きっとジャンル違いだとしても 作:ふなぐち又兵衛
──幸せとは、最愛のひとと分かち合うぬくもりの中にある。
前世ではついぞ知る
そしてやってらんなさは前世の比じゃない今世にて図らずも知ることのできた、
わたしにとっての真理がそれなのですが。
いやー、この多幸感と中毒性は、やったことはないけど
だぁりんのニオイと体温サイコー!! などと常日頃から、
通学路、高校の休み時間、今世でできた盟友である
紆余曲折の末に今世で巡り合った
先日ようやくまともにガイア連合の出先機関として機能するようになった、久喜市派出所などで。
前世今世ともに計上して初めて出来た、わたしの恋人のだぁりんこと
肩を寄せ合って勉強したり、おしゃべりして過ごしたり、発生した異界を潰したり、
何より身も心もひとつになれてる時間を過ごすたびに、実感させてもらう日々を送ってますが。
そのよろこびやたのしさを『俺たち』用の掲示板に書き込むと、
──惚気乙
──彼氏持ちアピうざ
──やっぱりメスカクエン亜種じゃないか!
──その*1顔と*2声で男と乳繰り合ってます報告すんな脳が破壊される
──せめて相手はかがみん顔のシキガミか女の転生者か現地民でオナシャス
──いっそTS狙いでカレシんとこに陵桜学園の制服型の霊装送りつけてやろうかコノメロー*3
──カナちゃんハァハァいつも捗る報告ありがとねウッ
──見た目JS年齢JKでも中身は前世込みだと還暦間近のおばあちゃんなんだよなあ……
──つまりロリBBAってことじゃん!!
──若いツバメの情熱と恵体に圧倒される黒狐耳尻尾付きのJKロリババアいいよね……
──生むならネキそっくりの女児な
──いやショタの方でもアリだろ
などと心温まる()反応が返って来るのがお約束になっちゃいまして。
ってだーれが還暦間近のロリババアだっちゅーの。
何はともあれ、
すっかりネットをする時の必需品になってしまっている、
頭を左右に何度か振れば、
今世のお母さん譲りの、腰まで届くストレートの黒髪が、
どこかの漫画で読んだ九尾の狐たちの尾のように、縦横無尽に振り回されて。
だぁりんが好きだって言ってくれたコンディショナーの匂いをふわりと立ちのぼらせました。
よし、だぁりんにもこの匂いを嗅がせてあげるとしましょうか、
わたしもそろそろだぁりんの体温とニオイをキメたくなってきましたし。
……そろそろだあ? 四六時中の間違いだろ地味子ネキですって? そうですがそれが何か?
そんな自問自答もそこそこに、わたしは、
例によってお父さんの作家仕事の為の取材旅行と、それに付き添うお母さんが、
ふたりとも留守にしている自宅2階の階段をくだって、1階の居間へ向かいます。
そこに設置されたこたつには、180cmの身長相応に長い脚を入れてうとうとしていただぁりんが。
だからわたしは、今世における先祖と変身先は狐の悪魔ですが、猫撫で声をあげてアピールです。
「にゃーん♪ あったかそうだねえだぁりん……入れてくれる?」
「ん、どうぞどうぞ」
心得てくれたもので、というやつでしょうか。
座ったまま少しだけ後ずさっただぁりんが、掻いた胡座のスペースに、
わたしはするりと入り込んで腰を下ろし、だぁりんの懐に体重を預けます。
やさしく回されてきた腕によるハグを、つむじにうずめられる鼻の感触を愉しみながら。
……あー、あったけー、こたつ以上にだぁりんの胸板とほんのり割れた腹筋があったけー、
石鹸とあたしが作ったげた香水の匂いまざっただぁりんのニオイたまんねえやうへへ……。
メガテン世界なんかに生まれ変わっちゃったのはお排泄物オブお排泄物だけど、
狐の悪魔の鼻と耳が生えてきたのはアドだよねえ、
だぁりんのニオイと、あたしのつむじ吸っちゃってる息づかいと、
心臓とおちんち(ピー)がドクンドクン言ってるのを聞いてるとこう……食べちゃいたい。
などと、目をつぶったわたしが、今世のお父さんに見せたら泣かれ、
お母さんに見られたら浮かんだ笑顔とともに拳骨を落とされそうな
おっきくてやさしそうな見た目とは裏腹に、
イタズラっこなことに(わたしの中で)定評があるだぁりんの手が、
もこもこしたセーター越しに、わたしのささやかなふたつのお山を、
それぞれの山頂に実った小さな果実をさわさわとくすぐってました。
……平原じゃないもん、お山だもん、揉めないこともないもん、
そうだよねえ
そんなわたしの内心を知らずに、両手の人差し指と中指で、
ふた粒の果実を弄んでいただぁりんは、グイッと腰を突き出して。
わたしの尾てい骨に『あのコ』を押しつけながら「つけて、ないの?」と訊ねてきました。
そしてわたしは答えます、「脱がせたかった?」と。
耳を澄ませばかすかな水音、
そこがプリーツミニスカートの裾をそっと掻き上げて忍び込むと、再び水音が、くちゅりと。
ええ、わたしのはしたない
右手中指の第二関節に、ちょっとした圧力をかけてあげると、
今度はだぁりんが
「ねー、だぁりん……」
──シたくない? シたい、シよ?
そうささやきながら、わたしは後ろ手にだぁりんのベルトのバックルを外して、
ジーンズのボタンを開放し、ファスナーをゆっくりと開いていきます。
かわいそうですが、中指の爪に纏わせたごくごく弱い
わたしのささやきに対する返答は一瞬の浮遊感、
そしてこの半年あまり、何度も何度も何度も何度も味わって、
未だに味わい足りることのない、猛々しくも健気な、あたたかい──。
続いてもたらされた甘い熱に、今夜もわたしたちは溺れることになったのでした。
『ヨゴすなよ、アホウどもが』などという、
右ふともものホルスターに挿された封魔管から響く、
ちっこい女の子が背ぇ高いパートナーを座椅子にするのって素敵やん?
でっかいおねーさんが小柄なパートナーを股火鉢代わりにするのと同じくらいに。
そう思いながら筆を執りました、ご一読いただければ幸いに思います。