くっ!鍛えた筋肉があれば吸血鬼になんか絶対負けないっ! 作:b畜農家
この作品に出てくる豆知識はぜんぶAI調べです。だから本気にせず男塾並みのトンチキ知識として受け取ってもらえると助かります。
それはDIOの呪いに倒れたホリィさんを救うべく、エジプト行きの飛行機に乗り込んだ夜のことでした。
かいつまんで言うと、本来ならこれより少し後の時間帯にジョセフと承太郎がDIOの“視線”に気が付いて目を覚まし、敵襲を受けるのですが……
「…………」
既に莉羅は目を覚ましていました。
仲間が寝入ってることを慎重に確かめ、そっと席を立ちました。
トイレに行きやすいように通路側に座らせてもらえたので、通路に出るのはらくちんです。
忍び足で歩き、
そのおじいさんは、本名(?)を『グレーフライ』と言いました。
言わずもがな、DIOの差し向けたスタンド使いです。
それもまた、人の舌を引き抜くのが大好きという閻魔様がブチギレそうななんともまあ猟奇的な趣味を持っている男なのです。
まあそんな真似、させるわけないですけどね。
手元に相棒、悪者カチ割り丸はありませんが(なんせ鉄製の武器は持ち込めないのです)、彼女には鍛え上げた五体があります。
莉羅は拳を作っておじいさんの足元にひざまずき──それを勢いよくグレーフライの股間に叩き付けました。
ゴヂュ"ン"ッ!!
「ぎにゃあああああ!!!!!」
股間を襲ったビッグバン激痛に寝たふりをしていたグレーフライは目をかっぴらき、絶叫しました。
小娘がなにかしてんな~と思ってはいましたが、まあなにかあればスタンドで対処すりゃいっかぁ~とのんきに考えていたのです。自信と慢心は違うと言いますが、2m超の筋肉ゴリラが間近にいて焦りもしないのは困りものですね。
しかし股間に一撃食らって失神しないのは見上げた根性です。
「あ、起きた」
「にゃ、にゃにをしやがる、このクソガキィイイ……!!」
「莉羅ッ!? いったいなあにしとるんじゃあッ!」
騒ぎを聞きつけて血相を変えたジョセフたちが駆け寄ってくるのと、生まれたての小鹿のようにプルプルしながら立ち上がったグレーフライの頭上にスタンドビジョンが浮かび上がるのは同時でした。
それはクワガタムシのような見た目をしていました。
確か、名前はタワーオブグレー。外見は原作通りですが、奇襲に精神集中がうまくできないのかビジョンがぶれぶれです。やはり金的… 金的は全てを解決する…!
「こっ、こいつは!!」
「なにっ、知っておるのかアヴドゥル!」
「てめぇ、ワシのような老人をいじめるなんて後悔するぞォオ……!!」
「人のベロ引っこ抜いてギャハギャハしてるようなブタが被害者気取ってんじゃありませんよッ! 死ねッ!」
「
莉羅は肉薄するタワーオブグレーを完全に見切り、その無差別的な攻撃を回避しきってグレーフライの脳天にチョップを叩き込み、思わずうずくまったその股間目掛けて渾身のヤクザキックをお見舞いしました。
プ"チ"ュ"ンッ!何か、男としての人生が完全に終わった致命的な音。
鬼の形相でスタンドをけしかけていたグレーフライは「ミぎゅえッ!」と奇っ怪な声を上げ、白目を剥いて崩れ落ちました。
「ふぅっ…… 悪霊退散!」
ビシィッ!と十字をキメた莉羅は、しかし飛行機が徐々に傾き始めていることに気づいて驚きました。
なんとグレーフライは金的された激痛の中でもスタンドを巧みに操り、飛行機のエンジンを破壊することには成功していたのです。もしかしたらタフという言葉はこのおじいさんのためにあるのかもしれませんね。
無駄にいぶし銀と言いますか、流石は序盤の強豪に相応しい活躍に莉羅は思わず内心で拍手を送りました。
莉羅は
「ううむ、過ぎたことを悔やんでも仕方ないね。命が助かったことを喜びましょう」
「おい莉羅、どういうことだ」
承太郎が聞いてきます。
それに莉羅は、まばゆいウインクで答えを濁したのでした。
▼▲▼
「莉羅、もう一人で動くんじゃないぞ」
シンガポールの中華料理店で告げられたその言葉は、莉羅にはダチョウ俱楽部の前フリにしか聞こえませんでした。
なにせそこではポルナレフと接敵するのですから。
J・P・ポルナレフと言えば、まさに序盤の壁にしていぶし銀の超カッコイイ準主人公。
壁だろうが何だろうがスパスパ斬りまくる剣技もさることながら、光速で飛び回る敵を軌道さえ見えれば攻撃可能と言うのです。
ちなみにポルナレフと彼のスタンドは視界が連結しておらず、光速──光信号が1メートルを伝達するのには1秒もかかりません。それを、軌道がわかれば攻撃できる。うーん、めっちゃクール。
「すみません、ちょっといいですか? 私は観光客なんですがメニューが読めなくて……」
「むん? それならわしに任せなさい。えーとこれとこれを……おおい、ウェイターはいるかね!」
そのポルナレフがやって来たので、料理が来るまで和気あいあいと話し合いながら、莉羅はさりげなく彼のそばに寄りました。
「お兄さんかっこいいですね! どこから来たんですか?」
「私ですか? フランスから来たんですよ」
「へ~! いいなぁフランス~。私も行ってみたい」
「よろしければ私がエスコートしますよ。美しいお嬢さん」
「あはは! よしてくださいって~」
適当な会話でお茶を濁しながら、莉羅はそっとテーブルに置いてあるお茶の容器に手を伸ばしました。
「おっ、料理が運ばれてきましたよ」
「そうだね莉羅。そろそろ自分の席に」
莉羅が湯呑みをポルナレフの顔面に叩きつけるのを、花京院は見届けてしまいました。
周りのみんなは、お茶のお代わりが欲しいんだろうと思っていたのです。悪意があれば防げたかもしれませんが、無感情のまま起こされた行動には誰も反応できません。
……ポルナレフを除いてね。
「す、スタンド使いだと……?!」
「………」
銀色の甲冑めいたスタンドビジョンで攻撃を防いだポルナレフは、打って変わった鋭い目で莉羅を見つめます。
周りにはその行動は瞬きしたようにしか見えませんでした。一回の瞬きというのは約0.1~0.4秒。平均すると0.2~3秒程度です。
人間の反応速度は鍛えていてもだいたい0.25前後です。つまり理論上、音速に近い速度の攻撃に反応できるのは
そして顔面に迫る湯呑を一撃で切り捨てたポルナレフは、返す刃で莉羅の腕を貫いていました。
「小娘、おイタが過ぎるぞ」
「イタい思いをしたくなければ降伏したほうがいいですよ? そもそも──こうなった時点であなたの負けは確定してるんですから」
利き手を正確に貫かれながらも、莉羅は挑戦的な笑みで返事をしました。
「どういう意味だ──」
「おらァッ!!」
激怒した承太郎がスタープラチナで殴りかかります。
とっさに剣を引き抜こうとしたポルナレフは、しかし莉羅が筋肉に力を籠めて剣を食い止めたことでつんのめり、側頭部へまともに一撃をもらいました。
「アイヤー!?」
ブッ飛んでいく185cm筋肉モリモリの巨体に哀れなウェイターが悲鳴を上げます。
錐揉み回転しながら空中浮遊したポルナレフは、壁にめりこんで動かなくなりました。
素早く近寄って気を失ってるだけだと確かめた莉羅は、ほうと息をついてへたりこみます。
「莉羅!! 大丈夫か!!」
承太郎が常人なら腰を抜かしそうな形相でやってきます。
「んー、もーまんたいってとこですね」
「どこがじゃあ、どこが!! 怪我を見せなさい!!」
「私はいいですからこの男の人を見てください。この人、肉の芽を植えられてます」
「ンなぁにぃっ!?」
わいわいと騒ぎ出した店内をよそに、痛む腕を庇いながら莉羅は「みんなを守れてよかった」とつぶやきました。
そしてその呟きは、確かに承太郎の耳に届いていたのです。
【熊沢莉羅について】
TASかRTA走者のような挙動は仕様。「未来を知ってるなんて言ったところで頭のおかしなヤツ扱いされるだけだろうし自分がチョンボを引き受ければいっか」と莉羅は考えている。FGOの項羽。
ちなみにまともにポルナレフ戦が始まっていたらポルナレフは時速40キロで空を飛びまわってヒット&アウェイをかますクマゴリラを相手にしなければいけなかった。