()()()

「そうでしょ?()()()!」

「…………?」

 そして、そのまま屈託のない笑みで、振り向きざまに言ったモモイの言葉に、きょとん、と少女は首を傾げた。

 周囲を見て、再びモモイを見る。

「あなたの名前だよ、アリス! よろしく!」

「……本機の名称、『アリス』。確認をお願いします」

「ちょ、ちょっと待って! それお姉ちゃんが勝手に読んだ名前でしょ!? 本当ならAL -1Sちゃんなんじゃないの?」

「そんなに長いと呼びにくいじゃん。どう、アリス? 気に入った?」

「…………」

 少女の人形は──AL -1Sと思われる機体は、少し考え込むようにして目を瞑ってから、にっこりと笑って、

「……肯定。本機、アリス」

 と、言った。

 どうやら、気に入ったらしい。

「あはは! ほら、見たか私のネーミングセンス!」

「うーん、いいのかな……」

 

 

 

 

 

 そんな笑い声を()()()()()()私は先生のシッテムの箱に1つのメッセージを送った。

『貴方のその考え、嫌いだけど()()()()()()()()()()。彼女は本質的には()()()()()()()()()()()。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

調月リオの音声記録その2

「まずそうだな、……大前提の話をしようか。この宇宙の文明は誕生した瞬間から死ぬ運命に直面している。」

「それは当たり前の事では?永遠など存在し得ない。」

「確かにそうだ。だが、間違いなく君の考えて居る事と真実は違う。君は自然に文明が衰退して滅びていく、もしくは他文明との競争で滅ぶと言った自然淘汰的な思考で考えているのだろう?」

「えぇ。」

「真実は違う。文明は一定の水準に到達した段階で『観察者』と呼ばれる存在に狙われ、文明ごと食べられ、滅びる。」

「は?」

「いきなり言われても理解できないだろうがまずは真偽を確かめる前にこの前提を持って話を聞いてくれ。」

「……分かった。」

「私達の文明は恒星間航行や、生命創造、神にも等しい人工知能や電脳化さえも達成していた、自慢のようになるが君達から見て神のような文明だった。」

「確かに貴女の技術力は凄まじい。けどそれならなんで対処できなかったの?そんな文明が有るならばその『観察者』と言う物にも対応出来るのでは?」

「出来なかったんだ。我々は運が良かった。文明の規模に反して総人口が少なかった。だから宇宙に広く点在し、結果として滅亡が避けられたんだ。最初に複数ある惑星規模の拠点からの連絡が突如として途絶えた。続いてもう一つの惑星規模の拠点が滅びた。彼等はその滅びの最中、我々に何とか情報とメッセージを送った。そして次の降臨のタイミングの前に、全ての拠点に我々の最初の計画である『天国の支点』を設置した。最初の技術的な話しはこれだ。」

「『天国の支点』とは随分と大仰な名前ね。」

「衛星軌道に超強力の惑星級の武器を設置し、「観察者」が来た時それを撃破あるいは撃退する。だがその後「観察者」はこの世界のすべての概念を越えた『神』の様な存在で、いくら強力の武器でも物理的にそれを傷つけることすらもできないと知った。その為この計画は放棄された。」

「馬鹿げた規模ね。」

「もともとは天体観測装置だったんだ。だから自分達の拠点には必ず一つはあったから合理的で堅実な考えだった。」

「……どの様な機能があったの?」

「拡散量子砲や指向性重力波砲塔、恒星光集約反射鏡に量子もつれ干渉装置。これらは全て天体観測装置の機能の応用で済んだんだ。」

「因みにその後は『天国の支点』はどうなったの?」

「君からしたら倫理的に受け付けられないで有ろう別の計画に転用したよ。」

「……因みにその影響はこの星には」

「無い。無いから苦労している。」

「そう……ありがとう。でも具体的な内容は教えてくれないのね。」

「教えるには前提条件が長すぎるからね。でもヒントは出そう。ステップは核融合、初歩的な原子実験、基本量子コンピュータ、量子もつれ、応用原子実験、応用量子コンピュータ、そこまで行ってようやくスタートだ。だから自分達が初めて成功した初歩的な原子実験のデータの一部を覚えている限り渡そう。そしたら基本量子コンピュータまでの道のりは格段に楽になる。」

「そこからなのね。でもありがとう。」




才羽姉妹
従来の行動特性に大きな変化は無し。
無鉄砲さと明るさは維持されている。
当該要素は、リオとは異なる方向性の影響力として機能している。
――人を惹きつける性質が確認される。

飛鳥馬トキ
対象は従来の認識に修正が見られる。
学生が理想を掲げるにあたり、外部の保護下にあることの重要性を理解しつつある。
――基盤の再構築が開始されたと推測される。

先生
行動原理の再確認が行われた。
対象は、安定した最適解よりも、不確定要素を含む選択を優先する傾向を示す。
その根底には「他者を助ける」という単純な基準がある。
――なお、具体的計画性は依然として低い。

オラクル
対象は引き続き観測と研究を並行。
外部からの評価に対し直接的な反応は見られないが、
本件における論理構造については再検討が行われている様子。
――なお、当該存在の扱う問題領域は、通常の許容範囲を逸脱している。

調月リオ
対象は先生の行動様式を再評価し、連邦生徒会長との認識的分離を開始。
同時に、自身の将来的な不在を前提とした行動が増加傾向。
知識取得および技術理解に対する執着が強まっている。
――変化の方向性は安定せず。
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