きっとジャンル違いだとしても   作:ふなぐち又兵衛

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「デビュー作の1話目を投稿したのは昨年の今日だったか」という顔になりながら、初投稿です。
2025/11/13追記、マカーブルさんとディストピアさんからFAをいただきました、
おふたりともほんっとうにありがとうございました、あとがきの方に掲載させていただきます。


あたしの彼は現地民(おれの彼女は転生者)〜黒川伽奈のご近所付き合い〜

──最初は、お試し感覚だったんだと思う。

 

ネット小説でありがちな二度目の生は、当初はわたしに優しかった、と感じる。

両親健在、夫婦円満、収入源も問題ナシ、借金といえば我が家のローンくらい、

それもわたしが高校を卒業するくらいには完済の目処が立っていた、そんな家。

 

わたしはそこのひとり娘として生まれ、両親に愛されながら、

母親そっくりの容姿に育っていった……つまりは、

小学校中学年程度のタッパとカオってことだけど。

アイドル顔負けの美少女だったのが、せめてもの救いかな?

……いや、こんな外見、なんの足しにもなってねえわ、少なくとも、中学校では。

寄ってくる男が軒並み小児性愛者のヘンタイだったんだもん、お母さんも苦労してたと思う。

お父さんと一緒になったのは、幼馴染としての慣れや妥協も大きかったんじゃないかな、多分。

 

で。

わたしといえば、前世からのネット趣味、ヲタク嗜好、ロリコン誘引体質の三重苦で、

せっかく入れた高校を、すっかり休みがちになってしまっていたのでした、

めでたくなし、めでたくなし。

と、ここで終われば、ただのヒキコモリ予備軍の生成過程だったんだけどさ。

異世界転生だもん、何かしらはあるよね、良きにせよ、悪きにせよ。

 

はい、ありました、何か。

ただし、特大の悪い方で。

なんだよメシア教って。

なんだよ悪魔って。

なんだよ終末って。

夢も希望もありゃしねえ。

あるのはわたしと同じ、有象無象の転生者(お仲間)ばかりなり、ってね。

 

で、そんなわたしらに垂らされた蜘蛛の糸は、マンキンのハオ様そっくりのドSショタおじさん。

ともに苦しみ足掻かざるをえなくなったのは、刃牙の疵面な喧嘩師だったり、

モバマスの鬼! 悪魔! ちひろ! さんだったり、

歩くセッ…新田さんだったりの、そっくりさんたち。

……なんて言ったら、たぶん新田美波さんに失礼だと思う。

見た目はともかく、中身はなんというか魔性菩薩だもん、アレ…じゃなくて、あのひと。

 

まあ、わたしも見た目云々は人のことを言えないか、らき☆すたの、こなちゃんだもんなあ。

ただし、二次創作の方の。

はい、鏡に映ったわたしは、黒縁眼鏡の困り眉、ジャージが似合う黒こなさんでした。

ちなみに両親の容姿は、そうじろうさんとかなたさんご夫妻の、黒髪&3次元版でした。

両親の職業?

食うに困らない程度には売れてる小説家と、スーパーでパートとして働いてる兼業主婦です。

っと、わたしらの見た目や実家のことはこんなんでいいよね?

そんなのより重大な問題が山積みなわけだし。

 

んー、と。

①に悪魔、②にメシア教、③に終末、かな?

具体的にいうと。

 

まず①、人語を解す人間並みの知能を持った空飛ぶ見えない人食い熊。

しかも見えなきゃ車の呼吸 壱ノ型 轢き逃げさえも効かないし、

そもそも軽トラでのぶちかましくらいなら、真正面からでもがっぷり四つに組めるほど、

頑丈かつ馬鹿力なのがザラにいる、ってね……ホントなんなんだろ、神主さん製の一反木綿って。

 

次に②、居る。

街に出ると、必ず居る。

都会なんか、あちこちに青と白の服のキ◯ガイがタムロしてる。

ゴキブリかアンタら、いやゴキブリは食物連鎖の中でちゃんと仕事してたわ、

生きた有害物質といっしょにするとかゴキブリに失礼だったね、ごめんゴキブリのみんな。

んー、ただ居るだけなら、まあ100歩譲って、どうでもいいと言えないこともない、かも。

でもなあ、アイツら、星霊神社で聞いた話だと、人体実験と奴隷労働と輪姦が、

トドメに異種姦させるのがだぁい好きな人攫いカルトみたいだしね、やっぱり滅んどけ。

 

そして③、これがわからない。

①が異常増殖してるからとか、②が引き金ひくからとかは知らんけど、来る、らしくて。

そして来ちゃったら現代社会が崩壊しちゃう、らしくて。

 

だからレベルを上げて①②③全部に対抗できるように、生き残れるようになりましょうね、

その為にお互い助け合いましょうね、その為のガイア連合山梨支部です、とはいうものの。

Q.そもそもレベルってどう上げるのさ?

A.ドSショタおじさんの拷問を受けてボスよろしく死に続けてください、話はそれからだ。

 

……お排泄物!

 

毒虫カレーで中毒死したり、火炙りにされたり、

他の四感も利かない無明の闇に閉じ込められたり、

見た目だけは美少女な猫畜生(ネコマタ)に斬り刻まれたり、などなど。

 

様々な死因を体験させられましたよ、ええ。

ちなみに、わたしは、破魔矢でハリネズミみたいにされて覚醒しました。

前世から数えても、人生一番の激痛でした。

正直、前世から持ち越してた呪いの装備にして不良債権を、

だぁりんに処分してもらった時の痛みとか、鼻で笑えるレベルだったね。

気持ち良さが来るのは遅かったけど、満足感と多幸感でぜーんぶ塗り潰されてたもん。

愛してるよ、だぁりん。

 

……そう、だぁりん、だあ、りん、あり、だん、有田、暖次郎、有田、くん……。

 

のっぽでメカクレで、前髪の下はお兄さんとよく似た、

おっとりした感じの隠れイケメンな、わたしの、はじめての……。

 

あ、だめだこれ、思い出すだけで、顔が緩んじゃう。

困り眉の黒こなさんじゃなくて、ネコ口で笑うこなちゃんの、黒髪眼鏡っ子版になっちゃう。

 

ネットでそうノロケてたら、喪女の嫉妬が雨あられと飛んできました、呪詛ってカタチで。

ありがとうドルフィンヘルム、でも見た目がクソダサなのはどうにかなんないかな?

そういえば、呪詛の合間に、こんな質問……質問? 悪態? も飛んできてたっけ。

 

──たぶらかして食った現地民の男は美味いか?

 

はい。

 

正直、わたしのカラダが小さ過ぎる──数字にして38cm差、立って真正面から向き合うと、

だぁりんの胸板と、わたしの顔がおんなじ高さになる──せいで、色々と苦しいですけど。

彼のニオイとぬくもりから来る多幸感、包みこまれてる安心感は、何物にも代え難いです。

この2ヶ月、毎日幸せです……冒頭でも言った通り、最初は、お試し感覚だったんですけどね。

まわりを見渡してパッと目についた、手近な物件に、コナをかけて遊んでみよう、みたいな。

 

今考えてみたら、なんてゴーマンなんだろう、我ながらイヤな女です、わたしは。

それが今では、おなかの中にこっそりハマをかけながら、「愛してるよ、だぁりん」だってさ。

わたし、チョロいわ……でも、だぁりんもチョロかったから、イーブンてとこかな。

 

……と、そう、チョロい、チョロいんだよね、だぁりんって。

まあ、そこもかわいくはあるんだけど、たまに心配になったりもしてね。

 

ヒコザ──わたしの仲魔のアガシオン、もとい鎧と物騒な刃物で武装したガイコツ──との、

初対面の時にも、物怖じしないでくれたとか、いい方向に作用することもあるんだけど。

……初えっち直後の賢者タイムだっただけ、とは思わないでいてあげようと思います。

 

で、だぁりんはロリコンだから、身近な相手……そう、クラスメイトの葛城さんとか、

担任の平城先生とかみたいな、或いはだぁりんのお兄さんのカノジョさんみたいな、

わたしとは真反対の体型の、いかにもな美人には食指が動かない、と思いたいけど……。

そうなると、浮気を警戒したくなる相手が、今世のお母さんになるのが、なんとも。

まあ、お母さんはお父さんにべったりだけどね、昨夜もお盛んだったみたいだし。

はい、わかっちゃうんです、主にニオイで。 あとかすかな物音というか、喘ぎ声で。

 

それにしても、覚醒してから、なんだか鼻と耳が動物みたいに鋭くなってる気がする。

神主さんに「視た感じ、キミにはキツネの悪魔に関わる素質があるみたいだね」とか、

「もっとレベルが上がってからだけど、クダも紹介してあげられそうかな」とか、

ネコマタさんに「なんだかお前はハツが好きそうな目ぇしてるにゃ」って言われたような。

あとで検索してみようかな、キツネと、ハツ(心臓)で。

 

そう、この場をどうにかして、切り抜けられたら、だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ、たあ……」

 

以上が、ブン殴られて、異界の宙を舞いながら見た走馬灯、もしくは無為な妄想、現実逃避。

反射的に受け身を取って着地、ついでにゴロゴロ転がって、振るわれる剛腕から距離をとる。

目の前には、縦横ともにわたしの倍はある、黒い毛皮とロングヘアな二足歩行のヒトモドキ、

そのロックバンドの化粧みたいなアザだか模様だかはダっセえぞと言いたくなる、1体の悪魔。

妖獣 カクエンが、憎たらしい笑顔で、穢らわしい肉塊を、これ見よがしに突き出していた。

3本目の足の先っぽから垂れる汁と、口を開くたびに飛ぶツバが、きったないのなんのって。

 

「メス、メス、メス、3匹カ! 全部オレノモノニシテヤルゾォ!!」

 

っざけんな、わたしも葛城さんも彼氏持ちだっつーの。

先生は……さすがに初体験がケダモノ相手なのは可哀想だもんね、ナシナシ。

 

「……黒川、余計なことを考えてないか?」

「ソンナコトアリマセンヨ?」

 

その怪我じゃもう動けないでしょうに、そんな殺気を飛ばさないでくださいよお。

ほら、カクエンまで、ご自慢のブツを萎えさせて後ずさりしてるし。

 

うーん、GWで切り上げないで、もっと星霊神社でレベル上げ頑張っとくんだったかなあ。

でも留年したくなかったしなあ、4月下旬からフライングして山梨に来ちゃってたけど。

 

とは言っても、目の前のお猿さんは、この町の各旧家……地方、名家? の所属者3人と、

おまけに新米覚醒者のだぁりんを、指先ひとつで挽肉にできるわけで。

 

いや、わたしの着てる制服を模した装備に外見を合わせた、

ガイア連合製の学ラン型防護服を着ただぁりんは、もう少しはもつかな? ……じゃなくて、

戦力としてアテになるのは、わたしと、アガシオンのヒコザだけ。

でも、ヒコザの斬る刺す殴るじゃ、カクエンの物理耐性には、有効打にはなりゃしない、と。

 

四肢が千切れかけてうずくまる巫女姿の先生に、イマイチ出力の弱いディアをかけ続けてる、

これまた巫女姿の葛城さんと、病み上がりでふたりをかばう、重そうな甲冑姿の伊東くん。

誰より、ふたりの致命傷に、持ってた傷薬を使い切り、この場でできることのなくなった、

文字通りのお荷物になっちゃっただぁりんのお()りに、大盾を構えたヒコザは動かせない。

つまりは。

 

「カナちゃんが、タイマン張るしかないわけだ」

 

わたしは、口内の土ぼこりを吐き捨てて、三段警棒型の武器シキガミを握り直した。

それを振るって手足の1本も斬り飛ばすつもりでガルを放ち、無力化をはかっていたものの、

敵もそれがわかってるらしく、アギの照準を常々先生たちに向けているのが厭らしい。

さっきは放たれた炎の相殺に気を取られて一発もらっちゃったわけだけど、

咄嗟に自分でも跳ぶことはできたし、見た目よりはダメージが少ないのは救いかな。

あー、警棒ごと盾にした左腕の痺れがうざい、女の顔殴ろうとすんなよなー。

 

『アルジ、オレたちにカマうな、コロせ、ホノオもツメも、オレがウシろにはトオさんから』

 

そこでわたしたちの頭に伝わってくる、ヒコザが放ったバリトンボインでの念話。

ただし、いつもの精彩を欠いていたのが懸念材料、というか明らかに弱々しいものだった。

それから推し量るに耐えられてあと1発、できれば撃たれずに済ませたい。

だぁりんと葛城さんは徒歩で帰れるとはいえ、他の怪我人ふたりは、ね。

 

しゃーない、心中、しちゃい(刺し違えてでも斃し)ますか。

やだなあ、わたし、るるさんみたいな死んでも殺すバーサーカーじゃないんだけど。

見捨てられない相手なら最初から異界に連れて行くなって、

山梨で口やガラの悪いヤツらが言ってた通りになったのは腹立つなあ。

 

「【リョボー】、充電、開始」

 

交戦前に仕掛けたアナライズの結果、目の前のお猿さんは、

火炎・呪殺・破魔無効で物理耐性持ちで、電撃・疾風弱点なのはわかってる。

わたしの手の中の武器シキガミには、ちょうどいい事にガルとジオ、

おまけにブフとハマのスキルカードを挿してあるわけで。

 

深呼吸とともに、わたしは武器シキガミにマグネタイトを注ぎ込んだ。

どこぞの仙人バトル漫画の主人公が振るう教鞭モドキを模したそれが、

ライバルキャラのバラ鞭モドキめいて紫電を帯びるのにビビったのか、

目の前の黒い巨体が、キープしていた業火を、反射的に放つ。

 

──ごめんヒコザ、耐えて(死んで)

 

舌打ちめいた喊声を伴った横殴りの(イカズチ)が妖獣を焼き祓ったのと、その置き土産となった炎が、

大盾を構えたガイコツと、その背後に集まる4人を呑み込んだのは同時だった……いや。

 

わたしたちの鼓膜どころか、五体を根こそぎ揺るがせるほどの、爆音と震動。

それらが、カクエンの亡骸が変じた赤い燐光とともに消え失せた後には、

盾を構えたまま、間の抜けた念話を漏らすヒコザと、座り込んだ葛城さんと怪我人ふたり、

半開きのカバンを片手に尻もちをつく、わたしの恋人が、誰ひとり欠けずに生き延びていた。

 

わたしも、彼の姿を真似るように、その場にぺたんと座り込む。

安心したせいでとめどなく溢れてくる笑いと、勝手に出てくる涙に免じて、

彼の方からうっすら漂ってくる、アンモニアの臭いには、目をつぶってあげることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とんだ初陣だったな、有田」

「おれパンピーなんだけど! パンピーなんだからしょうがなくね!?」

「諦めろ、カノジョがそんなんなんだ、もう誰からもパンピー扱いはされねーよ」

「大丈夫です、私も誠仁(まさひと)さんも、初めての時は、そうなりましたから」

「あたしもそーだったから気にしないでよだぁりん、ねーせんせ」

「すまん、私は異界で失禁したことがないのでな」

 

飲み物と空になったカレー皿が乗ったテーブルが並ぶ、冷房が利いた広めの居間に響くのは、

わざとらしい声真似での舌打ちの三重奏、返されるのは鼻で笑う声、すくめられるのは骨の肩。

 

ゆるんだ空気としばしの沈黙を破り、だぁりんがおずおずと口を開いた。

そんな尻尾をまるめた仔犬みたいな目をされると、正直めっちゃゾクゾク(むらむら)するから、

そういうのは寝室とかにふたりきりでいる時だけにしてほしいとカナちゃんは思いまーす。

 

「声真似でも、カナや葛城さんが舌打ちするのはちょっとクるもんがあるな……」

「のっといてなんだけど俺もそう思うわ……」

「葛城さん、ガイア連合で調教用の革製結婚首輪とか作ってるんだけど、要る?」

「ハイ、高校を卒業した暁には、是非」

 

にこやかに笑う葛城さんの口から先端が裂けた舌が覗いた気がした。

たぶんわたしの背中からはジョロウグモの八本足が伸びてたと思う。

だったら、おどけて抱き合うだぁりんと伊東くんは蝶とか小鳥かな。

例えられる動物の性別が逆じゃねって? いんだよこまけえこたあ。

 

今わたしたちが平城先生の自宅で行っているのは、依頼達成後の打ち上げというか、反省会?

カクエンの最後っ屁でおもらししちゃっただぁりんを慰める会ともいいます。

 

とはいえ、リョボーに登録しといたハマで、全員身綺麗にはなってるし、

わたしが持ち込んだレトルトのガイアカレーも併用した治療で、

健康体にも戻れているのだけど……まあ、アシが出ちゃってますとは、言わないでおこうかな。

先生たちの負傷の治療の対価として、今後は葛城さんたち旧家の方から、

わたしとだぁりんそれぞれの実家に、何かと便宜を図ってくれる契約も結べたことだし。

 

『まあモらしたモらさんはどうでもよかろう、レイをイうぞダンジロー。

 おカゲでシなずにスんだし、おマエやナナミたちをシなせずにスんだ』

「……どうでもよかないけど、助けになれたんなら、よかったよ」

 

こちらもすっかり本調子な、しっぶーいヒコザの念話に、

だぁりんが身体を小さくして口許をもぞもぞとさせてます、すき。

 

一方で、ヒコザに本名を呼び捨てにされた平城先生は、お酒の入ったコップ片手に渋い顔。

異界の道中で雑魚悪魔──わたしの知ってる赤い肌をした見た目の妖精 ゴブリンじゃなくて、

緑色の幽鬼 ガキみたいな姿をしていた個体が、やけに多かったのはなんでなんだろ?

転生者(わたしたち)の記憶やイメージの産物? だったらやだなあ、スケベそうだったし──の群れ相手には、

前世で見かけたテレビゲームみたいな勢いで薙刀…長巻? を振り回して首を刈っていたものの、

異界の最奥に居座って、いろんな意味でふんぞり返っていた、

物理耐性持ちのカクエン相手には、さすがに歯が立たなかったのが悔しかったのかな。

葛城さんと伊東くんが小さい頃から、旧家同士のお付き合いの中では、

ふたりの姉貴分、長じてからは後見人として振る舞っていたそうだし。

 

「いや、最後に、有田が投げつけた石だが、あれはどうすれば手に入れられるのかと思ってな。

 私の手にもあれがあれば、異界の主にも一方的にやられることもなかったハズだから」

「石……あれ石かよ、明らかに爆弾とかじゃねーか ……ことねさんのもぶるんって揺れてたし

「あの悪魔が放った炎を、一発で掻き消してしまってましたものね」

 

先生の疑問を伊東くんがまぜっ返し、頬を赤らめた葛城さんが、

相槌といっしょに彼の後頭部平手で打つのに、だぁりんが顔をしかめながら口を開く。

 

「おれもな、無我夢中だったんだ。

 カナに異界に入る前、いざとなったら、出くわした危険の原因に、

 排除してやるって意思を込めて投げつけろ、ってだけ言われててさ」

「ザンストーンだね、作ってくれた福島のワンコくんには、今度会ったらありがとって言っとこ」

「「ワンコくん?」」

「山梨のオフ会で会った大学生のお兄さん、っていっても、小学生にしか見えないんだけどねー」

 

だぁりんと先生が重ねた疑問の声に、はいこれ、と応えながら、わたしは、

最近ガイア連合のフロント企業から発売されたばかりの、スマホの画面をみんなに見せた。

 

そこに写っていたのは、長めのショートヘアも瞳も濡羽色をした、中学生くらいの美少女。

 

……にしか見えない、もしくはとってもかわいい男子小学生にしか見えない、大学生のお兄さん。

掲示板上では、地霊 コボルトに変身できるからか、豆柴とか名乗ってるみたい。

1回頭を撫でてみたいんだけど、ナギ姐さんのツテで頼めば撫でさせてくれるかな、黒井くん。

 

ちなみにわたしは、掲示板では地味子って名乗ってます。

『黒こなネキ』より、『地味子ネキ』の方がマシなんじゃないかな、って思ったから。

 

他の男のひとの名前がわたしの口から出たからかな、

ほんのりムッとした顔のだぁりんをなだめるために、ネコ口笑いでしなだれかかってると、

明らかにアルコール以外の要因で真っ赤になった先生が、目を血走らせてわたしに訊ねてきた。

 

「…………黒川、その、この……彼? は、恋人などは、いないのか?」

「こないだから金髪美人と同棲を始めたみたいです」

 

エセ関西弁の、と続けようとしたら、先生が泣いちゃった。

ロングヘアをきっちりシニヨンに結いあげた吊り目美人が台無しだわ。

 

「……なな姉、洟垂れてんぞ」

「ゔる゙ざい゙……」

 

なだめる伊東くんの手からティッシュを奪い取って洟をかみ、

苦笑する葛城さんのメートル超えバストに顔をうずめながら、

私だけに従順な霊能高めの美少年はどこだあ、と嘆く、平城ななみさん(27)。

んー、先生は美人だけど、嫁シキガミがいるもんねえ、男の転生者連中には……。

 

こじらせた乙女相手に、わたしら4人は、

困った顔を見合わせることしかできませんでしたとさ、どっとはらい。

……お前も前世はこんなもんだったろうがってセルフツッコミは、聞かなかったことにします。




続きは近いうちに、とは言いますものの、ほんっとに予定は未定となります、すみません。

そしてこちら、マカーブルさんと、ディストピアさんからいただきました、
地味子ネキこと黒川伽奈さんのFAになります。

「同一キャラのギャップに恐れ戦くが良いわ!!」と、
マカーブルさんが仰られてましたが、まさしくw

THE・眼鏡っ娘なこなちゃん版 
【挿絵表示】


そしてこちらはおせいそ……版 
【挿絵表示】


ディストピアさんからいただいた方は、その、こう、グッとキますね、
マカーブルさんからいただいたお清楚版とは、また違った意味で!

赤ジャージ 
【挿絵表示】


黒ジャージ 
【挿絵表示】


黒セーラー 
【挿絵表示】


白セーラー 
【挿絵表示】


おふたりとも、重ねて、素敵なFAをありがとうございました。
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