魔法少女「あなた」   作:何処にでもある

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 *今はは5日目の夕方です。閲覧したい情報を3つ、選んでください*




√23-2「*このページは閲覧不要です*」

 

 

 あなたは最初のページを開いた。

 過去から未来に送られた単語、それが閲覧出来るようだ。

 

「…先ずは」

 

 そして新たに一つ、急ぎで作ったと思わしきものもある。

 

「ありすとなろう!チャンネル」

「思った通りになる魔法」

「霧晴家の末裔」

「雨雲家の末裔」

「存在:電寄生(サパライト)

 

new「げえむとありすのかんk」

 

 正すと「ゲームとアリスの関係」だろうか。

 変換すらされず途中まで書かれたタイトル。

 あなたは最初にそれを読んでみることにした。

 内容は……端的だ。どれだけ急いでいたのか、どんな状況か分からないが、あなたの為に遺された情報なのは確かだろう。

 

 

「げえむとありすのかんk」

 アリスに指示をされ情報を調べ渡した これらはそのコピー

 

 決戦の日

 アリスは財団のゲェムに参加することを決定した

 アリスが人質

 駒は魔法少女達

 情報源はアリス

 財団がゲェムを開催した理由→アリス→恐らく楽しむ為

 クリア方法は二つ

 

 ゲェムが終わるPL数0日目迄に

 

 アリスを消すか

 主催者を殺すか

 

 見つけ出せ

 

◆◇◆◇

 

 

 内容はそこで終わっている。

 どちらを選ぶにしても、探し出す必要があるようだ。

 ならば‭─‬‭─選ぶ方は決まりきって……ん? どっちか殺すって話なら文面は「殺す」に統一される筈だ。

 これは……もしかして片方じゃなくて両方では?

 本物か偽物か、或いは交互に混ぜられてるか定かではないが、仮にリーダーではなくアリスの方に契約と死ぬ部分が掛かってるなら、行方の分からない現状は……とてもマズい気がする。

 この情報をアリスは知っているのだから。

 

「だけど、今は他の情報」

 

 しかし、それはもう片方を先に達成すれば問題ないこと。

 情報を観るくらいならまだ余裕がある筈だ。

 それにアリスがあなたの想像通り自殺なんて手段に出る前に、財団の主催者を殺して仕舞えばいいだけのこと。

 その辺は猫の便りを辿ればいい……というか、多分ソイツ、この場に居るのだ。

 

『にー』

「つまり私の勝ちよ! 私の勝ち! どんな約束をしようと、飼い主である私が1番で絶対なのは揺るがないの!」

「シャラァァップ!!! それ以外の関係を築けない負け組の言い草ですねーそりぁよー! オタクからはメイドの主人だからと夫に勝ち誇ろうとするアホの臭いがするんですよにぇー!」

「黙れ39歳にして21・22・23の成人した男3名の母にして未亡人系魔法少女が!!! ガキのツラして年下の女にガチ惚れしてるんじゃないわよ! 何が新たな人生だ! 出しゃばるな! 慎め!」

 

うるしゃい! アリスは私のママになった女だ! 誰にも渡さにゃああい!

テメェがママでテメェはあの子の腹から産まれてないでしょうがあああ!!

 

 

「……うん、やっぱりさっきからリーダーの頭に尻尾を叩き付けてる音がする……それ以外も相当な爆音だけど」

「なんか言った? はい、コアラのマーチ食べる?」

「なんでもない、気にしないでラビちゃん。マーチはもらうー」

 

 恐らく財団の主催者か、その部下か。

 それがリーダーの頭に居る。怪人の時からそこに居たのなら、猫の魔法の影響下に入っても違和感はない。

 だからこうしてラビちゃんの後ろに隠れているのだ。

 脳に住処を構えられるのは、あなたが知る限り怪人か財団の2択である。

 

 しかし焦っては行けない。

 今は冷静に探るべきだと、あなたはリーダーが操られて襲い掛かって来た時の為の情報を開いた。

 先ずは……《叶う(ウィッシュ)》の挙動はここまでに何度か見たし、本体情報からだろう。

 

 

「存在:電寄生(サパライト)

 

・どのような存在か。

 大凡の概要は財団対策会議でアリスが教授した通り。

 未来に産まれた人外であり、滅びた星を助けようと過去改変を試みる宗教団体。

 普段は電子のミクロな世界で活動し、卓越した技術、電気を介した移動、小さな身体による乗っ取りなど、本来なら星が滅びるような大局とは関係ない、小さな世界の生物(菌やウイルスの同類)である。

 

・思考回路

 大きな事を成す力は有っても、日々を幸福に過ごすにも過剰な力を持つ彼ら。

 自己中心的、刹那的な思考が「救済すらゲェムとして扱う」行動にも出ていることから、根本的にそういう思考回路の種族なのだろう。

 そんな存在が集団で一つの長期的なゲェム(救済)を行う……それは、ある種信仰にも似た心の移ろいがあるのは間違いない。

 人の感覚に近いもので言えば、「みんなでエンジョイ縛りプレイをしている」感覚だろう。

 彼らのゲェム、星の救済とは、その程度の心持ちで行われている。

 

 それが「電寄生(サパライト)(MGP財団所属)」

 自分の決めた縛り/ルールを守りはするが、全力で縛り/ルールの抜け穴を探し、全力で勝ちに行くゲーマーグループである。

 

・挙動

 普段はルール違反はしないが、死ぬ間際になれば気にしなくなる。

 なので殺すなら一瞬かつ不可避で無ければならない。

 

 他の仲間による復活はしない。

 やれはするだろうが、根本的に他者に興味がないものでやらない可能性が高い。

 

・スタミナがない。

 元々ミクロな世界に生きる存在だ。

 彼らの規模感にこちらが合わせた廃墟探索時と異なり、現実側に強引に干渉するなら、1、2度。

 多くても3回。怪対員としての勘で言えばその程度になる。

 しかし洗脳相手を動かす、脳に潜伏して動かすのは余り疲れないだろう。

 PCが戦ってても、PLは操作で指が疲れるだけなのと同じ理屈だ。

 拠点……潜伏している場所から切り離すのが最適解だ。

 そうすれば、悪あがきを凌ぐだけでよくなる。

 

・切り離し方、対策

 拠点になっているものを徹底的に破壊する。

 なんらかの魔法を行使する。→隠蔽、特定、拘束、不意打ち確殺の4つを満たせる何かしらを揃える。

 「怪具/鋏/甲」に準ずる概念的攻撃手段。もしくは怪奇の利用、神格への援助要請。

 いっそ拠点とまとめて殺し、後でこちら側の被害だけ復旧する。

 

 時間があるなら霧晴家の末裔に事情を話して頼む。本人は出来るとは知らない為、その辺の説明も必要。仲間の魔法少女も来て貰うとなお良い。特にロボとフタバ。

 最難関は、未来視の魔法少女による妨害。堅実なのは直接行く事。望ましいのは運良く離れた時に電話すること。夜ならば確実だが、不機嫌で没交渉する可能性がある。

 

◆◇◆◇

 

 

 そこで記録は終わっている。

 参考にはなったが、具体的なやり方はこちらで用意する必要がありそうだ。

 とはいえ……最後の文章はナイトの考えたやり方だろうか。

 霧晴家……あなたは、次に読む情報を決めた。

 こうなったらその実力を信じる方針である。

 

 

「霧晴家の末裔」

・連絡

 080-◆◇◆◎-◇◎○●

 住所は秋田県の‭─‬‭市─‬‭─町‬‭─‭─‬‭─‭─3-‬‭16‬。

 

・能力

 異常に聞ける範囲の広い耳の持ち主。

 対象に届くまでの一切合切を「防御」と見做して無視する射撃の魔法持ち。

 吸血鬼のように怪奇、過去を再現する。しかし、星の記憶を経由した様子は見られなかった。

 

 怪奇対象→『魂蟲』

 →対象の『魂』(そういう名前の臓器。過去に存在した怪奇の一種)を苗床に栄養を吸い増える魂の蟲。苗床になる際、何かしらの怪奇に変じる程の激痛が走る。

 その中でも『魂蝶』は蛹の形状が銃弾に酷似し、昔はそれを撃ち出す銃型のムシカゴも存在した。

 

 蝶は魂蟲の中では「通用する相手が多い」のが特徴。魂だけでなく、肉体、神格、能力、記憶、精神、概念的にも「苗床にする」。一度内部に植えられたが最後、そこに居た事実すら残さず苗床として吸い尽くすという。

 更に蝶は白と黒の2種が居るが、これは上位下位の能力関係であるが、二種が同じ場所に居るとお互いを強化/凶暴化させる。これは同種特有の餌に対する競争意識が働いているのが通説とされている。

 

・経歴

 川次重音(はまべかさね)、女、元気が取柄の養子娘。混沌/善? 中学ではヤンキーだった経歴有り。

 千年以上、代々葬儀屋をやっていた霧晴家唯一の生き残りであり、かつて財団のゲェムによって家族を全員失った。

 その為、身内を危険に晒す発言は地雷。過去を示唆する発言は危険。

 ローカル番組で出た範囲なら問題なし。ファンと言うと好印象?

 身内最優先の為、頼むならそれ相応の誠意、報酬が必要。

 金銭が効く。最低500万。交渉では初手は100万と低くし、高める手法が有効?

 食事その他、旅行のように準備しておくのが望ましい。これは国か案内を行える人の伝手があれば楽に進む。

 魔法で周囲の記憶を一度も使った事がない為、学生生活を継続している。

 その為平日はコチラには来れない。

 

 しかし、身内を失う恐怖は誰よりも知っているからこそ、そこを突けば説得は比較的可能と思われる。

 

・仲間

 ローカル番組参照。一人でも多く来てくる様に交渉しよう。

 

◆◇◆◇

 

 

 記事はそこで終わっている。

 早速いつ電話するのか吟味し……やるなら夜だと決めた。

 掛けるなら先にこっちの準備が先だろうし、何より急な話だ。誰も彼も寝耳に水だろう。

 番組は前に一度調べ物の時に見た事がある。問題はない。

 

「シール、アリスがあなたを探し始めたけど、どうする?」

 

 早速続きを……という所で、ラビがあなたに警告する。

 ある程度状況は把握したが、まだ全ての記事を確認出来てはいない。

 あなたは、自分の手に汗が滲む感覚を覚えた。

 

「‭─‬‭─…ということで、私の勝ちだから」

「負けたです…」

「全く…ん? シールは? おーい、どこ行ったのー?」

 

 話し声が聞こえる。全部観るには時間が足りない。

 ゲームの事、財団とアリスの関係、リーダーの頭部なら聞こえる猫の声……全部話すのは、ダメだ。

 それは現状を把握したと、推定主催者の財団員にも聞かせるということ。

 そうなればどんな行動を取るか…間違いなく、詰みに至る。

 

「影に頭突っ込むから、邪魔だから此処に寄せたとかなんとか言って誤魔化して」

「分かった。それ、後で詳しく教えてね」

 

 だがその前に証拠隠滅だ。

 あなたはサイトに繋がるURLはチラリとしか見ておらず、このスマホでしか繋がらない可能性もある。

 続きを見るならばこのスマホを隠す必要があるだろう。

 それなら影の中、元々有った場所が1番良い。

 影の世界がどうなってるか定かではないが、何処に手を伸ばして手にしたかは把握している。

 

「…お、松代の近くに居たのね。どうしてこんなに移動してるの?」

「…………」

「……ん? ああ! 松代はアンタよアンタ。そこの兎!」

「…え。私、松代って名前なの?」

「そうよ。松代兎々、そうだった記憶戻すの忘れてたわ。どうする、今戻しとく?」

「いや…今は良いです。絶対パーティにそぐわないゲッソリする記憶なので」

「あー…それもそうか。それで、隣で影に頭突っ込んでるシールは?」

「邪魔だから動かした」

 

 あなたはもう一度潜り、手を伸ばして置き場を探る。

 どれだけ深いかも分からないし、前回はスマホ以外に土台となりそうな部分の感触は無かった。

 だから、これはかなり賭け出た行動だ。間違えれば最後、二度とスマホを見つけられなくなる。

 

 慎重に記憶を探って、手を離して(精神判定2D6=???)…。

 

「あ…!」

 

 薄紫色のスマホは、そのまま暗闇の中に落ちていった。

 成否が分かる様に付けていた光が遠ざかっていく……。

 慌てて手を伸ばすも、既にピンと腕を張った先から落ちたものだ。

 捕まる筈もなく、スマホは影の中に消えていった。

 

「……大丈夫、全て把握する必要はない。きっと、大丈夫な筈」

 

 幸い川次の電話と住所は覚えている。

 全て見ることはできなかったが、倒す算段は建てられた。

 問題は、アリスの自殺するかもという懸念だが……これもコレで、リーダーに伝えるのは早計だろう。

 

 だって記事には主催者の殺害と同レベルの勝ち筋として書かれていた。

 

 それは相手にとって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 リーダーに…その頭に居る相手に伝えれば最後、伝言のように主催者に伝わり、そのまま全てが終わる危険もある。

 

「ぷは………はぁ…はぁ…ごめんリーダー、何も分からなかった」

 

 何も伝えられない。

 あなたが出した答えは、そのような物だった。

 

「…そう、分かった。だったらこっちはアリスを探すから、その間に適当に財団の痕跡を調べて頂戴」

「待って、気になる事……マスコット達はどうしたの?」

「回収はしてるけど、アレらは私達に「魔法を授けた側」よ。生半可な魔法は無効化してしまうの。だから完全に戻すには、私とアリス、それから何人もの魔法少女に協力して貰って、儀式(サバト)をする必要がある。その間は無防備になるし、財団の攻撃を確認した今は無理な話ね」

「そっか……ちょっと残念」

「あんたも気を付けなさい? 既に脳をあーされた以上、目をつけられてる可能性は十分あるから」

 

 ああ…アリスじゃないな。

 

 場違いな感想ではあるが、リーダーと初めて会話して思った事は、そんな事だった。

 彼女の博愛と傲慢を真似たアリスよりも、ずっと、ずっと偽物らしい振る舞いだ。

 

 いや、そういう物なのだろう。

 本来の人とは単調でも、ましてや記号的でもない。

 到底二つの単語だけで構築出来るようなものではないのだ。

 どちらも確かに有るのだろうが、それはあくまで一要素。

 博愛であっても愛は偏るし、傲慢が自慢や見栄という小さな形になったりする。

 

 その点、アリスは本物よりも本物らしく振る舞う偽物だろう。

 分かりやすい人間性と、ある種人間離れしか超然な振る舞いを崩さない。

 あなたは少しだけ、アリスが誰からも好かれやすいことへの理解が進んだ。

 

「…シール、リーダーは何処かに行ったよ。これからどうするの? アリスが居ないからか、周りの子も心中穏やかじゃ無さそうだけど」

「……ええと」

 

 言い出そうとして、言葉を止めた。

 そうだ…財団は電気のある場所なら何処からでも情報を聞き取れる。

 此処は都会のど真ん中、電気は空にも地中にも回らされている場所だ。

 

 迂闊に喋るのは危険だ。

 しかし、それでは霧晴家の末裔に電話で助けを呼ぶことも出来ない。

 

「今から財団とアリスの話を聞きたい人は、私に着いて来て……分かった事を共有するから」

 

 ではどうするか‭─‬‭─アリスから教わった隠し部屋を使えばいい。

 

 

 37名全員、あなた達の様子を見ていた、この場の魔法少女達全員が手を挙げた。

 

 作戦会議の時間だ。

 

 






 *これまでの傾向から選出した結果、財団員対策は完璧となりました。100%成功します*
 *逆にアリスの行き先、自殺対策はズタボロです。何処に行ったか、何を考えているか、その正体も掴めてません。38名+αの愉快な魔法少女達で頑張って調べてください*

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